電池の捨て場所がない!不十分な拡大生産者責任

電池を使い捨てするのはもったいない、と充電式小型電池(ニッケル水素電池)を使用していた。

まだ出始めの頃に買ったものがもうほとんど役立たなくなったので、処分しようと処分先を探した。大手電気屋などの回収店は、近隣には見当たらない。仕方なく、相模原市が回収を始めたところへ持って行こうとしたところ、電気屋よりももっと遠方にしかなかった。

なぜ電池1つ捨てるのに、バスや電車を乗り継がなければならないのか??

すべての販売店に回収義務がないのはおかしい。また、通販で販売していたものは、着払いでリサイクル先に送り返せるようにすべきではないか。

リチウムイオン電池によるごみ収集車や清掃施設、リサイクル施設の火災が増えている。

リチウムイオン電池の回収場所もニッケル水素電池と同様、極端に少ないから、わかっていてもごみと混ぜて捨ててしまう人が多いのだろう。

日本の拡大生産者責任は一体なぜこんなに不十分なのか、とつくづく思う。

こんなものにもPFAS?! ハサミも粘着テープも焼き網も

あるPFASの資料に、PFAS使用例として「セロファンテープ」とあった。

まさか!と思い調べたところ、セロハンテープにPFASが使われているかはわからなかったが、その過程でフッ素加工された粘着テープとハサミを見つけた。

粘着テープは我が家にもあるタイプのもので、「フッ素樹脂粘着テープ」として各種売れられている。「フッ素樹脂フィルムを基材とし、滑り性や絶縁性など、フッ素樹脂の特性に加え、柔軟性や表面平滑性に優れたテープです」とのこと。

フライパンのフッ素樹脂加工と同様、TEFEを使っているそうだ。

また、「フッ素ハサミ」や「フッ素コートハサミ」などと書かれたものも多数売られていた。「テープやのりでベタつきにくく、汚れやサビにも強い」と書かれている。確かに、我が家で使っているハサミもこのタイプだ。

フライパンのように食品と触れるわけではないけれど、こんなによく使う日用品にまでPFASが使われていたとは・・・と驚いていたら、2日に1度は使用しているグリルの焼き網もフッ素樹脂加工されていた。

TEFEならば分子量が大きいから体に入っても吸収されることはなく体外に排出される、とは言われているが、少なくとも焼き網のように高温で食品と接触するものには使ってほしくない。

フライパンや炊飯器、ホットプレート、ポット、化粧品、衣類、人工芝などは気をつけていたが、もはや個人では防ぎきれないほど、市販品はPFASまみれだ。

日本もEUやアメリカのように、PFASに対する厳しい規制を早急に検討してほしい。

ピーファスって何?今さら聞けないPFASの基礎 Q&A

「ダイオキシン問題を超えた」と思うほど、私の周りはPFASで盛り上がっている。それもそのはず、相模原市には2カ所以上の汚染源がある、とPFAS研究の第一人者である京都大学の原田浩二先生から指摘されている。

しかし、「それ何?」という人もまだまだ多い。この聞き慣れない化学物質名の氾濫に戸惑い、腹立たしく(胡散臭く?)思っている人もいるようだ。メディアの報道でも、時々エッ?と思うようなことが書かれている。

そこで、PFASについて少し簡単に解説したい。

Q1.PFAS(ピーファス)って?

⇒国際的に定まった定義はまだありません。環境省は『有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物を総称して「PFAS」と呼ぶ』といっています。難しい定義はともかくとして、簡単にいえば、炭素とフッ素が結合した有機化合物です。有名どころはPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)。PFOSもPFOAもPFASの一種です。

Q2.4700種とか1万種以上とかいろいろ違う数字が飛び交っていますが、どっちが本当?

⇒経済協力開発機構(OECD)の報告(2018 年)で約4700物質のPFASが特定されました。しかし、その後PFASの定義が変わったこともあり、今では日本の環境省も「1万種以上」といっています。

Q3.泡消火剤に入っていると聞きますが、家庭用の消化器にもPFASが入っているの?

