日立市に続いて、武雄市でもプラ分別廃止を発表

佐賀県武雄市がプラスチック製容器包装の分別収集を4月から廃止すると発表した(佐賀新聞2018.2.16)。

茨城県日立市でも3月31日に、プラスチック製容器包装の拠点回収ボックスを終了すると発表している。

2016年度からの和歌山市でのプラ容器分別廃止は、当時多少の驚きをもって報じられたが、今ではもう誰も驚かない。おそらく多くの自治体は、「次はうちも」と考えているのではなかろうか。

武雄市も日立市も、今年度末をもってプラ容器の分別をやめ、可燃ごみとして焼却する方針である。

現在の容器包装リサイクル法は、市町村にとって協力するのがバカバカしいほど不利であることを考えると、廃止方針は理解できる。拡大生産者責任はごく一部にしか適用されていないので、まじめにやればやるほど多くの税金が必要になるからだ。マテリアルリサイクルされている、といえれば市民へのウケも良いが、ケミカルリサイクルの場合は説明すら難しい。

マテリアルリサイクルされた年でさえも、「残渣が多いし、できる製品はたかがしれている」などと聞きかじった市民からいわれる場合もある。どれが容器包装プラなのか、同じプラスチックなのになぜ容器包装だけが対象なのか、市民に理解してもらうだけでも一苦労だ。

いずれにせよ、容器包装リサイクル法は市町村の割に合わない。そのことを多くの市町村が気付き始めた、ということだ。

今のような中途半場な拡大生産者責任ではなく、回収から最終の処理段階まで生産者に責任をもたせる方向で容リ法を改正するしか、日本でリサイクル率を上げる術はない(もちろん、対象を「容器包装」に限定する必要もない)。

このままでは、ペットボトルの回収でさえも中止する市町村が、早晩現れるに違いない。

 

佐賀新聞「武雄市、プラスチック製容器包装の分別廃止」↓

http://www.saga-s.co.jp/articles/-/182206

日立市「プラスチック製容器包装の拠点回収が終了となります」↓

http://www.city.hitachi.lg.jp/shimin/007/002/001/p064328.html

PETのサーキュラーエコノミー戦略

サーキュラーエコノミー(循環型経済)についての話題を各地でよく聞くようになった。

2015年末に採択されたEUのサーキュラー エコノミー パッケージは、確かに画期的だった。経済価値も創出され、環境も雇用も守れるならば、いうことはない。

しかし、最近話題になっているサーキュラーエコノミーは、単にリサイクル率をいかに高めるかが主流になっている気がする。これでは、大量消費・大量リサイクル時代は終わらない。

先日、ヨーロッパのPETバリューチェーンがブリュッセルに集まり、PETのサーキュラーエコノミー戦略について、2日間にわたり200人以上の業界の専門家をまじえ話し合われたとのこと。

詳細な内容はわからないが、デポジット制度による回収と非デポジット制度によるそれとの比較についても話題になったようだ。

リサイクルしやすい製品設計に変えていくことが必要なのは当然だが、消費者からの使用済み製品をいかに回収するかが、サーキュラーエコノミーのカギになるはずである。

次回は、海ごみを減らすためにも、せめて散乱しやすいペットボトルは、デポジット制度により回収することを決議してほしい。

その上で、PET業界のみならず、地球全体が持続可能になるようなサーキュラーエコノミー戦略について考えてほしいものだ。

 

Recycling Magazine: Petcore: Strategy for PETin the Cicular Economy;

Petcore: Strategy for PET in the Circular Economy

 

あぶない油 総選挙!

パーム油(アブラヤシの油)は「植物油脂」として食品や洗剤などさまざまなものに使われている。

パーム油を避けては外食もできないし、おやつも食べられなくなるほど、本当にいろいろなものに使われる。カップ麺、アイスクリーム、チョコレート、クッキー、パン、ケーキ、マーガリン、ポテトチップス、マヨネーズ、カレールー、そして洗剤類・・・などなど。ある団体の調査によると、スーパーで販売されている製品の約半分に入っているとのことである。

しかし、パーム油の多くは熱帯林破壊につながっている。特に「炭素の貯蔵庫」と呼ばれる泥炭湿地帯を破壊し、アブラヤシを植えることで、インドネシアの泥炭湿地帯からのCO2排出量は、日本の年間総排出量にも匹敵するという報告もある。

