人工芝に使われるPFASは「二重の脅威」

PFASの世界的権威で、人工芝のPFASも調べているノートルダム大学のグラハム・ピースリー教授の資料によると、人工芝に使われているPFASはPVDFとのこと。

マサチューセッツ州シャロンで開催された常設建築委員会の会議で、招かれていた専門家が

「…繊維の押出成形にはPFASが使用されています。それは事実です。確かに使用されています。PVDFと呼ばれる高分子化合物です」と発言した。

また、「プラスチック製の芝の葉に欠陥が生じないようにするために、溶融した炭化水素に意図的に添加される滑剤です」との発言もある。

要するに、このフッ素樹脂が使われる理由は、人工芝の芝葉を作る際、プラスチックが金型にくっ付かないよう加工助剤として添加するのだ。これがないと、あのような芝葉を高速で押し出し成形することは難しい。

フッ素ゴムも一緒に使われている可能性があるようだ。

Graham Peaslee, University of Notre Dame 2022.4.6

「PFAS in Artificial Turf」

https://www.newmoa.org/wp-content/uploads/2023/02/PFAS-in-Artificial-Turf.pdf

PVDFは、フライパンに使われているフッ素樹脂であるPTFEよりもさらに問題がありそうな樹脂で、これまでなされた研究を見ると、細胞毒性などもしっかり確認されている。

長年、フッ素樹脂は生物学的に不活性(安全)なPFASだといわれてきたが、近年その神話が崩れている。

そもそもPFASであり、かつプラスチックでもあるフッ素樹脂が、安全であるはずがない。

まさに「PFASマイクロプラスチック」は、「二重の脅威」だ。

https://www.nrdc.org/resources/double-trouble

EJFが新報告書を発表 プラスチック製品に含まれる化学物質の健康リスク 

ロンドンに拠点を置く環境正義財団(EJF)が、新しい報告書「Poison Plastics: How Chemicals in Everyday Plastics are Harming Your Health(有毒なプラスチック:日常的に使うプラスチックに含まれる化学物質がいかに健康を害しているか)」を発表した。
日常品に含まれるプラスチック関連化学物質の健康リスクを、一般向けに分かりやすく整理したレポートだ。

日本語の紹介記事

「家庭用品に使われているプラスチックの化学物質、9割以上が健康に有害 CNN EXCLUSIVE」2025.9.30↓
https://www.cnn.co.jp/fringe/35253121.html

報告書はここから読めます↓
https://ejfoundation.org/resources/downloads/Poison-Plastics-Summary_Updated.pdf
https://ejfoundation.org/reports/poison-plastics-report-summary

国連環境計画は2023年、プラスチック関連化学物質を13,000種以上と報告し、その後、PlastChem(2024)はデータベースを拡充し、16,000種以上の化学物質を収録した。

本報告書は、PlastChemデータを用いてEJF独自の分析や解釈を加えながら健康影響に焦点を当てて解説している。そのため、

「PlastChemプロジェクトは、プラスチックに含まれる、または使用される16,000以上の化学物質に関する証拠を統合し、そのうち4,200以上が人間の健康または環境に有害であると特定しました。さらに、1万以上の化学物質については危険性情報が不足しており、プラスチックに使用される可能性のある化学物質のうち国際的に規制されているのは6%未満です。」

と書かれている。

また、PlastChemデータに基づくEJFの分析によると、高リスクプラスチック化学物質の規制状況の割合は以下の通り。

規制状況の割合
• 国際的な規制(MEA)を受けていない化学物質 82.9%(568種類)
• 国際的に規制されておらず、調査対象のいずれかの管轄区域でも規制されていない化学物質 82.8%(567種類)
• 国際的に規制されておらず、調査対象のすべての管轄区域でも規制されていない化学物質 54.2%(371種類)

EU目標「2030年までに24%」の循環率って何?

EU(欧州連合)では、循環経済法(Circular Economy Act)の採択に向けた作業が最終段階に入っている。

欧州委員会は、2030年までに循環利用率(循環率)を現在の約12%から24%へ倍増させる目標を掲げており、この目標は循環経済法の柱の一つとなっている。

https://herapla.org/2026/07/24/eu-circular-economy-act-2026

現在の12%でもすごいのに、2030年までに24%達成目標とはEUの本気度がうかがえる。

循環率とリサイクル率の違いをAIに聞いたところ、以下の回答だった。

◆リサイクル率 = 「ゴミ箱に入ったものをどう処分・再利用したか」(廃棄物管理の優秀さ)
◆循環率 = 「地球から新しく掘り出す資源をどれだけ減らせているか」(社会構造全体の持続可能性)

