4月10日のNHK・クローズアップ現代でPFASを特集した。
見てなかったので、見逃し配信で見たところ、よくまとまっていてなかなか良かった。
NHKでもPFASを報道するようになったのだなぁと隔世の感がある。責任企業の1つであるダイキンの名前も出していた。もう多くの人が知っていることだから、今さら隠しても仕方ないという判断だったと推測する。
最近は東京新聞などもPFAS汚染問題を頑張って追いかけているが、これまでPFASをまともに扱っていたのはTansaと週刊金曜日くらいたったという声がある。確かに、Tansaの「公害PFOA」はどれもとてもよい記事で、参考になる。
https://tansajp.org/investigativejournal_category/pfoa/
NHKのクロ現では、「関連性を示す十分なエビデンスがある」疾病について言及していたのはとても良かった。「限定的または示唆的なエビデンスがある」方については言及がなかったような気がするが、NHK「PFAS基本を解説(4.10)」には記載されている↓
—–(転載)—–
「関連性を示す十分なエビデンスがある」としたのは
▼動脈硬化などの原因となる脂質異常症
▼腎臓がん
▼抗体反応の低下(ワクチン接種による抗体ができにくい)
▼乳児・胎児 の成長・発達への影響
です。
「限定的または示唆的なエビデンスがある」としたのが
▼乳がん
▼肝機能障害
▼妊娠高血圧症
▼精巣がん
▼甲状腺疾患または機能障害
▼潰瘍性大腸炎
です。
血液中のPFASの濃度と健康リスクとの関連についてもまとめています。
1ミリリットルあたり20ナノグラムを超える状態が続くと健康へのリスクが高く、2ナノグラム未満だとリスクは低いとしています。(PFOSとPFOAを含む7種類のPFASの合計)
また、子どもや妊婦はその間の値であっても健康影響の可能性があるとしています。
——(転載はここまで)——
ただし、この記事の最後のコメントは残念だった。
「たとえばPFASにはプラスチックのような『フッ素樹脂』も含まれていますが、PFOSやPFOAとは異なり水溶性ではないため、体には取り込まれないと考えられています。フッ素樹脂はリチウムイオン電池や燃料電池、通信用の光ファイバーなどにも使われていて、カーボンニュートラルや高度情報通信社会に不可欠な用途も多数あります。すべてを規制するのではなく、有害性があるものに限定した慎重な規制が求められます」とのこと。
プラスチックのようなフッ素樹脂とは、フライパンなどのコーティングに使われているものだろう。危険なPFOAが使えなくなった今は、PTFEなどのPFASが使われている。これについては、コーティングにキズが着いただけでも大量のPFASが流れだし、体内に入る可能性が既に論文で指摘されている。
https://gigazine.net/news/20221224-teflon-pan-plastic-particles/
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S004896972205392X?via%3Dihub
体内に入ったPFASは、空気動力学径で4マイクロメートル以下であれば、肺胞までたどり着くことが既に判明している。
人間の肺や胎盤、血液、母乳などからマイクロプラスチックが検出されているのだから、マイクロプラスチックとなったフッ素樹脂が体に入った後は、内臓などに居残り溜まり続けるだろうことは想像に難くない。
また、最近のカナダの研究で、食品容器に使われたPFASが常温でも揮発することが明らかになった。まずは、必要不可欠でないところや食品に触れるところ、揮発しやすいところからPFASフリーを進め、数年以内にはすべてのPFASを禁止してほしい。