米フィラデルフィア、「PFASフリー人工芝」はやはりインチキだった

アメリカの各地で、PFASを理由に人工芝を許可するか禁止するかの議論が白熱しているが、南フィラデルフィアの公園の人工芝を巡る議論は面白くなってきた。

PFASを理由に人工芝敷設を反対する人たちを説得するため、業界が人工芝にPFASは使っていないと主張し、データを公表したのだ。

ところがそのデータのもとになったPFASの検査方法は、間違っていると専門家が指摘した。

水を検査する方法で人工芝のPFASを調べたとのこと。

しかも、検出限界値もかなり高く設定されていた。

https://www.inquirer.com/opinion/editorials/turf-ban-pfas-chemicals-cancer-fdr-park-sports-20240321.html

それで、検出されなかったと言われても、誰も納得しないので、議論はまた振り出しに戻っているようだ。公園改修予算は750万ドルなので、どちらも真剣だ。

反対派は「PFASフリーの人工芝など存在しない」といっている。確かに、現在アメリカで調べられた限りでは、すべての人工芝からPFASが検出されている。これから作る人工芝にはPFASを使わない、などと言われても、使っていなかったはずの人工芝からも検出されているので、信じられるはずもない。

フィラデルフィアの新聞であるフィラデルフィア・インクワイアラー紙も社説を読む限り、公園の人工芝敷設に反対している。

フィラデルフィアの公園から目が離せない。

マサチューセッツ州でも「人工芝フィールドの購入と設置に関する州および地方自治体の契約を禁止する法律」が、大詰めを迎えているようだ。

https://malegislature.gov/Bills/193/HD958

ワールドカップは天然芝が当たり前  人工芝vs天然芝のコスト比較 

ロングパイル人工芝はサッカー場を中心に増えてきた。サッカー関連の方々はよほど人工芝が好きなのだろうと思っていたが、そうではないようだ。

サッカーには縁がないため知らなかったが、ワールドカップの芝は天然芝が義務づけられているそうだ。天然芝であれば、それほど芝の種類にはこだわらないらしい。そのため、国や競技場によりいろいろな種類の天然芝が使われている。

FIFAが天然芝にこだわる理由は、伝統、プレイアビリティ、そしてプレイヤーの幸福に根ざしているそうだ。人工芝に比べ、天然芝はケガをしにくく、衛生的で、涼しく、おまけに環境や生態系にも配慮できる。

では、人工芝と天然芝のどちらがカネがかかるのか。

町田市の実際の競技場(いずれも5000平方メートルに換算)をベースに10年間のコストを比較した議会答弁によると、初期費用は人工芝が1億5000万円、天然芝が3000万円。

メンテナンスなどの年間のランニングコストは人工芝が40万円、天然芝が2000万円。

廃棄物処理費用(10年後の張り替えで不要になった芝の処理費用)が人工芝が1000万円、天然芝はゼロ。

人工芝の場合は張り替え後にまた人工芝を張るとすると、10年後にまた1億5000万円かかるので、合計で3億1400万円かかる計算だ。

一方、天然芝は10年後の張り替えは不要でそのまま使い続けられるため、合計で2億3000万円。

https://www.gikai-machida.jp/g07_Video_View.asp?SrchID=8197

人工芝のプラスチックの芝片には、紫外線吸収剤や難燃剤も使われる(多分PFASも)。それらを含んだ芝片(マイクロプラスチック)を吸い込むことも心配だ。

人工芝より天然芝の方が、財布にも選手にも環境にも優しいのに、なぜ日本では人工芝が増え続けるのか、本当に不思議だ。

<関連記事>

町田市に続き、相模原市でも人工芝で議会質問

私の知る限り、昨年から約10の市町村で人工芝について議会質問がなされている。

昨年12月、隣の町田市で笹倉みどり議員が人工芝について質問をしている。

https://www.gikai-machida.jp/g07_Video_View.asp?SrchID=8197

さすが町田市。

相模原市は?と思っていたところ、今年の3月議会で、相模原市議会の五十嵐千代議員が質問してくれた。

先ほど議会録画を見てみたところ、最初の市長答弁はおざなりな感じだったが、19分後の少し突っ込んだ再質問には担当部署の人が回答していた。

https://smart.discussvision.net/smart/tenant/sagamihara/WebView/rd/speaker_minutes.html?speaker_id=2&search_index=99