さらに、geminiに「すべての製品に再生材を10%入れたら、循環率は10%になる?」と聞いたところ、以下の説明があった。

—-

「すべての製品」に再生材を10%入れたとしても、「製品」に含まれない巨大な原材料の消費が分母を圧倒してしまうためです。
理由は大きく3つあります。
理由1:エネルギーとして「燃やす資源」がある(化石燃料)
社会全体で使われる資源には、ガソリン、軽油、石炭、天然ガスといったエネルギー資材が大量に含まれています。
これらは発電や車を走らせるために「燃やして消えてしまう」ため、そもそも製品化されず、リサイクル材を混ぜること自体ができません。
(※化石資源カテゴリーの循環率がわずか数%なのは、プラスチック等はリサイクルできても、大半の石油・石炭が燃料として消えるためです)
理由2:食料や燃料になる「バイオマス」がある
米や麦などの食料、家畜の飼料、燃料用の木材なども国全体の資源消費(バイオマス)として計算されます。
これらも「食べて消化される」「燃やす」ものであり、工工業製品のように「リサイクル材を10%混ぜて作る」ということができません。
理由3:巨大なインフラ・土木建築(天然の砂・石)の存在
建築や道路に使われる生コンクリートや砕石などは、年間で数億トン単位で消費されます。
建材の再利用(破砕して路盤材にする等)は一部進んでいるものの、新築や巨大インフラには莫大な天然資源(バージン材)が使われるため、製品に10%混ぜただけではこの超巨大な分母を薄めきれません。
(中略)社会全体の「製品(右下の15)」すべてにおいて、10%リサイクル材を使うことに成功したとします。
分子(リサイクルされた量):15×10%=1.5
分母(社会全体の資源):100
社会全体の循環利用率:
100
1.5

 =1.5%
すべての製品で再生材を10%使ったとしても、社会全体の指標で見ると1.5%程度にしかならないのです。
まとめ
社会全体の循環利用率(EUの目標24%)を達成するためには、製品へのリサイクル材の配合割合(10%➔30%➔50%…)を増やすだけでなく、
エネルギーの脱化石燃料(燃やして消える石油を減らす)
建築資材の再利用・再循環の大幅強化(建物や道路の解体材を徹底的に新築で再利用する)
そもそも投入する天然資源の総量を減らす
といった、製品以外の巨大な資源の流れを根本から変える取り組みがセットになって初めて達成できる数字となっています。
—-

とのこと。

ついでに現在の日本の循環利用率を聞いたところ、9〜10%で推移しているそうだ。

EUのこの目標を達成するには、リサイクルを進めるだけでは十分ではないと考えられる。容器包装などの使い捨て製品を減らし、リユースやレンタルを拡大することで、新たな資源投入量(分母)そのものを減らしていくことも重要になるだろう。

一方、日本では依然として使い捨て製品への依存が大きく、仮にリサイクル率が向上しても、新たな資源の使用量が減らなければ、循環率を大きく引き上げるのは容易ではないと考えられる。

心筋梗塞患者の血中にマイクロプラが多い。大気汚染やナノプラと関係ある可能性

イタリアの研究チームがとても興味深い研究を発表した。

心筋梗塞を患った人は、そうでない人に比べて心臓へ行く動脈(冠動脈)中のマイクロ・ナノプラスチックの数値が高いという研究結果だ。

https://doi.org/10.1093/eurheartj/ehag447

また、それより少し前に心臓や血管系の病気とマイクロ・ナノプラスチックの関連を調べたレビュー論文「Micro- and nanoplastics and PM2.5 in cardiovascular disease: Emerging mechanisms, impacts, and therapeutic insights」が報告されている。

ナノプラスチックがPM2.5と一緒に肺へ吸い込まれ、血管へと侵入。心血管疾患を引き起こしている可能性があるようだ。

ナノプラスチックは環境中でPM2.5の中のすすや金属などと合体し、体に取り込まれると、心臓にも悪さをするらしい。

これらについて、日本語の詳しい解説記事が出ている。

https://herapla.org/2026/07/17/microplastics-coronary-blood-heart-attack

https://herapla.org/2026/07/20/microplastics-pm25-cardiovascular-disease

サッカーW杯で天然芝、NFL選手らも天然芝を望み「#WorthTheCost」と声を上げる

サッカーのFIFAワールドカップで使用されたスタジアムの天然芝は、大会終了後、アメフトに使うためまた人工芝へと張り替えられた。

天然芝に比べ、人工芝はケガのリスクが高い。そのため、これまで多くのNFL関係者が天然芝を望んできたが、NFLの選手の望みはかなえられなかった。

天然芝を望むNFLの選手たちは、SNSで「#WorthTheCost(我々にはその費用に見合う価値がある)」と声を上げている。

プロサッカーは近年、選手の意向に沿い、公式試合は天然芝で行われる。多くの有名選手が、人工芝グラウンドの出場をイヤがるからだ。

NFL選手も92%は天然芝を望んでいるというデータがある。しかし、アメフトは相変わらず人工芝で試合をさせられる。スタジアムを多目的利用するためだ。天然芝では多目的利用に耐えられない。

