ポルトガル、来年から飲料容器をデポジット制度で回収

ポルトガルが、2026年から使い捨て飲料容器のデポジット制度を全国規模で導入すると発表した。

これにより、ポルトガルは南ヨーロッパ本土で初めて全国規模でのデポジット制度を導入する国となる。

非営利団体SDRポルトガルがこの制度の管理者として選ばれ、SensoneoがITプロバイダーとして選定された。Sensoneoというと、オーストリアと同じだ。最近の欧州はSensoneoによる効率的なITシステムによるデポジット制度が人気のようだ。

詳しいことはこれから決まるようだが、回収ポイントは全国に7,000~10,000程度になるらしい。

<出典>

https://www.packaginginsights.com/news/portugal-drs-2026-southern-europe-model.html

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「資源の高度化法」施行されたはよいけれど、大丈夫?

今年2月、「資源の高度化法」(資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律)が施行された。

https://www.env.go.jp/press/press_04242.html

しかし、この法律、大丈夫なのか?

UNEPの報告書によると、プラスチックから検出される化学物質は1万3000種類以上にのぼるとのこと。うち、「約7000種類のプラスチック関連物質に関する広範な科学データは、そのうち3,200種類以上が懸念される有害性を持つ」と書かれている。

要するに、1万3000種類のうち、データがあるのは約7000種類で、約6000種類は有害性の有無の分析すらされていないということだ。

https://www.unep.org/resources/report/chemicals-plastics-technical-report

そんな中、リサイクルばかり進めて大丈夫なのだろうか。とりわけ、プラスチックのリサイクルを進めるのは非常に不安だ。

特に日本は、内分泌かく乱化学物質についての規制が海外に比べ非常に緩い。まず、問題のある化学物質を禁止し、それでプラスチックが使えなくなるのであればプラスチック以外のものに代替し、その上でリサイクルを進めてほしい。

プラスチックを循環させると言うことは、プラスチックに使われている1万3000種類以上の化学物質も、用途を限定せず循環させてしまうことを意味する。あまりにも危険だ。

ガム1枚で数百のマイクロプラ、天然ガムでも同程度

ガムを噛んで口の中の唾液を採取し、マイクロプラスチックを数えた研究が発表された(ジャーナルではまだ未公開)。

「合成成分のガム1グラムあたりのマイクロプラスチックの平均個数は104個で、天然ガムでは96個だった」とのこと。

https://www.cnn.co.jp/fringe/35230963.html

しかも、一部のガムでは1グラムあたり637個のマイクロプラスチックが放出されたそうだ。

噛み始めで大半のマイクロプラスチックが放出されてしまうらしい。「ガムを口に入れてから2分以内にマイクロプラスチックの大半が剥落し、8分後にはマイクロプラスチック粒子の94%が放出」されたとのことだ。

https://gigazine.net/news/20250328-chewing-gum-microplastics/

イメージ的には、味がなくなってからもクチャクチャ噛むほうがマイクロプラスチック放出に繋がるような気がするが、そうではないらしい。

しかし、なぜ高価な天然ガムからもマイクロプラスチックが放出されたのか?

海外研究ではセルロースもマイクロプラスチックとしてカウントすることが多いから、マイクロプラスチックの概念が日本とは異なるのかもしれないが、天然ガムとは名ばかりだった可能性はないだろうか。

インド・ゴア州でも飲料容器のデポジット制度を導入か

インドのゴア州で、ペットボトルやアルミ缶、ガラスびんを対象に飲料容器のデポジット制度を導入する計画らしい。これまでの計画よりも対象を広げた。

昨年から情報がチラホラ出ているが、開始日はまだ決まっていないようだ。

プラスチックボトルとアルミ缶には5ルピー、ガラス瓶には10ルピーのデポジットが適用されるとのこと。

https://timesofindia.indiatimes.com/city/goa/pay-more-than-mrp-in-goa-later-get-refund-on-returning-non-green-packing/articleshow/113003189.cms

しかし、デポジット制度を採用する州はゴア州がインドで初めて、と書かれている。

しかし、もうだいぶ前からマハラシュトラ州で、ペットボトルのデポジット制度が開始されているはずだ(プラスチック製ミルクパウチに関しては、業界の合意が得られず、延期が続いているらしい)。マハラシュトラ州のデポジット制度はどうなっているのだろう?