回答を聞く限り、担当部署では人工芝やマイクロプラスチックへの理解がまだ不足しているようだ。議会質問は、人工芝を使えば市民が喜ぶ程度に考えていただろう市側にとって、少しは刺激になったかもしれない。

市長答弁によると、相模原市の公共施設での人工芝敷設面積は約65,000平方メートル。96%がサッカー場やテニスコートなどのスポーツ施設だそうだ。ということは、幸い市立の幼稚園や小中学校などでは人工芝を使っていないようだ。

緊縮財政の相模原市、福祉施設などを廃止し人工芝の豪華スポーツ公園を建設?

相模原市は7年間累計で最大800億円超の歳出超過に陥るとして、徹底した歳出の見直しを進めている。市の貯金にあたる財政調整基金の残高は、2019年度末で68億円とピーク時のほぼ半分に減ったそうだ。

そのため、20年の長期財政収支では21〜27年度に累計816億円の歳出超過と試算された(日本経済新聞.2023.12.19「老いる相模原市、緊縮財政で施設相次ぎ廃止」)。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC155EO0V11C23A2000000/

アイススケート場や南市民ホール、市体育館、福祉施設「南大野老人いこいの家」、城山障害者デイサービスセンターつくしの家などが廃止になるとのこと。

しかし、なんだか少し変だ。多くの市民はいまだに相模原市はリッチだと信じている。そんなに緊縮財政ならば、あの相模原スポーツ・レクリエーションパークの豪華さは一体何だ?

遊具が置かれた児童公園部分は、歩く度に「船酔い」しそうなほど弾力のあるカラーゴムチップ舗装になっている。弾力性を持たせるため、かなり厚めにゴムチップを敷いたようだが、そのせいか既に一部ひび割れしている。

なぜ土の地面ではなく、化学物質や重金属の塊のようなゴムチップ舗装にしたのか。値段も安いとは思えない。残念だ。

その隣には、まもなく(1月20日)オープン予定の野球場ができつつあるが、野球場全面に人工芝が敷かれている。土の部分は見えない。おそらく鹿沼公園野球場の代わりに作られたもののようだ。

鹿沼公園の軟式野球場は、土(内野)と天然芝(外野)でできているきれいで使いやすそうな球場だ。しかし、鹿沼公園野球場は「淵野辺駅南口周辺まちづくり」で図書館や公民館など6施設を集約する計画の余波で、いずれ廃止されると聞く。

人工芝のスポーツ施設は、宝くじなどの助成金等を使えば当面は安くできる。メンテナンス費用も天然芝より安く済むが、張り替え時に莫大な費用がかかるため、結果的に人工芝は天然芝に比べかなり高く付くのだ。

張り替えで不要になった人工芝の処理費用があまりに高額なため、京都市では「まだ使えるからタダであげるよ」と以前、寄付先を募集していた。

寄付先が見つかったかどうかは知らないが、こんなものをもらってしまうと大変なことになる。外見だけ立派な壊れる寸前のテレビをもらうのと同じで、すぐに廃棄するための処理費用が必要になる。しかも、見た目は「まだ使える」ように見えても、劣化しているためマイクロプラスチックが発生しやすい。地面に緑色のレジ袋を敷くようなものだ。

しかも、野球場やサッカー場のロングパイル人工芝の場合、何万トンものゴムチップを人工芝上にまくため、より甚大なマイクロプラスチック汚染を招く。先日、工事中の野球場を見に行った際、巨大なフルイのようなものを乗せた車でゴムチップを大量に蒔いているのをみたが、ゴムチップがまるでもうもうと黒煙のように見えた。

現在、同じ公園内の人工芝グラウンドで使われているゴムチップよりも細かそうなゴムチップだ。利用者はその上を走ったり、スライディングしたりする度に、細かいゴムチップを吸い込むハメになるのだろうと思うと、気の毒になる。

