また新たな認定制度?エコマークはなぜ普及しないのか

日経新聞(2021.3.9)によると、また新たな認定制度ができるらしい。

プラスチック使用量が少ない製品やリサイクルしやすい設計の製品などが対象とのこと。また新たな偽装エコ商品が生まれそうで心配だ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGG08AR50Y1A300C2000000/

国が新たに環境に配慮した商品設計の指針を作り、プラスチック使用量が少ない製品やリサイクルしやすい設計の製品などを認定する。認定した商品にロゴマークを付けて消費者が選びやすくする。(日経新聞2021.3.9)

なぜ、今ある認証制度を更新し、より使いやすいもの、もっとよいものに変えていかないのだろうか。これではマークの乱立で、ますますわけがわからなくなる。

最近エコマーク付き商品を見かけなくなった。

ドイツでは、小学生の親はブルーエンジェル付きの商品を選ぶと聞く。ブルーエンジェルは世界初のドイツの環境ラベルだ。エコマークとブルーエンジェルは相互認証協定も締結している。

ドイツの官公庁はもちろん、地方自治体もブルーエンジェル付きの商品を購入するが、一般消費者にもブルーエンジェルは浸透しているらしい。

日本の官公庁はグリーン購入法に適合している製品を購入するが、「努力義務」の地方自治体は必ずしもグリーン購入法に適合する商品を選んでいるわけではない。地方自治体でさえそうなのだから、一般消費者がグリーン購入法適合品やエコマーク付き商品を選ぶはずもない。

日本の小学生の親で、ベルマークを気にする人はまだたまに見かけるが、エコマークを気にしている人は見たことがない。

そもそもグリーン購入適合品とエコマークの区別もよくわからない。ほとんどが一致しているというが、一致していないものもある。さらにグリーン購入ネットワークの位置づけもよくわからない。

グリーン購入法が制定された際、なぜエコマークとグリーン購入を統一しなかったのだろうか。統一していれば、どちらももっと普及したはずで、さらに今また新たな認定制度を作ったとしても、普及するとは思えない。

次々と新しいマークやラベルを作られても、消費者は混乱するばかりだ。早急に統一し、幅広い製品を対象に、考えられるすべての基準を満たすものにだけエコマーク(あるいは統一された新たな環境ラベル)をつけてほしい。

NHK、メラミン樹脂製スポンジを推奨?

先日(3月24日)テレビをつけたら、NHKアサイチでメラミンスポンジを使ったお掃除術の話をやっていた。
延々とやっていたところ、視聴者からマイクロプラスチックについての指摘がいった。
すると、京大の田中先生のフリップ(ウレタンスポンジやメラミンスポンジはマイクロプラスチックになるという)が出た。
フリップまで用意してあるなら、なぜメラミンスポンジの宣伝するのか、と思っていたら、そのあと友の会の井田さんがでて、ヘチマや絹製たわしの紹介をした。環境にいいからと。
はじめのメラミンスポンジを使ったお掃除術は一体何だったのだろうか?と疑問だ。
茶渋も落ちるだの、暖かい湯につけたメラミンスポンジはこびりついた油汚れも落ちるだの、とあれだけ紹介しておきながら・・。掃除の達人としてそういう技を紹介した人も気の毒だ。

メラミン樹脂製スポンジは、マイクロプラスチックの発生源になることは既に多くの人が知っている。こすった際に出るクズはマイクロプラスチックで、下水に流れ込む。下水処理施設でマイクロプラスチックを100%除去することは不可能だから、一部はきれいにされた排水と一緒に川へ放流される。

そのクズを魚介類が食べれば、私たちの食卓に戻ってくる可能性もある。
しかし、あれを見た人たちの多くは、やはり「そんなに汚れがよく落ちるならばメラミンスポンジを使おう」と思ったかもしれない。


よくわからない番組構成だった。

ワシントン州も発砲スチロール禁止か

ワシントン州もニューヨーク市のように発砲スチロール製の食品容器やピーナッツ型の緩衝材を禁止するようだ。

ワシントン州上院が3月2日、飲料容器やごみ袋の原料の再生資源含有量を義務づける法案を承認した。そのなかに、2023年6月以降、発砲スチロール製の食品容器やピーナッツ型緩衝材の禁止も盛り込まれているとのこと。

ストローやカップのフタは、客からのリクエストがあったときのみ提供する。

2023年までに、製品の重量の少なくとも15%をリサイクルし、2026年までに25%、2031年までに50%と、段階的にリサイクル率を増やすとのこと。

また、プラスチック製ごみ袋の再生資源含有率は、2023年に10%、2025年に15%、2027年以降に20%から。

法案はこの後、下院での検討に移る。

このようなプラスチックや発砲スチロールを規制する法律は、プラスチックによる水質汚染などを気にするワシントン州の住民に評判がよいそうだ。

アンケートによると、回答者の76%以上が、プラスチック汚染を減らすため規制を強化することに賛成しているという。

テイクアウト用の発砲スチロール製容器については、回答者の57%が禁止を支持し、反対者はわずか26%だ。

日本も早く発砲スチロール製食品容器を禁止してほしい。仮に発砲スチロールの散乱がなかったとしても(現実にはかなり落ちている)、発砲スチロール容器に入った食品はどうも不安で仕方がない。

<出所>

https://www.wastetodaymagazine.com/article/washington-senate-recycled-content-plastics-bill-polystyrene/

ダスグプタレビューとヨドバシカメラのレジ袋

ダスグプタレビューがイギリスで好評のようだ。

環境経済学者のパーサ・ダスグプタが英国政府の依頼でまとめたレポートで「生物多様性の経済学(生態系の経済学)」というタイトル。英国政府の財務省が発行元だ。

「推定によると、1992年から2014年の間に、一人当たりの生産資本は2倍になり、一人当たりの人的資本は世界全体で約13%増加した。しかし、一人当たりの自然資本のストックは40%近く減少」

「1992年から2014年の間に自然資本のストックが4割近くも減少」

などの言葉が並ぶ。

昨日、ヨドバシカメラへ行ったところ、「石灰石を使った環境にやさしいレジ袋を使っているから無料で配布している」という店内放送が流れていた。

石灰石のような自然資本(山)を削らなければ採れない資源を使って作ったものを垂れ流す(無料配布し続ける)ことの何がエコか、と困惑したら、買う気がすっかり失せてしまった。

レビューによると、人類がここ数十年で非常に繁栄したのは、自然に壊滅的な犠牲を払わせたことを示しているとのこと。

石灰石のように山を削って得られる資源で、何十年も使い続けるセメントを作るならばともかく、レジ袋のような使い捨ての消耗品を作るのは、あまりにももったいない。

しかもこのレジ袋、石灰石とプラスチックを混ぜ合わせて作られているから、もし環境中に出れば、プラスチック部分はすぐにマイクロプラスチックになるだろう。

ジョンソン英首相はこのレビューを歓迎しているそうだが、日本も早急にこのような勘違いをする店がなくなるように手を打つべきだ。

ダスグプタレビュー↓

https://www.gov.uk/government/publications/final-report-the-economics-of-biodiversity-the-dasgupta-review