米EPA、PFAS規制案を一部見直し。4物質の基準を撤廃か

米国環境保護庁(EPA)は今月、飲料水に含まれる有機フッ素化合物(PFAS)に関する最終規制について見直しを発表した(JETRO, 2026.5.29)。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/05/59713a1bad01c396.html

PFOAとPFOSに対しては、最大許容濃度をそれぞれ4ng/L(4ppt)とする基準値自体は維持するが、順守義務の開始時期を当初の2029年から2031年まで2年間延期するそうだ。

また、他の4物質(PFHxS、PFNA、HFPO-DA、およびこれら3つのPFASとPFBSのハザードインデックス混合物)については基準を撤廃するとのこと。

PFHxSやPFNAなどはストックホルム条約で規制が決まっている種類のPFASだ。基準を撤廃してどうするつもりだろう?

アメリカはストックホルム条約に批准してはいないが、こんなものを野放図にばら撒かれてはかなわない。

豪政府、PFAS汚染で3M社に2300億円請求

オーストラリア政府はPFASを含む泡消火剤による環境汚染を巡り、スリーエム(3M)を相手取り、20億豪ドル(約2300億円)以上の損害賠償を求める訴訟を豪連邦裁判所に提起したそうだ。

3M社は環境への影響を把握していたにもかかわらず、虚偽の説明をしたとしている。

オーストラリア政府が起こした民事訴訟としては過去最大規模の金額とのこと。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2026052800786&g=int

日本政府は、3Mやダイキン、三井・ケマーズなどを提訴しないのだろうか?

少なくも相模原市は、3Mに原状回復を求めるべきだ。

現在、市ではなく、市民が現状回復を求めオンライン署名をおこなっている。相模原市内の3M社敷地内において、泡消火剤の性能試験を繰り返し行ったため、土壌が汚染され、そのため地下水が汚染されてしまったためだ。

スリーエムジャパン社長宛の署名「3Mに相模原事業所PFAS汚染の原位置土壌浄化を求める」↓

https://c.org/zFgxSGvknk

また、市民団体による紙ベースの署名活動も行われている。

研究:衣類に使われているPFASや難燃剤は、皮膚から取り込まれる

最近読んだニュースに、「英国バーミンガム大学が人間皮膚モデルを使用した研究によると、マイクロプラスチックの中の化学物質の約8%は汗に濡れた皮膚を通じて体内に吸収されることができる」と書かれていた。

https://www.mk.co.kr/jp/world/12050225

元になった論文を探したところ、2024年に発表されたこの研究のようだ。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0160412024002216?via%3Dihub

汗をかくとポリエチレンやポリプロピレンのマイクロプラスチックから溶け出した難燃剤が、皮膚を通して体内に吸収されるとのこと。約8%というのは最大値だ。

しかし、この論文でわかるのはポリエチレンやポリプロピレンからの化学物質溶出であり、ポリエステルやナイロンなどの繊維製品からではない。だが、ポリプロピレンはマスクやオムツ、スポーツウェアなどにはよく使われている。

さらに探すと、こういう論文も見つかった。中国・南海大学の論文だ。

https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2025.180426

PFASやOPE(有機リンエステル)が、子ども用や家庭用の繊維製品に広く使われていて、一部の子ども用衣類はPFOSがEUの基準値(1 μg/m2)を超えていたそうだ。

OPEは難燃剤や可塑剤として使われる環境ホルモン(内分泌かく乱)作用が指摘されている化学物質だ。カーテンなどには難燃剤として使用されていたとしても、なぜ子ども用衣類に含まれていたかはこの論文を読んでもわからない。キャラクターなどのプリントに必要だったのだろうか。

洗濯によってOPEは除去されたが、繊維製品からのPFOAは、放出が促進されたとのこと。

洗濯するほどOPEは減少し、PFASは検出量が増える傾向にあったということは、洗濯は解決策にならないということだ。

しかも、調べた製品の87.9%からPFASが検出され、OPEはほぼ全サンプルから検出された。

皮膚曝露実験では、特に汗をかくと、汗は化学吸収を著しく増加させ、PFASでは最大3252倍、OPEでは835倍に増加した。つまり汗をかくことで、PFASやOPEは皮膚から吸収される可能性が高まるということか。

撥水加工衣類はPFAS・OPE濃度が通常より約3倍高く、機能性の高い衣類ほど、どちらも多い傾向があった。

衣類を選ぶ際は、できるだけシンプルで化学処理されていない綿100%などを選ぶのがよさそうだ。

韓国のPFAS汚染の講演会、3/25に開催

子どもケミネットとダイオキシン環境ホルモン対策国民会議の共催で、韓国のPFAS汚染の講演会が開催されるそうです。

以下に案内を転載します。

【開催概要】 
講演タイトル:「韓国のPFAS汚染 消防士の血中濃度検査結果と市民運動の対応」
講師:韓国労働環境健康研究所所長 ウォン・キム博士(Dr. Won Kim)

