1月19日の米国のザ コカ・コーラカンパニーの100%回収するというグローバルプランを受けて、日本コカ・コーラも容器の新しい目標を発表した。
しかしながら、これはグローバルプランに比して見劣りのするプランである。
柱は以下の3つ。
■ PETボトルの原材料として、可能な限り、枯渇性資源である石油由来の原材料を使用しません。原材料としてリサイクルPETあるいは植物由来PETの採用を進め、PETボトル一本あたりの含有率として、平均して50%以上を目指します。
■ 政府や自治体、飲料業界、地域社会と協働し、国内のPETボトルと缶の回収・リサイクル率の更なる向上に貢献するべく、より着実な容器回収・リサイクルスキームの構築とその維持に取り組みます。国内で販売した自社製品と同等量の容器の回収・リサイクルを目指します。
■ 清掃活動を通じて、地域の美化に取り組みます。また、容器ゴミ、海洋ゴミに関する啓発活動に積極的に参画していきます。
要するに、原材料に植物由来原料を50%以上使うということの他は、これまでとの違いが不明である。
コカ・コーラはこれまでも、グリーンバードなどの「清掃活動」には一応協力しているはずで、「啓発活動」も1970年代の空き缶散乱問題からこのかた、効果はともかくとして、やっていたはず。
「2030年までに自社製品の包装材を100%回収してリサイクルする計画に着手する」ということが、19日に発表した目標の主旨ではなかったのだろうか?
日本では容器包装リサイクル法(以下、容リ法)により、分別収集は自治体、再商品化は製造・利用事業者、とその役割分担が決められている。例えば、誰かがペットボトルのコカコーラを買って、自治体の分別収集にボトルを出したとすると、それは税金で集められ、税金で選別・圧縮・梱包後にようやく再商品化事業者に有価で引き渡される。有価とはいえ、自治体が負担した費用を取り戻せるほど高額であるはずはなく、自治体は回収のたびに大損をする。しかし、コカ・コーラ社などが負担するペットボトルの再商品化費用などはゼロに等しい。要は、売れば売るほどメーカーは儲かるが、自治体は損をする(税金が使われる)というのが今の日本の仕組みである。
ペットボトルを使う人も使わない人も、もれなく支払う税金を使って分別収集をするということは、税金でコカ・コーラ社などの飲料メーカーを応援しているのと同じなのだ。
多くの研究者や市民団体は、分別収集責任を自治体におく容リ法はおかしい、というが、環境省が非力であるためこれまで改正されてこなかった。19日に米国で発表された目標を聞いたときは、日本コカ・コーラが率先してデポジット制度などの新たな回収スキームを計画し、これまでの自治体任せの回収から抜け出してくれれば、日本の容リ法も「外圧」により改正されるかも?という期待を抱いたが、どうも甘かったようである。
日本の現在の回収率は、自治体の税金による成果である。その上にあぐらをかいたビジョンではなく、せめて自社販売量に等しい量の缶やペットボトルを自費で回収する覚悟を決めてから、ビジョンを発表してほしかった。
世界中の海洋で汚染が指摘されている。ペットボトルは、海洋汚染物質の1つに名指しされている。日本からの流出も多い。
グローバル企業としての責任の果たし方として、19日のグローバルプランは評価に値した。しかし、今回の日本コカ・コーラの発表は、それを消し去ったように見える。
「廃棄物ゼロ社会を目指して。日本コカ・コーラ、容器の2030年ビジョンを発表」↓
https://www.cocacola.co.jp/press-center/news-20180129-14-1