千葉県柏市でもPFAS、原因は海上自衛隊の消火訓練か

千葉県と柏市は16日、同市と白井市の市境を流れる「金山落(かなやまおとし)」で行った追加調査(3月11日)の結果を発表した。

柏市側の海上自衛隊下総航空基地北東側の水路で1800ナノグラム、同南東側の水路2地点でそれぞれ1000ナノグラムを検出したそうだ。

また、伊藤ちかこ県議が16日、独自の調査(3月14日)結果を公表した。それによると、同基地南東側の柏市調査地点の水路上流で3300ナノグラム、北東側の水路で1800ナノグラムを検出したという。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/321715

汚染源は、海上自衛隊の航空基地の消火訓練で使われた泡消火剤の可能性が大きいようだが、現在備蓄されている泡消火剤にPFASは含まれていないのだろうか。

しっかり確認した上で、早急に汚染対策(復旧)を進めてほしい。

米ニュージャージー州でデポジット制度を検討

アメリカでは現在、10の州で飲料容器のデポジット制度がおこなわれているが、ニュージャージー州が11番目の州になるかもしれない。

同州の州議会議員がデポジット法案を提出したようだ。

https://www.nj.com/mercer/2024/05/nj-may-want-to-give-you-a-refund-for-returning-bottles-and-cans.html?eType=EmailBlastContent&eId=fc74e2cf-24e5-40f8-8cd9-27bcf7fc8cfa

法案によると、対象容器の材質はプラスチック、ガラス、紙、段ボール、金属(またはそれらの材料の組み合わせ)などの材料で、これらから作られたボトルや缶、カートンポーチなど。

サイズは1ガロン以下だが、飲料カップには適用されない。

デポジット制度に従わない企業は、100ドルから1,000ドルの罰金を科せられる可能性があるそうだ。

しかし、アメリカでは毎年どこかの州でデポジット制度が提案され、飲料業界などにより潰されている。実現までの道のりは遠そうだ。

欧州:卵からPFAS、汚染源はエサの魚粉か。日本の卵は大丈夫?

昨年11月に発表されたデンマークの国立食品研究所の研究によると、大規模農場の有機卵からPFASが検出された。

検出されたPFASは、たとえばある農場の卵は、卵黄1グラム当たりの濃度がPFOA 0.07±0.02ng、PFNA 0.37±0.04ng、PFDA 0.13±0.00ng、PFUnDA 0.22±0.04ng、PFDoDA 0.06±0.02ng、PFTrDA 0.15±0.04ng、PFTeDA 0.02±0.02ng、PFHxS 0.10±0.04ng、PFOS 2.62±0.11ngとのこと。

有機飼料生産に使用される魚粉が、ニワトリに与えられたためだと推定されている。このため、有機卵生産者は魚粉の使用をやめることを決定した。

検出されたPFAS濃度は、4歳から9歳の子どもが1週間に5から6個の卵を食べると、4.4 ng / kg 欧州食品安全機関の許容週摂取量を大幅に超過するそうだ。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37944762/#full-view-affiliation-1

一方、フランスでは自宅の裏庭で育てたニワトリの卵は食べないよう警告されている。

なぜ裏庭の卵がアブナイのかというと、収量を最大化することを目的としたプロの農場よりも裏庭の方がニワトリを長く飼育するためだとのこと。

「残留性有機汚染物質の蓄積は、暴露期間とともに増加します。たとえば、数年間ニワトリ小屋にいた雌鶏は、数ヶ月しかそこにいない雌鶏よりも汚染されている可能性が高い」ためだそうだ。

https://www.euronews.com/green/2023/11/21/millions-in-france-warned-not-to-eat-eggs-from-backyard-chickens-due-to-forever-chemical-p

卵を毎日のように子どもに食べさせている家庭は多い。子どもにはよいものを食べて欲しいとの思いから、有機卵を選ぶ家庭もあるだろう。スーパーの安価な卵も含め、日本でも早急に卵のPFAS濃度を調べて欲しい。

瀬戸内海4県から年間60トンのプラごみが回収できず海へ どんな意見交換をしたの?

瀬戸内海に面する岡山・広島・香川・愛媛の4つの県から出た海洋プラスチックごみのうち、回収できなかったごみが年間約60トンあったそうだ。

日本財団が4県と取り組んでいる海洋プラスチックごみ対策のプロジェクトで、2020年11月から2021年4月にかけて、4県にある河川の全長およそ1200キロでごみの調査を行った。

その結果、年間388トンのプラごみが海洋に流れ出していると試算された。

しかし、これまでに公的機関やプロジェクトなどが回収したプラごみは年間322トン。従って、約60トンのプラごみが回収できなかったと考えられるという。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/okayama/20240515/4020020278.html

大雑把とはいえ、約60トンという数字が把握できたのはよかったと思うが、このニュースに違和感を覚える。

日本財団のプロジェクトの一環で、県内の中・高校生およそ80人が岡山市に集まり、これについて話し合われたようだが、このNHKニュースを見る限り、その結論は「みんなでごみ拾いに取り組もう」ということだったようだ。

もちろん清掃活動は重要だ。しかし、高校生が話し合ったならば、ごみの出ない法整備、たとえば「散乱しやすい使い捨てプラスチックを禁止しよう」とか「飲料容器はデポジット制度で回収しよう」、あるいは「マイボトル・マイカップ・マイ弁当容器を利用できるよう店に働きかけよう」などのような根本的な内容にまで踏み込んでほしいものだ。

落ちていたプラごみにどのようなものが多いかは、把握できたのだろうか?

