スコットランドでも海岸浸食が問題に

国土面積の割に海岸線の長い日本では、海岸浸食が大きな問題になっているが、スコットランドでも問題になっているようだ。

スコットランドの海岸に近い3000以上の家屋と100マイル以上の道路と鉄道は、数十年以内に失われる可能性がある。グラスゴー大学の研究者は、海岸侵蝕により40億ポンド以上のインフラが損なわれる可能性があると予測したという。

日本でも一時期、海岸浸食が大きなニュースになったが(例えば讀賣新聞2016.9.11)、最近は飽きたのかあまり話題の上らなくなった。しかし、浸食が止まったはずはなく、また対策も一部地域にとどまっている。

THE TIMES: Scots homes and roads at risk from rising sea;

https://www.thetimes.co.uk/edition/scotland/scots-homes-and-roads-at-risk-from-rising-sea-m02brmd3d

讀賣新聞「九十九里浜消失の危機」

http://www.yomiuri.co.jp/local/chiba/feature/CO025631/20160912-OYTAT50006.html

なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その3)

下水道で紙おむつを処理する件が気になっている。

毎日新聞によると、国交省は5年後を目処に実用化したいということである。現在でも、世界各国の下水処理場の処理後の放流水からマイクロプラスチックが検出されている。日本の下水処理場も例外ではない。わずか5年で、紙おむつを下水道に流した際のマイクロプラスチック流出を止める目処が立つとは思えない。

温暖化の影響か、想定外の大雨が近年増えている。大雨の際の未処理水の川への排水が現在でも問題になっている。わずか5年でこれを解決した上で、下水処理施設での紙おむつ処理対応も行わなければならない。そうした上で、紙おむつ専用破砕機の開発とさらにそれに対応しやすい紙おむつも開発する・・ということであろう。国交省は事態を甘く考えすぎているのではないか。

この計画を国交省に提案し、その気にさせたのは日本下水道事業団であるようだ。

日本下水道事業団法という法律があるので見てみると、同事業団の役割は、下水道管理者を支援することのようである。「地方公共団体における下水道技術者の不足に対処し、下水道整備の促進を図る」ために下水道事業センター法が制定され、その後事業団法に改正された。

要するに、下水道事業団は、各地の下水道整備を手伝うためのものである。人口減少のため下水道に余力が生じ、仕事が減りつつあるのならば、既にリサイクルが進む紙おむつをそのまま下水道に流せるようにするなどという大胆な事業を開拓するよりも、現在の下水道の不備を補いつつ業務を縮小すべきではなかろうか。

日本下水道事業団法↓

http://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_000472.html

毎日新聞「紙おむつを粉砕して下水道へ 5年後メドに実用化」↓

https://mainichi.jp/articles/20180201/k00/00m/040/058000c

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「なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理(その1)

なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その1)

「なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理(その2)

なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その2)

 

なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その2)

2月9日の「なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?」に引き続き、なぜなのか考えてみた。

朝日新聞によると、国交省は、人口減少により下水処理能力に余裕ができたからといっているそうだ。

人口減少により余裕ができる分野は今後ますます増えそうだ。それらがこれからどんどん新規事業を開拓し生き残りを図る、その1つということだろうか。よい事業ならば歓迎だが、やらなくともよいことに手を出し、そのせいで今でさえ高い下水道料金がますます高くならないのだろうか?

川に、本来ならば下水処理場で処理されるべきものが流れ込んでいることがある。大雨の際に、処理しきれない汚水が流れ込むためためだと聞いている。このような事態をなくすことの方が先決ではなかろうか?

第1回検討会の議事録を読んでも、もともとの提案に何の必然性も感じられない。

「下水道・LIFE・えんじん研究会」の発起人の女性たちが円陣を組み理想的な社会について考えた結果の提案だったようだが、本当に紙おむつをトイレに流せるような装置を自宅のトイレに付けることで、長く快適な一人暮らしが可能になるのだろうか?