日時:2026年3月25日(水)午前10:00~正午(日本時間)
開催方法:オンライン
参加費:無料
逐次通訳付き

お申込方法: 
以下のURLよりご登録下さい。
https://x.gd/OpBi7

内容(チラシを転載)

PFAS汚染に関する国際セミナー2025年度の3回目は、韓国のPFAS汚染の状況とその取
り組みについてです。
講師は、韓国の労働環境健康研究所(韓国で唯一の民間の労働安全衛生分野の研究
所)・所長のウォン・キム博士です。韓国政府のバイオモニタリングの結果、韓国人がプラス
チックに使用されるPFASを含む多種類の内分泌かく乱物質(環境ホルモン)に汚染され、そ
の濃度は他国に比べて高い」ことが明らかになり、汚染による健康障害が懸念されていま
す。
キム博士は「プラスチックは地球を汚染し、プラスチック中の有害物質は環境と人類の健
康を脅かす」として、私たちもその影響から抜け出すことができないと指摘しています。キム
博士の研究所では、韓国政府からの依頼で、消防士の血中のPFAS濃度を測定し、勤務年
数と血中濃度の推移について調査しています。今回その調査の内容と、韓国のPFAS汚染
やPFASに対する市民運動について、報告してもらいます。
どうぞご参加ください。

米研究:PFAS地下水汚染地域の乳児死亡率は、非汚染地域の3倍 規制強化する方が社会的費用は安い

米アリゾナ大学などの研究チームは、PFASで水源などが汚染された米東部ニューハンプシャー州の地域の汚染地域では、生後1年以内に死亡する乳児の割合が汚染地域上流に住む人の約3倍だったと発表した。

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1732522

早産や低体重児も多かったそうだ。

2010年から2019年に、同州で生まれた約 11,000 人の出生記録をもとに調べたという。

その結果、下流域の水(勾配下の井戸水)を飲んだ母親から生まれた乳児では、生後1年以内の死亡率が約 3 倍(具体的に 191% 増) という大幅な上昇。さらに、早産の確率が 20%、低出生体重の確率も43%増加した。また、極端な低体重・極端な早産の割合も高かったそうだ(出典:英ガーディアン)。

英ガーディアン↓

https://www.theguardian.com/us-news/2025/dec/08/drinking-water-pfas-infant-mortality-study?utm_source=chatgpt.com

また、この研究は、汚染された水を飲むことによる社会的費用と前払いの清掃費用を比較検討し、PFASの水質汚染に対処する方がはるかに安価であることも示した。

元の論文はこれ↓

https://www.pnas.org/doi/abs/10.1073/pnas.2509801122?download=true

日本の汚染地域で、誰か調査をしているだろうか?

それとも日本は調査もせずに、欧米よりも何十倍も高い基準値を決め、「安全だ」と言い続けながら、海外の半導体工場を誘致し続けるのだろうか。

この研究は、今すぐにPFAS汚染を取り除き、規制を強化する方が、この先払うことになる社会的費用(健康被害による医療費や生涯所得減少などの費用)よりも安くつくことを示した貴重な研究だ。

日本政府にもこの研究を読み解いてほしい。

仏、2026年からPFASを含む化粧品などを禁止 EU、泡消火剤のPFAS使用を制限

フランスでは2026年1月1日から、有機フッ素化合物(PFAS)を含む化粧品や衣類などの製造、輸出入、市場投入を禁止する。2月28日に公布された「PFASに関するリスクから国民を保護することを目的とする法律」によるものだ。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/03/3a703ccc382b5d4f.html

日本にもこの法律がほしいが、日本に住んでいる限り、自衛するしか身を守る術はない。

一方、EUでは10月3日、泡消火剤へのPFAS使用を制限することを決めた。今月末までに発効する。

https://www.reuters.com/sustainability/boards-policy-regulation/eu-restricts-use-forever-chemicals-firefighting-foams-2025-10-03/

2030年からは使用も制限される。しかし、すべてのPFASではないようだが、PFHxAとその関連物質は禁止されるようだ。

脱プラを進めるべき時代に、プラ製「芝生広場」が人気?日本人の肺からマイクロプラ

一体何を考えているのだろう?

先般のプラスチックの国際条約会議(INC-5.2)は、結論が出ないまま流会になり、直後は残念そうな論調のニュースが多かった。にも関わらず、各地の人工芝「芝生広場」を礼賛するニュースがちまたに溢れているのは、人工芝がプラスチックだと知らない人が多いせいだろうか?

