独、使い捨てプラごみの処理費用を製造者に デジタルプラットフォーム運用開始

ドイツでは2022年11月、使い捨てプラスチック製造者に対し、公園や街路の廃棄物処理費用の負担を課す法案が承認された。

https://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=48448&oversea=1

廃棄物投棄への対応に取り組む公共機関にその処理費用を支払うシステムの管理・処理を行うデジタルプラットフォームが、今年4月から運用開始となる。

これにより、連邦環境庁は約56000機関の賦課金支払い対象組織の登録と入金、および約6400機関への処理費用の分配をデジタル処理できるとのこと。

https://www.eic.or.jp/news/?act=view&word=&category=51&serial=49983

日本はなかなか進まないが、ドイツの拡大生産者責任はどんどん進んでいく。

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東大などが実験、生分解性プラは深海でも分解。ポリ乳酸は分解せず

東京大学や海洋研究開発機構、群馬大学、製品評価技術基盤機構、産業技術総合研究所、日本バイオプラスチック協会は、様々な生分解性プラスチックを水深の異なる海底に沈め、分解するか実験を行った。

その結果、生分解速度は水深が深くなるにつれて遅くなるものの、全ての深海底で生分解されることも確認されたという。

実験は、神奈川県の三崎沖(水深757 m)、静岡県の初島沖(水深855 m)、伊豆小笠原島弧海底火山付近の明神海丘(水深1,292m)、黒潮続流域の深海平原(水深5,503 m)、日本最東端の南鳥島沖(水深5,552 m)で行われた。

研究成果は、国際科学専門誌「Nature Communications」オンライン版に掲載された。

以上、東京大学HPより↓

https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20240126-1.html

これまで生分解性プラスチックは、微生物の少ない深海では分解しないだろうと考えられていた。しかし、この実験によりポリ乳酸以外は分解することが実証された。

今回の結果は長年の懸念を払拭するよい結果だと思う。深海でも分解するならば、地中深くでも分解するだろう。そのため、どうしてもプラスチックを使わざるを得ないものは、生分解性プラスチックを使うのがよいと思う。しかし、強度や耐久性が必要なものにはやはりまだ使えないのではないか。

日本近海の海底に大量のマイクロプラが堆積。日本もマイクロプラスチック規制が必要

国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)は先日、日本近海の海底に大量のマイクロプラスチックが堆積していると発表した。

その数は、「深海平原では乾燥堆積物1gあたり平均601.5±629.4個であり、続いて相模湾では平均29.6±23.6個、プレート三重会合点では平均11.2±6.0個」とのこと。

これは、これまでの研究で最も多くのマイクロプラスチックが見つかっていた地中海の堆積物に比べて2〜260倍4、北大西洋に比べて2〜5,500倍もの数になるそうだ。

https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20231010/

2020年に発表されたオーストラリアの研究では、マイクロプラスチックは少なくとも世界の海底に1400万トン以上堆積しているということだったが、こんな場所があるならば、この数字は早晩更新されそうだ。

https://www.cnn.co.jp/fringe/35160548.html

沈んでいる大きなプラスチックごみはもっとずっと多いだろうが、既に小さくなったものがこれほど多く沈んでいるということは、今すぐにプラスチック使用をやめたとしても、マイクロプラスチックが食物連鎖に入り生態系に悪影響をもたらすことをもはや止めることはできない。

とはいえ、少しでもマシな状況を作るためには、EUのような規制を世界全体で作る必要がある。

欧州委員会は先月(9月25日)、マイクロプラスチックそのものと、マイクロプラスチックが意図的に添加され、使用時にマイクロプラスチックを放出する製品の販売を禁止する規則を採択した。

対象製品は以下の通り

・スポーツ施設の人工芝に使う粒状の充填材(ゴムチップ)

・マイクロプラスチックが角質除去(マイクロビーズ)や、特定の質感、香り、色の取得など、複数の目的に使用される化粧品

・洗剤、柔軟剤、グリッター、肥料、植物保護製品※※、おもちゃ、医薬品、医療機器など

グリッターとは化粧品などに使われるラメなどのことで、服に使われるスパンコールなどは使用中に環境中に放出しないためか、対象ではないらしい。

植物保護製品とは、農薬や除草剤か。

角質除去用のマイクロビーズやグリッターは発効後、即時禁止となったが、それ以外の多くの製品は4年から12年の猶予期間がついた。猶予期間とは、禁止までの間に企業が準備するための期間のことで、この期間は十分長く設けられた。