確かに、介護者は少しラクになるかもしれない、とは思う。紙おむつの入ったごみ袋をごみの日まで自宅に保管し、重い袋を持って集積所まで運ぶことは大変である。それよりは、トイレに付けたシュレッダーに紙おむつをポイと放り込み、ボタンを押すと細かくなって流れていく方が快適かもしれない。

しかし、その細かく断裁され、流れていった紙おむつを下水処理場で処理するというが、そのためのインフラ整備のために、自宅に装置を取りつけるお金のない人たちまでもが、その分高くなった下水道使用料金を負担させられるのは、どう考えても不公平だ。

その上、紙おむつに含まれるポリオレフィンなどがすべて下水処理場へ行き、そこで完全に除去できる可能性はかなり低い。昨年、アメリカやヨーロッパ、中国など世界各国の水道水からマイクロプラスチックが検出されたことを考えると、日本の水道水からもマイクロファイバーなどは既に出ているものと考えられる。

紙おむつが下水に流されるようになれば、紙おむつ由来のマイクロプラスチックが水道水から検出される可能性はかなり高い。

技術の進歩は否定しないし、介護者の苦労も理解できるが、わずかな便利さと引き替えに水道水を安心して飲めなくなると、一人暮らしも、介護も、ますます大変になる、と思う。

また、プラスチックが自然界に入り込むことで、人間のみならず、野生生物も被害を受ける。これ以上、人間の都合で生態系を乱すのはやめるべきだろう。

朝日デジタル「紙おむつ、下水に流して処理可能に?」↓

https://digital.asahi.com/articles/ASL104470L10ULFA00P.html

国交省「下水道への紙オムツ受入実現に向けた検討会」↓

http://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_000540.html

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「なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その1)

なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その1)

「なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その3)

なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その3)

ダンキン・ドーナツも2020年までに紙カップを使用

環境ホルモンの疑いがあるとして有害性を指摘されながらも、ファーストフードチェーンは長期に渡りスタイロフォーム(押出し発泡ポリスチレン)のカップを使い続けてきた。

それが、ようやく使われなくなるようだ。年内の切替を表明したマクドナルドに続いて、ダンキン・ドーナツでも紙コップへの切替を表明した。

ダンキン・ドーナツは2020年までに切り替えるとのこと。理由の1つは消費者の安全志向であるが、もう1つは海ごみ対策であろう。紙コップは、家庭などから排出された場合は禁忌品としてリサイクルされないが、紙コップのみで大量に回収し、それなりの設備のある製紙工場へ運べば、今でもトイレットペーパーなどにリサイクルできる。また最近では、簡単にリサイクルできる紙コップも開発されている。例えば、フィルムが簡単に剥がれて一般的な製紙工場でもリサイクル可能になっていたり、生分解性の素材が使われ堆肥化できるようになっていたりする紙コップもある。

ダンキン・ドーナツがどのタイプの紙コップを採用するつもりかは不明だが、売りっぱなしの姿勢をあらため、容器包装ごみの回収を前提とした場合、紙コップへの移行は必須であることは確かだ。

しかし、飛行機に乗ると、まだスタイロフォームで飲物を提供されることがある。早く機内での飲物容器も切り替えてほしいものだ。

Plastic News: Dunkin’ orders its coffee in a paper cup;

http://www.plasticsnews.com/article/20180207/NEWS/180209912/dunkin-orders-its-coffee-in-a-paper-cup

デポジット制度:ノルウェーのペットボトルリサイクル制度

海ごみ対策として、スコットランドがデポジット制度導入を表明したことをきっかけに、英国全土でデポジット制度が検討されている。

BBCニュースで、ノルウェーのペットボトルのデポジット制度が紹介された。96%もの高い回収率を達成していることから、海洋プラスチックごみ汚染問題の解決の一助になるのみならず、資源の節約にもなるという。さらに、飲料メーカーがシステムに必要な費用を支払うため、税金も節約できる。

しかも、この映像にあるノルウェーのペットボトルはキャップが外れないタイプだ。キャップを付けたまま自動回収機に入れられ、工場へ運搬後、リサイクルされる。

日本のスーパーや行政回収では、廃ペットボトルの品質向上のためとして、キャップやフィルムを剥がすことが求められている。しかし、海外でペットボトル回収の際に、キャップ外しを要求されることは少ない(ラベル剥がしを求められることはまずありえない)。なぜ日本のペットボトルリサイクルだけが、消費者にキャップやフィルム外しを過度に要求するのか不明である(もちろん、理由はそれなりにいわれている。要は中間処理施設での圧縮や、工場での選別工程の問題であるが、納得できる理由ではない)。

日本のこのキャップ外しの習慣が、キャップの外れないペットボトルの普及を阻害し、結果として、キャップが大量に川辺や海岸に落ちている原因の1つとなっているのではなかろうか?

