温暖化で山火事多発、地球は「負のスパイラルに」 加えてバイオマス発電所の火事も多発

今日の日本経済新聞によると、火災による世界の森林焼失面積は、過去20年間で約2倍になったそうだ。特にカナダは昨年の山火事で、経済活動で排出する3年間分の温暖化ガスに匹敵する17万トンものCO2を放出してしまったとのこと。

https://env-eco.net/wp-admin/post.php?post=7447&action=edit

「既に地球は負のスパイラルに陥ったのかもしれない」という。

一方、日本国内では、木質バイオマス発電所の火災が相次いでいる。理由は木質ペレットにあるらしい。含水率が低いはずのペレットでも、自然発火の原因になるようだ。

石炭火力発電所ではこの手の事故は起きないというのは、皮肉な話だ。

日本経済新聞(2024.1.12)「相次ぐバイオマス発電所の火災 木質燃料に潜むリスク」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC195F60Z11C23A2000000/

バイオマス発電や「紙製品」は大丈夫? 増えたハゲ山、分解しない紙製ストロー

各地でハゲ山の増加が問題になっている。バイオマス発電が影響しているようだ。

https://zibatsu.jp/info/news/baiomass

直接の原因かはわからないが、対馬の山もバイオマス発電の影響で伐採されたと聞く。

木質バイオマス発電はある程度大型でなければペイしない。そのため、どうしても規模が大きくなる。大きくなれば当然、より大量の木材が必要だ。

こうして当初は地域の間伐材や剪定枝利用目的だったはずのものが、いつの間にか価値の高い主伐材や、海外NGOが問題視する天然林を伐採した輸入材※まで使わざるを得なくなる。

近年の木質バイオマス発電のほとんどは、ハナから北米などの輸入材を使うことを前提に作られた大規模なもので、石炭火力発電所となんら変わるところがない。何年もかけて生長した木をチップにし、一瞬で燃やすことの一体どこがエコなのか、理解に苦しむ。そのせいで木材不足が続いている。

「はげ山と耕作放棄地は同じだ。問題ない」との声もあるが、土地の劣化具合が異なる。はげ山は雨が降れば崩落し、土砂崩れの原因となる。ごみや除草剤を投入しなければ、もしかしたら自然が復活するかもしれない耕作放棄地とは、全く違うのだ。

バイオマス先進国のドイツでも、バイオマス発電の失敗事例が山ほどあるそうだ。エネルギーの地産地消は、地元での熱エネルギー利用が大前提だ。

バイオマス発電のみならず、バイオマス利用はどんどん胡散臭い方向に進んでいるように感じられる。2年ほど前、我が家の堆肥化装置に埋めた紙製ストローは、まだ分解しないまま残っている。紙にプラスチックが塗工してあるせいだと思われる。

バイオマスを利用する際の法規制がないせいではないか。バイオマス利用を、大量生産・大量消費の免罪符にしている企業が多いように感じる。

※11/28に開催された【カナダNGO来日セミナー】輸入木質ペレットの真実-カナダのペレット生産と森林への影響の録画が下記に公開されている↓

対馬で海藻の復活を目指す 温暖化や樹木伐採の影響で消失

長崎県対馬市にある「賀谷」地区。名前の通り、以前は「喜ばしき谷」で豊かな地だったが、今は温暖化や山の樹木伐採の影響で、海藻が消失したという。

そのため2021年12月、NPO法人賀谷藻場保全会(代表 鎌田 衛)を設立。藻場の環境保全活動を展開している。鎌田氏は以前はイタリアンのシェフだったが、現在は一本釣りと素潜りを得意とする漁師だ。

同団体は、コンブなど海藻種苗の投入や食害生物の駆除、陸地への植林などを行っている。「海藻の消滅とそれに伴う海中の二酸化炭素の増加は、有用海産資源に直接悪影響を及ぼすだけでなく、日本海全体の生態系に破滅への悪循環を生み出す元となりうる」ためだ。

モニタリングポイント49か所の海藻の生息密度観察も随時行い、月に一度海底を撮影。海底の泥サンプルを採取し濁度測定なども行っているそうだ。

植林や下草刈りなど人手の必要な作業も多いが、遠方にいても応援できる「応援会員」も募集している。応援会員には返礼品として、応援会員の種類に応じた藻場産品を送ってくれる。

