海洋プラごみアクションプランと生分解性プラのロードマップ

経産省が、海洋生分解性プラスチック開発・導入普及のロードマップを策定した(経産省ニュースリリース. 2019.5.7)。以下、一部転載↓

https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190507002/20190507002.html

本年2月に内閣官房の下に「海洋プラスチックごみ対策の推進に関する関係 府省会議」を設置し、6月のG20サミットまでに、日本国政府としての具体的な取組を取りまとめた「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン(仮称)」を策定予定です。

経済産業省としても、廃棄物の適切な管理が何より重要であることを前提に、3R (リユース、リデュース、リサイクル)の着実な推進を行い、それでもなお廃棄物が 海洋流出するリスクに対応していくため、新素材・代替素材の技術開発を促進する等、イノベーションによる解決で世界への貢献を目指すことにしています。

アクションプランとは、各関係省庁が集まり、プラスチック海洋汚染防止のための検討会。以下の8つのテーマに沿って話し合われ、G20までに策定される。

〇プラスチックごみの回収・適正処理の徹底

〇ポイ捨て・不法投棄・非意図的な海洋流出の防止

〇ポイ捨て・不法投棄されたプラスチックごみの回収

〇海洋に流出したプラスチックごみの回収

〇イノベーションによる代替素材への転換

〇取組を促進するための関係者の連携協働

〇途上国等における対策促進のための国際貢献

〇実態把握・科学的知見の充実

第1回目は2019年2月26日に開催された↓

https://www.env.go.jp/water/marine_litter/mpl.html

気になるレジ袋有料義務化は、形(ポイント制でも認めるのか、零細な小売店も即対象となるのか、など)はどうなるかはまだわからないが、既にこのプランに織り込み済みなのだろう。

経産省の生分解性プラについてのロードマップを実現するためにも、プラスチック製レジ袋の大幅削減は必須だ。

そうでなければ、代替品の普及など進まない。

しかし、代替品も問題がある場合が多そうなので、よく考えて進めて欲しい。

食料と競合する植物を使用したものや、自然環境を破壊する可能性の高い石灰石を使ったものなどは、導入を見合わせるべきだろう。

リサイクルルートの確立も必須だ。

まずは大幅削減した上で、慎重に代替品導入を進めて欲しい。

ニューヨーク州、公式にレジ袋禁止を決定、米国で3州目

先日、アンドリュー・クオモ州知事が、使い捨てレジ袋禁止の法律(アースデイに関する法律)に調印したことにより、ニューヨーク州では公式にレジ袋禁止が決定した。

施行は来年3月とのこと。

アメリカでは、事業者や法律などに阻まれ、なかなか国全域での法規制は進まないが、これでようやく禁止する州はカリフォルニア州とハワイ州に続き3州目。

ニューヨーク州では毎年230億枚のレジ袋を使用している。このうち半分は、埋立地や街中や水路に集まっていると推定されている。

この禁止により、レジ袋だけでなく、ニューヨークでレジ袋の製造に使用される推定1200万バレルの石油も使わないですむとのこと。

<出所>

Forbes(2019.4.23)New York Officially Bans Plastic Bags;

https://www.forbes.com/sites/trevornace/2019/04/23/new-york-officially-bans-plastic-bags/?utm_source=FACEBOOK&utm_medium=social&utm_term=Valerie%2F&fbclid=IwAR1jRcTxy_oToeyTPqXAmdH412zDbL-J9CQVzNGAEfxhgFCCTNaYN9r9xiM#1333b5a15b77

 

 

 

 

廃プラの輸出入禁止(バーゼル条約)について

日本は、ノルウェーとの共同提案で、バーゼル条約に汚れた廃プラを加えることを提案している。

飲み残しの入ったペットボトルや泥のついたビニールシートなどを輸出入禁止にするため、とのことだ。

それについての会議が29日に始まった。

汚れた廃プラを輸出入禁止にするのはよいことだと思う。問題は、それを国内でどう処理するのか、そもそもそれらを発生しないようにする術はないのか、ということではないだろうか。

現状を見ると、発生量はそのままで、発生後の処理法はせいぜいが「サーマルリサイクル」だ。

もっと抜本的な対策も考えて欲しいと思う。

そうでなければ、たとえ汚れた廃プラを輸出入禁止にできたとしても、G20で日本がアピールできるような「成果」にはなり得ないのではないか。

<参考>

日本経済新聞(2019.4.30)「汚れた廃プラの輸出規制協議 バーゼル条約会議が開幕」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44353440Q9A430C1000000/

「汚れた廃プラ、輸出入禁止に=バーゼル条約で提案-環境省」

https://www.nippon.com/ja/news/yjj2019022700342/

 

ペプシコ vs コカコーラ、ペプシコが自動炭酸飲料機で一歩リード?!