BBC News: Plastic bottle plan that could save oceans;

http://www.bbc.com/news/av/world-europe-42968529/plastic-bottle-scheme-that-could-help-clean-the-oceans

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ノルウェーのデポジット制度 高い回収率維持の理由

マクドナルドの容器包装に関する環境方針

2018年1月、マクドナルドが新たな環境方針を発表した。

この方針の背景には、世界銀行の「2025年までに毎日600万トンのごみが発生する」という見積もりと、エレンマッカーサー財団と世界経済フォーラムの「2050年までに海洋には魚より多くのプラスチックが存在することになる」という報告がある。

そのため、マクドナルドは100カ国に37,000軒を超えるレストランを展開する企業の責任として、2025年までに来客に提供する容器を改善する以下の目標を発表した。

・2025年までに、来客に提供するすべての容器包装を、再生可能か、あるいは再生品か、あるいはFSCなどの認定されたソースからのものとする。

・2025年までにマクドナルド店内で来客に提供した容器包装は100%リサイクルする。

既に、段階的に環境配慮設計を進めていたそうで、発泡スチロール容器も既に減らしており、2018年末にはすべてなくす方針とのこと。

ハンバーガーはあまり食べないので今まで気付かなかったが、マクドナルドは頑張っているようだ。

(追記)

『日経ESG 2018.8』によると、日本マクドナルドも持続可能な食材や紙を調達しつつあるようだ。

1.FSCの紙を使用(既に71%、2020年までに100%)

2.英国では試験的にプラスチックストローを紙製に切り替え

3.バンズにパーム油が使われているか確認中

4.将来的にASC認証のエビの使用を検討する

5.揚げ油にRSPO認証のパーム油を使用

6.MSC認証のスケソウダラを使用

<参考>

By 2025, all of McDonald’s Packaging to come from Renewable, Recycled or Certified Sources ;

http://news.mcdonalds.com/news-releases/news-release-details/2025-all-mcdonalds-packaging-come-renewable-recycled-or-0

なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その1)

紙おむつのリサイクルが進んでいる。

既に福岡県大牟田市には紙おむつのリサイクル工場もあるし、リサイクル装置を設備した介護施設も散見する。ユニ・チャームでも資源化技術を開発した。再生紙を利用した紙おむつがお目見えする日も間近だった、はずである。

日経ビジネス「アナタは抵抗ある?リサイクルおむつ出現間近」↓

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226265/051500118/

それにも関わらず、国土交通省では下水道に紙おむつを流せるようにするための検討会を立ち上げた。

このマイクロプラスチック汚染が問題になっているこの時期に、時代錯誤的なこの検討会は、一体どこからの指示によるものか?

日本の都市部では、雨天時にし尿を含む未処理下水を川へ放流することはよくあることだ。

この合流式下水道の対策は、平成15年度に改正された下水道法施行令で、「中小都市(170都市)25年度、大都市(21都市)では平成35年度まで」に改善対策を完了することが義務付けられている(国土交通省HP)。

まだ対策の済んでいない地域は、下水道での紙おむつ処理はなされないのかもしれないが、対策の済んでいる地域では本当に100%大丈夫だといえるのだろうか?

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「なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その2)

なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その2)

「なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その3)

なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その3)

国土交通省HP「合流式下水道の改善」↓

http://www.mlit.go.jp/crd/sewerage/sesaku/06cso.html

マイクロプラスチックの権威である東京農工大学の高田先生も反対している。

以下、The Envionmental Newsを高田先生のfacebookから転載。

f:id:inada5114:20180209120609j:plain

 

