仙台市、使用済みプラごみ袋をごみ袋にリサイクル

「全国初 仙台市で使用済のごみ袋を再利用」というニュースの見出しを見て、驚いた。ごみ袋を洗ってまた再利用して使うのかと思ったら、フツーのリサイクルだった。

https://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20230904/6000024812.html

しかし、製品プラと容器包装プラの一括回収をしている仙台市が、なぜごみ袋だけ別にリサイクル??と、少し不思議に。

おそらく仙台市は少しでもマテリアルリサイクルをしたかったのだろう。

仙台市の回収した資源プラごみは現在、すべてJ&T環境株式会社がリサイクルすることになっている。同社は、JFEエンジニアリング株式会社の傘下だから、製鉄所利用のケミカルリサイクルだ。

https://www.jfe-eng.co.jp/news/2022/20221003.html

意識高い系市民の多い仙台市には、マテリアルリサイクルできないか、との声が住民からあがったのではないか。はたまた市の職員さんの思いつきか、はわからないが、どうしても全量をケミカルリサイクルする気にはなれなかったのではないか。

そのため、せめて材質が一定しているプラごみ袋だけでも別にし、マテリアルリサイクルしたかったのではないかと想像している。プラごみ袋は、これまでは容器包装リサイクル法のもと、容器包装プラとしてはリサイクルできずに焼却されていた。ごみ袋は製品プラだから。

しかし、製品プラとの一括回収が実現した今、通常ならば一緒くたにリサイクルに回せるはずだが、あえてマテリアルリサイクルのルートを作ったのではないか、と想像する。

だとしたら、さすが仙台市らしいアイディアだ。

仙台市の取組は、雑誌の読み物仕立てにした雑がみ袋や「アレマキャンペーン」など、いつもなかなか面白く、注目している。

PFAS(有機フッ素化合物)とは。一定の濃度を超えた製品は「意図的添加」でなくとも流通を禁止すべき

PFASについて調べてみた。日本ではPFASについての明確な定義がないようだが、アメリカでは「各州は PFAS を、フッ化炭素を少なくとも一つ含む有機フッ素化合物、と広範な定義」をされているそうだ。

フッ化炭素とはフッ素と炭素の化合物。つまり、総フッ素量が多くても、炭素と結合していなければPFASとはいえない。

多くの州は「意図的に添加された」 PFAS のみに規制が適用されるそうだが、カリフォルニア州は「意図的な添加でなくとも、100ppm 以上の濃度の PFAS を含有する製品も規制され」るとのこと(出典は同上)。

従って、カリフォルニア州では、人工芝などのプラスチック製品は、意図的に添加されたものでなくとも規制が働くようだ。

炭素などどこにでもある原子なので、フッ素を使っている限りPFASが不純物としてできてしまいそうだから、意図的であろうとなかろうと、カリフォルニア州のように一定の濃度を超えた製品は規制すべきだと思う。

最近、いろいろなもの(人工芝、コンタクトレンズ、ペットボトル、トイレットペーパー、紙製ストローやプラ製ストロー、雨水など)からPFASが検出されている。トイレットペーパーは、製紙メーカーは「入れていない」といっているそうだから、意図的ではないらしいが、抄紙機がスムーズに機能を果たすために使う薬剤由来だろうか。

いずれにせよ、日本でも早急にプラスチック製品や紙製品のPFASを規制してほしいものだ。

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「プラスチック・オーバーシュートデー」と「アース・オーバーシュートデー」の異なる考え方

プラスチック・オーバーシュートデーとは、「プラスチック廃棄物の量が管理能力を上回り、環境汚染が発生する日」として、スイスのNGOが計算したものだそうだ。

今年のプラ・オーバーシュートデーは7月28日だった。

一方、地球が一年間に提供できる「生態系サービス」量を人類が使い切ってしまう日であるアース・オーバーシュートデーは、今年は8月2日だった。

どちらもオーバーシュートする日が近いから同じような根拠で計算されているのかと思いきや、よく見ると全く違っていた。

両者の世界全体のオーバーシュートデーは近くても、各国のそれは真逆といっていいほど異なっている。例えば、日本は、プラ・オーバーシュートデーが11月22日といたって健全な国のように見える。しかし、アース・オーバーシュートデーは5月6日。日本は正真正銘の資源浪費国だということを示している。