⇒いいえ、家庭用の消化器にPFASは入っていません。

Q4.PFASはどういう害があるの?

⇒発がん性や環境ホルモン作用などが指摘されています。アメリカの科学者委員会は、PFOA曝露と高コレステロール値や腎臓がん、甲状腺疾患、海洋性大腸炎、妊娠高血圧症とは「関連性が高い」と結論付けています。デュポンでPFAS製造に関わっていた妊婦7人のうち、2人の赤ちゃんの目が生まれた時から明らかな異常がみられました。詳しくは『毒の水』(ロバート・ビロッド著, 花伝社, 2023年)をお読みください。

また、北海道のコホートに2002~2005 年に参加した母子 428 組を対象とした調査では、母体血清 PFOS 濃度と子どもの出生時体重に負の関連が認められたそうです。また、PFOSは早産のリスクとも関連が認められています。

スウェーデンや中国の調査でも、母体の血清中のPFOSとPFOA濃度は、赤ちゃんの低出生体重と関連が認められています。(食品安全委員会のパブコメ資料よりhttps://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc1_pfas_pfas_060207.data/pc1_pfas_pfas_060207.pdf)

Q5.なぜ「永遠の化学物質」と呼ばれているの?

⇒炭素とフッ素の結合が強く、自然環境下でなかなか分解しないためです。経済産業省の化学物質審議会に提出された資料では「自然環境条件下の水生環境内では、PFOAは92年以上(最もありえるのは235年)の半減期を持ち、直接的な光分解はみられない」と書かれています。また、「大気中の寿命は、短鎖ペルフルオロ酸のヒドロキシル反応による分解から、その分解半減期は約130日と推定されている」と書かれています。分解しにくく、高い蓄積性があります。

Q6.PFOSとPFOAはどう違うの?

⇒PFOSは撥水・撥油剤の原料や泡消火剤などによく使われています。汚染源が米軍基地や飛行場の場合、地下水はPFOS濃度が高いです。一方、PFOAはダイキンによると、界面活性剤としてフッ素樹脂製造時の助剤等に利用されていたそうです。また、PFOAを使用した化学製品は「撥水・撥油剤、防汚剤等、私たちの身近な製品(繊維、電子基板、自動車、食品包装紙、石材、フローリング、皮革、防護服等)に使われていました」とのこと。そのため、ダイキンやデュポン、3M(スリーエム)などのメーカーが汚染源の場合は、周辺の地下水はPFOA濃度が高いです。

⇒PFOSは2009年、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs条約)の「廃絶」等の対象に指定され、2010年には日本でも「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法)により、原則として製造・輸入が禁止されました。

PFOAは、2019年にPOPs条約の「廃絶」等の対象になり、2021年10月には化審法で製造・輸入が禁止されました。

⇒PFOSもPFOAも禁止されたとはいえ、いまだに高い濃度で検出されています。米軍横田基地では、代替品として導入した泡消火剤にもPFOSやPFASが使われていました。それぞれ1リットル当たり最大80万ナノグラム含まれていると米軍の製品説明書に書かれていたそうです(東京新聞2023.11.14)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/289798

Q7.他にどんなPFASがあるの?

⇒PFHxS(ピーエフヘクスエス)がPFOSやPFOAの代替品として使われましたが、PFHxSも2022年にPOPs条約会議で規制され、化審法でも2024年2月から原則製造禁止です。輸入禁止は同年6月の予定です。

また、フライパンのフッ素樹脂加工はPFTEが使われています。PTFEは分子量が大きいため、胃などの消化管を通り抜けることが難しく、体内に吸収されにくいそうです(PFOAは約400であるのに対し、PTFEは1万以上)。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/263505

しかし、体内に吸収されにくいとはいえ、フッ素樹脂加工のフライパンから放出されるマイクロプラスチック量は膨大なので、使わないに越したことはありません。

Q8.PFASの指針値は?

⇒河川・地下水等の水環境で PFOS、PFOAの暫定目標値は50 ng/L(1リットルあたり50ナノグラム)です。この他のPFASにはまだ指針値がありません。

Q9.汚染源から遠く離れて暮らしている人や、水道水が汚染されていない地域の人の血中からもPFASが検出されています。なぜ?

