熊本市内で新たなPFAS汚染井戸が見つかる PFBSやPFBAは大丈夫?

以前からPFAS汚染が問題になっていた熊本市で、新たに17か所の井戸で国の暫定指針値を超えていたことがわかった。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20250722/5000025808.html

熊本市のように地下水を水源にしている市の地下水が汚染されてしまうと、本当に困る。

産廃処分場からのPFAS汚染だけでも問題だったのに、なんで半導体工場などまで誘致してしまうのか・・と残念に思うが、よそ者にはわからない事情があるのだろう。

熊本県は豊富な地下水のせいで、半導体工場から選ばれやすい環境にある。また公害が起きるのではないかと心配だ。

この記事にはPFOSとPFOAのことしか書かれていないが、半導体工場ではPFBSやPFBAといった半導体製造で使われるPFASが心配だ。

日本が国レベルで、PFBSやPFBAを規制する気は当面ないだろうから、せめて市あるいは県レベルで規制すべきではないか。できないことはないはず。

水はカネより大事だ。

プラスチック中毒になった生物

最近の研究で、プラスチックの味を学習する生物の話があった。

プラスチックの味を学習すると、マイクロプラスチック入りのエサの方が美味しいと感じるようになり、積極的に選ぶようになるそうだ。

香港の香港理工大学(Hong Kong Polytechnic University)で行われた研究によって、動物がマイクロプラスチック入りの餌を繰り返し食べることで、やがて汚染された餌を「おいしい」と認識し、積極的に選ぶように学習してしまう可能性が明らかになりました。(ナゾロジー2025.7.22)

元論文はこれ↓

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.estlett.5c00492

人間も既にしっかりプラスチックの味や感触を学習し、食べ物も環境もプラスチックだらけの方が落ち着くのかもしれない。

そうでなければ、ペットボトルや人工芝などこれほど売れるはずがないような気がする。

環境も心配だが、プラスチック中毒になった人類の健康への影響が気になる。

食品容器の冷却と加熱がマイクロプラスチック放出の原因に 大量の取り込みを防ぐには

食品容器から大量のマイクロプラスチックが発生し、健康に有害だとする研究報告が相次いでいる。

特に、冷凍したポリスチレン容器から発生したマイクロプラスチックの有害性が高いようだ。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39933459/

マイクロプラスチック摂取が体に悪いという証拠は既に出そろっているように見えるが、日本はまだ公式に認めていない。日本にも早く規制してほしいが、日本は政治絡みで食品用トレーでさえも規制できないと聞く。

しかし、ポリスチレン容器に関しては、規制する国が増えている。

Fobesによると、アメリカだけでも「カリフォルニア州、コロラド州、デラウェア州、メーン州、メリーランド州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、オレゴン州、ロードアイランド州、バーモント州、バージニア州、ワシントン州の12州に加え、コロンビア特別区が発泡プラスチックを削減する法律をすでに可決している。自治体レベルでも、250以上の市や郡が発泡プラスチックの使用制限を決めている」そうだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/433ab630fea814e8d65bd2bbf3e8609480485c5b

ポリスチレンやポリプロピレン、ポリエチレンなど、体内に取り込まれるマイクロプラスチックの多くは食品容器由来だと考えられる。

マイクロプラスチックの体内侵入を完全に阻止することはできないが、せめて大量に取り込む危険は避けるべきだ。

ポリ袋を使った調理法を紹介する料理番組が多いが、ポリ袋を加熱・冷凍することでポリ袋からマイクロプラスチックが放出するのでやめた方がよい。加熱・冷凍しないまでも、ポリ袋に入れて漬け物をつけたり、肉をこねたりすることも危なそうだ。マイクロプラスチックが大量放出しなくても、添加剤はおそらく溶出する。

「電子レンジ対応」ラップやプラスチック容器を、電子レンジにかけることも避けるべきだ。電子レンジ対応とは、電子レンジにかけても溶けないことを意味するだけで、マイクロプラスチックは当然大発生する。

できれば、プラ容器に入った味噌や梅干し、キムチなどを冷蔵庫で長期保存する際も、ガラス容器などに移す方が安心だ。

給湯ポットの内側がもしプラスチックならば、そのポットの使用もやめる方がよい。

<関連記事>

PFAS汚染、イタリアで三菱商事側が有罪判決

イタリア・ベネト州中部のトリッシーノ市で、地下水などをPFASで汚染したとして、日本人3人を含む計11人に対し、拘禁刑2年8カ月から17年6カ月の有罪判決が言い渡されたとのこと。日本人3人とは、三菱商事の元関連会社で取締役などを務めていた人などだ。

