U20メイヤーズ・サミット、特定の使い捨てプラ段階的廃止に東京と大阪が署名

G20に先駆け、5月20日から22日まで行われたU20(世界の主要都市の首長らのサミット)のコミュニケ(公式声明)が発表されている。

U20には、世界の主要都市26都市が参加。日本からは、大阪市の松井市長と東京都の小池知事が参加した。

コミュニケの内容を読むと、下記がプラごみに関する部分のようだ。

III.海洋ごみに関する深刻な状況に鑑み、廃棄プラスチックの発生を削減する。そのために、 特定の使い捨てやリサイクルしにくいプラスチックを段階的に廃止し、廃プラスチック の輸出入に関するバーゼル条約の規制に沿い、法的に拘束力のある新しい国際合意を検 討する。
IV.持続可能な開発目標12(SDG12)に従い、また、ゼロウェイスト(廃棄ゼロ)に向け、 3R(リデュース、リユース、リサイクル)や環境に配慮した廃棄物処理をさらに促進 する。そのために、2030年までに一般廃棄物の最低70%を埋立・焼却以外の方法で処理 する。

これに承認したということは、松井市長も、使い捨てプラスチックやリサイクルしにくいプラスチックを段階的に廃止し、2030年までに「リサイクル率&リユース率70%以上」を目指すということだろう。

さらに小池都知事は、プラごみの焼却を2030年までに4割減らすことも発表している。以下首都圏NEWS WEB↓

東京都は、政府の目標に先んじる形で、2050年に都内の二酸化炭素の排出量を実質ゼロにすることを、新たな目標にします。
そのうえで、実現に向けた具体的な戦略をことし12月をめどに策定し、家庭や大規模なオフィスビルから排出されるプラスチックごみの焼却量を2030年までに4割削減することなども盛り込む方針です。

都が4割減らすための具体的な方法はまだ不明だが、少なくとも環境省の廃プラ焼却の要請には応じるつもりはないようだ。

大阪市と東京都が今後どのようにプラスチック削減やリサイクル率向上、CO2削減に取り組んでいくか、注目したい。

<参考>

「2019年U20東京メイヤーズ・サミット・コミュニケ(和訳)」

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/05/22/documents/04_03.pdf

首都圏NEWS WEB(2019.5.21)「2050年にCO2実質ゼロ目標」

https://www3.nhk.or.jp/lnews/shutoken/20190521/1000029968.html

日本経済新聞(2019.5.17)「産廃プラ、自治体の処理「厳しい」 小池都知事が見解」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44935930X10C19A5L83000/

環境省による産廃廃プラ焼却推進論とデポジット制度反対論は同根

容器包装リサイクル法ができたとき、これで企業が再商品化費用を支払うことになり企業責任が明確になる、と安堵した反面、本来回収責任も企業にあるはずだということが忘れられてしまうのでは?と懸念した。

世界では、回収から最終処分(リサイクルなど)までを企業責任とする拡大生産者責任が当たり前になってきている。日本が真似をしたというフランスの包装令も、制度導入当初は5割ほどしかなかった生産者責任割合をどんどん拡大している。

しかし日本では、企業責任が縮小されつつあるようだ。

その一例として、環境省が自治体の焼却炉で産業廃棄物である廃プラの焼却を推進するかのような報道があった。焼却に協力した自治体には、環境省が支援金まで出すという。

産業廃棄物を100%企業責任で処理することは当然である。どんなに困っても、これに税金を使うべきではない。

同様に、使い捨ての容器包装なども企業責任で処理すべきだ。そうでなければ、自治体が税金を使って使い捨てを応援していることになる。

最近、飲料容器のデポジット制度に対する反対意見を読んだ。日本は十分回収率が高いのだから、デポジット制度にするのは意味がないのだそうだ。しかも、本来デポジット制度はリユースできるものが対象で、使い捨てのものをデポジット制度で回収するのはおかしい、というこれまでの経緯を無視するかのような「先祖返り的」意見も制度に反対する根拠の1つになっていた。

しかしこれらの意見にはいくつもの重大な間違いがある。うち1つに、先般の報道との類似点がある。

自治体が税金を使って、なぜいつまでも使い捨てのペットボトルや缶・びんを回収しなければならないのか?例えばペットボトルは、現在、自治体が半分以上を回収し、ようやく80%程度のリサイクル率を達成している。

なぜ、自治体が、月に幾度も集積所を廻って、住民が使い捨てた嗜好品の容器を回収し続けなければならないのか?回収費用のほうが、ペットボトルの売却費用よりもはるかに高くつくにも関わらず。