⇒食物からの汚染が多いと思われます。特に魚介類が多いといわれていますが、そうだとしても魚介類は体にいいので、食べた方がよいと原田先生もおっしゃっています。また、PFASは多くの製品にも含まれているので、口に入ったり吸い込んだり皮膚から吸収されたりします。

Q10. どんな製品にPFASが使われていますか?

⇒身近のものとしては、防水スプレー(スコッチガードなど)、汚れ防止機能や防水機能付きの繊維製品(制服、ソファー、アウトドア用品、飛行機の座席など)、調理器具(フッ素樹脂加工のフライパンなど)、包装材(ハンバーガーやフライドポテトの包装紙など)、化粧品(日焼け止めやファンデーション、アイメイク関連など)、その他さまざまなものにPFASは使われています。アメリカではコンタクトレンズや人工芝、サッカーボールなどのプラスチック製品からもPFASが検出されています。

とりあえず、10項目挙げました。今後も加筆予定です。

<主な参考>

環境省「PFOS、PFOA に関するQ&A集」(2023年7月時点)

原田浩二・藤井由季子「PFAS汚染とバイオモニタリング、 そこから見る健康リスクについて」『生活と環境』(2023.7)

プラスチック汚染企業トップはコカ・コーラ、56社で過半を占める:サイエンス

日本を含む世界84ヶ国に落ちていたごみのブランドを調べたところ、コカ・コーラなど56社のごみが50%以上を占めていたことが、米科学誌「サイエンス」に掲載された。

調査期間は5年間で、2018年から2022年にかけ行われた。10万人以上のボランティアが調査に参加し、ごみのブランド名を調べた。

その結果、トップはコカ・コーラのごみで全体の11%を占め、続いてペプシコが5%、ネスレとダノンがそれぞれ3%、米たばこ大手アルトリア・グループの2%。これだけで24%を占めている。

企業のプラスチック年間生産量とプラスチック汚染の間には、明確で強力な関係があり、食品・飲料会社が不釣り合いに大規模な汚染者となっているとのこと。

「最大の汚染者による寿命の短い使い捨てされるプラスチック製品を段階的に廃止すれば、世界のプラスチック汚染は大幅に削減される」ことが判明した。

<出典>

https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adj8275

米カリフォルニア州のPFAS規制動向 一部警告表示義務も

アメリカでは各州ごとにPFAS規制が進められている。カリフォルニア州の動向をまとめてみた。

まず、カリフォルニア州では2022年までに「連邦に必要とされない用途のための消防フォームを含むPFASの使用を禁止」した。泡消火剤のことか。(AB1044)

2023年以降、PFASを含んだ食品包装は配布も販売も禁止された。意図的に添加された場合だけでなく、総有機フッ素量が100ppm以上の製品またはコンポーネントも含まれる。これは主に、ハンバーガーやポテトなどの包装紙を念頭においたもののようだが、テイクアウト用食器やスプーン、フォークなども含まれる。(AB1200)

●2023年7月までに乳幼児および12歳未満の子供が使用するために設計された特定の製品でPFASを禁止。(AB652)

●2024年1月1日以降、調理器具メーカーは、化学物質の存在を製品ラベルに記載しなければならない。調理器具の面積が少なくとも2平方インチのラベルが適合せず、外装容器やタグなどの添付がない場合、ラベル要件は免除される。(これもAB1200関連か?)