米企業、本体から落ちないPET製のペットボトルキャップを開発 キャップと本体を同じ材質に

米カリフォルニアのウェストサクラメントに本拠を置くOrigin Materials Inc.は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のテザードキャップを開発した。

まもなくEUでは、EUシングルユースプラスチック指令により、開栓時にキャップが本体からはずれてしまうタイプのペットボトルの販売を禁止する。

ペットボトルキャップの散乱は世界中に多いことから、この指令は欧州に留まらず、世界中に影響すると考えられる。

しかし、ペットボトルのキャップは通常ポリエチレンやポリプロピレン製だ。リサイクル時に比重などによりPETと分離できるとはいえ、そのまま出されることを懸念するリサイクル事業者の声もある。

キャップもPET製であるほうが、リサイクル事業者にとってはリサイクルしやすいし、ペットボトル利用者にとってもよいことだろう。日本のようにしつこく、キャップをはずしてから回収に出せと、まるでキャップの散乱を助長するかのような「指導」をする国は多くないと思われるが、それでも材質の異なるものを一緒に回収に出すのは気が引けるという人は多い。

この度、オーランドで開かれたカンファレンスで発表されたキャップは、従来のキャップに比べ「優れた性能を提供し、製品の貯蔵寿命を延ばし、軽量化を可能」にするという。

しかも、100%PET製で、バージンPETであろうとリサイクルPETであろうとバイオマスPETであろうと、どんなPETからも製造できるとのこと。その上、キャップを開閉しても本体から落ちないタイプだ。

日本で販売されているペットボトルのうち、キャップが落ちないタイプのものはまだ少ない。しかし、国内でもペットボトルキャップの散乱は多い。PET製キャップがあるならば、キャップが落ちないタイプのペットボトルを売らない理由はもうないはずだ。

<出典>

https://www.recyclingtoday.com/news/origin-materials-introduces-tethered-pet-beverage-cap/?utm_campaign=Plastics+Recycling+Report&utm_source=05%2f09%2f2024+-+Unilever+updates+plastic+goals+%7c+Plastics+Industry+Association+announces+award+winners&utm_medium=email&utm_term=https%3a%2f%2fwww.recyclingtoday.com%2fNews%2forigin-materials-introduces-tethered-pet-beverage-cap&utm_content=547419&isid=3633CF&eType=EmailBlastContent&eId=7d931343-fc61-44ea-b0a3-12099d53ba7f

日本の今年のオーバーシュートデーはまもなく。地球1個分の暮らしにはほど遠い

エコロジカル・フットプリント(以下、エコフット)は、人間が消費する量(需要)と地球が生産する量(供給)を比べる指標だ。

人間が地球の供給量を上回らず、地球1個分で暮らしている限りは、気候変動や森林破壊、プラスチック汚染などは起きなかったはず。しかし、今は地球の生態系サービスの量以上に人間は資源を使い、CO2を放出している。

そのせいで、いろいろひずみが生じ、環境問題も起きてしまった。

人間の活動が、生態系の再生能力を超える日がオーバーシュートデーだ。その日以降の暮らしは赤字の状態と同じで、私たちは子孫に借金をしながら暮らしていると考えられる。

昨年、世界のアースオーバーシュートデーは8月2日だった。

今年のオーバーシュートデーはまだ不明だが、日本のオーバーシュートデーは5月16日とのこと。まもなくだ。

新年からまだ半年も経っていないのに、私たちはエコフットの小さい国や子孫にツケを回しながら、赤字状態で暮らすことになる。

https://overshoot.footprintnetwork.org/newsroom/country-overshoot-days/

マザーツリーの著者来日 5/27講演会のお知らせ

世界的大ベストセラー『マザーツリー 森に隠された「知性」をめぐる冒険』の著者が来日し、講演するそうだ。対面とオンラインのハイブリッド形式とのこと。

以下、転載↓

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日 時:2024年5月27(月)15:30-17:30
   (対面開場は15:00、オンライン開場15:25)
開催方法:対面とオンラインのハイブリッド形式
対面参加:聖心女子大学 ブリット記念ホール
    (東京メトロ日比谷線広尾駅 4番出口から徒歩1分)
オンライン参加:Zoomウェビナー
参加費:無料
プログラム:
 講演1 スザンヌ・シマード氏「Mother Treeと菌根菌ネットワークから見る
     BC州の森林の価値と役割(仮)」
 講演2 レイチェル・ホルト氏 「BC州の森林政策、ペレット産業・政策の
     『持続可能性』の課題(仮)」
 質疑応答 コメント:中静 透 氏(東北大学名誉教授)
主催・お問合せ:一般財団法人 地球・人間環境フォーラム
  (担当:鈴嶋・飯沼、E-mail:event[a]gef.or.jp)
共催:Mighty Earth
協力:心女子大学グローバル共生研究所、ウータン・森と生活を考える会、
バイオマス産業社会ネットワーク(BIN)、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)