日本も1日も早くマイクロプラスチックを意図的に添加した製品の販売を禁止してほしい。もちろん、人工芝に入れるゴムチップはマイクロプラスチックそのもの。早急に禁止すべきだ。

人工芝グラウンドをもつある高校では、流出したゴムチップを補充するのは高校生の役目だそうで、担当の高校生は素手でゴムチップを人工芝の上にまいている。しかし、ゴムチップには重金属や環境ホルモンであるフタル酸エステルが含まれている。高校生の健康が心配だ。

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欧州でラメ禁止の衝撃

欧州委員会がグリッター(化粧品や衣類、玩具などに使われるプラスチック製のラメなど)禁止を発表して以来、欧州のEU加盟国ではちょっとした騒ぎになっているようだ。

「Glitter ban」で検索をかけると、さまざまな記事がでてくる。

禁止を目前にグリッターをバーゲンしている店が多い様で、キラキラ好きな人たちが買いに走っているようだ。

例えば、英紙ガーディアンによると、ドイツのある有名人が禁止される10月15日を前に180ユーロ分ものグリッターを買いあさった話が紹介されている。

https://www.theguardian.com/world/2023/oct/09/glitter-sales-surge-in-germany-before-eu-microplastics-ban-this-week

グリッター禁止は、EUの意図的添加のマイクロプラスチック(5㎜以下のプラスチック)規制の一環だ。9月25日に欧州委員会が発表した。

グリッターと、洗顔料などにスクラブとして入れられているマイクロビーズが規制第一弾の対象となり、規制発効後即時中止されることとなった。発効は10月17日のはずだが、多くのメディアは15日に禁止と書いている。国によって前倒しで禁止したということだろうか?

この2つ以外のマイクロプラスチックは、4年から12年の猶予期間(禁止までの移行期間)が設定されているため、まだ大きな騒ぎにはなっていない。

規制の対象はマイクロプラスチックそのものと、マイクロプラスチックが意図的に入れられマイクロプラスチックを放出する製品、つまり対象は、人工芝(ゴムチップ)、洗剤、柔軟剤、グリッター、肥料、植物保護製品、玩具など多岐にわたる。

このうち最大の放出源は、人工芝に充填されるゴムチップだ。しかし、既にコルクなど代替品も売られている。ゴムチップは、亜鉛や鉛などの重金属と有害な化学物質の塊だから、人工芝を使う人の健康にも悪影響を与える。そんなものが川や海へ大量に流れ込んでよいはずがないから、規制は当然だ。ゴムチップの禁止までの移行期間は8年。長すぎるほどだが、これで欧州の人工芝離れはますます加速すると思われる。

これから特に対策が必要な業界は化粧品分野だ。化粧品はマイクロプラスチックの塊といっても過言ではないほど、マイクロプラスチックが多い。特に口紅に使われるマイクロプラスチックは、体内に入る量が多く健康への影響が気になるが、リップ関連製品の移行期間はネイルや他のメイクアップ製品と同じく最も長い。禁止は2035年10月17日からと書かれているので、12年もある。

既に香害など人間への被害が問題になっている香料入りマイクロカプセルの移行期間は6年だ。マイクロカプセルが規制対象になったのはうれしいが、マイクロカプセルについての情報はまだほとんどでていない。香料入りのみが対象なのだろうか?

最近は消臭効果を謳った柔軟剤も多いから、マイクロカプセルが包み込んでいるものは香料だけではなく抗菌剤などもあると思われる。そのあたりはどうなのだろう?もしかすると、香料以外のマイクロカプセル入り柔軟剤は、日本特有のもので欧州にはないのだろうか?確かに熱湯で洗濯する国では、抗菌剤入りの柔軟剤など無駄だから売れないような気がする。

<主な出典>

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=OJ%3AJOL_2023_238_R_0003&qid=1695804976302

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マイクロプラは海から陸へ舞い戻る。今度は北極圏で観測

数年前、フランスの海岸での調査で、海に浮かぶマイクロプラスチックが風に乗って陸に舞い戻っていることが発見された。海から来る風を捕まえて分析したところ、マイクロプラスチックが混じっていたということだった。

