注意!!まだ売っているマイクロビーズ入り「スクラブ洗顔」

昨夕、 某大手ストアへ立ち寄った。

有機野菜や有機果物(有機キーウィフルーツ)なども少し扱っているため、やや遠いけれど時々行っている店で、食品スーパーとディカウントストアを合体させたような店だ。

そこで、マイクロビーズ入りのスクラブ洗顔剤と遭遇。

ネットではまだ売られているとは聞いていたが、まさかこのような全国展開している大規模店で堂々と売っているとは思わなかった。

しかも国内2メーカーの商品が、100円台のバーゲン品として、山積み!!

帰宅してから調べたところ、楽天やamazonなどでもネット販売されていた。いずれも100円台のお買い得品的な扱い(と思ったら、400円台という高額?なものもあった)。

他にもないかとネットショップを探したところ、原材料名の記載のない怪しげな商品も見つかった。いずれも安心なはずの国内メーカーの商品だ。

2016年3月に日本化粧品連合会がマイクロビーズの自主規制を開始した。連合会に加盟していなかったとしても、情報はキャッチできたはずだから、その時点でマイクロビーズ入り商品の生産を抑制し、代替品を使った新商品の開発に着手していれば、今頃になって在庫整理する必要はなかったはず。

マイクロビーズに代わる植物由来のスクラブ剤はいくらでもある(価格は少し高くなり、使用感も異なるため簡単ではないだろうが・・)。

おそらく今年6月にマイクロプラスチックの抑制を盛り込んだ改正法が成立してから、あわてて生産を中止し、在庫整理に奔走しているのだろう。

生産者として、対応があまりにもお粗末すぎないか。買う消費者がいれば作っても構わない、法律で禁止されるまでは作ってもOK、という姿勢ではメーカーとしての責任感がなさ過ぎる。

販売という形の在庫処分は中止し、適切な管理のもとできっちりと廃棄処分すべきではないか。

販売する小売店やネットショップにも、販売者としての社会的責任を自覚して欲しい。

(補筆)販売していたリアル店舗のサイトの問合せ欄に、マイクロビーズ入り商品の販売を中止してほしい旨を記載して送信した。良い返事がくればうれしいけれど・・・

(追記)返事は来なかったが、当該商品は店舗から引き上げられた(二日後に再訪したときには既になかった)。しかし、同じ系列の別店舗で売られているのかもしれない。

 

海洋汚染 ストローやペットボトルよりひどいタバコの吸い殻

いうまでもなく、タバコのフィルターもプラスチックだ。そのフィルター部分は、健康のためにタバコに付けられているものだとばかり思っていた。

しかし実際は、フィルターに健康被害を減らす効果はないそうだ。しかも「NBCニュースの報道によると、吸い殻の3分の2は道端に捨てられ、その多くが海やビーチに向かう」という。

つまり、効果がないのにタバコに付けられた挙げ句、最も多い海洋汚染プラスチックになっているということ。

環境保護団体の「オーシャンコンサーバシー」は1986年から毎年、世界最大規模のビーチの清掃活動を行なっている。これまでビーチから拾い上げられたゴミのうち、最大の件数となっているのがタバコの吸い殻で、240万本に達している。これに比べ、プラスチックボトルは160万本、プラスチックごみ袋は80万枚となっている。

このため、タバコ企業はフィルター付きタバコ販売をやめるべきだという意見が広まっているそうだ。

<出所>

Rakuten Infoseek News(2018.9.9)「プラスチックごみより酷い「タバコの吸い殻」の海洋汚染」

https://news.infoseek.co.jp/article/forbesjapan_22896/

未来世紀ジパングの海ごみ特集 途中まで良かったが、最後まさかのLIMEX押し?!