団体の活動や応援会員について、詳しくは下記ウェブサイトをご覧ください↓

https://gayamoba-2.jimdosite.com

「都市森林」をめざし、木を植え続けるパリ市

フランス・パリ市のイダルゴ市長は2020年、大規模に緑化するため17万本の木を植えることを公約に再選された。

2023年の夏までに6万3500本の木を植え、この冬には4万5000本の木を植えるそうだ。既に目標の3分の2(64%)に近づいているという。

https://www.euronews.com/green/2023/12/09/paris-starts-work-to-transform-busy-roundabout-into-citys-first-urban-forest

フランスの環境団体は、「森は木のプランテーションではなく、生態系。(都市森林は)森とはいわない」などと批判しているらしいが、日本から見たらうらやましい話だ。

東京は木を切り続けている。神宮の森さえも、大規模に切り倒そうとするほどだ。

研究によると、「都市部の樹木は、地域の状況に応じて2°Cから10°Cの間で温度を下げることができる」とのこと。

それならば、ヒートアイランドを緩和するためにも、東京はもっと木を大事にするべきだろう。生物多様性の劣化や温暖化の対策になることも間違いない。

サラワク熱帯林保護で活動する現地NGOに四駆を JATANがクラファン開始

熱帯林行動ネットワークがクラウドファンディングをおこなっている。

https://readyfor.jp/projects/132272

マレーシアのサラワクで活動する現地NGOが使用していたセダンが壊れたため、買い換え費用に充てるそうだ。

サラワクは古くからのアブラヤシ生産地で、熱帯林破壊が特に心配されている地域だ。先住民が昔から暮らす土地を奪われていることでも知られている。

以下、JATANからのメールを転載↓

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「熱帯林コミュニティの慣習地保護活動をするNGOへ、四駆車を!」のためのクラウドファンディングですが、おかげさまで本日現在(11月29日)、目標額の44%に達しました。
https://readyfor.jp/projects/132272 

これまでご支援いただいた皆さまには心より感謝申し上げます。

「活動報告」は随時、アップデートしております。こちらも併せてご覧ください。
11月17日「鉱山開発地でマッピングの作業を継続しています」
https://readyfor.jp/projects/132272/announcements/296446
11月25日 「サラワク州東部のバラム河上流のプナン人コミュニティ」
https://readyfor.jp/projects/132272/announcements/297694
11月29日 「サラワク産熱帯材合板と日本の建設市場」
https://readyfor.jp/projects/132272/announcements/298270

また、リターン「サラワクの先住民コミュニティを訪問・滞在 現地ツアーコース」(35万円)を追加いたしました。JATANの現地調査に同行していただく形のご参加となります。
https://readyfor.jp/contributions/132272?reward_detail=&select_id=330510 

最終目標までは道半ばの状態です。引き続き、新規・追加の「ご支援」以外にもご友人やお知り合いの方々に拡散のご協力をいただければ幸いです。

支援募集は12月22日(金)午後11:00まででとなっております。

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どんな神奈川県にしたい?新総合計画のパブコメ募集中

神奈川県で、新たな総合計画を策定するにあたり、意見を募集している。

通常のパブコメと違い、既にある案に対して意見をいうのではなく、自分が望む2040年の神奈川県の姿を書いてよいようだ。

募集期間は、2023年7月12日(水曜日) から2023年8月15日(火曜日)。

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/r5k/pub/c5773391.html

ここに総合計画の関連資料などが記載されている。

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/r5k/keikaku2024.html#shiryou

「2040年の神奈川を考える50の視点」を眺め、日本の森林面積も神奈川県の森林面積もこんなに減ったのか、人口もこんなに減るのか、などあらためて驚いた。

パブコメに関連し、ゼロエミッションを実現する会やグリーンピースが、8月11日にこんなイベントを企画している。

「最高の神奈川を描こう! 神奈川県「新たな総合計画」のパブコメを書く会」↓

https://kanagawapubcom.peatix.com

鹿沼公園の池と樹木を残して!もしかして「公園PFI」?

