神宮外苑再開発の公聴会深夜まで終わらず、都は強制的に打ち切り 小池都政は大丈夫?

昨日(10/23)、東京都庁で神宮外苑再開発の新秩父宮ラグビー場について意見を述べる公聴会が開かれた。募集期間がたった5日と短い上、公述人への「公述に関するご連絡」は開催の3日前。そのため、傍聴席はいっぱいだが、公述人の席はガラガラ。

予定された37人の公述人のうち過半は予定を空けることができず、公述に訪れることができなかったのだ。

これを問題視した公述人の一人が、なぜこのようなスケジュールになったのかと尋ね、2回目の開催を要求。そのまま公述席に座り続けた。会場の人たちも全員その公述人の意見に賛意を示したが、都は回答を拒否。「公聴会は議論する場ではありません。席にお戻り下さい」を繰り返した。

その後、その公述人を都は警備の人を呼び強制的に排除しようとしたが、犯罪者でもない人をさすがに強制的には排除できず、威圧するだけにとどまった。

そのため、公述席がもう1つ用意されたが、続いて公述する予定だった東京大学名誉教授の石川幹子先生をはじめとする残った公述人たちの大半は、都が回答するまでは自分の順番ではないとして都の要請を断った。

しかし、公述の機会は無駄にしたくないと、公述するため帰宅せず、残り続けていた。

2時から始まった公聴会は、都が回答を拒否したまま深夜過ぎまで膠着状態が続いた。

筆者は終電が気になり途中退席したが、深夜24時を過ぎてもまだ30人ほどが残っていたと聞く。

都は19時頃からかたくなに終了宣言「公聴会は終了しました。どうぞお帰り下さい」を繰り返していたが、それ以外の言葉を発することは権限外だったのか、ついに「後日、公聴会を再開します」の声を聞くことはなかった。

前に並んでいた二人の課長(うち一人が「主催者」)のうち、一人は頻繁に部屋を出て、戻るとメモを「主催者」に渡していた。その度に「ようやく上の許可が下りて再開することになったか」と期待したが、ついにそんなことは起きなかった。

あの頻繁なメモは一体何だったのだろうか?「もっとネバれ」とでも書いてあったのだろうか。

それにしても、都のかたくなな姿勢には驚いた。公聴会を再度おこなうことがそれほど難しいのだろうか。工期が遅れると困る、と考えたのかもしれないが、こんな無茶苦茶な計画を強行しながら、都民の声を聞く機会をないがしろにする姿勢に、「これが小池都政の実態か」と思い知らされた。

神宮外苑の古い多くの樹木をなぎ倒し、商業施設や高層ビルを建てるという再開発計画はそもそも問題外で正気の沙汰とは思えない。しかも、歴史ある秩父宮ラグビー場は、場所を変更した上で屋根付き(ドーム)にし、人工芝にする。ラグビー場をイベントもできる娯楽施設に変えようというとんでもない計画だ。

あれで公聴会は終わったことにされてしまうのだろうか。

神宮外苑、28日(月)から樹木伐採を強行か

国内外でこれほど多くの人が伐採に反対しているにも関わらず、新宿区は昨日、事業者による3回目の樹木伐採申請を許可した。

伐採は明後日28日(月)から開始される見込みだ。

伐採に反対するため、今日14時から全国ネット「コモンズの緑を守る全国ネット」が主催し、「みんなの緑を大切にパレード」で神宮外苑から日比谷公園までパレードをするそうだ。

https://commonsnet.jp/?p=34

https://commonsnet.jp/?p=50

「風致地区指定を区民にも区議会にも話すことなく、こっそりと変更する」などということが、あっさり許される日本は、本当に民主主義国家なのだろうか。

人工芝:三菱地所が丸の内で危険な社会実験 都庁の都民広場でも

三菱地所は7月25日(木)~ 8月18日(日)まで、丸の内仲通りに人工芝を敷き、社会実験をおこなった。

都会に緑の空間を求めたい気持ちはわかるが、人工芝を敷き詰め、色だけ緑。これではオアシスどころか、ヒートアイランドを激化させるだけだ。人工芝は夏は連日60度を超えるので。

しかも、人工芝にはPFASが含まれているので、アメリカでは人工芝を禁止する自治体が相次いでいる。

2019年から実施とのことだが、来年からは絶対にやめてほしい。

https://www.mec.co.jp/news/detail/2024/07/10_mec240710_msp

また、都民広場でも人工芝を敷くのが恒例行事になっているらしい。

今年も人工芝を敷くと聞いているが、昨年と同じだろうか?