自治体が税金で回収し続ける限り、ペットボトルなど使い捨て容器に補助金を出しているのと同じだから、いつまでたっても使い捨ては減らない。

企業が、生産者責任として回収費用を最初から販売代金に上乗せして回収するのが当然ではないか。しかし、消費者が容器を回収ボックスまで返却しに行くのは、自治体回収よりも手間がかかる。そのため、返却にはインセンティブ(動機付け)が必要だ。その点でデポジット制度は優れた回収制度であろう。

デポジット制度に反対する人は、まず回収責任の所在、つまり「誰が責任を持つべきか」を考えてほしい。

自治体による産廃廃プラ焼却推進意見と、デポジット制度反対意見からは、「税金で処理して当然。税金で回収して当然。みんなで使ったものだから、みんなのお金で処理しましょう」という気持ちの悪い甘え(あるいは故意に責任の所在をウヤムヤにする意図)を感じる。

この甘さが、ペットボトルや缶の消費量と散乱量を増やしているのではないか。

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環境省、産廃の廃プラを自治体に焼却要請

環境省の自治体廃プラ焼却要請の真実とG20に向けた海プラ関連ニュース(まとめ)

 

日本水産が河川からのプラ流入を調査、コカ・コーラも

日本水産が、2019年度から海洋プラスチックの河川からの流入状況を調査する。また、食品の容器で環境負荷の低い包装材の開発や利用を進めるとのこと。

海産物を扱う企業にとって、海洋プラスチック汚染は深刻な問題だろう。漁獲量の低下はもちろん、汚染を不安視する消費者の魚離れも心配だろうことは想像に難くない。

容器も、缶ならば安心だとは消費者も思っていない。ビスフェノール類の溶出を気にする消費者は少なくない。しかし日本には、なぜかビスフェノールフリー表示製品は少なく、メーカーまで問い合わせても、回答は不十分だ。

海洋プラスチック汚染に関しては、原因企業であるとはいえない日本水産だからこその、調査結果に期待したい。もちろん、よりよい容器の開発にも期待したい。

また、日本財団は、東京大学だけでなく、日本コカ・コーラとも共同で海洋プラスチック汚染問題に取り組むようだ。

日本コカ・コーラと日本財団は、国内のプラスチック廃棄物が河川や海に流出する原因を調査する「陸域から河川への廃棄物流出メカニズムの共同調査」を開始したとのこと。全国8カ所で約240kmにわたり調査し、廃プラが回収されずに、河川・海に流出する「流れ」を明らかにするという。

さらに、「日本国内では、ペットボトルについては約98%が回収されているとされるが、残り2%の回収も目指す」そうだ。

回収率を上げる取組に期待したいが、何をするつもりか?自動販売機に啓発シールを貼ったり、回収箱を増やしたりする程度では、回収率は上がらない。「散乱ごみはマナーの悪い一部消費者の問題」であると、飲料メーカーが考えている限り、飲料系散乱ごみ問題は解決しない。

それにしても、この98%のペットボトル回収率はどこから出た数字だろう?どこにもこの手の数字で、根拠の明確なものはないはず。何かの間違いだろうか?

また、海洋汚染の原因企業の1つであるコカ・コーラが、単独でこの問題解決に取組むならばわかるが、なぜそこに日本財団が絡むのか、それがわからない。

<関連記事>

マイクロプラが人体に与える影響等を調査、東大・日本財団

<参考>

日本経済新聞(2019.5.20)「日本水産 海洋プラスチック問題で調査 環境対応」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45015140Q9A520C1X12000/?n_cid=SPTMG002

RIEF(2019.5.23)日本コカ・コーラ、日本財団と共同で、国内廃プラスチックが河川から海洋に流出する「流れ」を追跡する調査を開始。ドローン、AIも活用(RIEF)

https://rief-jp.org/ct11/90116

マイクロプラが人体に与える影響等を調査、東大・日本財団

東京大学が日本財団から約3.5億円(3年間)の助成を受け、海洋プラスチックごみ対策について研究する。

「科学的に確かな基盤を提供するため、海洋中のプラスチックの挙動や生体影響、さらには講じられる対策の社会科学的意義等に関する研究を展開」するとのこと。

生体への影響についての研究は、特に1ミリ以下のマイクロプラスチックが体内でどのように影響するのか等が研究されるようで、結果が待ち遠しい。

以下、ソーシャルイノベーションニュースより転載↓

中でも、柱の1つとなっているのが、「東京大学のご理解を頂きまして、今話題になっているマイクロプラスチックの問題について研究をして頂く」と、日本財団の笹川陽平会長が語ったように、マイクロプラスチックの調査。例えば、科学的なデータが少ないという1mm以下の海洋マイクロプラスチックの実態や、培養腸管モデルといったバイオ細胞などを用いて、マイクロプラスチックが人体にどんな影響を与えるかなどを調査するという。