三菱商事や有罪判決を受けた人たちに対し、損害賠償として計6300万ユーロ(約106億円)超の請求もされている。

三菱商事側は、当時はPFASの危険性が科学的に確立されていなかったなどとして無罪を主張したというが、そんな言い訳が通るのは公害企業に甘い日本くらいだろう。

三井ケマーズや3M(スリーエム)、ダイキンのようなPFAS汚染企業が、なぜ日本では訴えられないのかわからない。

<参考>

https://news.yahoo.co.jp/articles/330158e169a41d946d2a63004d30072b157282d8

長野・上田古戦場公園も神奈川・秦野市も人工芝化の要望書。なぜ全国次々と

欧米では人工芝に一定の歯止めがかかっているが、日本は逆行している。

今、世界はプラスチック汚染や地球温暖化に対処するため、必要性の低い(しかも有害性の高い)プラスチック製品は極力減らす方向で進んでいる。

人工芝はPFASなどの危険性がある上、ヒートアイランドや熱中症の危険もある。その上、マイクロプラスチックを盛大に発生させる。

農薬やPFASも同様だが、海外が規制し始めると日本はますますゆるめて受け入れる傾向がある。人工芝もまさにその様相を呈している。国内メーカーだけでなく、欧米のメーカーも日本に営業をかけているかのようだ。

昨年、長野県上田市の古戦場公園の多目的グラウンドを人工芝にするよう地元のサッカー協会が要望を出した

https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2024112800064

その後、地元自治会も要望書を出した。家の近くをプラスチックで覆うことに賛成するとは信じられないが、マイクロプラスチックなどの影響を知らないせいだろう。

おやおやと思って見ていたところ、神奈川県内でも秦野市に要望書が出されてしまった。

https://www.townnews.co.jp/0610/2025/05/29/786793.html

こちらは野球団体関係者とのこと。「人工芝ならば少しの雨でもできる」というのが要望書提出理由だ。

雨の日に人工芝の芝片やゴムチップにまみれながら、子ども達に野球をさせるつもりのようだ。

人工芝のパイル(芝)やゴムチップにどのような化学物質が入っているか、調べてみたのだろうか。

危険を顧みない行為だ。

<関連記事>

米カリフォルニア州で「ジップロック」に対し集団訴訟

カリフォルニア州でジップロックのS.C. Johnsonが提訴された(2025.4.25)。

理由は、同社の「電子レンジ対応」や「冷凍保存可能」として販売されている袋と容器は、これらの電化製品で安全に使用できるかのような誤解を消費者に与えているというもの。

訴状によると、電子レンジや冷凍庫での使用が安全と宣伝されているジップロック製品は、加熱または冷凍時にマイクロプラスチックを放出し、宣伝されている用途に「根本的に適さない」。マイクロプラスチックの摂取は、「消化管、免疫系、生殖器系への潜在的な健康リスクをもたらす可能性がある」(USA TODAY, 2025.5.12)というものだ。

米ネブラスカ大学の研究チームが2023年、Environmental Science & Technologyに発表したこの研究↓が根拠となっているようだ。

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.est.3c01942

ポリプロピレン製の離乳食容器とポリエチレン製パウチを電子レンジに3分間(1000ワット)かけたところ、わずか1平方㎝のプラスチックから422万個のマイクロプラスチックと21億1千万個のナノプラスチック粒子の放出を確認したという研究だ。

さらに、マイクロ・ナノプラスチックをヒト胚性腎細胞にさらし(1000μg/mL濃度)、細胞毒性を評価した。その結果、細胞は48時間後に76.70%が、72時間後には77.18%が死滅した。

最近の研究でも、マイクロプラスチック摂取は健康に悪影響をおよぼす証拠となる研究が続々発表されている。そのため、訴訟に踏み切ったのだろう。

日本でもこの手の訴訟が起きれば、少しはマイクロプラスチックに関心をもつようになるだろうか。

中国で小学生1000人対象にプラスチックの影響を調査 校庭の人工芝化の危険性

昔は大事に(過保護に)育てることを、「真綿でくるむように育てる」といった。今の子どもたちは、プラスチックに包まれて育てられているようだ。

決して大事にされているわけではない。あくまでも大人の都合で、プラスチックまみれにしているだけ。

その典型が校庭の人工芝化だ。土だと服も校舎も汚れる、雨の後は使いづらい、近所から砂埃の苦情が来る、などの理由で人工芝が大人気。

それならば、天然芝にしたらよいものだが、それはそれで手間がかかって面倒だ、と嫌う。

危険を察知した保護者らが反対するケースもあるが、保護者の意見が通ることは滅多にない。

学校側(教育委員会?)は人工芝を選ぶ。

その結果、日本のプラスチック消費量は減らず、子どもたちの体の中はマイクロプラスチックだらけだろう。

当然、そのツケは子どもが払うことになる。

中国・瀋陽で子ども(6歳から9歳)1000人を対象に疫学調査が行われた。尿中にマイクロプラスチックがたくさんある子は、行動や社会性に問題を抱える傾向があるという結果だったという。

情緒や行動、多動、対人関係に問題があり、他者への思いやりや協調性などは低いという結果だ。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0147651325004336

近年の研究で、プラスチックは健康にも影響を与えることがわかっているが、性格や行動にも影響を与えるようだ。

にも関わらず、日本の小学校はなぜ校庭までプラスチックで覆おうとしているのか。理解できない。

紙製容器にもPFAS 、プラスチックコーティングとどちらがマシか

PFASが含まれている紙を調べていたら、「電子レンジ用ポップコーン袋」とあった。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06230340105

どんな袋かと調べたら、フツーの紙袋にしか見えない。他に「持ち帰り用の板紙容器」とある。これはケーキやドーナツの箱などのことだろうか?