プラ・オーバーシュートデーの考え方では、プラスチック消費量よりも、プラスチックを「適切」に管理しているかが重視されているようだ。たくさん使っていても流出量が少なければ良しとする。だから「プラスチック中毒」と海外から揶揄される日本でも上位に食い込める。

そのため、プラ・オーバーシュートデーの早い国を見ると、ナイジェリアが1月3日、インド・インドネシア・タイが1月6日、ブラジルが1月8日・・・と管理が不十分な国が並んでいる。

プラ・オーバーシュートデーの遅い国は、デンマークが12月26日、カナダが12月22日、フランスが12月13日・・と資源を浪費している先進国が並ぶ。

ちなみに中国は10月29日、韓国は10月30日だ。

プラスチック汚染の原因は、インフラが不十分な国にプラスチック製品を売りつけ、さらにプラスチックごみをそういった国々に輸出する先進国にある。しかし、この計算にはそういうことは反映されない。アース・オーバーシュートデーに比べ、不十分な計算根拠に見える。

「プラスチック・オーバーシュートデイ」の出典↓

マイクロプラは海から陸へ舞い戻る。今度は北極圏で観測

数年前、フランスの海岸での調査で、海に浮かぶマイクロプラスチックが風に乗って陸に舞い戻っていることが発見された。海から来る風を捕まえて分析したところ、マイクロプラスチックが混じっていたということだった。

今回学術誌に発表された研究は、ドイツのオルデンブルク大学などの研究チームがノルウェー沿岸部の北極圏に広がる海の空気を集め、分析したもの。

その結果、多種類のプラスチック粒子が検出されたそうだ。

2021年に調査船で集めた空気サンプルを熱で分解し、発生するガスを分析したという。

見つかったマイクロプラスチックは、PETやポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレンなど。PMMA(メタクリル酸メチルエステル; アクリル樹脂)も多そうだ。

最近よくPMMAがいろんなもの(例えばヒトの心臓など)から検出されているが、何に使われたものだろうか?レンズやアクリル板?他に何だろう??

<出所>

https://www.nature.com/articles/s41467-023-39340-5

https://karapaia.com/archives/52325209.html

米イリノイ州でペンキのリサイクルが2025年から始まる

アメリカのイリノイ州で今年7月28日、ペンキのリサイクルプログラムが州知事に承認された。これにより、同州では家にある残ったペンキを回収場所まで持って行くと、リサイクルしてもらえることになる。開始は2025年から。

既にアメリカでは、カリフォルニア州、コロラド州、コネチカット州、ミネソタ州、オレゴン州、ロードアイランド州、メイン州、ニューヨーク州、ワシントン州、バーモント州、コロンビア特別区で行われているという。

リサイクルにかかる費用は、新品のペンキの販売価格に上乗せされる。つまり、拡大生産者責任だ。

以前、カナダでこのプログラムを実施している州で、実施光景を見たことがある。住民がデポジット制度の下、ビンや缶・ペットボトルなどを回収している「デポ」にペンキも一緒に持参していた。

持参されたペンキをデポのスタッフが受け取り、中身だけ色別に大きな容器に移していた。回収されたペンキはそのあと専門業者に引き取られ、色を調整した上で、リサイクルペンキとして店頭で販売さていた。