※日英同時通訳付き
※タイトルと内容は予告なく変更になる場合があります。

カナダ・ブリティッシュコロンビア(BC)州の森林は、巨木がそびえ、膨大な炭
素を蓄積し、森林トナカイやハイイログマなどの大型哺乳類が生息する生物多様
性豊かな地域です。

気候変動や生物多様性の危機を回避するために、この地の森林の保全は極めて重
要です。

しかし、同州の原生林や天然林は、大面積の伐採や近年続く山火事により、急速
に劣化しています。皆伐と火災に弱い針葉樹のみの植林など、同地の森林施業に
も原因があると指摘されています。

この度、昨年1月に邦訳された世界的ベストセラー『マザーツリー 森に隠された
「知性」をめぐる冒険』の著者スザンヌ・シマ―ド氏が来日し、研究成果を踏ま
えて、BC州の森林生態系の状況とその価値についてご講演いただきます。

一方、日本では再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の支援の下、BC州
から木質ペレットを輸入し、バイオマス発電の燃料として燃やしています。

私たちの再エネがカナダの森林に依存しているのです。

セミナーでは、シマード氏の研究イニシアチブ(マザーツリー・ネットワーク)
のアドバイザー、レイチェル・ホルト氏に、現地の森林政策や木質ペレットの持
続可能性の課題についてもお話しいただきます。

森の木々が巨大なネットワークを持ちコミュニケーションしていることを明らか
にした革新的な研究に学び、BC州の貴重な森林を守り気候と生態系の危機を回避
するために、私たち日本の市民や企業、政府にどのような行動が求められるのか
を考えます。

ぜひご参加ください。

セミナー詳細:
https://www.gef.or.jp/news/info/240527canadaforestseminar/
お申込みフォーム:
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_85wwIC_9Qsi_ZMV-DTTkug
※会場参加の方も、上記URLより事前にご登録をお願いします。

お問合せ:一般財団法人 地球・人間環境フォーラム

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サッカーでPFOSが人工芝から選手の皮膚へ 人工芝によるPFAS曝露実験

アメリカでは調べたすべての人工芝からPFASが検出されている。人工芝のPFASは、サッカーをする選手たちに移るのだろうか?

その疑問を解決するため、非営利団体PEER(Public Employees for Environmental Responsibility:環境に責任をもつ公務員?)が小さな実験を行った。

南カリフォルニアの3人のサッカー選手と1人のサッカーコーチが、人工芝と天然芝の上でサッカーの試合をし、試合前後の皮膚を綿棒でこすり、PFOS(最も危険なPFASの1つ)を調べたのだ。

その結果、4人中3人でPFOS濃度が上昇した。うち1人は2倍以上になった。

一方、天然芝の上でプレーした場合では、4人中3人のPFOSレベルが低下した。

PFOSはパッケージから取り出した新しいサッカーボールにも付いていたという。

この研究ではPFOSしか調べなかったが、今後もっと対象を拡大して調べる必要がある。

PEERのカイラ・ベネット氏は「まだこんなものを使おうとしている人たちがいるなんて、あきれるばかり」と、プラスチック製の化石燃料製品を何エーカーも敷き詰めることを批判している。

フィラデルフィア・フィリーズに所属していた元野球選手の中には、チームメイトを死に至らしめた希少な脳腫瘍の背景に、人工芝の存在があるのではないかと疑っている者もいる。また、ナショナル・フットボール・リーグの選手組合は、すべての人工芝フィールドを芝生に置き換えるよう求めている(英紙ガーディアン2024.3.15)。

https://www.theguardian.com/environment/2024/mar/15/athletes-higher-pfas-levels-artificial-turf

実験結果↓

国際プラ条約会議閉幕。話まとまらず釜山の前に追加の話し合いか

第4回国際プラスチック条約会議(INC-4)が昨日、カナダ・オタワで閉幕した。

プラスチック汚染をなくすために最も効果が高いプラスチック生産制限は、やはり話がまとまらなかった。中東の産油国や中国が反対したためだ。

最後のプラスチック条約会議となるINC-5は、今年11月25日から韓国・釜山で開催されるが、それに先立ち8月末頃タイ・バンコクで追加協議になるという。

バージンプラスチックの生産制限を強く主張したフィリピンなどの提案に多くの国が賛同した。フィリピンはプラスチック汚染で最も苦しんでいる国の1つだ。

プラスチックで儲ける国と、プラスチック汚染に苦しむ国の間で、落としどころは見つかるのだろうか。

プラスチックで儲けようとする国や企業は、プラスチック汚染や気候変動で苦しむ国々のことはもちろん、自分の子や孫たちが苦しむことさえ気にしないようだ。

SDGsのゴール「誰1人取り残さない」はやはり難しいと、現地に参加していたNGOらの話を聞いてつくづく思う。