プラ製容器をレンチンすると大量のマイクロプラが発生 離乳食容器からも

プラスチック容器に入れたまま食品を電子レンジにかけると、容器から化学物質が溶出し、食べた妊婦に死産などの被害を与える可能性のあることは既に報告されている。

今度は、プラスチック製食品容器に水や食品を入れ電子レンジにかけると、大量のマイクロプラスチックが放出されたということだ。

研究チームは、アメリカ食品医薬品局(FDA)が承認しているポリプロピレン製の離乳食容器やポリエチレン製の食品容器に、水またはさまざまな食品をシミュレートする3%の酢酸水を入れて、1000Wの電子レンジで3分間加熱したとのこと。加熱後、容器に入った液体にどれほどのプラスチック粒子が放出されたかを分析したところ、大量のマイクロプラスチックが液体に放出されていたという。

「実験結果を分析した研究チームは、わずか1cm2のプラスチックから422万個のマイクロプラスチック(粒子の直径が1μm~5mm)と21億1000万個ものナノプラスチック(粒子の直径が1μm未満)が液体に放出されると推定しました」。

https://gigazine.net/news/20230809-microwaving-released-billions-nanoplastics/

このことはすなわち、プラスチック製容器に入れたまま食品や水を電子レンジにかけると、危険な化学物質がくっついたマイクロプラスチックが食品などにくっついて、人間の体内に入り込み、影響を与えるということを意味している。

妊婦や赤ちゃんはもちろん子どもや大人も、プラスチック容器に入れたまま食品を電子レンジにかけることは、くれぐれも避けたい。

マイクロプラの危険性:ヒトの腸に炎症

マイクロプラスチックの人体への毒性が、次々と明らかになってきている。

「人間の細胞から作り出したミニ臓器である腸オルガノイドを用いた実験により、マイクロプラスチックが腸に炎症作用をもたらすことがわかりました」とのこと↓

https://gigazine.net/news/20230806-microplastics-danger-intestine/

アメリカのタフツ大学の研究チームが、人間の腸の培養組織を使って実験した結果を発表した。

腸管モデルを複数のサイズのプラスチック粒子にさらしたところ、最も小さいプラスチック粒子は腸の内壁を覆う上皮細胞に取り込まれ、さらに「大きめの粒子が腸の免疫応答に関連するマイクロフォールド細胞(M細胞)に取り込まれて腸組織内に侵入」したとのこと。

元論文はこれ↓

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S154996342300031X?via%3Dihub

そういえば、2020年に東京大学の酒井教授が日本財団と一緒にこれとよく似た研究を発表していた。確か、小腸培養組織を使った実験で、最も小さいマイクロプラスチックは上皮細胞を通って血管に入り、大きめのプラスチックはリンパ管に入っていったとのことだった。

当時はまだ、炎症を起こすことまでは解明されなかったが、タフツ大学ではさらに研究を進め、炎症を起こすことを明らかにしたのだろう。

日本でこの手の研究が今どこまで進んでいるのだろうかとググったところ、自治医科大学でもこのような研究を行っていた。

https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20K21725/

結果を早く知りたいものだ。

米コハセットで使い捨てペットボトル水の販売禁止を提案

米コハセットで、1ガロン未満のペットボトルなど使い捨てのプラスチック製ボトル水の販売禁止が提案されている。

承認された場合、2025年1月1日に発効される。炭酸水などは除外され、普通の水だけが対象だ。

インスタグラムによる調査では、70%が禁止を支持しているとのこと。今後、給水ステーションを増やす方針。

違反すると、最初は文書による警告だが2回目以降は罰金で、2回目は100ドル、3回目は200ドル・・と罰金額が増額される仕組みが考えられているようだ。

<出所>

東急ホテルでペットボトル廃止 カトラリーも紙製に

セルリアンタワー東急ホテル(東京都渋谷区)が、客室などの飲料水や一部の備品を変更した。

東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が掲げるSDGs方針の一環とのことだが、ようやく昨年施行されたプラスチック資源循環法に対応したのだろう。

客室などに置かれていたペットボトルを紙製ボトルに変更し、テイクアウト用に使用しているスプーン・フォーク・カップの蓋などをプラスチック製から紙製に変更した。

また、ランドリーバッグをプラ製から布製にし、繰り返し使えるようにした。ハンガーも木製にしたそうだ。

他に、お風呂のシャンプーなどのミニボトルも順次廃止し、ポンプ式に切り替えるとのこと。

とてもよい変更だと思うが、もっと庶民的なホテルでは、廊下にウォーターサーバーなどが置かれていて、持参した水筒にも給水できるようになっていたりする。紙ボトルよりずっと便利だと思うのだが、どうなのだろう。