昨日(2018.9.12)放送された未来世紀ジパングの「世界のごみ問題第3弾 人類vs使い捨てプラスチック」を見た。

最初は、本ブログでも取り上げていたインド・マハラシュトラ州のプラスチック禁止令下での現地の状況報告で、プラスチックGメンや代替品の開発に沸く現地の様子を取り上げていて面白かった。

次に日本のプラスチック消費量と日本近海のマイクロプラスチック状況を取り上げ、日本は使い捨てプラスチックを使いすぎていることを指摘。ナビゲーターとコメンテーターが、スーパーのレジで食品を薄い小袋(レジ袋より薄く小さい半透明の袋)にいちいち詰めてくれるレジ係に、不要だと告げることを紹介、これもよかった(私もこれまで、レジ袋以上に役立たずごみになるだけのこの小袋をだいぶガマンしていたが、最近はきっぱり断るようにしている)。

しかし、最後に取り上げられたTBMのLIMEX容器。これでせっかくの番組が盛り下がった。

石灰石と生分解性プラを組み合わせた容器は一見すると画期的に見える。もともとは、石灰石を6割程度にプラスチック(ポリオレフィン)を4割程度混ぜて容器や名刺を作っていたLIMEXのポリオレフィン部分を生分解性プラに変更したものだ。生分解性プラはおそらくポリ乳酸を使用か。

しかし、従来のポリ乳酸は海で分解しないため、海ごみ対策にはならない。それならばむしろ、従来の紙容器にポリ乳酸で作ったフィルムをラミネートしたものの方がマシではないか。

紙は木材を使うから環境に悪いという人もいるが、木材は再生可能な資源である。適切に管理された森林から原料調達するならば、環境を破壊しない。それに比べ石灰石は、地球上に大量にある素材かもしれないが、再生不可能で、採掘は山の破壊に直結する。

いずれにせよ、インドのように脱使い捨てプラスチックを宣言し、まずは減らすことが大事だろう。そうなればさまざまな代替品が開発され、代替品市場が活性化する。G7の海洋プラスチック憲章に署名した国々はそれを狙っていたはずだ。

<参考>

未来世紀ジパング(2018.9.12)「人類vs使い捨てプラスチック」

http://www.tv-tokyo.co.jp/zipangu/backnumber/20180912/

<関連記事>

インド マハーラーシュトラ州のプラスチック禁止令

インド・マハラシュトラ州のペットボトル回収制度

香港・台湾の環境団体 ペットボトル散乱で中国メーカーに申し入れ

香港のNGO8団体と台湾のNGO3団体が合同で、香港と台湾の海岸清掃を行ったところ、ペットボトルごみの3分の2(約66%)に簡体中国語のラベルがついていた。中国本土から漂着したものとみられるという。

そのため、香港と台湾の環境保護団体が、中国本土の飲料メーカーにプラスチックごみ削減のための対策を講じるよう呼びかけたそうだ。

中国の研究チームが海水でも溶けるプラスチックを開発し、その技術を中国メーカーに提供したというニュースもあるが、分子として残るということから完全に分解するわけではなく崩壊して見えなくなるもののようだ。それでは、マイクロプラスチック問題は根本的に解決されない可能性がある。

技術開発が大事であることはいうまでもないが、日本も中国も、技術に頼る前にまずきちんとした回収システムを構築するべきだろう。

香港の回収システムは知らないが、台湾は拡大生産者責任(EPR)が徹底しているため、メーカーの支払ったお金を利用して様々な方法で回収されている。そのため、回収率は100%近い。台湾のビーチに台湾製のペットボトルがほとんど落ちていなかっただろうことは容易に想像がつく。

個人のモラルに頼る回収システムは、理想的かもしれないが、うまくいかないことは、容器包装リサイクル法制定後20年を経た今、日本の海岸にペットボトルなどのプラスチックごみや飲料缶が大量に落ちていることからもわかる。

回収システムの根底には、生産者責任の徹底が必要だろう。

<参考>

Record China(2018.9.6)「香港・台湾のビーチのペットボトルごみ、3分の2が中国から―香港紙」↓

https://www.recordchina.co.jp/b640940-s0-c30-d0139.html

人民網日本語版(2018.9.6)「中国人科学者が海水に溶けるプラスチックを開発」↓

http://j.people.com.cn/n3/2018/0906/c95952-9498126.html

プラごみ回収船が出発 太平洋ごみベルトへ

2018年9月8日、オーシャンクリーンアップが開発したプラスチックごみ回収装置をけん引した船が、太平洋ごみベルトに向かってサンフランシスコを出発した。

装置は、直径1メートル20センチ、長さ12メートルの巨大なパイプをつないだもので、全長およそ600メートル。目的の海域に達すると、両端を船でゆっくりと引いて海面付近を漂うごみを囲い込み、回収するとのこと。