そして、2021年に、こういった研究・対策の成果から海洋ごみについて新たな科学的知見を発表できることを目指している。そんなこのプロジェクトの総事業費は、なんと3億5000万円を超える。

<出所>

東京大学(2019.5.14)「東京大学・日本財団 海洋ごみ対策プロジェクトについて」

https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/z0801_00015.html

ソーシャルイノベーションニュース(2019.5.15)「東京大学と日本財団が連携 海洋ごみ対策について科学的に挑む一大プロジェクト」

東京大学と日本財団が連携 海洋ごみ対策について科学的に挑む一大プロジェクト

 

クジラ漂着相次ぐ、神奈川県内の海岸

神奈川県内の海岸で、クジラの死骸が相次いで見つかっている。

2019年5月21日午後5時過ぎ、鎌倉市材木座海岸で約8メートルのオスのザトウクジラと見られる死骸が打ち上がっていたとのこと。

クジラは既に腐敗が進み、頭部や尾びれがなかった。

また、22日午前6時頃には、横須賀市の東京湾に面した北下浦海岸で、約6メートルのクジラの死骸が打ち上げられているのが見つかった。

腐敗が進んでいることから、横須賀市は現場に穴を掘って埋める方針とのことで、解剖はしないようだ。

イタリアやアメリカの東海岸でもクジラの漂着が相次いでいると聞く。

イタリアではプラスチックごみを食べたことが原因であるとみられるクジラの死骸も漂着している。米東海岸では、船舶との衝突や漁網への絡まりが原因のようだ。

<参考>

TBS NEWS(2019.5.22)「海岸にクジラの死骸 相次ぐ」

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3679758.html

exciteニュース(2019.5.22)神奈川県で相次ぎクジラ死骸打ち上げ、最近の事例とその後の地震

https://www.excite.co.jp/news/article/Jishin_news_12720/

朝日新聞デジタル(2019.5.22)「横須賀の海岸にもクジラ漂着? 体長6mの死骸を発見」

https://digital.asahi.com/articles/ASM5Q3RD9M5QULOB00H.html

CNN(2019.5.21)「シチリアにクジラの死骸漂着、プラスチックで胃が詰まる?」

https://www.cnn.co.jp/world/35137251.html

 

環境省、産廃の廃プラを自治体に焼却要請

環境省が、自治体に産廃の廃プラ焼却を要請する、という報道に愕然とした。

バーゼル条約の対象に、汚れた廃プラを加えることを日本とノルウェーが提案し、採択されたことから、G20に向けて、日本もようやくプラごみ対策に本腰を入れると思っていた。しかし、違っていた。

海外向けにはプラスチック対策をしています、という姿勢を示し、削減はほどほどにして、出てしまった廃プラは自治体の焼却炉で燃やしましょう、ということだったのか。

要するに、廃プラ焼却を国が奨励するということである。

これまで環境省は、容器包装リサイクル法の対象であるプラスチック製容器包装を分別回収から焼却に切り替えた和歌山市などの自治体を非難していた。しかし、これから先は非難できないだろう。今後、プラスチック製容器包装のリサイクルをやめ、焼却に切り替える自治体が増えることは間違いない。

廃プラの処理を依頼した企業から自治体が焼却代(処理費用)を取るのは当然だが、廃プラを受け入れた自治体には環境省が財政支援までするとのこと(毎日新聞2019.5.16)↓

関係者によると、家庭ごみの分別が徹底されてきたことで、自治体が所有する焼却炉は稼働率が低水準のものも多く、事業ごみの廃プラを焼却する余力があるという。このため環境省は、緊急避難的に廃プラの処理を市区町村に要請することとした。受け入れた自治体には財政支援をするほか、処理費用の徴収なども認める。

以前から、国が自治体に焼却施設の余剰について尋ねているというウワサは聞いていた。しかし、それはあくまでも緊急避難的措置で、現在溜まっているどうにもならない廃プラを焼却するだけだろうと思っていた。

自治体は今後産業界から出た廃プラまで燃やすことになるのだ。今は「お願い」という形だが、いずれは廃棄物処理法が改悪され、「義務化」される可能性もあるのではないか。

もしそうなれば、生産者責任など、少なくとも廃棄物処理に関しては、日本にはないということになる。

自治体にできることは、やはり脱焼却を目指し、焼却施設を作らない方向に舵をきることだ。

それにしても、日本の環境政策はなぜこれほど「退行」するのだろう?