なぜ、鹿沼公園の野球場と同じ仕様にしなかったのか。天然芝と土のグラウンドの方が、10年スパンで見れば絶対的に安いはずなのに。目先の助成金額に目がくらんだのだろうか。

「安物買いの銭失い」にならないように、将来を見据えたお金の使い方をしてほしい。そもそも、地球環境を考えるべき時代に人工芝やゴムチップ舗装はそぐわない。

カリフォルニア州の自治体、人工芝の禁止が可能に

カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は今年10月、州として人工芝を禁止することは拒否したが、州内の自治体が人工芝を禁止できるようにした。

そのため、サンマテオ郡のミルブレーやロサンゼルス郡のサンマリノなどのカリフォルニアの都市では、すでに人工芝を禁止するよう動き始めているそうだ。

近隣の庭に敷かれている人工芝や、人工芝に充填されているゴムチップから流出するPFASや鉛、ビスフェノールAなど有害物質を心配する住民らが、人工芝に反対している。

https://laist.com/brief/news/climate-environment/once-hailed-as-a-drought-fix-california-moves-to-restrict-synthetic-turf-over-health-concerns

https://calmatters.org/environment/2023/10/california-synthetic-turf-pfas/

<関連記事>

逗子市、バスの乗り入れ場所に人工芝を敷設?!

耳を疑うような話を聞いた。

神奈川県・逗子市はまもなく、公共施設の中庭の一角を人工芝にするそうだ。その一角とは、マイクロバスが乗り入れるようになったため、天然芝が剥がれてしまった場所だとのこと。

天然芝の中庭にバスが乗り入れ、そこで転回するようになったため、その部分の天然芝が剥げてしまった。そのため、剥げてしまった部分をコンクリートやアスファルトなどで舗装する・・ならばわかるが、なんとその部分を人工芝にするそうだ。

しかも、ロングパイル人工芝で、芝間にプラスチック製のチップを充填するとのこと。

しかし通常、ロングパイル人工芝の上は自転車の乗り入れさえ禁止されている。小学校の校庭でさえも、「人工芝がいたむため、ハイヒール・金属スパイク・ベビーカーの乗り入れは禁止です」と書かれている。

例えば、この小学校↓

まさか、バスの乗り入れ場所を人工芝にするとは・・。勇敢過ぎてあり得ないことのように思うが、本当に計画されているらしい。もし、実現したら見に行って、ロングパイル人工芝が車両でどのようにいたむかを、ぜひウォッチしたいものだ。

プラスチック製チップの充填材も、バスのタイヤにくっついてどれほど運ばれるか、それともすぐに粉々になるかも興味深い。

それにしても、このプラスチック製チップは、プラスチック業界が流出防止を企業に呼びかけているレジンペレットと形状は同じだ。それにも関わらず、流出防止どころか、最初から環境中にばら撒き、その上を車が走る・・マイクロプラスチックの散乱は目に見えている。業界団体は、そんな蛮行を許しておくのだろうか?

日本プラスチック連盟の樹脂ペレットの漏出対策↓

https://www.jpif.gr.jp/environment/ocean/resin-pellets/

もし、業界が黙認するとしたら、自主規制は役立たないことの証左だから、やはり日本にもペレット流出防止法が必要だ。

欧州委員会は今年10月、EUとして初めてペレットの意図しない放出による汚染防止を目的とした規制案を発表した。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/10/a3e896c1f1e7a720.html

日本のプラスチック業界は、この樹脂チップとレジンペレットは形状が同じでも用途が違うから「バラ撒いてよい」と考えているのだろうか?

EUでは、人工芝に充填する合成ゴムなどで作ったゴムチップを、「意図的添加のマイクロプラスチック」として、既に8年以内に禁止することを決めている。

日本近海の海底に大量のマイクロプラが堆積。日本もマイクロプラスチック規制が必要

国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)は先日、日本近海の海底に大量のマイクロプラスチックが堆積していると発表した。

その数は、「深海平原では乾燥堆積物1gあたり平均601.5±629.4個であり、続いて相模湾では平均29.6±23.6個、プレート三重会合点では平均11.2±6.0個」とのこと。