今回学術誌に発表された研究は、ドイツのオルデンブルク大学などの研究チームがノルウェー沿岸部の北極圏に広がる海の空気を集め、分析したもの。

その結果、多種類のプラスチック粒子が検出されたそうだ。

2021年に調査船で集めた空気サンプルを熱で分解し、発生するガスを分析したという。

見つかったマイクロプラスチックは、PETやポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレンなど。PMMA(メタクリル酸メチルエステル; アクリル樹脂)も多そうだ。

最近よくPMMAがいろんなもの(例えばヒトの心臓など)から検出されているが、何に使われたものだろうか?レンズやアクリル板?他に何だろう??

<出所>

https://www.nature.com/articles/s41467-023-39340-5

https://karapaia.com/archives/52325209.html

魚大量死の原因はやっぱり「人間」?

世界各地で魚が大量死している。

原因は、大量取水や栄養過多、気候変動による水温上昇、水質汚染、そしてダムなどとのこと。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/071400366/?P=1

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/071400366/?P=2

栄養過多は人間が肥料やごみを川に入れてしまうことによるそうなので、これも人災か。

テキサス州の川では今年、魚が窒息により大量死した。在来魚のニシンなどがまず死に、その死骸や弱ったニシンを外来種のコイが食べていたそうだ。

人間による川の使い方や気候変動が、生物多様性を著しく損なっている。

他にも人間の被害者は多そうだ。

プラスチックごみにくっついて流れた陸上生物の病原菌が海洋哺乳類などを病気にしているし、海鳥も「プラスチック症」を発症している。

市場は失敗し続けているのに、誰も打つ手を知らないようだ。せめて、個人が少しずつでも出来ることは、「地産地消」「脱プラ」「ゼロ・ウェイスト」か・・・。

リサイクル施設から大量のマイクロプラ。リサイクル施設が増えて大丈夫?

イギリス・スコットランドの研究で、リサイクル施設からおびただしい量のマイクロプラスチックがでていることが証明された。

複数回の洗浄が主な原因らしい。

洗浄は複数回行われるため、研究チームは工程の4カ所で排水のサンプルを採取したとのこと。

マイクロプラスチックがリサイクル施設から発生していることは、以前のドイツのマイクロプラスチック発生量の内訳を見てもわかっていたが、焼却施設からもでていたので、あまり気にしていなかった。しかし、こんなに排水からでていることはドイツでも想定外だったのではないか。

調査の対象となったリサイクル施設はまだ新しく、最新の設備を備えていた。50μm(マイクロメートル)以上の粒子を捕集するフィルターを導入していたという。

しかし、それでも排水1立方メートルあたり、最大750億個の粒子が含まれていたそうだ。

「フィルターがない場合、この施設単独で排出するマイクロプラスチックは年間最大650万ポンド(約3000トン)になるが、フィルターを通せば300万ポンド(約1360トン)まで減らせる計算になる」とのこと。

https://wired.jp/article/yet-another-problem-with-recycling-it-spews-microplastics/

つまりフィルターを設置しても、半分強程度しか減らせないということか。

しかも、サンプルを採取したうちの2カ所では、見つかったマイクロプラスチックの約95%が10μm未満、85%が5μm未満だったそうだから、捕捉できないレベルのもっと小さいナノプラスチックがどれほど大量に発生しているは想像に難くない。