NFLには、選手の健康よりコスト重視の経営陣が人工芝を支持しているようだ。

https://forbesjapan.com/articles/detail/101230

https://news.yahoo.co.jp/articles/b8e425ce2fd2d2678080d2145106f0f68f5aa532?page=1

日本の自治体や学校では、漫然と人工芝を採用することが増えているようだが、何を考えているのだろう?

いわきFC 練習場を天然芝に張り替え 「ケガのリスクが減る」

サッカーJ2・いわきFCは、選手の足への負担をやわらげるとともに、J1ライセンスの基準に合わせるため、練習場を天然芝に張り替えた。

選手たちは「人工芝よりやわらかい」と、とても喜んでいる。

監督も「天然芝なのでケガのリスクが減る」と喜んでいる。

https://tver.jp/episodes/ep59u3wdl0

人工芝は、天然芝と比べ、ケガをしやすいことは、これまで多くの研究が証明している。

人工芝業界が関わった研究では異なる結果も出ているようだが、業界が関わっていない研究では、人工芝は靱帯損傷など大きなケガが多い。

「Comparison of injuries sustained on artificial turf and grass by male and female elite football players」↓

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20456680/

また、人工芝でのプレイは、天然芝に比べて1プレイあたり下肢の怪我が16%増加したという研究もある。

「Higher Rates of Lower Extremity Injury on Synthetic Turf Compared With Natural Turf Among National Football League Athletes: Epidemiologic Confirmation of a Biomechanical Hypothesis」↓

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30452873

若い選手の場合は、疲労骨折も多いようだ。

例えば、過去14年間に、大学男子サッカーチームに所属した選手のべ444名を対象に、Jones骨折発生率について調査したところ、使用年数が経過した人工芝グラウンドのJones骨折発生率が有意に高かった。(出典:藤高他「大学男子サッカー選手のJones骨折発生に影響を及ぼす環境要素の検討」『日本整形外科スポーツ医学会雑誌』2020年)

人工芝はケガをしやすいことを、サッカーや野球などのプロ選手の多くが知っている。

にも関わらず、各地のスポーツ協会や少年チームなどの多くは、「若者の未来のために」と自治体に人工芝グラウンドを要求する。

自治体もそれに応え、人工芝導入を検討する。

自治体職員にとっては、隣の市が人工芝になっているなら、自分のところもしないと恥だとでも思うのだろうか?全国の多くの自治体が、人工芝を敷きたがる理由がさっぱりわからない。

プラスチックの弊害がますます明るみになり、「脱プラ」が叫ばれている今、人工芝を導入することの方がよほど恥ずかしいことだ。

人工芝のマイクロプラスチックは目に見えるサイズのものもあるが、多くはとても小さく目に見えない。

そのため、大気汚染の原因にもなっている。

人工芝上で過ごすことで、マイクロプラスチックを多く吸い込むことになる可能性があるということだ。

同じ種類、同じサイズのマイクロプラスチックでも、紫外線で劣化したものの方が有害性が高い、という研究報告もある。

保育園や幼稚園の園庭でも人工芝が増えているが、人工芝上で遊んだり、スポーツをしたりする子どもたちの将来の健康がとても心配だ。


ニューヨーク州、PFAS汚染で3Mなど5社を提訴

ニューヨーク州が、有害だと知りながら水汚染の原因を作ったとして、スリーエム(3M)など5社を提訴した。

https://www.asahi.com/articles/ASV796SM2V79UHBI02HM.html

提訴された化学企業は3Mのほか、デュポン、ケマーズ、コルテバ、EIDP。

ニューヨーク州司法長官は、これらの企業が「PFASが有害だと知りながら販売してきた」として、責任を問う。企業に州全域の浄化活動への資金を拠出させ、PFASのリスクを適切に知らせるための命令を、裁判所に出すよう求めているという。

相模原市も道保川で水質浄化実験をやっているようだが、浄化活動は税金でするのではなく、3Mに資金を求めるべきだ。また、3M社敷地内の汚染土壌の撤去あるいは浄化も早急に求めるべきだ。