東京都の都民広場の人工芝は多少批判があったようだが、他の地域ではあまり批判を聞かない。すんなり採用され、好意的な論調のニュースが流れている。

例えば、横浜の広場↓

https://topics.smt.docomo.ne.jp/amp/article/www_watch/trend/www_watch-2052466

環境配慮型人工芝を採用したというから、調べてみた。しかし、どこに「環境配慮」がなされたのか、さっぱりわからなかった。メーカーは「エシカル」と宣伝しているようだ。

また、長野県松本市でも花時計広場に人工芝を採用したそう↓

https://news.yahoo.co.jp/articles/c96c52df9c6cd4f3ae9aa464a396f40a057d90d7

市民や観光客の憩いの場になっているとのことだが、本当だろうか。

栃木県那須塩原駅前も人工芝を設置する↓

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/shimotsuke/region/shimotsuke-20251004171431

私ならば、マイクロプラスチックが飛び交っていそうな人工芝広場には、極力近づきたくない。吸い込んでしまいそうだから。

設置者は「観光客のため」「住民の憩いの空間」などとのんきに構えているが、事態は既に緊迫している。

各国の大気中のマイクロプラスチックは、憂慮すべきレベルにまで達したそうだ。

https://www.businesswire.com/news/home/20250929293829/ja

これまで各国の人々の脳や内臓からマイクロプラスチックが見つかっていたが、ついに日本人の肺からも、マイクロプラスチックが見つかった。しかも、調べた人全員から。

肺の病気を診断するために生理食塩水を気管支から注入して回収したそうだ。14人でおこなったところ、すべての人からマイクロプラスチックが見つかったという。

長崎大学病院の医師によると、粒子濃度が高いほど血液中の炎症反応が強くなるそうだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/cf52047f20bb9c759a2413d1174b466a895429b5?page=1

世界中でプラスチックが問題になっている時代に、特に必要性が高いとも思えない「広場」をわざわざ人工芝にする理由がわからない。

人工芝は、マイクロプラスチックやPFAS、それ以外の多くの化学物質の温床だ。

神戸市西区の簡易水道から基準超えPFAS 小学校の水道も

神戸市西区の簡易水道から基準超えのPFASが見つかった。国の暫定目標値(1リットルあたり50ナノグラム)の約1・4倍にあたる69ナノグラムとのこと。

そのため、「市の教育委員会は、8月下旬から給水エリアにある小学校の給食室や手洗い場などに浄水器を取付けるなどして濃度を低くし、現在この小学校ではPFASの数値が、基準値以下になっている」そうだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/d6b947ac3dba2a80b00b193266406e8deccf1530

市は、小学校の水道だけでも市の水道に変更することを検討しているそうだが、速やかに簡易水道を停止し、地域全体で市の水道に切り替えるべきではないか。おそらく、そうできない理由が何かあるのだろうが、万難を排して早急に切り替えを進めるべきだ。

簡易水道地域の住民は、今のところ浄水器を付けるしか手はないかもしれない。しかし、浄水器は高く付く割に効果は限定的だ。この濃度では年1回のフィルター交換では、安心できない人も多いだろう。

地域住民の血液検査と健康調査を早急に実施し、原因究明にも取り組むべきだ。浄水器で基準値内におさまったからといっても全く安心できない。日本の基準値は欧米に比べ、非常識なほど低い。

ダイキン相手にPFASで公害調停を申請 申請人は数百人規模の住民か

ついに地域住民がダイキンに対し、健康調査や汚染対策などを求め、公害調停を申請する方針を固めたそうだ。申請人は数百人規模の見通し。

調停では「(1)PFAS汚染などに関する調査資料開示(2)住民の健康調査(3)工場周辺の土壌・地下水と地盤沈下に関する環境調査―などを求める。さらに、住民との連絡協議会を設置し汚染対策と補償を要望する方針」とのこと

https://news.yahoo.co.jp/articles/3aaefb799de8709ffbcefb45af631487f341fdfe

公害調停は当事者同士の間に調停委員会が入り合意を目指すが、合意に達しないときは、訴訟になるケースも多い。

よほどダイキンが歩み寄らない限りは、訴訟に発展するのではないかと思うが、企業城下町の摂津市では被害を訴えられない住民も多そうだ。

環境省、吉備中央町でPFAS低減実証事業 鴻池組が掘削作業を開始

環境省が今月19日から岡山県吉備中央町でPFASに特化した実証事業を開始した。

同省は吉備中央町を含めてPFASが検出された国内3カ所を対象に濃度を低減させる技術を公募。2025年7月、応募のあった74件のうち9件の技術を持つ業者を選んだそうだ。

「この場所で採取した土壌は、選んだ他の業者にも渡し、水で洗浄したり薬品で固めて閉じ込めるなどそれぞれの手法で濃度を低減できるか検証する」とのこと。

https://www.fnn.jp/articles/-/934237

また、「850度以上の高温でPFASを熱分解したり、土を粒子の大きさごとに分けて洗浄したりするほか、土を固めることでPFASを封じ込める方法が試される」そうだ。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/okayama/20250919/4020024597.html