日本では、昨年施工されたプラスチック新法で、削減よりもリサイクルが推奨されている。そのため、新しいリサイクル工場が各地で稼働を始めた。

もし、来年末までに決まるはずの国際プラスチック条約でも似たようなことになれば、世界中ナノ・マイクロプラスチックだらけになりそうで、ゾッとする。

もちろん、焼却はリサイクルよりも問題が多いので、焼却を推奨したくない。

国際条約では、プラスチック生産の大幅削減を決めてほしい。

リサイクルについての論文は↓

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2772416623000803

広島県が県内7カ所のマイクロプラを調査。カキ関連ごみ対策も考えて

広島県が県内7カ所の水域のマイクロプラスチックを調査した。

テレビ新広島↓

https://news.yahoo.co.jp/articles/1d8927c39c42e359dd7b5985b9bb06c8ad739ec2

川が3カ所、海も3カ所、下水処理場1カ所だ。

下水処理場のどこかは説明がないのでよくわからなかったが、7箇所中一番マイクロプラスチックの密度が高かったのは、黒瀬川で1立方メートル当たり2.54個とのこと。

0.3mm以上5㎜以下を調査したようで、今後は0.3㎜未満のものも広島大学と一緒に調べたいそうだ。

0.3㎜未満のものを調べるのも興味深い。案外今回とは違った結果が出るかもしれない。だがそれよりも、県にとっては担当課長もいっていたようにプラスチックの「使用量削減が大事」だ。今後どのように県民がプラスチック使用量を減らすために県として対策していくのか、売り手側への指導も含め、むしろこちらに注目したい。

広島県の海域といえば、カキパイプなどカキの養殖関連のプラスチックごみの多いことが予想される。

それらはまだ5㎜以下でなかったため、カウントされなかったのだろうが、このあたりのことを県としてどう対策しているのか、気になって少し検索してみた。

昨年、県民からの質問に対し、下記のように回答している。

https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/kenseiiken/2022-05.html#b

「本県では、まずは、かき養殖業界の自浄努力での解決を目指し、生産者団体の指導の下、令和元年9月に、県内全てのかき生産者が養殖資材の流出防止計画を立て、流出防止対策を強化しています。計画策定から2年半が経過しましたが、本県が行った海岸漂着物実態調査では、計画策定前の平成30年には、かき養殖資材は45.8トン漂着していると推定されていましたが、令和2年には27.1トンとなり、約4割減少しました。(以下省略)」

業界の努力だけでは4割が限界だろう。県として今後どう対策するのか、こちらも注視したい。

ブループラネット賞にマイクロプラ研究者、北大の小城先生は?

今年のブループラネット賞にマイクロプラスチック研究者が選ばれた。

「マイクロプラスチックが世界の海を広く汚染していることを明らかにした英プリマス大のリチャード・トンプソン教授(59)と、マイクロプラスチック研究者の英エクセター大のタマラ・ギャロウェイ名誉教授(60)、同大のペネロープ・リンデキュー栄誉教授(51)だ。

https://www.topics.or.jp/articles/-/906289

他に、気候変動などに起因する大規模災害データベースを創設したベルギーのルーバン・カトリック大のデバラティ・グハ・サピール教授(69)が選ばれたという。

しかし、マイクロプラスチックという言葉ができるだいぶ前から、日本でも微小プラスチックが海を汚染していることを指摘し、警鐘を鳴らしていた人がいる。

北海道大学名誉教授の小城春男先生だ。

このままでは手遅れになる、なんとかしなければ、と環境省の審議会(委員会?)でもよく発言していた。

早すぎる指摘で理解されなかったのか、それとも??

よくわからないが、何となく残念だ。

プラスチックに付着するトキソプラズマ、強毒性の株がラッコを殺す

プラスチックに病原菌やウイルスが付着し、遠方まで運ばれることがわかっている。

人畜共通の感染病を引き起こすトキソプラズマ原虫もその1つで、プラスチックの上で長く生き延び、陸から海に流出した後もプラスチックを舟にして遠くまで運ばれる。

https://mainichi.jp/premier/health/articles/20220518/med/00m/070/003000d

結果として、海の生き物に感染するが、通常感染した生物がすぐに死ぬことはなかった。しかし、強毒性の株が表れ、カリフォルニアラッコを数週間で死に至らしたそうだ。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/060200277/?n_cid=nbpnng_mled_html&xadid=10005

この強毒性の株はこれまで野生の豚で一度感染が確認されたが、水生生物で確認されたのは初めてだというが、今後増殖し、他にも被害を広げそうだ。

もし、人間にも感染するとどうなるかだが、これまでのトキソプラズマならば妊婦以外は目立った症状はないが、危機意識が欠如し、交通事故に遭いやすくなることがわかっている。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/7449/

恐怖心が鈍くなるため、交通事故に遭う確率が2倍になるということだ。

また、これよると、免疫細胞を乗っ取ることで、統合失調症などの精神疾患にも関連している。

トキソプラズマ原虫はプラスチック登場前からいただろうが、プラスチックが蔓延したせいで生息域を伸ばし、強毒性になることを助けているようだ。

プラスチック汚染の影響は目に見えないところにまで広がっている。本当に怖い。