半年以内に最初のプラスチックごみをサンフランシスコに持ち帰る計画。

ごみと一緒に海洋生物まで回収されないか心配だが、それよりもマイクロプラスチックになる前に回収する必要があるということだろうか。

以前の発表では、太平洋ごみベルトの中で製造国のわかるごみのうち、日本のものが3割で最も多いということである。

<参考>

NHK NEWS WEB(2018.9.9)「海に漂う““プラスチックごみ”回収船が出発 米」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180909/k10011620101000.html

<関連記事>

太平洋ごみベルトにごみ8万トン集積 日本からは3割

韓国 使い捨てプラを2027年までにゼロへ

韓国が、2018年から27年までの10カ年国家戦略「第1次資源循環基本計画」を発表した。使い捨てのプラスチック製コップとストローの使用を段階的に禁じ、大型スーパーなどの過剰包装を法的に制限するなどの取り組みを進めることを決めた。

代替可能な製品のある使い捨てプラスチック製品の使用を段階的に禁じ、27年までに「ゼロ」にする目標。業界は既に自主的な協定で過剰包装を控えているそうだが、今後は法律で制限し、管理を強化する。

生ごみは、減量効果が確認済みの電子タグを使った従量制を、一定規模以上の集合住宅に22年までに義務付け、27年までには戸建て住宅や小規模飲食店にも拡大する方針。リサイクル製品は、公共の買い取りの割合を現行の49%から70%に引き上げるとのこと。

韓国は既にレジ袋廃止も発表しており、インドや台湾とともにアジアの脱プラスチックの取組を牽引している。

<出所>

聯合ニュース(2018.9.7)「使い捨てプラ製品を27年にはゼロへ 韓国が基本計画」↓

http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2018/09/04/0200000000AJP20180904001500882.HTML

<関連記事>

韓国 年末からレジ袋禁止

化学業界 海洋プラごみ対策の協議会を設立

環境省の審議会(中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環戦略小委員会)が、プラスチック削減の数値目標を年度内に決めることを受け、化学業界5団体(日本化学工業協会、日本プラスチック工業連盟、石油化学工業協会、プラスチック循環利用協会、塩ビ工業・環境協会)は、海洋プラスチック問題に対応するための協議会「海洋プラスチック問題対応協議会(JaIME)」を設立した。

協議会は、5団体の他に個別企業(三井化学、旭化成、JXTGホールディングス、三菱ケミカルホールディングスなど)も加わった約40の企業や団体。

ストローの使用中止などで注目されるプラスチック問題について、アジアで日本のリサイクル技術の普及などに取り組むとのこと。

また、海洋プラスチックの健康への影響についての委託研究も進めるそうだ。

この協議会が、国のプラごみ削減戦略の圧力団体にならないことを願っている。

<参考>

日本経済新聞(2018.9.8)「海洋プラで協議会設立 化学5団体、リサイクル戦略検討」↓

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO35136290X00C18A9FFN000/

毎日新聞(2018.9.7)「プラスチックごみ 国内化学メーカーが対応協議会」↓

https://mainichi.jp/articles/20180908/k00/00m/020/185000c

 

日本のイケアも使い捨てプラ 販売中止

イケア本社の決定(関連記事参照)を受け、イケア・ジャパンも2020年までにストローやゴミ袋、フリーザーバッグなどの販売を中止する。

既に製造は中止しており、在庫を売り切り次第、販売を終了するそうだ。

悪いと知りながら「消費者が欲しがるから」と売り続けるメーカーや小売店が多い中、イケアはさすがだ。

<出所>

毎日新聞(2018.8.29)「イケア プラ製ストロー販売中止へ ごみ袋も20年までに」↓

https://mainichi.jp/articles/20180829/k00/00e/020/318000c

<関連記事>

イケア 使い捨てプラスチック製品全廃、ビーズソファは?