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シンガポール、デポジット制度開始を一年延期

シンガポールでは、今年の4月から飲料容器デポジット制度を開始する予定だったが、2026年4月1日に開始することが決まった。

飲料生産者や小売業者を含むすべての利害関係者が消費者の便宜のためにスキームをスムーズに設計および運用するための移行期間として、2026年7月1日まで猶予が与えられる。

それまでの間に、スキームの対象となるすべての飲料容器には、デポジットマークのラベルが付けられ、10セントのデポジットを携帯する必要があるとのこと。その間に払い戻しの資格のない飲料容器の在庫を清算する。

目標は、制度開始3年目から80%の返却率を達成することで、デポジットも返金も10セント。大型スーパーやコミュニティスペースなどに自動回収機を置く計画だ。

<出典>

https://www.nea.gov.sg/our-services/waste-management/beverage-container-return-scheme

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ラテンアメリカ発 ウルグアイでデポジット制度開始

ウルグアイで飲料容器のデポジット制度が開始された。ラテンアメリカで初めてとのこと。

出典:https://www.logisticsbusiness.com/packaging-ecommerce/uruguay-launches-deposit-return-system/?utm_source=chatgpt.com

対象は、ガラス、アルミ、プラスチック、そしてlong-life multilaminates(長寿命のマルチラミネート?アルミ付き紙パックのようなものか?)とのこと。

詳しい情報はないので不明だが、2022年に環境省が承認した国家計画のようだ。

Reloopの『2022年グローバル保証金システムマニュアル』(Global Deposit Book 2022)によると、「現在全世界に50種類以上の異なる「保証金制度」があり、飲料容器の回収率は平均76%に達する。2026年末には、約7億4800万人がデポジット制度を導入している国や地域に住むことになる」のだそうだ。

デポジット制度の根底には「生産者責任」の考えがある。生産者が責任を持って容器を回収すべきだという考えのもと、世界各地でデポジット制度が採用されている。

日本のように企業と政治家、官僚が密接に結びついている国では、残念ながらデポジット制度が採用されることはない。

わからないのは、デポジット制度を推奨することと、ペットボトルを推奨することは同じだと決めつける一部の「環境系」の人たちの言動だ。

デポジット制度を理解していないにも関わらず、反対派の尻馬に乗って「ペットボトルなど回収してもしようがない。使わないことが一番大事なのだから」としたり顔でデポジット制度反対を唱える。どうにもガマンできない。

そんなわかりきったことを言うならば、さっさと「ペットボトル反対運動」でもやるべきだ。

熊本、半導体工場がPFASを放流 川の濃度高まる 

昨年できたばかりの熊本の半導体工場が、PFASを垂れ流していたようだ。

台湾積体電路製造(TSMC)の工場の排水を下水処理場で処理し、放流した川の水の濃度が高かった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2f7649e2a1cd5559413fd39480099c88f4c727df

昨年末に本格稼働したばかりなのに、1月に川の水を調べたら、工場で使われているPFBSとPFBAの濃度が上がっていたとのこと。川に直接放流しているわけではなく、下水処理場を経て放流されているにも関わらず、もう検出されたということは、一体どれだけ高濃度のPFASを垂れ流しているのだろう?

しかも、この工場は日本が大枚はたいてお願いして来てもらった工場だ。この後、第2工場、第3工場と建設計画が続く。

日本にはまだまともなPFAS基準値はない。まして、PFBSとPFBAなどのようなPFASはどれだけ流しても法に触れることはない。しかし、これらのPFASは、いずれ有害だとして規制されることは間違いない。

なぜこのような工場を誘致したのか。理由はいろいろ書かれているが、納得できない。

日本政府も誘致するならば、PFBSやPFBAの基準値を厳しく設定するなど、最期まで責任を持ってほしい。

それにしてもこの工場、台湾国内にある工場でも垂れ流いるのだろうか。

オランダのプロサッカーリーグ、今年から天然芝でのみプレー

オランダのプロサッカーリーグの1部リーグであるエールディヴィジのすべてのクラブは、2025-26シーズン以降、天然芝またはハイブリッドピッチでのみプレーする。

エールディヴィジとファーストディビジョン(2部リーグ)のクラブは、プロサッカーの総会でこの決定に投票。人工芝でのプレーは完全に終了したことを意味しているそうだ。

「オランダのプロサッカーでは、クラブが天然芝やハイブリッドピッチに切り替えると報酬が支払われるため、人工芝のフィールドの数はしばらく減少している。この移行は、2018年にエールディヴィジ変更アジェンダから始まった」とのこと。

https://eredivisie.eu/news/no-more-artificial-turf-in-the-eredivisie-from-the-2025-26-season/

この報酬については、「2018年には欧州カップ戦のグループステージに進出したチームが受け取れるUEFAの分配金・テレビ放映権料の5%を、天然芝を採用しているチームに補助金として支給するルールができ、天然芝への回帰をオランダリーグ全体で促していった」と、この日本語の記事(2020.5.26)にも記述されている↓