昨年の様子↓

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/09/22/02.html

東京都は、都庁周辺にテラス空間や都民広場などを整備する「都庁周辺の空間再編計画(素案)」を公表したとのことだが、もしかすると人工芝を恒久的に敷くつもりではなかろうか?

まさかとは思うが、神宮外苑再開発や葛西臨海水族園の整備事業などを押し進める都知事のことだから、何をするかわからない。

もし、人工芝を敷くならば、周辺地域のPFAS汚染とヒートアイランドはますます加速されてしまう。

最近の研究では、PFASは皮膚からも吸収されるそうだ↓

https://www.newsweekjapan.jp/stories/lifestyle/2024/07/post-105208.php

「最も広く使用されている17種類のPFASについて実験を行い、うち15種類が皮膚を通じて吸収されることを確かめた」ということは、人工芝に触れただけでも多くのPFASが体内に入るということだ。

街路樹などを伐りたいだけ伐って、色だけ緑にするため地面に人工芝を敷きつめるのは、本当にやめてほしい。

残念な都知事選の結果と神宮外苑再開発問題

都知事選は、神宮外苑再開発はほとんど争点にならなかったようだ。

都知事選に先立ち、三井不動産はこんなニュースをアップしていた。

https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2024/0705/

再開発の言い訳だが、都庁元幹部が14人も天下っているならば、この記事も天下った元幹部が書いたのか。

再開発を進めることで、元幹部や都知事が得るメリットは大きいのだろうと思うが、私たちが失うものはお金にはかえられないものだ。

再開発の賛否を問う住民投票を日本全体でやってほしい。

日本の今年のオーバーシュートデーはまもなく。地球1個分の暮らしにはほど遠い

エコロジカル・フットプリント(以下、エコフット)は、人間が消費する量(需要)と地球が生産する量(供給)を比べる指標だ。

人間が地球の供給量を上回らず、地球1個分で暮らしている限りは、気候変動や森林破壊、プラスチック汚染などは起きなかったはず。しかし、今は地球の生態系サービスの量以上に人間は資源を使い、CO2を放出している。