米EPA、PFAS規制案を一部見直し。4物質の基準を撤廃か

米国環境保護庁(EPA)は今月、飲料水に含まれる有機フッ素化合物(PFAS)に関する最終規制について見直しを発表した(JETRO, 2026.5.29)。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/05/59713a1bad01c396.html

PFOAとPFOSに対しては、最大許容濃度をそれぞれ4ng/L(4ppt)とする基準値自体は維持するが、順守義務の開始時期を当初の2029年から2031年まで2年間延期するそうだ。

また、他の4物質(PFHxS、PFNA、HFPO-DA、およびこれら3つのPFASとPFBSのハザードインデックス混合物)については基準を撤廃するとのこと。

PFHxSやPFNAなどはストックホルム条約で規制が決まっている種類のPFASだ。基準を撤廃してどうするつもりだろう?

アメリカはストックホルム条約に批准してはいないが、こんなものを野放図にばら撒かれてはかなわない。

豪政府、PFAS汚染で3M社に2300億円請求

オーストラリア政府はPFASを含む泡消火剤による環境汚染を巡り、スリーエム(3M)を相手取り、20億豪ドル(約2300億円)以上の損害賠償を求める訴訟を豪連邦裁判所に提起したそうだ。

3M社は環境への影響を把握していたにもかかわらず、虚偽の説明をしたとしている。

オーストラリア政府が起こした民事訴訟としては過去最大規模の金額とのこと。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2026052800786&g=int

日本政府は、3Mやダイキン、三井・ケマーズなどを提訴しないのだろうか?

少なくも相模原市は、3Mに原状回復を求めるべきだ。

現在、市ではなく、市民が現状回復を求めオンライン署名をおこなっている。相模原市内の3M社敷地内において、泡消火剤の性能試験を繰り返し行ったため、土壌が汚染され、そのため地下水が汚染されてしまったためだ。

スリーエムジャパン社長宛の署名「3Mに相模原事業所PFAS汚染の原位置土壌浄化を求める」↓

https://c.org/zFgxSGvknk

また、市民団体による紙ベースの署名活動も行われている。

研究:衣類に使われているPFASや難燃剤は、皮膚から取り込まれる

最近読んだニュースに、「英国バーミンガム大学が人間皮膚モデルを使用した研究によると、マイクロプラスチックの中の化学物質の約8%は汗に濡れた皮膚を通じて体内に吸収されることができる」と書かれていた。

https://www.mk.co.kr/jp/world/12050225

元になった論文を探したところ、2024年に発表されたこの研究のようだ。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0160412024002216?via%3Dihub

汗をかくとポリエチレンやポリプロピレンのマイクロプラスチックから溶け出した難燃剤が、皮膚を通して体内に吸収されるとのこと。約8%というのは最大値だ。

しかし、この論文でわかるのはポリエチレンやポリプロピレンからの化学物質溶出であり、ポリエステルやナイロンなどの繊維製品からではない。だが、ポリプロピレンはマスクやオムツ、スポーツウェアなどにはよく使われている。

さらに探すと、こういう論文も見つかった。中国・南海大学の論文だ。

https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2025.180426

PFASやOPE(有機リンエステル)が、子ども用や家庭用の繊維製品に広く使われていて、一部の子ども用衣類はPFOSがEUの基準値(1 μg/m2)を超えていたそうだ。

OPEは難燃剤や可塑剤として使われる環境ホルモン(内分泌かく乱)作用が指摘されている化学物質だ。カーテンなどには難燃剤として使用されていたとしても、なぜ子ども用衣類に含まれていたかはこの論文を読んでもわからない。キャラクターなどのプリントに必要だったのだろうか。

洗濯によってOPEは除去されたが、繊維製品からのPFOAは、放出が促進されたとのこと。

洗濯するほどOPEは減少し、PFASは検出量が増える傾向にあったということは、洗濯は解決策にならないということだ。

しかも、調べた製品の87.9%からPFASが検出され、OPEはほぼ全サンプルから検出された。

皮膚曝露実験では、特に汗をかくと、汗は化学吸収を著しく増加させ、PFASでは最大3252倍、OPEでは835倍に増加した。つまり汗をかくことで、PFASやOPEは皮膚から吸収される可能性が高まるということか。

撥水加工衣類はPFAS・OPE濃度が通常より約3倍高く、機能性の高い衣類ほど、どちらも多い傾向があった。

衣類を選ぶ際は、できるだけシンプルで化学処理されていない綿100%などを選ぶのがよさそうだ。