イリノイ州でも同じ方法でリサイクルするのかはわからないが、おそらく似たような方法だろう。

日本では欧米ほど家に残りペンキなどはないと思われるが、自宅の壁などにペンキを塗る文化のある欧米ではたくさんのペンキが家に残ったままになっていると思われる。

日本でも処分に困り、可燃ごみなどに混ぜて捨てる人を時々見かけることがある。日曜大工の好きな人にとって、余った塗料類を処分するのはかなり難しいことだろう。

ペンキは多くの自治体で回収していない。せめて購入店で引き取りが義務化されていればよいが、それもない。

相模原市でもペンキは「購入先か専門の業者へ ※固形化しているものは「一般ごみ」」と書かれている。専門の業者に依頼するか、放置し固まるのを待つしかないが、固まったペンキと缶は分かれるのだろうか?それとも、缶ごと一般ごみに出して良いのか迷うところだ。

ペンキには必ずマイクロプラスチックも含まれているから、外に撒かれても困る。有機溶剤も身体に悪そうだ。

プラスチックや危険な有機溶剤を含まないペンキを開発してほしいが、難しいのだろうか。

雲のマイクロプラ、破片状のPETとポリカが多かった

早稲田大学理工学術院の大河内 博教授、同理工学術院博士後期課程4年の王 一澤さん、東洋大学理工学部応用化学科の反町 篤行教授、およびPerkinElmer Japan社をはじめとする研究グループは、雲水中に含まれる大気中マイクロプラスチックの存在とその特徴を明らかにした。

自由対流圏に位置する富士山頂(標高 3,776 m)と大気境界層に位置する富士山南東麓(標高1,300 m)、および丹沢大山山頂(標高1,252 m)で2021年から2022年にかけて雲水44試料を採取したとのこと。

3地点の雲水から合計70個、9種類のマイクロプラスチックを検出。ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド6(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン、ポリプロピレンなど。

全体に破片状のものが多い。平均濃度は3地点で6.7から13.9(個/L)で、実粒径は7.1から94.6 マイクロメートル。雲の中は案外マイクロプラスチックが多いようだ。

詳しくは↓

アサリ缶詰、PFAS基準超えで昨年アメリカでリコール

中国産の2社のアサリの缶詰が昨年、PFASが高濃度で検出されたため「自主的リコール」に踏み切っていた(下記資料, p.44)。

米国食品医薬品局(FDA)が缶詰から見つけたPFASは、既に禁止されたはずのPFOAだ。

「1 ヶ月あたりおよそ 10 oz 以上食べる消費者に健康上の懸念となる可能性がある」(同資料)という。

アメリカは日本よりも厳しいPFAS基準をもっているため、リコールにいたったのだろうが、これらの缶詰は日本では合法的に売られてしまうかもしれない。

そもそも、日本のアサリ缶は、国内で調べられているのだろうか?

PFASのような内分泌かく乱物質の毒性には閾値がない。今の時代、PFASを避けて生きるのはなかなか難しいけれど、少なくとも妊婦や幼児は今のところ、アサリの缶詰をあまりたくさん食べない方が無難かもしれない。

資料には「水産物に関する食事習慣を変える必要があるかどうか疑問に思う消費者には、あな たやお子さんたちが、水産物を含む、年齢にあった多様な健康的な食事をとることを再度推奨する。水産物は、子供には脳の発達や免疫機能向上、大人には心臓や骨の健康利益、特定のがんのリスク低下に役立つなど、健康的な食事の一環として多くの栄養的利益を提供する。中国産の缶詰アサリを定期的に食べたり子供に与えたりする人は、我々がより多くの情報を得るまで、全体的な摂取量を減らしたほうがよいかもしれない」と書かれている。

<出所>

乳児用粉ミルクに含まれるマイクロプラ比較:箱入りより缶入りの方が少ない

以前、プラスチック製の哺乳瓶から大量のマイクロプラスチックが放出していることがわかり、話題になった。

プラ製哺乳瓶にお湯を注ぐのがいけなかったらしい。

今度の研究は、粉ミルクそのもののマイクロプラスチック量も調べている。

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0269749123002270

さらに、箱入りの粉ミルクと缶入りの粉ミルクを比べたところ、箱入り粉ミルクは8±2〜17±1/100gとのこと。一方、缶入り粉ミルクは4±3/100gとのこと。つまり、缶入りは100グラム中、1個から7個程度ということ。この程度ならば、今の時代(母乳や牛乳からもマイクロプラスチックが検出されている時代)では許容範囲かもしれない。