これは、これまでの研究で最も多くのマイクロプラスチックが見つかっていた地中海の堆積物に比べて2〜260倍4、北大西洋に比べて2〜5,500倍もの数になるそうだ。

https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20231010/

2020年に発表されたオーストラリアの研究では、マイクロプラスチックは少なくとも世界の海底に1400万トン以上堆積しているということだったが、こんな場所があるならば、この数字は早晩更新されそうだ。

https://www.cnn.co.jp/fringe/35160548.html

沈んでいる大きなプラスチックごみはもっとずっと多いだろうが、既に小さくなったものがこれほど多く沈んでいるということは、今すぐにプラスチック使用をやめたとしても、マイクロプラスチックが食物連鎖に入り生態系に悪影響をもたらすことをもはや止めることはできない。

とはいえ、少しでもマシな状況を作るためには、EUのような規制を世界全体で作る必要がある。

欧州委員会は先月(9月25日)、マイクロプラスチックそのものと、マイクロプラスチックが意図的に添加され、使用時にマイクロプラスチックを放出する製品の販売を禁止する規則を採択した。

対象製品は以下の通り

・スポーツ施設の人工芝に使う粒状の充填材(ゴムチップ)

・マイクロプラスチックが角質除去(マイクロビーズ)や、特定の質感、香り、色の取得など、複数の目的に使用される化粧品

・洗剤、柔軟剤、グリッター、肥料、植物保護製品※※、おもちゃ、医薬品、医療機器など

グリッターとは化粧品などに使われるラメなどのことで、服に使われるスパンコールなどは使用中に環境中に放出しないためか、対象ではないらしい。

植物保護製品とは、農薬や除草剤か。

角質除去用のマイクロビーズやグリッターは発効後、即時禁止となったが、それ以外の多くの製品は4年から12年の猶予期間がついた。猶予期間とは、禁止までの間に企業が準備するための期間のことで、この期間は十分長く設けられた。

日本も1日も早くマイクロプラスチックを意図的に添加した製品の販売を禁止してほしい。もちろん、人工芝に入れるゴムチップはマイクロプラスチックそのもの。早急に禁止すべきだ。

人工芝グラウンドをもつある高校では、流出したゴムチップを補充するのは高校生の役目だそうで、担当の高校生は素手でゴムチップを人工芝の上にまいている。しかし、ゴムチップには重金属や環境ホルモンであるフタル酸エステルが含まれている。高校生の健康が心配だ。

<関連記事>

カリフォルニア州、人工芝政策を転換。自治体任せに

カリフォルニア州知事はこのほど、PFAS入り人工芝禁止の法案に署名しなかった。理由は、州では対策が手に負えないから、自治体に任せた方がよいと判断したためのようだ。

そのため、10年ほど前にできたこの↓法律(人工芝などのような干ばつに強い造園を禁止してはならないという法律)を取り消した。

https://leginfo.legislature.ca.gov/faces/billTextClient.xhtml?bill_id=202320240SB676

そのため、これからは各自治体ごとにPFAS入り人工芝を禁ずる法律を作ることになる。

州上院議員は、「人工芝はリサイクルできず、しかも鉛やPFASなどの毒素の存在により、環境に脅威をもたらす」と話し、芝だけでなく、ゴムチップの有害性も懸念している。また、専門家は、PFASは地下水や淡水を汚染し、海に入り、食物連鎖に入り込んで、私たちの血液や筋肉に入ったと話したとのこと。

米人工芝評議会会長は、「私たちの会員企業は、既にPFASを人工芝に意図的に入れていない」と明言しているそうだ。

<出典>

https://laist.com/brief/news/climate-environment/once-hailed-as-a-drought-fix-california-moves-to-restrict-synthetic-turf-over-health-concerns

<関連記事>

カリフォルニア州知事、人工芝などのPFAS禁止に拒否権を行使

カリフォルニア州で計画されていたPFAS入り人工芝などを禁止する法案が流れた。

当然、カリフォルニア州知事は署名すると思っていた。前評判でも、知事は署名に前向きだと聞いていた。

しかし、州知事は拒否権を発動したそうだ。

https://www.exponent.com/article/california-governor-gavin-newsom-vetoes-three-pfas-bans