欧州議会は、2020年から廃棄物処理や焼却施設への財政的支援を結束基金から排除する、と聞く。カナダでも、焼却施設の建設に、国から補助金が出ることはない、と聞いたことがある。

しかし日本は、焼却施設の建設に際し、国が補助金を出すのが当たり前になっている。国の補助金を使用していると、焼却施設に余力のある自治体は、今回の環境省による廃プラ焼却要請も断りにくいかもしれない。

<関連記事>

環境省による産廃廃プラ焼却推進論とデポジット制度反対論は同根

環境省の自治体廃プラ焼却要請の真実とG20に向けた海プラ関連ニュース(まとめ)

<参考>

毎日新聞(2019.5.16)「廃プラ、産廃も焼却要請へ 環境省、市区町村に 全体の8割占める」

http://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/politics/mainichi-20190516k0000m010010000c?fm=topics

日本経済新聞(2019.5.16)「環境省、自治体に産廃のプラ焼却要請 来週にも通知へ」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44900660W9A510C1000000/

<関連記事>

バーゼル条約の廃プラ規制、とりあえず採択

未来世紀ジパング、漂着クジラから出たプラごみの衝撃映像

5月8日に放送された未来世紀ジパングに、フィリピンの漂着クジラの解剖場面があった。

クジラのお腹から、バナナ農園で使われたプラスチック袋などが次々と出てくる。中にはまだ字が読めるレジ袋もあった。レジ袋には「生分解性」の文字も見える。

おそらくポリ乳酸を使用したレジ袋だろう。分解する前に海に落ち、分解されないままクジラに食べられ、クジラが栄養失調で死ぬ原因の1つを作った。

まさに衝撃映像だ。

頑張って作られた番組でなかなかよかったが、残念だったのは最後の司会者の言葉。

日本は焼却施設で支援できる、などと海ごみの原因者がまるで日本とは無関係であるかのような発言だった。

日本もフィリピンへ廃プラを輸出している。それもあるが、バナナ農園で使い捨てられる大量のプラスチック袋の責任は日本にもある。使い捨てて放置される理由は、袋の処理費用をバナナ価格に反映できないからではないか。

もう少しバナナを高く買うならば、バナナ農園も、バナナの房にかけるプラスチック袋について、使用後の処理などにも気を配れるようになるのではないか、と考えさせられた。

ダバオの副市長は、使い捨てプラスチックを禁止する政策を導入するといっていたから、これからはバナナ農園の袋もリユースされるようになるのかもしれない。

少々高くなっても、使い捨てられ、放置されるプラスチック袋とは無縁のバナナを買いたいと思う。

テレビ東京の公式配信で15日まで再放送が見られる↓

https://video.tv-tokyo.co.jp/zipangu/episode/00071040.html

 

オーストラリアのコカコーラ、年末までにペットボトルの7割を再生プラに

各州でデポジット制度の導入が相次ぐオーストラリアで、コカ・コーラオーストラリアが、「2019年末までに、コカコーラ社がオーストラリアで使うペットボトルの70%に再生プラスチックを使う」という画期的なプランを発表した。

これにより、2020年以降は毎年約1万6000トンの再生プラスチックを使うことになるそうだ。

日本コカ・コーラ社の2030年ビジョンは、「原材料としてリサイクルPETあるいは植物由来PETの採用を進め、PETボトル一本あたりの含有率として、平均して50%以上を目指します」である。

コカ・コーラオーストラリアのプランは、やはりデポジット制度により回収される品質のよいペットボトルがあるからこそ、立てられた計画だろう。

日本コカ・コーラも、回収を自治体任せにするのではなく、デポジット制度などにより、自治体に頼らない回収方法を早急に検討してほしい。

ある記事で「消費者は好きな容器を選べばよい、ペットボトルが嫌いならば他の容器を選べ」とあるメーカー(コカ・コーラ以外の飲料メーカー)がいっているのを読んだ。しかし、選ぶ容器によって、使われる税金の額や環境負荷が異なることを知らない消費者は多い。消費者が好きな容器を選べばよい、という前に、飲料容器による外部コストをなくす努力をメーカーにはしてほしい。

ペットボトルは、最も外部コストが高い容器の1つだ。

*外部コスト:値段に反映されない隠れたコスト。詳しくは↓

https://kotobank.jp/word/外部費用-1286970

<参考>

COCA-COLA AUSTRALIA(2019.4.16)How Coca-Cola in Australia is working toward a world without waste;

https://www.coca-colajourney.com.au/stories/coca-cola-australia-working-towards-world-without-waste