神奈川県がレジ袋やストロー廃止を自治体・企業に呼びかけ

神奈川県は、鎌倉市由比ガ浜に打ち上げられたシロナガスクジラの赤ちゃんの胃の中からプラスチックごみが発見されたことを受け、プラスチック製のレジ袋やストローの利用廃止を自治体や企業に呼びかけている(かながわプラごみゼロ宣言)。

SDGs未来都市である神奈川県は、2030年までのできるだけ早期に、リサイクルされず廃棄されるプラごみをゼロにすることを目指す。

神奈川県内は、スーパーとレジ袋有料化協定を締結している市町村が少なく、マイバッグ持参率も低い。そんななかで、この「かながわプラごみ宣言」はとても画期的だ。これを受け、各市町村や企業がどう応えるか、期待している。

いっそのこと、県が「プラごみゼロ条例」を作り、「レジ袋一斉廃止」などを主導してくれたらよいのだが・・県は規制や義務化に向けたルールは策定せず、イベントなどでの「啓発先行」で進める意向とのことである。

1.コンビニエンスストア・スーパーマーケット・レストラン等と連携し、プラスチック製ストローやレジ袋の利用廃止や回収などの取組を進めていきます。
2.県内で行われる環境イベント等において、プラスチック製ストローの利用廃止や回収などを呼びかけていきます。
3.海岸利用者に対して、海洋汚染の原因となるプラごみの持ち帰りを呼びかけていきます。

<出所>

神奈川県(2018.9.4)「「かながわプラごみゼロ宣言」ークジラからのメッセージ―」↓

http://www.pref.kanagawa.jp/docs/r5k/sdgs/plasticgomizero.html

「かながわプラごみゼロ宣言」↓

http://www.pref.kanagawa.jp/docs/r5k/sdgs/documents/kanagawaplasticgomizerosengen.pdf

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母乳しか飲んでいない赤ちゃんクジラからプラスチック片

業界団体 中学生のプラスチック授業を支援・・それって大丈夫??

中学校の理科教育のカリキュラムに「プラスチック」が加わり7年目になるそうだ。時間枠は3時間までで、PETやPPなど各樹脂の性質を教えることを求められているとのこと。

教員にはハードルの高い授業であることから、化学やプラスチックの業界団体が連携して運営する「プラスチック教育連絡会」が、先生方対象に出前授業や工場見学会などを行い、喜ばれているという。

見学会のお土産として、樹脂の違いを知るための実験キットなども人気が高く、授業を機に子どもたちにプラスチックの正しい使い方や処分方法も浸透させ、理科やプラスチックに関心をもってもらうのが狙い・・・と、よいことばかりに聞こえる。

確かに子どもたちは実験で好奇心を刺激される。それはそれで役立つだろう。だが、中学生のプラスチック授業のネタ提供を、使い捨てプラスチックを減らすことに消極的な業界団体にのみ任せることは不安がある。脱使い捨てプラスチックを進める市民団体にも出前講座などをしてもらうのがよいのではないか。

プラスチックは今のところ確かになくてはならないものだろう。しかし、その性質ゆえに、多くの問題を内包する。おそらく業界団体に任せていては、問題点は過小に、便利さが過大に、先生や子どもたちの頭にインプットされそうだ。

例えば、プラスチックに添加される化学物質の中には有害なものも少なくないことや、リサイクルしにくいため8割を越す日本のプラスチックリサイクル率は、実は焼却時のエネルギー利用と製鉄所の高炉やコークス炉での利用をも含めてリサイクルとしてカウントされたものであり、海外ではそれらはリサイクルとは呼ばれていないことなどは、子どもらに正しく伝わっているのだろうか?

また、焼却炉もプラスチックを燃やすようになってからは高度なダイオキシン対策が施されるようになり、それがひどく高額で、しかも焼却炉はほぼ30年で新しくしなければならないため、その度に多額の税金がかかり、しかも焼却場を作る場所もなかなか決まらない地域が多く、各地で紛争の種になっていることも伝わっているだろうか?

そして何よりも、マイクロプラスチックが海洋を汚染したことから魚介類も海鳥もプランクトンでさえもプラスチックを食べているため、人も魚介類を通してプラスチックを食べている可能性が高いこと、さらに大気や水もプラスチックで汚染されたことから、水道水にもビールにもハチミツにもマイクロプラスチックが入りこんでしまったことは正しく伝わっているだろうか?

これらはやはり業界団体による出前講座や見学会では困難で、きちんと伝えるには、やはりプラスチックの悪影響を学んだ市民団体などが適当ではないか。

使い捨てプラスチックは使うべきでないことを、しっかりと子どもたちに伝えるためにも、中学生がプラスチックについて偏ることなく学べる環境が必要だ。

<参考>化学工業日報(2018.8.22)

中学校でのプラスチック教育さらに