以前、米コカ・コーラが、回収100%を目指すとグローバルプランで表明したときは感心した。

しかし、日本コカ・コーラに回収意欲は、全く感じられなかった。少なくとも、その後発表されたビジョンを読む限りでは、自治体頼みの姿勢が透けて見えた・・

一方、ペプシコは昨年、脱プラスチックを表明しているソーダストリームを買収した。

ペプシコは、従来のペットボトル飲料が売れても、ペットボトルが売れずにソーダストリームの家庭用炭酸水メーカーが売れても、どちらでも儲かるようにしたのか?と思っていたところ、それだけではなかったようだ。

なんと、マイボトル用の炭酸飲料自販機(全自動炭酸飲料機)を開発したとのこと。

従来の給水器では、水のみだから、水以外を飲みたい人は、ペットボトルなどを購入する。

しかし、これならば、コーラやその他の炭酸飲料を飲みたい人でも満足できる。自分好みに甘さや炭酸濃度を調整できるならば、マイボトルを持つ人が格段に増えるかもしれない。

脱プラスチックに向けて、ペプシコの発想は素晴らしい。日本でも早く売り出して欲しいと思う。

日本コカ・コーラがこれを上回るには、自治体頼みの回収姿勢を改め、デポジット制度により販売したペットボトルを自ら100%回収するしかないのではないか。

<参考>

EXCITE ニュース(2019.4.26)「プラスチックごみ全廃をめざして!ペプシコが開発したマイボトル専用の全自動炭酸飲料機が話題に」

https://www.excite.co.jp/news/article/Techable_98654/

 

 

P&Gとユニリーバ、日本でもシャンプーをリユース容器で販売、デポジット方式で

米プロテクター・アンド・ギャンブル(P&G)と英蘭ユニリーバの日本法人は、2020年にも日本国内で、金属製など再利用できる容器で試験販売するそうだ。

世界は「脱プラスチック」に向かって進んでいるにも関わらず、日本では日本酒のペットボトル容器が、経済産業大臣賞を受賞(日本印刷産業連合会)するなど、相変わらずの「プラスチック礼賛」だと思っていたが、海外メーカーが日本でもやってくれるようだ。

運用は、アメリカのハーゲンダッツなどと同様(関連記事2019.4.20参照)、テラサイクルが行うようだ。

仕組みは、「牛乳配達方式」で、専用の通販サイトから注文すると、金属製やガラス容器に入った食品や日用品が届き、使い終わった容器は、新商品を受け取る際に配達員が回収する。回収した容器は、洗浄して再利用される。

利用者は、最初に容器のデポジット(預り金・保証金)を支払う。

2020年の試験運用には5000人規模が参加し、課題などを見極めるとのこと。

従来の詰替容器は、自分で詰め替えて、詰め替え終わった薄いペラペラのプラ包装(本当にリサイクルできるのか限りなく疑わしいフィルム状の袋)を、自治体の回収に出す必要があった。

しかし、この方式ならば、プラスチックを使い捨てるという罪悪感を感じずに済むので、とてもよい方法だ。

できれば近所の店で、デポジット方式で容器を回収し再利用してもらえると、より助かるが、最初はこの方式でテストするのは良いと思う。

<関連記事>

ハーゲンダッツとトロピカーナ、リユース容器で販売か

<出所>

日本経済新聞(2019.4.19)「P&Gなど、金属容器を再利用 日用品も脱プラ狙う」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43971630Z10C19A4EA5000/