千葉大:ペットボトルを減らすため、学生がタンブラーを制作・販売

千葉大学の環境活動団体が、レジ袋削減のための有料化により得られた基金を用いて、オリジナルタンブラーを製作した。

200円で販売する。ペットボトルをよく使う学生が、このタンブラーを使うことで、少しでもペットボトルを使わなくなれば・・という願いが込められている。

この千葉大学環境ISO学生委員会は、地球環境大賞を取得した実績もあるNPO法人で、他にもさまざまな素晴らしい取組を展開している。

「大学生協のレジ袋有料化による基金を活用・・」↓

https://mainichi.jp/univ/articles/20180205/org/00m/100/056000c#cxrecs_s

簡単レシピを提供:仙台市のモッタイナイキッチンと京都府の食べきりクッキング

食品ロスを減らすため、各地でさまざまな取組が行われている。

仙台市は、アレマキャンペーンや『月刊紙袋』などの取組でごみ分野でグンを抜く。その仙台市の食品ロスの取組「モッタイナイキッチン」のレシピも簡単で実にいい。

例えば、おからのヨーグルトサラダなどは、本来手間のかかるおから料理をおいしい手抜き料理に仕立てている。

また、京都府の「食べきりクッキング」も若い人の感性光るレシピを提供している。

京都府民大学ウェブサイトの「調理力講座」のページから作り方を動画で見ることができる。残った鍋で作る「あんかけかた焼きそば」などは、簡単で面白い。

モッタイナイキッチン↓

https://www.mottainai-kitchen.com/recipe/latest.html

食べきりクッキング↓

http://www.kyoto-fumindaigaku.jp/kouza/kouza_02.php

紙ひも使用の「一関ルール」継続を

北上製紙の事業撤退に伴い、地元一関市ではこれまでの「紙ひも」ルールを見直すかどうかで議論になっている。

北上製紙は、「古紙回収には紙ひもを使おう」という紙ひも運動を長期にわたり全国を牽引してきた。そのお膝元の一関市が揺れているという。

「秋田さきがけ」(1994.2.6)によると、もともと紙ひも運動は、秋田県地婦連が始めたものである。当時、ごみ減量を叫びながらの古紙回収に、地婦連は多くの人たちが古紙と一緒にリサイクルできないプラスチックひもを使うことに疑問を感じた。地婦連は東北製紙と相談し、静岡県内の紙ひもメーカーに、古紙結束用の紙ひもを依頼した。当時紙ひもは、郵便局(手紙結束用)や農協(米袋のひも部分)などで利用されていたものの、一般利用としては一部地域を除き、衰退していた。

その後、北上製紙も紙ひも製造に着手し、紙ひもの普及啓発を開始した。製紙工場に古紙入荷後、紙ひもで結束された古紙はプラスチックひもで結束された古紙と比べ、工場内で発生するごみが減少するだけでなく、出来上がりの再生紙の品質にも影響を与えることをデータ化し、冊子にまとめた。

以来「紙ひも」は、プラスチックひもに代わるものとして、ごみ減量運動の一環として全国に広まっていった。

筆者が紙ひもを知ったのは、1995年頃である。子どもの小学校でリサイクル委員として古紙回収を担当したところ、古紙回収の度に大量のプラスチックごみが出ることに驚き、回収してくれていた古紙問屋に相談したのがきっかけである。

古紙問屋を通して、東北地方の紙ひも運動の存在を知った筆者は、すぐに古紙回収の収益金で紙ひもを購入し、全校生徒に配布したり、また市にもお願いし、市の古紙回収でも紙ひもを使用するように呼びかけてもらったりした。

その後、古紙問題市民行動ネットワークでも紙ひもを紹介し始め、また朝日新聞でも紙ひも運動を大きく取り上げるなどしたため、2000年頃には紙ひもを使用する自治体が増加した。

「古紙回収に紙ひも・ストッカー採用状況」↓

http://kitakami-p.jp/products/stocker.html

以降、全国の紙ひも運動も筆者のそれも、一進一退を繰り返しながら、現在に至っている。

一関市には、定着している紙ひも使用をそのまま継続してほしい。

世界中で脱プラスチックの動きが加速し、フランスでもプラスチック製使い捨て容器の禁止が発表されている。レジ袋配布を禁止した国も多い。

しかし、日本の脱プラスチックの取組は遅れている。せめて、「古紙はプラスチックひもでなく、紙ひもで縛る」程度の取組は、継続してはいかがだろうか。

「紙ごみ回収 縛るのは紙ひもで・・」(河北新報)↓

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201802/20180207_31005.html