箱入りの方が多かった理由は包装材にあったようだ。プラスチックとアルミのラミネートで、そこからマイクロプラスチックが放出したと考えられるそうだ。

哺乳瓶からの放出とは違い、ガラスに変えればよいという話ではないから、粉ミルクを使用される方は、少なくともマイクロプラスチックの見地からは、箱入りより缶入りを求めた方がよさそうだ。

それにしても、赤ちゃんにまでマイクロプラスチックを食べさせないといけないとは・・。大人の責任は重い。

心臓からマイクロプラスチックが検出される

「心臓からマイクロプラスチックが検出された」というニュースが流れている。

ついに人間の心臓からも・・。これだけあちこちから検出されているのだから、想定の範囲内だが、やはり感慨深いものがある。

心臓に溜まることで、どういう影響があるのかはまだわからないようだが、よい影響などあるはずはない。

中国の病院で手術を受けた15人の患者から、心臓組織をもらって調べたものだ。ついでに患者の手術前と手術後の7組の血液も調べた。

調べた心臓組織は、心膜サンプルを6個、心外脂肪組織も6個、心膜脂肪組織11個、心筋3個、左心房付属物5個。血液は7人の静脈からもらったようだ。

心臓から検出されたマイクロプラスチックの最大サイズは469μm(0.469ミリメートル)と結構大きく、5種類の組織から9種類のマイクロプラスチックが見つかった。

見つかったマイクロプラスチックは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン(PU)、ナイロン(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)。最多はPETだ。

いずれも、容器包装や衣類、日常品などあらゆるところでフツーに使われているものばかり。

個数は、数個の人もいるが、心膜(Pericardium)から7万個以上が見つかった人もいる。また、何も見つからなかった人もいる。もちろん、すべての人からすべての部位をとって調べたわけではないから、何も見つからなかった人はたまたま蓄積しにくい部位だっただけで、他の部位にはマイクロプラスチックが入っていた可能性は十分ある。

それに比べ、血液はサイズも小さく、数も少なめだ。手術前にも手術後にもマイクロプラスチックは血液に入っていたが、全体に手術後の方が数も種類も増えていた。手術後に圧倒的に増えた人が一人いるが、これは手術室の空気や医療機材がプラスチックで汚染されていたせいだろうか?

他の人はせいぜい数個か10個台だが、手術後に84個ものナイロンが血液から見つかった人がいる。この方の手術前の血液からはナイロンは検出されていなかった。

一過性のものだったらよいが、この方の予後が気になる。追跡調査をしてもらえないだろうか?

手術室からはプラスチックを極力排除する必要があるが、最近の手術グッズはほぼプラスチックでできているのかもしれない。

プラスチックは延命にも役立っているだろうが、私たちはジワジワとプラスチックに殺されているような気もする研究結果だ。

論文↓

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.est.2c07179

「プラスチックは石けんになる」サイエンスに発表

ポリエチレンやポリプロピレンのようなオレフィン系のプラスチックは、石けんに「アップサイクル」できるらしい。

バージニア大学の研究グループが今月、サイエンスに発表した↓

https://www.science.org/doi/10.1126/science.adh0993

ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)を分解し、約80%の脂肪酸に変換する?よくわからないが、化学構造が似ているのだとか。

https://www.ktnv.com/upcycled-plastic-can-be-turned-into-soap-researchers-find?eType=EmailBlastContent&eId=25889936-a075-47a4-8457-409061931c9c

約120gから130gのプラスチックから100gの石鹸を作ることができるそうだ。

「反応中にすべてのマイクロプラスチックはなくなる」といっているが、使用後に排水中でまたマイクロプラスチックに戻らないかないか心配だ。

もし、戻らないならば、プラスチックの画期的な処理方法かもしれない。