そのせいで、いろいろひずみが生じ、環境問題も起きてしまった。

人間の活動が、生態系の再生能力を超える日がオーバーシュートデーだ。その日以降の暮らしは赤字の状態と同じで、私たちは子孫に借金をしながら暮らしていると考えられる。

昨年、世界のアースオーバーシュートデーは8月2日だった。

今年のオーバーシュートデーはまだ不明だが、日本のオーバーシュートデーは5月16日とのこと。まもなくだ。

新年からまだ半年も経っていないのに、私たちはエコフットの小さい国や子孫にツケを回しながら、赤字状態で暮らすことになる。

https://overshoot.footprintnetwork.org/newsroom/country-overshoot-days/

マザーツリーの著者来日 5/27講演会のお知らせ

世界的大ベストセラー『マザーツリー 森に隠された「知性」をめぐる冒険』の著者が来日し、講演するそうだ。対面とオンラインのハイブリッド形式とのこと。

以下、転載↓

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日 時:2024年5月27(月)15:30-17:30
   (対面開場は15:00、オンライン開場15:25)
開催方法:対面とオンラインのハイブリッド形式
対面参加:聖心女子大学 ブリット記念ホール
    (東京メトロ日比谷線広尾駅 4番出口から徒歩1分)
オンライン参加:Zoomウェビナー
参加費:無料
プログラム:
 講演1 スザンヌ・シマード氏「Mother Treeと菌根菌ネットワークから見る
     BC州の森林の価値と役割(仮)」
 講演2 レイチェル・ホルト氏 「BC州の森林政策、ペレット産業・政策の
     『持続可能性』の課題(仮)」
 質疑応答 コメント:中静 透 氏(東北大学名誉教授)
主催・お問合せ:一般財団法人 地球・人間環境フォーラム
  (担当:鈴嶋・飯沼、E-mail:event[a]gef.or.jp)
共催:Mighty Earth
協力:心女子大学グローバル共生研究所、ウータン・森と生活を考える会、
バイオマス産業社会ネットワーク(BIN)、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)

※日英同時通訳付き
※タイトルと内容は予告なく変更になる場合があります。

カナダ・ブリティッシュコロンビア(BC)州の森林は、巨木がそびえ、膨大な炭
素を蓄積し、森林トナカイやハイイログマなどの大型哺乳類が生息する生物多様
性豊かな地域です。

気候変動や生物多様性の危機を回避するために、この地の森林の保全は極めて重
要です。

しかし、同州の原生林や天然林は、大面積の伐採や近年続く山火事により、急速
に劣化しています。皆伐と火災に弱い針葉樹のみの植林など、同地の森林施業に
も原因があると指摘されています。

この度、昨年1月に邦訳された世界的ベストセラー『マザーツリー 森に隠された
「知性」をめぐる冒険』の著者スザンヌ・シマ―ド氏が来日し、研究成果を踏ま
えて、BC州の森林生態系の状況とその価値についてご講演いただきます。

一方、日本では再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の支援の下、BC州
から木質ペレットを輸入し、バイオマス発電の燃料として燃やしています。

私たちの再エネがカナダの森林に依存しているのです。

セミナーでは、シマード氏の研究イニシアチブ(マザーツリー・ネットワーク)
のアドバイザー、レイチェル・ホルト氏に、現地の森林政策や木質ペレットの持
続可能性の課題についてもお話しいただきます。

森の木々が巨大なネットワークを持ちコミュニケーションしていることを明らか
にした革新的な研究に学び、BC州の貴重な森林を守り気候と生態系の危機を回避
するために、私たち日本の市民や企業、政府にどのような行動が求められるのか
を考えます。

ぜひご参加ください。

セミナー詳細:
https://www.gef.or.jp/news/info/240527canadaforestseminar/
お申込みフォーム:
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_85wwIC_9Qsi_ZMV-DTTkug
※会場参加の方も、上記URLより事前にご登録をお願いします。

お問合せ:一般財団法人 地球・人間環境フォーラム

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温暖化で山火事多発、地球は「負のスパイラルに」 加えてバイオマス発電所の火事も多発

今日の日本経済新聞によると、火災による世界の森林焼失面積は、過去20年間で約2倍になったそうだ。特にカナダは昨年の山火事で、経済活動で排出する3年間分の温暖化ガスに匹敵する17万トンものCO2を放出してしまったとのこと。

https://env-eco.net/wp-admin/post.php?post=7447&action=edit

「既に地球は負のスパイラルに陥ったのかもしれない」という。

一方、日本国内では、木質バイオマス発電所の火災が相次いでいる。理由は木質ペレットにあるらしい。含水率が低いはずのペレットでも、自然発火の原因になるようだ。

石炭火力発電所ではこの手の事故は起きないというのは、皮肉な話だ。

日本経済新聞(2024.1.12)「相次ぐバイオマス発電所の火災 木質燃料に潜むリスク」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC195F60Z11C23A2000000/

バイオマス発電や「紙製品」は大丈夫? 増えたハゲ山、分解しない紙製ストロー

各地でハゲ山の増加が問題になっている。バイオマス発電が影響しているようだ。

https://zibatsu.jp/info/news/baiomass

直接の原因かはわからないが、対馬の山もバイオマス発電の影響で伐採されたと聞く。

木質バイオマス発電はある程度大型でなければペイしない。そのため、どうしても規模が大きくなる。大きくなれば当然、より大量の木材が必要だ。

こうして当初は地域の間伐材や剪定枝利用目的だったはずのものが、いつの間にか価値の高い主伐材や、海外NGOが問題視する天然林を伐採した輸入材※まで使わざるを得なくなる。