ファストフードの包装紙は警戒していたが、ケーキなどの箱は盲点だった。

アメリカの研究では「デザートとパンの包装紙には56%、サンドイッチとバーガー類の包み紙には38%、紙箱には20%のPFASが含まれていたことが明らかになっています」とのこと。

また、紙コップはポリエチレンがラミネートされているので、PFASは使われていないという。

https://www.eurofins.co.jp/pfas分析-pfospfoapfhxs等/pfas-media/世界のpfasニュース/pfasは紙コップにも使用されている-国内外の調査結果と企業の動向/

要するに、油分や水分の多いものを紙で包む際は、プラスチックかPFASのどちらかを使わないと染み出すということか。どちらがマシだろうか?とつい考えてしまうが、やはりマイ容器を持参して買う以外は安心できないようだ。

マイクロプラスチックが子どものADHDと関連する可能性

2025年4月に発表された中国の研究によると、マイクロプラスチックは、ADHD(注意欠陥多動性障害)などの症状と関連がある可能性があるようだ。

6〜9歳の子ども1000人の尿中のマイクロプラスチックを調べた。保護者へのアンケートも行って、尿中のマイクロプラスチックと回答とを付き合わせた結果だ。

尿中マイクロプラスチックの中央値は、100mLあたり9個。尿中マイクロプラスチックの粒子数の増加は、情緒問題、行動問題、過活動、対人関係問題のスコアの上昇と正の相関が見られた。

調べた尿中のマイクロプラスチックは、ポリアミド(ナイロン)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)。

主な結果は以下の通り。

• 情緒的問題では、ポリアミド(PA)とポリプロピレン(PP)が正の関連。総マイクロプラ濃度も有意な正の関連。
• 行動問題はマイクロプラ曝露と一貫して有意に関連しており、特にPPで最も高い関連が見られた。
• 過活動はすべてのマイクロプラの種類と正の関連があり、総マイクロプラ濃度の影響が顕著。
• 対人関係問題は、すべてのMP種類と有意に関連しており、総マイクロプラの関連が最も強かった。
• 向社会的行動は保護的関連を示し、尿中マイクロプラの増加は向社会的行動の低下と関連。

これまでナイロンは丈夫で長持ち、化学物質の問題もあまりないプラスチックだと思っていたが、そうでもないようだ。

それにしても、なぜポリエチレンを調べなかったのだろうか。尿には多くのポリエチレンのマイクロプラスチックが含まれているはずなのに。

<出典>

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0147651325004336

焦げ付き防止フライパンはやっぱり危険

2022年のコンシューマーレポートによると、「PFOAフリー」「毒性なし」と書かれたPTFEコーティング(フッ素樹脂加工)のフライパンからPFOAを含む多くのPFASが検出されている。

https://www.consumerreports.org/toxic-chemicals-substances/you-cant-always-trust-claims-on-non-toxic-cookware-a4849321487/

コンシューマーレポートが調べたフライパンは次の三種類。

Our Place Always Pan(セラミックコーティング)
Red Copper Pan(セラミックコーティング)
Swiss Diamond Pan(PTFEコーティング)

セラミックコーティングの2製品からはPFASは検出されなかったが、PTFEコーティングのフライパンからはPFOAを含む16種類のPFASが検出されたという。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/24/021600096/?P=2

しかも、結構な濃度だ。PFOAを含まない製品でさえ、製造方法により化合物が含まれている可能性があるとのこと。

PFASを摂取したくなければ、鉄やセラミックコーティングのフライパンが推奨されている。

仮にPFOAを含まずPTFEだけだったとしても、PTFEは内臓や尿から検出されているので、「分子量が大きいから体内に吸収されない」というのは間違いだ。尿から検出されるということは、血流に乗って全身を回ってから腎臓までたどり着いたということだ。

しかも、フライパンに使われているかどうかは知らないが最近は低分子量のPTFEというものもある。

https://www.mc-fluoro.co.jp/fluoropolymer/ptfe/

高分子であろうと低分子であろうと、体に入ったらどういう動きをするかわからない。PTFEもPFASの一種なのだから、やはり安心できない。使わないに越したことはない。