水を抜くため、最初に水路を作ることで、大量の水が抜け、泥炭地に蓄積されていた有機物が分解し、CO2として排出される。その紙のように乾いた土地にアブラヤシが植えられると、火災が起きやすく、一度火がつくとなかなか鎮火しない。インドネシアの森林火災が頻繁に起きる原因の1つはこれである(プランテーション開発の際、売れる木を伐った後残った樹木等を焼き払うことにより他の森林にまで飛び火し火災となることも多い)。

企業に少しでもまともなパーム油(RSPO 認証パーム油)を使ってもらうため、「あぶない油総選挙!」というウェブサイトがプランテーションウォッチにより開設された。

商品を選んでクリックすると、企業の取組がわかる。がんばってほしい企業に投票すると、「がんばれポイント」が加算され、企業に声を届けられるとのことである。

プランテーションウォッチ「あぶない油総選挙!」↓

http://plantation-watch.org/sousenkyo/

エリザベス女王が、ストローやペットボトルを禁止

エリザベス女王は、プラスチックの使用を削減するため、バッキンガム宮殿で使われるプラスチック製ストローやペットボトルなどのような使い捨てプラスチックを廃止する方針を表明した。

段階的にスタッフの食堂で使われるプラスチック製ストローも禁止されることになる。

英国で最も知られている動物学者・デイビッド・アッテンボロー卿の影響によるとのことだ。

英国は最近続々と意欲的なプラスチック削減方針を打ち出しているが、王室もさすがである。

THE TELEGRAPH NEWS: The Queen declares war on plastic after David Attenbrough documentary;

http://www.telegraph.co.uk/news/2018/02/11/queen-declares-war-plastic-david-attenborough-documentary/

INDEPENDENT: Queen bans platic storaws and bottles on royal estates atter David Attenbrough documentary;

http://www.independent.co.uk/news/uk/home-news/queen-bans-plastic-straws-and-bottles-on-royal-estates-a8205896.html

THE TIMES: If the Queen’s gone green, so can everyone;

https://www.thetimes.co.uk/edition/comment/if-the-queens-gone-green-then-so-can-we-all-mwm9klwh3

スコットランドでも海岸浸食が問題に

国土面積の割に海岸線の長い日本では、海岸浸食が大きな問題になっているが、スコットランドでも問題になっているようだ。

スコットランドの海岸に近い3000以上の家屋と100マイル以上の道路と鉄道は、数十年以内に失われる可能性がある。グラスゴー大学の研究者は、海岸侵蝕により40億ポンド以上のインフラが損なわれる可能性があると予測したという。

日本でも一時期、海岸浸食が大きなニュースになったが(例えば讀賣新聞2016.9.11)、最近は飽きたのかあまり話題の上らなくなった。しかし、浸食が止まったはずはなく、また対策も一部地域にとどまっている。

THE TIMES: Scots homes and roads at risk from rising sea;

https://www.thetimes.co.uk/edition/scotland/scots-homes-and-roads-at-risk-from-rising-sea-m02brmd3d

讀賣新聞「九十九里浜消失の危機」

http://www.yomiuri.co.jp/local/chiba/feature/CO025631/20160912-OYTAT50006.html

なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その3)

下水道で紙おむつを処理する件が気になっている。

毎日新聞によると、国交省は5年後を目処に実用化したいということである。現在でも、世界各国の下水処理場の処理後の放流水からマイクロプラスチックが検出されている。日本の下水処理場も例外ではない。わずか5年で、紙おむつを下水道に流した際のマイクロプラスチック流出を止める目処が立つとは思えない。

温暖化の影響か、想定外の大雨が近年増えている。大雨の際の未処理水の川への排水が現在でも問題になっている。わずか5年でこれを解決した上で、下水処理施設での紙おむつ処理対応も行わなければならない。そうした上で、紙おむつ専用破砕機の開発とさらにそれに対応しやすい紙おむつも開発する・・ということであろう。国交省は事態を甘く考えすぎているのではないか。

この計画を国交省に提案し、その気にさせたのは日本下水道事業団であるようだ。

日本下水道事業団法という法律があるので見てみると、同事業団の役割は、下水道管理者を支援することのようである。「地方公共団体における下水道技術者の不足に対処し、下水道整備の促進を図る」ために下水道事業センター法が制定され、その後事業団法に改正された。