2017年に都市公園法を改正(改悪?)した影響で、各地の都市公園が様変わりしている。

公園法改正により「公園PFI」という仕組みが可能になり、そのせいで民間に丸投げできるようになったそうだ。

民間に丸投げされた公園は、「稼ぐ」ことが重要になる。これまでは住民の憩いの場として機能しているだけで良かった公園が、金儲けせねばならないとしたら、樹木をどんどん伐採し、スポーツ施設やカフェを建てることになる。

樹木は「稼がない」どころか、毎年剪定にお金がかかる。それならば「根元から伐ってしまえ」ということで、樹木が大量伐採される公園が多いのだとか。

最近問題になっている東京都立葛西臨海公園もこの影響で、大量の樹木が伐採されるそうだ。

弁護士の尾林芳匡氏によると(日本消費者連盟の消費者リポート1671号より)、

「「PFI」とは「Private Finance Initiative」 の略で、 民間資金による公共施設整備という意味でしたが、法改正を重ね、公共用地を民間企業のお金儲けのために提供するなら、国が地方自治体に財政支援をするという歪んだ仕組みになっています」とのこと。

複合施設を建てることになっている相模原市の鹿沼公園はどうなるのかと思って見てみると、「鹿沼公園内にある児童交通公園、白鳥池、遊具広場、築山は残す一方、軟式野球場と水生植物池は廃止し、芝生広場と多目的広場としてリニューアルする」。

https://www.kanaloco.jp/news/government/article-962059.html

白鳥池は残すということなので少しホッとするが、水生植物池は廃止する。芝生広場はまさか人工芝ではないと思うが、たとえ天然芝であっても池より温暖化に寄与しそうだ。

池を残し、池の周囲に植えられている樹木も伐採しないでほしいが、どうなるのだろう?

ついでにいえば、「でいらぼっち」の碑も残してほしい。あの神話(巨人伝説)は興味深い。

鹿沼公園も民間企業に丸投げされ、どこにでもあるような面白みのない公園に変わってしまうのだろうか?

8/5日本環境会議「神宮外苑再開発」シンポ、8/9バイオマス国際ウェビナー「米国木質ペレット工場による大気汚染排出と健康被害」

以下、2本のイベントのご案内です。

1.日本環境会議も神宮外苑再開発に反対するシンポジウムを8月5日に開催

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  日本環境会議(JEC)主催『環境と公害』公開シンポジウム
「SDGsに逆行する神宮外苑再開発」

『環境と公害』第52巻第3号 特集「神宮外苑再開発計画」を踏まえて 

日時: 2023年8月5日(土)午後1時半~4時(オンライン)

登壇者: 

石川幹子(中央大学研究開発機構教授、東京大学名誉教授)

大橋智子(建築家)

ロッシェル・カップ(経営コンサルタント、神宮外苑問題の署名活動代表)

原科幸彦(千葉商科大学学長、東京工業大学名誉教授)

司 会: 原科幸彦

※ オンラインで行いますので事前登録が必要です。

登録URL https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_zXh6Nn-uQc2JS0aULKuMWA

【シンポジウム開催の趣旨】

危機的な状況の神宮外苑。2023年1月、日本イコモスの「虚偽報告が多数」との指摘にも関わらず評価書は公示され着工。第二球場の解体工事が進み、9月には樹齢100年のものを含む樹木伐採が始まります。これは国民全てにとって重要な問題です。都市生活のQOLを損なってしまい基本的人権にも関わります。このままでは、日本中の都市公園に開発の手が伸びてしまいます。

都市において、100年もかけて育った樹木は貴重です。公共空間である神宮外苑の樹木は戦火の中でも生き残った、東京都心のレガシー。全国からの献金、献木、勤労奉仕で創られただけでも貴重ですが、加えて100年の間、守られ育てられてきたという歴史があります。

この歴史的な価値を尊重するのが、SDGsです。事業者はいずれも、SDGsの推進をと言っています。ならば、この100年間の重みはわかるはずです。イチョウやケヤキなど、数百年も育つ樹木を伐採するのは理がない。レガシーをと都知事が言うのなら、これを守るべきです