●2025年1月以降、衣類や家庭用織物のPFASを禁止。アクセサリーやバッグ、家具、寝具、カーテン、シャワーカーテンなども含む。(車両部品や工業用ろ過材、軍服などは除く。カーペットやラグも除くが、カーペットやラグには既にSafer Consumer Products Programで同じような規制がかかっているそう)。(AB1817)

●2025年1月以降、化粧品全般へのPFASの意図的添加を禁止(AB2771)

以上の主な参考は以下↓およびJETROの「カリフォルニアPFAS関連規制解説セミナー」

https://cleanwater.org/tackling-californias-pfas-problem

上記にも関係するが、消費者健康保護法、提案(プロポジション)65というものもある。

これによりカリフォルニア州では、がんや先天性欠損症、またはその他の生殖障害を引き起こす化学物質への重大な暴露について、州民に警告を提供することを企業に義務付けている。

そのため、毎年更新される化学物質リストに載っている化学物質が、リスクをもたらすだけ含まれている製品には、企業は警告ラベルを付けなければならない。PFOSとPFOAもこのリストに載っている。

https://oehha.ca.gov/proposition-65/about-proposition-65

JETROの「カリフォルニアPFAS関連規制解説セミナー」によると「Prop 65の規制物資リストは、約950品目であるところ、調理器具(California’s AB1200)の規制対象となる 「指定リスト(Designated List)」には、約2,300品目が掲載」とのこと。

日本にもこの制度がほしい!

<関連記事>

プラスチックが海洋生物の「胚」を殺す 繁殖不可能に

イタリアのアントン・ドールン生態学研究所とイギリスのエクセター大学が行った新しい研究によると、主な7種類の海洋生物にPVC(塩ビ)ペレットをさらしたところ、生存可能な胚をつくることができなかった。

塩ビにさらされた生物は、殻や脊索を作れなくなったり、正しい左右相称が形成できなかったり、何回か細胞分裂を繰り返した後に発達が止まったという。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/sdgs/2024/04/post-104323.php

実験に使われた塩ビ製のペレット(プラスチックの小粒)の濃度は、通常の海洋よりも高い濃度だったが、船舶事故によるペレットの流出でこのような事態になることはこれまでも度々あった。

海に流れ込むプラスチックを減らすためには、プラスチック生産量を減らす必要がある。そのためにはまず、私たちがプラスチック製品を買わないことが大事だろう。

香港、使い捨てプラ規制始まる ごみ袋は有料化へ舵

香港では昨日から、「2023年産品環保責任(修訂)條例草案」の第一弾がスタートした。

この法律は2段階に分かれて施行される。第2弾は来年の予定(目標)だ。

ごみ袋有料化にも舵を切り、今後実施する計画。

https://hongkong.keizai.biz/headline/2277/

昨日から規制が開始されたのは、上記サイトによると以下の通り。

飲食店:発泡スチロール製容器、ストロー、マドラー、スプーンなどは販売もテイクアウトも店内使用も禁止

飲食店:プラ製カップやカップのふた、容器、容器のふたは、店内飲食では禁止だが、販売とテイクアウトはOK

その他のプラ製品:持ち手がプラスチック製の綿棒、雨傘用ビニール袋、スイーツはおつまみなどに提供されるプラスチック製のつまようじ、スポーツ応援などで使われるスティックバルーン、メガホンや応援バッドなどのグッズ、蛍光棒、誕生日パーティーなどに使われるハットなどは販売も無償提供も禁止

ホテルなど:プラスチックが持ち手の歯ブラシ、プラスチック包装の歯磨き粉、シャワーハット、シャワーキャップ、カミソリ、やすり、くしのほか、プラスチック容器に入っているシャンプー、シャワージェル、コンディショナー、ボディーローション、ハンドソープ、客室内で提供されるペットボトルの水は、有償であれば提供可能とのこと。

日本のプラスチック資源循環法の使い捨てプラ規制より禁止対象が多く、厳しめだ。

日本のホテルは、シャンプーなどの小瓶はさすがに見なくなったが、歯ブラシを無料で部屋に置くところが今でも多い。

今日から国際プラスチック条約会議始まる。人間が減る?それともプラスチックを減らす?

