G7、新たな海洋プラごみゼロ目標を前倒し。目標値が低すぎた大阪ビジョン仕切り直し

2019年6月の大阪サミットで決まった「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を仕切り直すことになった。

大阪ブルー・オーシャン・ビジョンでは「2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す」ことが合意されていたが、当時から意欲的な国々の間では疑問が呈されていた。

やはり、前倒しがG7で決定した。新たな目標は、「海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2040年までにゼロにする」である。

2050年には海のプラごみは魚の量を上回る(重量換算)とまでいわれているので、2040年でも遅すぎるくらいだろう。

もし、アメリカがまだトランプ政権の時代だったら合意しなかったろうが、民主党政権だから合意できたのだろう。

日本が喜んで合意したとは思えないが、これからどのように進めるつもりなのか興味津々だ。まさか「このままでいい。日本からは流出していないのだから」などとは考えていないよね?

<G7目標についての出典>

「40年までに新たな汚染ゼロ G7、海洋プラごみ対策で合意」↓

https://news.yahoo.co.jp/articles/5f637480b7de6ac5b7ca6edf7e7bd34094906050

東大:メダカは淡水より海水でマイクロプラを多く取り込む

魚が淡水と海水とではどちらの方がより多くのマイクロプラスチックを取り込むのか、東大の研究グループがメダカを使って実験をした。

使ったメダカは海水でも生きられる種で、マイクロプラは1マイクロメーターのポリスチレン。

このサイズのマイクロプラの場合、魚はエサと間違えて食べるのではなく、水と一緒に否応なく取り込むそうで、浸透圧の関係で、海水魚は水分補給のため海水をよく飲む。そのため、がマイクロプラ取り込み量を淡水魚より多いという。

yahooニュースによると、海水魚も淡水魚も体液の浸透圧は海水の3分の1と変わらない。海水は体液より浸透圧が高いので、えらや体表から水が体から出て行ってしまう。「そのため海水魚は水分補給のため海水をよく飲み、食道や腸で塩分を除き、浸透圧を下げてから水を吸収する。一方、淡水は逆に体液より浸透圧が低いので、えらや体表から常に水が入る。そのため淡水魚は水をほとんど飲まず、体に入った不要な水は尿として排出する」とのこと。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1c23d7120b04a07aaa2b36c9c7f39590542a44d8

魚は、汚染が進めば進むほどマイクロプラを体内に取り込む。人間もプラスチックによる大気汚染が進むほど、マイクロプラを体内に取り込んでしまう。人の呼吸は成人で1日2万回。既に膨大な量のマイクロプラを取り込んでいるが、一体蓄積量はどれ程なのだろうか。

英マクドナルド、デポジット付きリユースカップを導入

イギリスのマクドナルドは、ハッピーセットのプラスチック製おもちゃを廃止するなど、これまでも脱プラに熱心だった。

今度はくり返し使えるカップを2021年から導入する。消費者はコーヒーなどをテイクアウトする際、デポジットを支払う。カップを返却するとデポジットが返金される。

カップはLOOPが開発したもので、回収・洗浄もLOOPのシステムを使う。

LOOPはロンドンで今年の7月から開始されているシステム。既にニューヨークやパリでも始まっている。

日本のLOOPは東京都内で今秋から開始されるはずだったが、遅れている。日本はLOOPの通販でさえいつ開始されるかわからないし、イオンも導入するといってはいるがいつになるかはわからない。

まして、日本のマクドナルドがLOOPを採用することはなさそうだが、イギリスでは着々と進んでいる。

<関連記事>

LOOP、英国で開始 日本は来年に延期か

<マクドナルドについての出典>

Mcdonalds(2020.9.9)

https://news.mcdonalds.com/mcdonalds-loop-reusable-cup

 

オーストリアがデポジット制度を導入、リユースできる容器を義務化

画期的なニュースが飛び込んできた。

オーストリア政府が2023年から飲料の4分の1を詰め替えボトルで販売することを義務化する計画を立てているそうだ。

2年後にはこの割当は40%にまで引き上げられ、2030年には55%に引き上げられる。つまり飲料容器の半分以上はリユース容器になるということだ。

おもにはガラスビンを念頭に考えられているとのこと。

現在、オーストリアは詰め替え可能なペットボトルだけがデポジット制度の対象だ。だが、計画では、使い捨て飲料容器もデポジット制度の対象にする。

政府のこれらの計画に対し、グリーンピースやグローバル2000、WWFなどの環境団体は歓迎しているが、オーストリア連邦経済会議所は、お金がかかることなどを理由に反対している。