ハーゲンダッツとトロピカーナ、リユース容器で販売か

アメリカで、ハーゲンダッツのアイスクリームとトロピカーナのオレンジジュースが、使い回しのできる容器に入れられて、「牛乳配達方式」で実験販売される。

ハーゲンダッツは金属容器に入れられ、トロピカーナはガラスびんに入れられるとのこと。

テラサイクル社が運営するショッピングプラットフォームで、1容器1ドルから10ドルのデポジット(保証金)を払うと買えるようだ。

アメリカでは、ハーゲンダッツはネスレが、トロピカーナはペプシコが販売しているため、これはネスレとペプシコの環境配慮である。

日本では、ハーゲンダッツはサントリーの関連会社が、トロピカーナはキリンか。

日本でも、サントリーとキリンに頑張って、リユース容器での提供を検討してほしい。

それにしても、日本は相変わらずプラスチック容器が大手を振っているが、海外では脱プラスチックが進んでいる。

<出所>

FOOD & WINE; Haagen-Dazs and Tropikana Test Refillable Containers

https://www.foodandwine.com/news/haagen-dazs-tropicana-refillable-containers

レジ袋、ストライプとセブンは紙製に ウェルシアは有料化

レジ袋有料化の法規制を前に、レジ袋の動きが慌ただしい。

ストライプインターナショナルが、5月1日からプラスチック製レジ袋を紙製に順次切り替えるとのこと。紙製レジ袋はもちろん有料だ。

1枚20円とのことなので、H&Mと足並みを揃えた。紙は、再生紙かFSCだろうか?さすが「エシカル」をテーマとする店だけある。

セブンイレブンも紙製レジ袋を導入した。プラスチック製か紙製か客が選ぶスタイルだそうで、横浜市内の店から順次進めていく。

しかし、こちらは無料配布のようで、残念。「エシカル」や「環境」よりも、まだ便利さを追求しているのだろうか。

ウェルシアは、当面、レジ袋を断った人にはTポイントを付与し、2020年以降に有料化するとのこと。

ウェルシアは、店頭で販売するプラスチック製ストローも順次紙製に切り替える。

ということは、イオンも早晩、プラスチック製ストローを売らなくなるということか?

そうであることを望んでいる。

<出所>

日本経済新聞(20194.17)「セブン、太陽光蓄電池で夜間営業 神奈川県内で実証実験」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43851440X10C19A4L82000/

日本経済新聞(2019.3.15)「ストライプ、レジ袋を紙製に 5月から有料化 」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42536600V10C19A3000000/

日本経済新聞(2019.3.7)「ウエルシア、プラ製レジ袋を全廃へ 持参でポイント」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42161710X00C19A3TJ2000/

無人地帯に 降り注ぐマイクロプラスチック

人のいない辺境の山奥にも、大量のマイクロプラスチックが降り注いでいるようだ。

「ネイチャー・ジオサイエンスに掲載された論文によると、2017年から2018年にかけての5か月間にわたる調査期間中、フランスとスペインにまたがるピレネー山脈の無人の高高度地域では毎日、1平方メートル当たり平均365個のプラスチック微粒子が地上に降下した」とのこと。

フランス・パリ市や中国の工業都市などに匹敵する量のマイクロプラスチックで、材質は「プラスチックの断片や繊維、シート状の薄い膜など」だそうだ。

「プラスチックの断片」ということは、車のタイヤや靴底の摩耗粉、あるいは柔軟剤などに入っている香料を包み込むマイクロカプセルの破片などか?「繊維」は衣類やカーテンの繊維くずだろう。どこの家からも大量に出ていそうだ。「シート状の薄い膜」は、レジ袋やプラひもなどが劣化した場合にも出るだろう。

候補がありすぎて、由来は見当も付かないが、いずれにせよ、人間がプラスチックを極力使わない生活に切り替えない限り、汚染はこれからも増える一方だ、ということだけは確か。

山岳地帯にこれほどの量が降っているということは、当然海にも降っているし、私たちの住んでいる地域にも降っているということか。

<出所>

AFP通信(2019.4.16)「辺境の山地にもマイクロプラスチック、大気中を浮遊」

https://www.afpbb.com/articles/-/3221028?page=2

ガラパゴスの生物もプラスチックを摂食、紙オムツで巣作りも

ガラパゴス諸島にもプラスチックごみが漂着し、それを生物が食べているそうだ。

紙オムツやレジ袋で巣作りをする海鳥もいるとのこと。

紙オムツは高分子ポリマーの塊。巣作りの素材として、使い勝手はよいのかもしれないが、危険性はないのだろうか。ヒナが誤って口に入れることもありうる。

ガラパゴス諸島の生物の将来がとても気になる。

以下、AFP通信↓

公園管理当局では、ごみの影響を受けた動物に関する記録簿を作成している。これまでに、使用済み紙おむつやレジ袋を使って巣作りをする海鳥のコバネウや、ごみの山に埋もれた状態で見つかったカツオドリの死骸などが記録されている。

<出所>

AFP通信(2019.3.27)「ガラパゴス諸島固有の動物相、プラスチック微粒子が脅威に」

https://www.afpbb.com/articles/-/3217879

亀岡市、エコバッグのシェアが好評

2020年夏からレジ袋を禁止する予定の京都府亀岡市では、「エコバッグシェア」を進めている。

一般的な市町村ならば、レジ袋禁止に向け、税金でエコバッグを購入したり、あるいは企業からエコバッグの寄付を募ったりして、住民に配るところだが、亀岡市は家庭で不要になったバッグを提供してもらい、希望者に配布する。

イベントで、バッグの提供を募ったところ、好評で、たくさん集まったそうだ。

今後もバッグや風呂敷、カゴを提供してもらうとのこと。

確かに、エコバッグは既に多くの家で溢れている。とても良いアイディアだと思う。

日本で初めての「レジ袋禁止」。ぜひ成功させてほしい。

<関連記事>

亀岡市のレジ袋禁止条例、会合でコンビニなど反発

<出所>

京都新聞(2019.3.16)「レジ袋禁止で揺れるまち、家庭の不要バッグを無料配布に反響」

https://this.kiji.is/479504314151863393?c=39546741839462401