いよいよ今日から29日まで、カナダ・オタワで国際プラスチック条約会議(INC-4)が始まる。

今回は、プラスチックの生産削減や有害プラスチック対策などについて話し合う。うまくいけば、最後に韓国で開くINC-5に生産規制などを盛り込んだ条約案ができるはずだが、反対する国の力は大きい。

生産規制などに反対しているのは、日経によると中国、サウジアラビア、ロシアとのことだが、これまで見てきた限りではアメリカも賛成ではない。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA112IA0R10C24A4000000/

日本は中立とのことだが、「世界一律の生産規制に反対。リサイクルを軸に各国の事情に配慮」などといっている限り、やはり中国やロシアと同様、会議の足を引っ張る。

日本はアジア・太平洋地域の理事国ということになっているが、日本は生産規制に向け、各国を説得する役には立たないし、これまでの会議を見ていてもその様子はない。

日本はリサイクルに期待し、この先も生産を増やし続けようとしている。まるで、企業が生産を増やし続けられるようにプラスチック資源循環法を作ったようにさえ見える。

プラスチックの生産規制に賛成しているのは「EU、南米、アフリカ、島嶼国」と日経には書かれているが、韓国も賛成だ。韓国は、日本よりずっと早く「高野心連合」に入ったし、国内でも使い捨てプラスチック削減に真剣に取り組んでいる。

OECD報告書(2022年)によれば、「不適切なプラスチックごみ処理量については、OECD諸国では排出量全体の約6%であるのに対して、開発途上国など非OECD諸国においては39%に達している。開発途上国ではごみ収集の仕組みが整っておらず、適切な処理システムが構築できていないことに原因がある」。(東洋経済オンライン2024.4.23)

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/toyokeizai/business/toyokeizai-749647?page=2

つまり、OECDによると、途上国は39%のプラスチックを適切に処理できていないということだ。61%も「適切」に処理しているとカウントしているということは、野ざらしのごみ処分場にプラスチックをそのまま投げ込んでも、OECDは「適切」にカウントするようだ。腐らないプラスチックがその後どうなるかは関係ないらしい。

また、途上国はプラスチックによる負の影響を、金額換算で先進国より10倍以上受けているそうだ。これについては旅行で途上国へ行けばよく理解できる。先進国の企業は、途上国がリサイクル技術も焼却技術ももたないことを承知の上で、さまざまなプラスチック製品を売りまくっている。

おかげで旅行者は、ペットボトル片手に快適に旅行できるが、そのペットボトルを誰がどう処理するのかまでは考えない。住民もペットボトルなどが売られていれば、便利なので買ってしまう。

企業は処理費用を負担せず売りっぱなしだ。たまに「リサイクルに協力する」とお金を出す企業もあるが、制度化されているわけではないため、長続きするかは疑問。

さらに、日本などで使ったプラごみも、あの手この手で途上国に押しつける。中国には送ることができなくなり、バーゼル条約もできたが、いまだに受け入れる国はある。裏技を使えば廃プラを古紙などに混ぜて送ることもできると聞く。

また、日本国内である程度きれいにした廃プラならば、「資源」として正々堂々と送ることもできる。

しかも先進国は、プラスチック生産による温暖化の影響でさえ、途上国ほど受けずに済む。

日本も少しは若い世代のことを考えれば、プラスチックをこれ以上生産し続けることがいかに環境や健康を危険にさらすか、気付くだろう。

既に、マイクロプラスチックが生きている人間の肺や心臓、血液、胎盤、母乳、精液などいたる所から見つかっている。そのうち脳からも見つかるはずだ。

人間の母胎から赤ちゃんへマイクロプラスチックが栄養と一緒に送り込まれていることも、胎便や胎盤からマイクロプラスチックが見つかったことから、ほぼ証明されている。

プラスチックに使われる化学物質が少子化に影響していることも明らかだ。

つまり、人間が減るか、プラスチックを減らすか、の二択。

日本もプラスチック生産規制に強く賛成してほしいものだ。

家庭用人工芝にも「驚くほど高い値」のPFOS 販売店に法的通知、カリフォルニア州

アメリカでは競技用人工芝にPFASが含まれるとして警戒されているが、家庭用人工芝も危ないようだ。

米カリフォルニア州オークランドの非営利の環境衛生センター(CEH)は今年3月4日、高レベルのPFOSを含んだ人工芝を販売していた2店舗(Home Depot と Lowe)に法的通知を送付した。驚くほど高いレベルのPFOS(PFASの一種)が含まれていたという。