要するに、下水道事業団は、各地の下水道整備を手伝うためのものである。人口減少のため下水道に余力が生じ、仕事が減りつつあるのならば、既にリサイクルが進む紙おむつをそのまま下水道に流せるようにするなどという大胆な事業を開拓するよりも、現在の下水道の不備を補いつつ業務を縮小すべきではなかろうか。

日本下水道事業団法↓

http://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_000472.html

毎日新聞「紙おむつを粉砕して下水道へ 5年後メドに実用化」↓

https://mainichi.jp/articles/20180201/k00/00m/040/058000c

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「なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理(その1)

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なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その2)

2月9日の「なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?」に引き続き、なぜなのか考えてみた。

朝日新聞によると、国交省は、人口減少により下水処理能力に余裕ができたからといっているそうだ。

人口減少により余裕ができる分野は今後ますます増えそうだ。それらがこれからどんどん新規事業を開拓し生き残りを図る、その1つということだろうか。よい事業ならば歓迎だが、やらなくともよいことに手を出し、そのせいで今でさえ高い下水道料金がますます高くならないのだろうか?

川に、本来ならば下水処理場で処理されるべきものが流れ込んでいることがある。大雨の際に、処理しきれない汚水が流れ込むためためだと聞いている。このような事態をなくすことの方が先決ではなかろうか?

第1回検討会の議事録を読んでも、もともとの提案に何の必然性も感じられない。

「下水道・LIFE・えんじん研究会」の発起人の女性たちが円陣を組み理想的な社会について考えた結果の提案だったようだが、本当に紙おむつをトイレに流せるような装置を自宅のトイレに付けることで、長く快適な一人暮らしが可能になるのだろうか?

確かに、介護者は少しラクになるかもしれない、とは思う。紙おむつの入ったごみ袋をごみの日まで自宅に保管し、重い袋を持って集積所まで運ぶことは大変である。それよりは、トイレに付けたシュレッダーに紙おむつをポイと放り込み、ボタンを押すと細かくなって流れていく方が快適かもしれない。

しかし、その細かく断裁され、流れていった紙おむつを下水処理場で処理するというが、そのためのインフラ整備のために、自宅に装置を取りつけるお金のない人たちまでもが、その分高くなった下水道使用料金を負担させられるのは、どう考えても不公平だ。

その上、紙おむつに含まれるポリオレフィンなどがすべて下水処理場へ行き、そこで完全に除去できる可能性はかなり低い。昨年、アメリカやヨーロッパ、中国など世界各国の水道水からマイクロプラスチックが検出されたことを考えると、日本の水道水からもマイクロファイバーなどは既に出ているものと考えられる。

紙おむつが下水に流されるようになれば、紙おむつ由来のマイクロプラスチックが水道水から検出される可能性はかなり高い。

技術の進歩は否定しないし、介護者の苦労も理解できるが、わずかな便利さと引き替えに水道水を安心して飲めなくなると、一人暮らしも、介護も、ますます大変になる、と思う。

また、プラスチックが自然界に入り込むことで、人間のみならず、野生生物も被害を受ける。これ以上、人間の都合で生態系を乱すのはやめるべきだろう。

朝日デジタル「紙おむつ、下水に流して処理可能に?」↓

https://digital.asahi.com/articles/ASL104470L10ULFA00P.html

国交省「下水道への紙オムツ受入実現に向けた検討会」↓

http://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_000540.html

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ダンキン・ドーナツも2020年までに紙カップを使用

環境ホルモンの疑いがあるとして有害性を指摘されながらも、ファーストフードチェーンは長期に渡りスタイロフォーム(押出し発泡ポリスチレン)のカップを使い続けてきた。

それが、ようやく使われなくなるようだ。年内の切替を表明したマクドナルドに続いて、ダンキン・ドーナツでも紙コップへの切替を表明した。

ダンキン・ドーナツは2020年までに切り替えるとのこと。理由の1つは消費者の安全志向であるが、もう1つは海ごみ対策であろう。紙コップは、家庭などから排出された場合は禁忌品としてリサイクルされないが、紙コップのみで大量に回収し、それなりの設備のある製紙工場へ運べば、今でもトイレットペーパーなどにリサイクルできる。また最近では、簡単にリサイクルできる紙コップも開発されている。例えば、フィルムが簡単に剥がれて一般的な製紙工場でもリサイクル可能になっていたり、生分解性の素材が使われ堆肥化できるようになっていたりする紙コップもある。