かつての人工芝ブームから一転、天然芝の香りが戻ったオランダ

人工芝が減り、天然芝グラウンドが復活することは、気候変動対策にもなるのでとてもうれしい。

日本では、Jリーグ(日本のプロサッカーリーグ)の公式試合は天然芝グラウンドでのみ行われているが、日本サッカー協会の助成金により、各地のサッカー場は人工芝が多い。日本サッカー協会もそろそろ脱人工芝に舵を切るべきではないだろうか。

人工芝化する校庭の増加理由は、不完全な「学校保健安全法」のせいか

以前は大学などのサッカー部が使うサッカー場を人工芝にする傾向があった。特に強豪校といわれる学校は、人工芝が好きだった。最近では、サッカー部を強くしたい高校のサッカー場も人工芝になってきた、と思ったら、小中学校の校庭まで人工芝にする学校が増えているようだ。

理由は、近隣への砂塵対策などだと聞くが、人工芝化された校庭をもつ学校に通う児童は気の毒だ。

人工芝には内分泌かく乱作用のある化学物質が含まれている。芝葉の部分にはノニルフェノールやUV-328など、ゴムチップにはフタル酸エステルをはじめ、気になる物質がてんこ盛りに含まれる。PFASも含まれている可能性が高い(PFASは芝葉部分に多い傾向)。

人工芝から発生するマイクロプラスチックが大気へ放出されると、そのマイクロプラスチックに付着したこれら化学物質も一緒に放出されることになる。それを吸い込むのは、通っている児童・生徒だけではないが、やはり毎日学校にいる子が多く吸い込みそうだ。

もちろん、すぐに毒性が現れるような物質ではないので、気にしない親も多いだろうが、私ならば我が子を通わせるのは躊躇する。こんな幼い子どもたちまで、なぜプラスチック付けにして育てようとするのか、理解できない。

韓国では日本よりも早く、校庭の人工芝化が始まった。しかし、2008年に環境団体が校庭の人工芝から基準を超える鉛を見つけた。その後、2014年に国の外郭団体が全国調査を行ったところ、約17%の学校の校庭の人工芝から基準値を超えた重金属やベンゾピレンなどの発がん性物質などが見つかった。そのため、基準を超えた人工芝校庭は土の校庭などに戻された(天然芝校庭になった学校もある)。それ以降、多くの自治体が2年ないし3年ごとに校庭の有害物質調査を行い、結果を公表している。

日本ではなぜこのような調査が行われていないのか?と不思議に思い、「学校保全安全法」を調べてみた。この法律には、感染症や事故、衛生問題などは想定されているが、校庭に存在するかもしれない有害物質については考慮されていないようだ。

確かに、昔は校庭の危険性などは、せいぜい砂場の砂の衛生問題(たとえば、砂場にペットが排泄するなど)程度しか考えられていなかっただろう。

しかし、今の校庭は心配な人工物だらけだ。人工芝にゴムチップ舗装、陸上競技用のウレタントラックなど。日本にそれらに含まれる(あるいはそれらから揮発する)有害化学物質の基準値はあるのだろうか?

「学校環境衛生管理マニュアル」(文科省)などを見ても、校庭についてはほとんど触れられていない。「屋上や校庭の側溝等の雨水排水溝について検査を行う」程度だ。

人工芝やゴムチップなどは、施工時は基準値内でも周辺から多環芳香族炭化水素(PAHs)などを吸着し、有害性を増すことが知られている。日本の校庭や公園は、敷設の際に調べられた形跡はないし、敷設後も調べられることはないと思われる。

メーカーから安全性に関する書類を提出させるのかもしれないが、敷設時はもちろん、数年ごとに有害物質調査をする必要がある。

韓国では人工芝だけでなく、校庭の陸上トラックも調べたところ、問題のある物質がいくつもの校庭から見つかった。ウレタン舗装時に早く乾燥させるために使われた薬剤に問題があったようだ。

今のままの学校の安全基準で、子どもたちを守ることは到底できそうにない。至急、校庭の有害物質を調査し、さらに教室内の電磁波なども測定すべきだ。

国際プラスチックごみ条約会議の再会、8月に決定

プラスチックごみ条約会議が8月5〜14日に再会されることになった。場所はスイスのジュネーブ。

INC-5.2という位置づけだ。昨年暮れに韓国で開かれたINC-5では、プラスチックの生産削減や有害化学物質の排除など、大事な点で紛糾したため、何も決まらなかった。

サウジアラビアやロシアなどが反対したためだが、日本や中国、米国の態度も曖昧だった。こういう大事な局面で、曖昧な態度しかとれない日本にも失望するが、今回米国はどう出るのだろうか。

もし、意欲的な内容で決まっても、真っ先に「批准しない」といいそうな大統領がいる。少なくとも4年間は、アメリカには何も期待できそうにない。プラスチックの生産削減すら決まらないようであれば、未来の地球はマイクロプラスチックと有害化学物質で覆われていそうだ。