欧州でラメ禁止の衝撃

欧州委員会がグリッター(化粧品や衣類、玩具などに使われるプラスチック製のラメなど)禁止を発表して以来、欧州のEU加盟国ではちょっとした騒ぎになっているようだ。

「Glitter ban」で検索をかけると、さまざまな記事がでてくる。

禁止を目前にグリッターをバーゲンしている店が多い様で、キラキラ好きな人たちが買いに走っているようだ。

例えば、英紙ガーディアンによると、ドイツのある有名人が禁止される10月15日を前に180ユーロ分ものグリッターを買いあさった話が紹介されている。

https://www.theguardian.com/world/2023/oct/09/glitter-sales-surge-in-germany-before-eu-microplastics-ban-this-week

グリッター禁止は、EUの意図的添加のマイクロプラスチック(5㎜以下のプラスチック)規制の一環だ。9月25日に欧州委員会が発表した。

グリッターと、洗顔料などにスクラブとして入れられているマイクロビーズが規制第一弾の対象となり、規制発効後即時中止されることとなった。発効は10月17日のはずだが、多くのメディアは15日に禁止と書いている。国によって前倒しで禁止したということだろうか?

この2つ以外のマイクロプラスチックは、4年から12年の猶予期間(禁止までの移行期間)が設定されているため、まだ大きな騒ぎにはなっていない。

規制の対象はマイクロプラスチックそのものと、マイクロプラスチックが意図的に入れられマイクロプラスチックを放出する製品、つまり対象は、人工芝(ゴムチップ)、洗剤、柔軟剤、グリッター、肥料、植物保護製品、玩具など多岐にわたる。

このうち最大の放出源は、人工芝に充填されるゴムチップだ。しかし、既にコルクなど代替品も売られている。ゴムチップは、亜鉛や鉛などの重金属と有害な化学物質の塊だから、人工芝を使う人の健康にも悪影響を与える。そんなものが川や海へ大量に流れ込んでよいはずがないから、規制は当然だ。ゴムチップの禁止までの移行期間は8年。長すぎるほどだが、これで欧州の人工芝離れはますます加速すると思われる。

これから特に対策が必要な業界は化粧品分野だ。化粧品はマイクロプラスチックの塊といっても過言ではないほど、マイクロプラスチックが多い。特に口紅に使われるマイクロプラスチックは、体内に入る量が多く健康への影響が気になるが、リップ関連製品の移行期間はネイルや他のメイクアップ製品と同じく最も長い。禁止は2035年10月17日からと書かれているので、12年もある。

既に香害など人間への被害が問題になっている香料入りマイクロカプセルの移行期間は6年だ。マイクロカプセルが規制対象になったのはうれしいが、マイクロカプセルについての情報はまだほとんどでていない。香料入りのみが対象なのだろうか?

最近は消臭効果を謳った柔軟剤も多いから、マイクロカプセルが包み込んでいるものは香料だけではなく抗菌剤などもあると思われる。そのあたりはどうなのだろう?もしかすると、香料以外のマイクロカプセル入り柔軟剤は、日本特有のもので欧州にはないのだろうか?確かに熱湯で洗濯する国では、抗菌剤入りの柔軟剤など無駄だから売れないような気がする。

<主な出典>

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=OJ%3AJOL_2023_238_R_0003&qid=1695804976302

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