近年の木質バイオマス発電のほとんどは、ハナから北米などの輸入材を使うことを前提に作られた大規模なもので、石炭火力発電所となんら変わるところがない。何年もかけて生長した木をチップにし、一瞬で燃やすことの一体どこがエコなのか、理解に苦しむ。そのせいで木材不足が続いている。

「はげ山と耕作放棄地は同じだ。問題ない」との声もあるが、土地の劣化具合が異なる。はげ山は雨が降れば崩落し、土砂崩れの原因となる。ごみや除草剤を投入しなければ、もしかしたら自然が復活するかもしれない耕作放棄地とは、全く違うのだ。

バイオマス先進国のドイツでも、バイオマス発電の失敗事例が山ほどあるそうだ。エネルギーの地産地消は、地元での熱エネルギー利用が大前提だ。

バイオマス発電のみならず、バイオマス利用はどんどん胡散臭い方向に進んでいるように感じられる。2年ほど前、我が家の堆肥化装置に埋めた紙製ストローは、まだ分解しないまま残っている。紙にプラスチックが塗工してあるせいだと思われる。

バイオマスを利用する際の法規制がないせいではないか。バイオマス利用を、大量生産・大量消費の免罪符にしている企業が多いように感じる。

※11/28に開催された【カナダNGO来日セミナー】輸入木質ペレットの真実-カナダのペレット生産と森林への影響の録画が下記に公開されている↓

対馬で海藻の復活を目指す 温暖化や樹木伐採の影響で消失

長崎県対馬市にある「賀谷」地区。名前の通り、以前は「喜ばしき谷」で豊かな地だったが、今は温暖化や山の樹木伐採の影響で、海藻が消失したという。

そのため2021年12月、NPO法人賀谷藻場保全会(代表 鎌田 衛)を設立。藻場の環境保全活動を展開している。鎌田氏は以前はイタリアンのシェフだったが、現在は一本釣りと素潜りを得意とする漁師だ。

同団体は、コンブなど海藻種苗の投入や食害生物の駆除、陸地への植林などを行っている。「海藻の消滅とそれに伴う海中の二酸化炭素の増加は、有用海産資源に直接悪影響を及ぼすだけでなく、日本海全体の生態系に破滅への悪循環を生み出す元となりうる」ためだ。

モニタリングポイント49か所の海藻の生息密度観察も随時行い、月に一度海底を撮影。海底の泥サンプルを採取し濁度測定なども行っているそうだ。

植林や下草刈りなど人手の必要な作業も多いが、遠方にいても応援できる「応援会員」も募集している。応援会員には返礼品として、応援会員の種類に応じた藻場産品を送ってくれる。

団体の活動や応援会員について、詳しくは下記ウェブサイトをご覧ください↓

https://gayamoba-2.jimdosite.com

「都市森林」をめざし、木を植え続けるパリ市

フランス・パリ市のイダルゴ市長は2020年、大規模に緑化するため17万本の木を植えることを公約に再選された。

2023年の夏までに6万3500本の木を植え、この冬には4万5000本の木を植えるそうだ。既に目標の3分の2(64%)に近づいているという。

https://www.euronews.com/green/2023/12/09/paris-starts-work-to-transform-busy-roundabout-into-citys-first-urban-forest

フランスの環境団体は、「森は木のプランテーションではなく、生態系。(都市森林は)森とはいわない」などと批判しているらしいが、日本から見たらうらやましい話だ。

東京は木を切り続けている。神宮の森さえも、大規模に切り倒そうとするほどだ。

研究によると、「都市部の樹木は、地域の状況に応じて2°Cから10°Cの間で温度を下げることができる」とのこと。

それならば、ヒートアイランドを緩和するためにも、東京はもっと木を大事にするべきだろう。生物多様性の劣化や温暖化の対策になることも間違いない。