経済界が反対するため、日本でもこの手のことはこれまでできなかったが、今後は日本もやらざるを得なくなるはずだ。

<オーストリアに関する出典>

EUWID(2020.9.7)

https://www.euwid-recycling.com/news/policy/single/Artikel/austria-plans-deposit-for-single-use-beverage-containers-brquota-for-refillable-bottles.html

海に浮かぶマイクロプラスチックの数は50兆個ではなく125兆個!1ミリ未満のMP数はネットの目合い次第で変わる

これまでいわれていた海に浮かんでいるマイクロプラスチック(MP)数は約50兆個、というのは過小評価だったようだ。

実は2倍以上とのこと。

今年5月、「Environmental Pollution」誌に発表された英国のプリマス海洋研究所などの研究者らの推定では、世界のマイクロプラスチックの量は12.5兆~125兆個だった。

これまでの50兆個という数は、333㎛目合いのネットで採取されたサンプルのデータにもとづいてモデル化された浮遊マイクロプラスチック推定値「5兆から50兆」からきたものだ。

それが100㎛のネットを使って採取すると、「12.5〜125兆個」となるらしい。

そういえば、協会報『海洋調査』No.141にも、非常に興味深い研究結果が載っていた。

「海洋マイクロプラスチックへの取組」(吉里尚子著)

「目開きが0.3mmのネットで採集された粒径別の粒子数は、0.10mmのネットで採集されたものと比較すると、MP粒子数の長径(d max)が1.0mm未満の粒子が2〜5分の1でした。」

「目開きが0.35mmのネットを用いて得られた粒子数は、0.10mmのネットで採集されたものと比べて、短径(d min)が0.5mm未満の粒子が少なく、それらの粒子は目開きが0.35mmのネットをより多く通過し、長径1.0mm未満のものが少なくなると考えられました。」

要するに、0.35mmの目合いのネットを使って採集したMPは、短径が0.5mm未満のMPでも入らないことが多く、0.3mmのネットでは長径1mm未満のものはネットに入らないものが多いので、これまで報告されてきたMPの数、少なくとも1mm未満の数はアテにならず、少なく見積もられていた可能性が高いということか。

どうりでこれまで報告されていた1mm未満のマイクロプラスチックの数が少なかったわけだ。

0.3mm目合いのネットを使ったからといって、0.3mm以上のMPがきっちり入ってくれるわけではない、ということだろう。

うまくすり抜けてしまうようだ。

それにしても、2020年に入ってから発表されるマイクロプラスチックの研究は、ビックリさせられることばかりだ。

<参考>

University ofExeter(2020.5.19)

https://www.exeter.ac.uk/news/research/title_797045_en.html

「海洋マイクロプラスチックへの取組」吉里尚子著『海洋調査』No.141(2020)

 

言行不一致を指摘され、仏エビアンはミニPETボトル生産中止 日本では継続?

たまたま検索をかけていて、日本では220mLのミニペットボトル入りエビアンを伊藤園が売っていることに気が付いた。脱プラといいながら、日本ではペットボトルの小型化が進み、人気は衰えていないようだ。

フランスでは2019年6月、署名サイトchange.orgで、ある消費者がエビアンのブランドを展開するダノンの言行不一致を指摘し、小型の水ボトルの生産停止を訴える署名を開始した。

ダノンは「地球は1つ(ワンプラネット)」と環境重視の姿勢をアピールしながら、エビアンの200mLのミニボトルを売っていることの矛盾を糾弾されたのだ。

署名は15万5595筆も集まった。消費者の声に押されたエビアンは、2019年末までに小型ペットボトルの生産停止を発表した。

以前このニュースを知った時、日本でも小型のエビアンは販売中止されたのだろうと思っていた。しかし、日本とフランスは販売する会社が違う様で、今みたら220mLのペットボトル入りエビアンが伊藤園から今でも売られている。330mLや500mL入りも売られている。