しかも、樹木は保存して、ラグビー場も野球場も改修する案が複数出されています。これらに目を向けないのは合理性に欠けます。あまりにも不透明な進め方です。

*参考 『環境と公害』第52巻第3号(2023年1月25日発行)で、神宮外苑再開発を特集

特集②〉 神宮外苑再開発計画 <目次>

特集にあたって――神宮外苑再開発計画 原科幸彦

近代日本の文化的資産である神宮外苑の保全と継承に向けてー社会的共通資本である都市の緑地の保全に向けてー 石川幹子


神宮外苑再開発計画にみる問題――市民の立場から 大橋智子

日本とアメリカ、大きく違う計画への市民参加――問われる民主主義 ロッシェル・カップ

神宮外苑の環境はアセスメントで守れるか――日本の制度の効果と限界 原科幸彦

2.NGOによるバイオマス国際ウェビナーを8月9日に開催

8/9(水) 9:00~10:30 開催
 バイオマス国際ウェビナー「米国木質ペレット工場による大気汚染排出と健康被害」
 https://www.gef.or.jp/news/event/230809biomasspollution/   
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再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)により促進されている木質バイオマス発電や、石炭とバイオマスの混焼向けに、今後、約850万トンの木質ペレットが米国から輸入されると予想されている。

生産地では、大量の木材を伐採し調達し続けることによる生物多様性や森林の多面的機能への影響だけでなく、木質ペレット工場からの大気汚染物質排出による住民の健康被害も問題となっている。これまでにドラッグス社やエンビバ社のペレット工場が米国の大気汚染防止法違反で罰金を科されている。

ペレット工場の多くは、黒人などマイノリティのコミュニティ、つまり所得や教育水準が低く、トラブルがあっても訴訟などについての知識や経済的余裕が乏しい人々の暮らす地域に建設されており、「気候正義」の観点からも問題があると考えられる。

この問題は、米国国内における公害であると同時に、大量の木質ペレット輸入国である日本にとっても、持続可能性やビジネスと人権の観点から無関係ではない。

本セミナーでは、木質ペレット工場からの大気汚染に詳しい現地の専門家・Patrick Anderson氏(Environmental Integrity Project)に状況を伺い、日米両国が今後どのように取り組んでいくべきかについてディスカッションする。

▼開催概要
日時:2023年8月9日(水)9:00~10:30
開催方法:Zoomウェビナー(同時通訳付き)
参加費:無料(要事前登録)

▼お申込み
zoom登録フォーム
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_EtRkm3IRR764qKqINBHgFA#/registration

▼お問い合わせ先
バイオマス産業社会ネットワーク 泊 E-mail: mail(a)npobin.net Tel: 047-389-1552

地球・人間環境フォーラム 飯沼 E-mail: event(a)gef.or.jp 

(a)を@に変換してお送りください。


神宮外苑再開発の住民向け説明会、今夕から始まる

再開発エリアから380メートル以内の住民限定の説明会が今日の午後6時半から始まる。都民限定ならばまだわかるが、ごく狭いエリアに限定された説明会はほとんど嫌がらせに見える。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c0d407252b5021a715589937561ef0a59abc0dfc

これほど反対する人が多いにも関わらず、小池都知事は再開発に対する考えを覆す気はないようだ。

かつて環境大臣をやっていたこともあり、「環境の小池」などと呼ばれた時代もあった都知事だが、これほど環境に悪いことをやる都知事も珍しいのではなかろうか。多分、歴史に残る。

再開発に反対する人たちの作った「神宮外苑まちづくり 不都合な実像」も今日から公開された。

「この巨大プロジェクトをもっとリアルに実感できるように、米国の建築設計事務所“バーマンデザイン”(Berman Architecture.com)に、開発の前と後のCGモデルの作成を依頼」したとのこと。

映像で開発の「ビフォー」「アフター」が実感できる。

「坂本龍一と神宮外苑を心配する」ウェブサイト開設 エピソードや情報提供も呼びかける

「坂本龍一と神宮外苑を心配する」というウェブサイトが開設された。坂本龍一氏からのメッセージや小池都知事に宛てた手紙も公開されている。

「坂本龍一と神宮外苑を心配する」↓

https://jingugaien.jp

神宮外苑に関連するエピソードや情報提供なども呼びかけられている。

これほどみんなが守ろうとしているものの破壊に加担する事業者や政治家に明るい未来などあるのだろうか。