<出所>

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002787.000005113.html

歯ブラシやカミソリについては触れていないが、当然何らかの対応を既にしているのだろうと思いググったところ、こんな感じだった↓

https://www.tokyuhotels.co.jp/cerulean-h/guide/greencoin/index.html

コンタクトレンズからも、ペットボトルからもPFAS

最新の調査結果によると、検査した18種のコンタクトレンズすべてから、高レベルのPFAS(有機フッ素化合物)が検出されたそうだ。

https://www.harpersbazaar.com/jp/beauty/health-food/a43953627/contact-lenses-contain-dangerous-amounts-of-forever-chemicals-pfas-230522-lift1/

100ppm以上とのことで、この数値はEPAが安全と認める飲料水に含まれる最大量の約5万倍に相当するという。

どの程度、PFAS入りレンズ着用を心配すべきかわからないそうだが、妊婦や子どもは使わないほうがよいことは確かだろう。

また、ペットボトル入り飲料水からもPFASが検出されたとのこと。

47のブランドをテストしたそうだ。35が水、12が炭酸水。

35の水のうち2つが1兆分の1のPFAS閾値を超え、12の炭酸水のうち7つが1兆分の1のPFAS閾値を超えたとそうだ。

ということは、原水がPFASで汚染されていたというよりも、ペットボトルからPFASが漏れ出した可能性の方が高いということだろうか?この結果を見る限り、炭酸水の方がペットボトルからPFASが溶出しやすいように見えるが、どうなのだろう?

ペットボトルと鉄くずで作った巨大亀がインドに登場 啓発効果は?

街路から回収された約600kgの廃ペットボトルと700kgの鉄廃棄物から作られた全長9メートルものカメが、インド・チェンナイ市の浜辺に登場したそうだ。

カメの中に入れるとのこと。

インドの英字日刊紙「ザ・タイムズ・オブ・インディア」による取り組みで、使い捨てプラスチックに対する人々の意識を高めるために作られたという。

こういう話は面白いけれど、啓発になるかは疑問だ。多くの人はこれを見て面白がるだけで、使い捨てプラスチックを使わないようにしよう、とまで考える人は少数派だろう。

いつ撤去するつもりか知らないが、展示中のカメから少しずつ、紫外線で劣化したマイクロプラスチックが大気へ放出される。

しかも、ペットボトルから溶け出したフタル酸エステルなどの化学物質が砂浜を汚染しそうだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2bf72ae358fbd729aba95c95d8a2b841b3dcdd31

デポジット制度が飲料容器に与える影響に関するレポート発表。日本のペットボトル回収率は本当?

CRIとReloopは今月、世界中の実際のデータをもとに、デポジット制度が導入または対象拡大後、または預金額の増加前後に、市場での一人当たりの容器入り飲料の売り上げがどう動いたかを分析したレポートを発表した。

名前などを登録したら無料でダウンロードできるようだ。

https://www.container-recycling.org/index.php/publications/drs-impact-on-sales?eType=EmailBlastContent&eId=178c3d61-fa1f-4ccf-99c3-72cf4944151a

まだレポートを読んでいないが、デポジット制度には消費量を減らす効果がなかったと書かれているようだ。

この説明文に

「デポジット制度の新設・拡充のみが飲料の売上に影響を与えるという決定的な証拠はなく、デポジット制度が売上減少につながるという飲料業界の懸念は根拠のないものであることが示唆された」とある。

残念な結果だが、これで飲料業界がデポジット制度に前向きになってくれれば有りがたい。

経済学的には、デポジット制度には消費量を減らす効果があるはずなので、私はあると信じているが、実際ここまで飲料需要が延びてしまうと(飲料購入が当たり前になってしまうと)、その効果は限定的なものだというのは理解できる。

また、「飲料の売上変動には多くの複雑で多面的な要因が寄与しており、売上の増減をデポジット制度のみに帰することはできない」とのことだが、これも当然だろう。

いずれにしても、デポジット制度により回収率が劇的に向上することはわかっているので、日本も早くデポジット制度にすべきだ。

デポジット制度にせず、「日本は既に高い回収率を達成している」などと90%以上の回収率があるとするデータなど、一体誰が信用するだろうか。

デポジット制度の導入国へ行くとよくわかるが、90%の回収率というのは、少なくともすぐに拾えるところには飲料容器がまったく落ちていない状態だ。もし落ちていたら、お金が落ちているのと同じだから、必ず誰かが拾う。

日本では、あちこちにペットボトルや空き缶が散乱し、可燃ごみの中にもペットボトルや空き缶が入っている。相模原市などは廃油をリサイクルに出すときは、ペットボトルに入れて出すことが奨励されている。

https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/shisei/1026875/faq/gomi/1002514.html

廃油を入れたペットボトルなど、絶対リサイクルには回らない。

相模原市以外でもペットボトルによる廃食油回収をしている自治体は多い。このような状況で、90%以上回収しているなどといわれても、一体誰が信じるのか?