以前のニュースでは、「カリフォルニア州議会は、PFASを含む人工芝の製造・販売を禁止する法案を承認した。議会法案1423は、ピラール・スキアボ下院議員によって提出され、ギャビン・ニューサム州知事に提出された。法案が署名されれば、禁止は2026年1月1日に発効する」とのことだったが・・・。

https://www.ewg.org/news-insights/news-release/2023/09/california-legislature-sends-ban-forever-chemicals-artificial

州知事は人工芝だけでなく、生理用品もクリーニング用品も、PFAS絡みの法案をすべて拒否した。

理由は、「法案の趣旨は「強く」支持するが、州はその実効性を確保する態勢にないことを懸念している」ためだそうだ。

事業者に頼まれ、時間稼ぎをしたのでは?と疑っている。

<関連記事>

欧州でラメ禁止の衝撃

欧州委員会がグリッター(化粧品や衣類、玩具などに使われるプラスチック製のラメなど)禁止を発表して以来、欧州のEU加盟国ではちょっとした騒ぎになっているようだ。

「Glitter ban」で検索をかけると、さまざまな記事がでてくる。

禁止を目前にグリッターをバーゲンしている店が多い様で、キラキラ好きな人たちが買いに走っているようだ。

例えば、英紙ガーディアンによると、ドイツのある有名人が禁止される10月15日を前に180ユーロ分ものグリッターを買いあさった話が紹介されている。

https://www.theguardian.com/world/2023/oct/09/glitter-sales-surge-in-germany-before-eu-microplastics-ban-this-week

グリッター禁止は、EUの意図的添加のマイクロプラスチック(5㎜以下のプラスチック)規制の一環だ。9月25日に欧州委員会が発表した。

グリッターと、洗顔料などにスクラブとして入れられているマイクロビーズが規制第一弾の対象となり、規制発効後即時中止されることとなった。発効は10月17日のはずだが、多くのメディアは15日に禁止と書いている。国によって前倒しで禁止したということだろうか?

この2つ以外のマイクロプラスチックは、4年から12年の猶予期間(禁止までの移行期間)が設定されているため、まだ大きな騒ぎにはなっていない。

規制の対象はマイクロプラスチックそのものと、マイクロプラスチックが意図的に入れられマイクロプラスチックを放出する製品、つまり対象は、人工芝(ゴムチップ)、洗剤、柔軟剤、グリッター、肥料、植物保護製品、玩具など多岐にわたる。

このうち最大の放出源は、人工芝に充填されるゴムチップだ。しかし、既にコルクなど代替品も売られている。ゴムチップは、亜鉛や鉛などの重金属と有害な化学物質の塊だから、人工芝を使う人の健康にも悪影響を与える。そんなものが川や海へ大量に流れ込んでよいはずがないから、規制は当然だ。ゴムチップの禁止までの移行期間は8年。長すぎるほどだが、これで欧州の人工芝離れはますます加速すると思われる。

これから特に対策が必要な業界は化粧品分野だ。化粧品はマイクロプラスチックの塊といっても過言ではないほど、マイクロプラスチックが多い。特に口紅に使われるマイクロプラスチックは、体内に入る量が多く健康への影響が気になるが、リップ関連製品の移行期間はネイルや他のメイクアップ製品と同じく最も長い。禁止は2035年10月17日からと書かれているので、12年もある。

既に香害など人間への被害が問題になっている香料入りマイクロカプセルの移行期間は6年だ。マイクロカプセルが規制対象になったのはうれしいが、マイクロカプセルについての情報はまだほとんどでていない。香料入りのみが対象なのだろうか?

最近は消臭効果を謳った柔軟剤も多いから、マイクロカプセルが包み込んでいるものは香料だけではなく抗菌剤などもあると思われる。そのあたりはどうなのだろう?もしかすると、香料以外のマイクロカプセル入り柔軟剤は、日本特有のもので欧州にはないのだろうか?確かに熱湯で洗濯する国では、抗菌剤入りの柔軟剤など無駄だから売れないような気がする。

<主な出典>

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=OJ%3AJOL_2023_238_R_0003&qid=1695804976302

<関連記事>