バーゼル条約の廃プラ規制、とりあえず採択

有害廃棄物の国境を越えた移動を規制するバーゼル条約の対象に、「汚れた廃プラスチック」を加えることが10日、スイスで開かれていた同条約締約国会議で採択された。

この汚れた廃プラスチックとは、「リサイクルに適さないほど」汚れたものであるとのことで、あまり厳密ではない。

朝日新聞(2019.5.11)によると、「環境省は、汚れた廃プラの対象について指針を定める方針。たばこの吸い殻が入ったペットボトル、使い終えたままのシャンプーの容器、土や石が交じった状態の農業用シートなどが想定される」とのこと。

実際の運用は各国に任され、2021年1月に発効する。

朝日新聞(2019.5.11)

https://digital.asahi.com/article_search/detail.html?keyword=バーゼル&kijiid=A1001120190511E001-04-009&version=2019051203

 バーゼル条約で汚れた廃プラスチックが規制対象になった背景には、プラごみによる海洋汚染が地球規模の問題として深刻化していることがある。

リサイクル資源として輸出入されている廃プラのうち、汚れがひどいものなどは輸入国で適切に処理されずに、海に流れてごみになっているものもある。紫外線や波で劣化して5ミリ以下の細かいマイクロプラスチックになり、魚や貝の体内からも見つかるようになってきた。

バーゼル条約の会合でも、廃プラへの関心が高まり、議論されてきた。廃プラ全体の規制には難色が示されたため、昨秋、ノルウェーは「リサイクルに適さないほど汚れた」ものを規制する付属書改正案を、今締約国会議に向けて提案。日本は賛同した。

これから、どのような国内処理が進むのか、相変わらずの「サーマルリサイクル」で、産廃の焼却施設が増えるのか、それとも「マテリアルリサイクル」を進めるべくリサイクル施設を増やすのか、気になるところだ。

輸出制限により国内での処理費用が高騰し、不法投棄が増えることも懸念されている(日本経済新聞2019.5.11)。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44690870R10C19A5EA2000/

しかし、まずは海外へ送る道がほぼ閉ざされたようで、よかったと思う。

<関連記事>

廃プラの輸出入禁止(バーゼル条約)について

 

海洋プラごみアクションプランと生分解性プラのロードマップ

経産省が、海洋生分解性プラスチック開発・導入普及のロードマップを策定した(経産省ニュースリリース. 2019.5.7)。以下、一部転載↓

https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190507002/20190507002.html

本年2月に内閣官房の下に「海洋プラスチックごみ対策の推進に関する関係 府省会議」を設置し、6月のG20サミットまでに、日本国政府としての具体的な取組を取りまとめた「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン(仮称)」を策定予定です。

経済産業省としても、廃棄物の適切な管理が何より重要であることを前提に、3R (リユース、リデュース、リサイクル)の着実な推進を行い、それでもなお廃棄物が 海洋流出するリスクに対応していくため、新素材・代替素材の技術開発を促進する等、イノベーションによる解決で世界への貢献を目指すことにしています。

アクションプランとは、各関係省庁が集まり、プラスチック海洋汚染防止のための検討会。以下の8つのテーマに沿って話し合われ、G20までに策定される。

〇プラスチックごみの回収・適正処理の徹底

〇ポイ捨て・不法投棄・非意図的な海洋流出の防止

〇ポイ捨て・不法投棄されたプラスチックごみの回収

〇海洋に流出したプラスチックごみの回収

〇イノベーションによる代替素材への転換

〇取組を促進するための関係者の連携協働

〇途上国等における対策促進のための国際貢献

〇実態把握・科学的知見の充実

第1回目は2019年2月26日に開催された↓

https://www.env.go.jp/water/marine_litter/mpl.html

気になるレジ袋有料義務化は、形(ポイント制でも認めるのか、零細な小売店も即対象となるのか、など)はどうなるかはまだわからないが、既にこのプランに織り込み済みなのだろう。

経産省の生分解性プラについてのロードマップを実現するためにも、プラスチック製レジ袋の大幅削減は必須だ。

そうでなければ、代替品の普及など進まない。

しかし、代替品も問題がある場合が多そうなので、よく考えて進めて欲しい。

食料と競合する植物を使用したものや、自然環境を破壊する可能性の高い石灰石を使ったものなどは、導入を見合わせるべきだろう。

リサイクルルートの確立も必須だ。

まずは大幅削減した上で、慎重に代替品導入を進めて欲しい。