有機フッ素化合物の記事でいただいたコメントへの返信

昨日、「有機フッ素化合物のパンフレットがわかりやすい」の記事に下記のコメントをいただきました。

「日本全国にどの位保管されているのですか・・

泡消火器というが家庭の消化器も該当するのですか。
形状は,粉末なのですか、液体なのですか、気体なのですか。」

そのままコメントを承認しようとしましたが、そのまま承認すると、ニックネームではなく、コメント者の本名がアップされそうだったので、とりあえずここでご紹介・ご返信させていただきます(もしそのままアップした方がよければ、お手数ですが再度ご連絡ください)。

家庭用消火器については、神奈川県のサイトに下記のように書かれています。

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/pf7/suisitu/joukyou/yuukihussoqa.html#q5-1

「自宅の消火器にも有機フッ素化合物が使われているのですか」:

「家庭用として一般的な粉末消火器にはPFOS及びPFOAは使われていません。
その他、過去に製造された中性強化液消火器や機械泡消火器については、PFOS又はPFOAを含有している場合があります。御心配な方は、一般社団法人日本消火器工業会のホームページで御確認下さい。」

この書き方だと、PFOSやPFOAは含まれていないようですが、その他のPFASは含まれている可能性があるということだろうと思います。

また、PFASの形状は、粉末も液体も気体もあります。

とにかくPFASは種類が多いので、何でもあり!です。(ただし、京都大学の原田浩二先生によると、現在の主なPFASはイオン性で、蒸発しにくいそうですから気体は少ないかもしれません)

使われている製品は泡消火器だけでなく、焦げ付き防止機能のあるフライパンや防汚処理されている繊維、ハンバーガーなどの食品包装、日焼け止めクリームなど多岐にわたります。

一部のPFASは禁止されても、他のPFASは現在も製造され続けていますので、すべてのPFASを早急に禁止すべき、と主張するPFAS研究者は多くいらっしゃいます。

EUでは、PFAS全般を対象とする規制案の検討が進められています。現在パブリックコメントの募集中で、規制の採択は2025年ごろの予定です。

EUの規制について↓

https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2023/0622_06.html

<関連記事>

マイクロプラもPFASもフタル酸も含まない化粧品が販売されたらしい

今日からマイクロプラスチックや有害な化学物質など2500種類以上の成分を配合しないで作ったスキンケア化粧品が販売されたようだ。

販売したのは、スキンケアブランド「CONCIO(コンシオ)。もともとアイスクリームの会社だろうか?「株式会社MALOU」が広告している。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000100287.html

広告によると、

「オランダの海洋保護団体Plastic Soup Foundationが、有名ブランド化粧品7,704点を調査した2022年の報告では、86.7%の製品にマイクロプラスチック成分が配合されていたことがわかりました。
現在、ヨーロッパでは化粧品における脱マイクロプラが進んでおり、4,500以上ものマイクロプラスチックフリー化粧品の選択肢があります」

とのこと。

化粧品はマイクロプラスチックだらけだというのはその通りで、日本ではまだマイクロプラスチックフリーの化粧品はなかなか手に入らない。ヨーロッパでは4500以上もある中から選べるというのが本当ならば、うらやましい限りだ。

販売開始されたスキンケアは、約2ヶ月分がセットで9900円、オールインワンミルククリームだけならば5500円とのこと。

https://concio.jp

マイクロプラスチックもシリコンオイルもPEG・PPGも合成香料やパラベン、PFAS、フタレート(フタル酸)なども一切含まないそうだ。

https://concio.jp/pages/wedontuse

これが本当で、美肌効果もあるならば価値があると思うが、、、どうなのだろう?試す勇気はしばらくわきそうにない。

魚大量死の原因はやっぱり「人間」?

世界各地で魚が大量死している。

原因は、大量取水や栄養過多、気候変動による水温上昇、水質汚染、そしてダムなどとのこと。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/071400366/?P=1

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/071400366/?P=2

栄養過多は人間が肥料やごみを川に入れてしまうことによるそうなので、これも人災か。

テキサス州の川では今年、魚が窒息により大量死した。在来魚のニシンなどがまず死に、その死骸や弱ったニシンを外来種のコイが食べていたそうだ。

人間による川の使い方や気候変動が、生物多様性を著しく損なっている。

他にも人間の被害者は多そうだ。

プラスチックごみにくっついて流れた陸上生物の病原菌が海洋哺乳類などを病気にしているし、海鳥も「プラスチック症」を発症している。

市場は失敗し続けているのに、誰も打つ手を知らないようだ。せめて、個人が少しずつでも出来ることは、「地産地消」「脱プラ」「ゼロ・ウェイスト」か・・・。