ダンキン・ドーナツがどのタイプの紙コップを採用するつもりかは不明だが、売りっぱなしの姿勢をあらため、容器包装ごみの回収を前提とした場合、紙コップへの移行は必須であることは確かだ。

しかし、飛行機に乗ると、まだスタイロフォームで飲物を提供されることがある。早く機内での飲物容器も切り替えてほしいものだ。

Plastic News: Dunkin’ orders its coffee in a paper cup;

http://www.plasticsnews.com/article/20180207/NEWS/180209912/dunkin-orders-its-coffee-in-a-paper-cup

デポジット制度:ノルウェーのペットボトルリサイクル制度

海ごみ対策として、スコットランドがデポジット制度導入を表明したことをきっかけに、英国全土でデポジット制度が検討されている。

BBCニュースで、ノルウェーのペットボトルのデポジット制度が紹介された。96%もの高い回収率を達成していることから、海洋プラスチックごみ汚染問題の解決の一助になるのみならず、資源の節約にもなるという。さらに、飲料メーカーがシステムに必要な費用を支払うため、税金も節約できる。

しかも、この映像にあるノルウェーのペットボトルはキャップが外れないタイプだ。キャップを付けたまま自動回収機に入れられ、工場へ運搬後、リサイクルされる。

日本のスーパーや行政回収では、廃ペットボトルの品質向上のためとして、キャップやフィルムを剥がすことが求められている。しかし、海外でペットボトル回収の際に、キャップ外しを要求されることは少ない(ラベル剥がしを求められることはまずありえない)。なぜ日本のペットボトルリサイクルだけが、消費者にキャップやフィルム外しを過度に要求するのか不明である(もちろん、理由はそれなりにいわれている。要は中間処理施設での圧縮や、工場での選別工程の問題であるが、納得できる理由ではない)。

日本のこのキャップ外しの習慣が、キャップの外れないペットボトルの普及を阻害し、結果として、キャップが大量に川辺や海岸に落ちている原因の1つとなっているのではなかろうか?

BBC News: Plastic bottle plan that could save oceans;

http://www.bbc.com/news/av/world-europe-42968529/plastic-bottle-scheme-that-could-help-clean-the-oceans

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ノルウェーのデポジット制度 高い回収率維持の理由

マクドナルドの容器包装に関する環境方針

2018年1月、マクドナルドが新たな環境方針を発表した。

この方針の背景には、世界銀行の「2025年までに毎日600万トンのごみが発生する」という見積もりと、エレンマッカーサー財団と世界経済フォーラムの「2050年までに海洋には魚より多くのプラスチックが存在することになる」という報告がある。

そのため、マクドナルドは100カ国に37,000軒を超えるレストランを展開する企業の責任として、2025年までに来客に提供する容器を改善する以下の目標を発表した。

・2025年までに、来客に提供するすべての容器包装を、再生可能か、あるいは再生品か、あるいはFSCなどの認定されたソースからのものとする。

・2025年までにマクドナルド店内で来客に提供した容器包装は100%リサイクルする。

既に、段階的に環境配慮設計を進めていたそうで、発泡スチロール容器も既に減らしており、2018年末にはすべてなくす方針とのこと。

ハンバーガーはあまり食べないので今まで気付かなかったが、マクドナルドは頑張っているようだ。

(追記)

『日経ESG 2018.8』によると、日本マクドナルドも持続可能な食材や紙を調達しつつあるようだ。

1.FSCの紙を使用(既に71%、2020年までに100%)

2.英国では試験的にプラスチックストローを紙製に切り替え

3.バンズにパーム油が使われているか確認中

4.将来的にASC認証のエビの使用を検討する

5.揚げ油にRSPO認証のパーム油を使用

6.MSC認証のスケソウダラを使用

<参考>

By 2025, all of McDonald’s Packaging to come from Renewable, Recycled or Certified Sources ;

http://news.mcdonalds.com/news-releases/news-release-details/2025-all-mcdonalds-packaging-come-renewable-recycled-or-0