わずか200や300mLの水を飲むために、ペットボトルを使い捨て、CO2を垂れ流すなど、信じられない気がするが、伊藤園は地球環境や評判など気にせず、売れればどんなサイズでも作るのだろうか。

<参考>

Evian renonce à sa bouteille en plastique « goutte d’eau »

Pour le retrait des minis bouteilles d’evian;

https://www.change.org/p/pour-le-retrait-des-minis-bouteilles-d-evian

 

アサヒ飲料G、豪にペットボトルリサイクル工場建設

アサヒ飲料グループは、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州に、現地の会社と合同でペットボトルのリサイクル工場を建設する。2021年12月までには稼働する予定。

完成すれば、年間約10億本相当のペットボトルをリサイクルできる。費用は4,500万豪ドル(3,200万米ドル)とのこと。

アサヒ飲料グループは、昨年AB InBevのCarlton&United Breweries(CUB)子会社を160億豪ドル(113億米ドル)で買収。

オーストラリアは、既にほとんどの州で飲料容器のデポジット制度を開始した。中国へ輸出できなくなった昨今、回収されたペットボトルは国内でリサイクルする必要がある。

この工場では、300人を超える現地の人を雇用することから、雇用の創出にも貢献するそうだ。

<参考>

Australian joint venture to build $32m PET recycling plant

Australian joint venture to build $32m PET recycling plant

 

 

 

マルタで飲料容器デポジット制度がスタート

下記のニュースによると、マルタで7月31日から飲料容器のデポジット制度が開始されたようだ。

循環型経済(サーキュラーエコノミー)実現の一環だ。

デポジット額もリファンド額も0.10ユーロで、容器を指定された場所に返却すると、バウチャーが発行される。

やはりサーキュラーエコノミーを実現するには、デポジット制度が必要なのだ。もしくは、使い捨て飲料容器をすべて禁止するか、のどちらかだろう。さすがに後者を選択する国は今のところなさそうだ。

<関連記事>

マルタ 2019年12月からデポジット制度開始か

<出所>

MONDAQ(2020.8.5)Malta: Circular Economy: Beverage Containers Recycling Regulations In Force;

http://www.mondaq.com/economic-analysis/972896/circular-economy-beverage-containers-recycling-regulations-in-force

 

キリン、瓶入り飲料3種販売終了!時代に逆行? 

キリンがビン入りの「キリンレモン」を、2020年12月末で販売終了するそうだ。併せて「キリン オレンジ きりり」「キリン 烏龍茶」も同時期に終売予定とのこと。

ペットボトルと缶での販売は継続。

しかし確か、キリンはガラスや金属を使ったリユース容器による通信販売の「LOOP」に参加予定のはず。これまでビン入りを買いたくとも、近くで売っていないため買えなかった人たちが、ようやく買えるようになるのに・・・。

脱ペットボトル化が進みつつあるこの時期に、大事なビン入り飲料の販売をなぜ終了するのだろうか?

もう少し続ければ、売れるようになったのではないかと残念だ。

<参考>

「瓶の「キリンレモン」が生産終了へ キリン「販売数減少のためやむを得ず」 瓶の「烏龍茶」「オレンジきりり」も終売に」↓

https://news.yahoo.co.jp/articles/d7fa864bfaa305ebedac9a444fb4e998e64e2f56

東京新聞(2020.8.5)「キリンレモンの瓶入り、生産終了 12月末、販売数減少で」↓

https://www.tokyo-np.co.jp/article/47220?rct=economics

コンビニ、レジ袋辞退率7割超

レジ袋有料化が始まってはや1ヶ月。

各社、レジ袋辞退率が3割から7割以上に上がったそうだ。

「セブンでは75%、ファミマとローソンでも76%に達した。各社の集計時期にはばらつきがあるが、7月のはじめから下旬までのデータだ。義務化に先立って有料にしたミニストップでも75%を超えいている」とのこと。

そのうち有料に慣れれば辞退率は下がるだろうが、とりあえずはよかった。路上でも、フワフワ落ちているレジ袋をあまり見かけなくなった気がする。

<参考>

朝日新聞デジタル(2020.7.31)「コンビニレジ袋、辞退率7割超に 有料化前の倍以上」↓

https://www.asahi.com/articles/ASN7061XWN70ULFA01M.html