これは、カリフォルニア州の消費者健康保護法の提案65に示されていたPFOSへの潜在的な曝露を顧客に警告しなかったため。

要するに、警告ラベルを貼らずに販売していたようだ。

「人工芝に触れると、芝から手、そして口に移すと、PFAS化学物質にさらされる可能性がある」とのこと。

そのためCEHは、小売業者や製造業者が人工芝製品からPFASを除去し、製品が公衆衛生と環境に安全であるようにすることを望んでいるが、その間、人工芝からのPFOSへの暴露を避けるために、次の方法を推奨している。

1.人工芝に触れたら石鹸と水で手をよく洗うこと
2.人工芝への露出を制限する。子供がいる場合は、芝での遊び時間を制限し、芝に接触する手やその他の身体部分が口に触れないようにすること
3.人工芝の代わりに、天然の造園材料やその他の干ばつに強い庭作りを検討すること

以上、CEHのプレスリリースより。

消費者健康保護法の提案65については関連記事↓

アメリカで規制された6種類のPFAS 日本への影響は?

米環境保護局(EPA)が4月10日、新たなPFAS規制を発表した。

アメリカのすべての公共水道システムは、EPAが指定する6種類のPFASの検査を3年以内に行い、その濃度を新たな全米基準値まで5年以内に下げるよう求められるとのこと。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/24/041600213/

6種類とはどのPFASだろうか?とEPAのウェブサイトを調べたところ、以下のように書かれていた。

「PFOAとPFOSは個別の汚染物質として、そして PFHxS、PFNA、GenX Chemicals、およびPFBSはPFAS混合物として」

つまり、PFOA、PFOS、PFHxS、PFNA、GenX Chemicals、PFBSの6種類だ。

GenXについては聞いたことがなかったので調べたところ

「GenXは、世界各地の地表水、地下水、飲料水、雨水、および大気排出物より検出されている。米国環境保護庁(EPA)が2021年10月25日に公開した「ヘキサフルオロプロピレンオキシドダイマー酸およびそのアンモニウム塩に対する人の健康に関する毒性値」という表題の最終報告書では、経口曝露後の動物実験では、肝臓、腎臓、免疫系、発達、がんとの関連などの健康影響が示されている」という。

https://www.envix.co.jp/region/global/global-genx/

このほか、「PFOSとPFOAの基準値を1リットル当たり4ナノ(ナノは10億分の1)グラム」と定め「強制力のない目標値はゼロにした」ことも決まった。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN10EIA0Q4A410C2000000/

日本ではこの2種類(PFOSとPFOA)のPFAS以外の規制は特になく、この2種類の合算で50ナノグラムとするのが現在我が国の水の暫定基準値だ。これ以外のPFASを調べている自治体はごく少数。

アメリカの規制値は日本より大幅に厳しく、他の種類のPFASもターゲットにした。さらに「EPAはPFNA(ピーエフエヌエー)やPFHxS(ピーエフヘクスエス)など他の種類についても1リットル当たり10ナノグラムとするなど規制を設けた」とのこと(東京新聞2024.4.11)。

EPAはこの規制により「PFASにさらされる人が約1億人減り、数千人の死亡を防ぎ、数万人の重篤な病気が減る」としている。

日本では既にPFASのパブコメは終わったが、おそらくこの50ナノグラムは変わりそうにないし、他のPFASについては基準値を設けない可能性が高い。

つまり、日本は今後「PFASにさらされる人が約1億人増え、数千人の死亡を招き、数万人の重篤な病気が増える」ということか。

北海道大学の疫学調査でも、妊娠中の母体のPFASの濃度が高いと、「妊娠中の有機フッ素化合物のばく露が子どもの免疫応答機能を低下させているのではないか、と懸念されます」とのこと。

アメリカのこの新規制が日本の規制値に影響を与えてくれるとよいが、国民の命や健康よりマネーを重視するこの国のこれまでのやり方を見ると、あまり期待が持てないような気がする。