伊賀市、運動公園の予算から人工芝設計費を除く 画期的な判断に拍手

三重県伊賀市は、阿山第2運動公園グラウンドの予算から人工芝化に向けた設計費576万円を除いた予算案を、明日(16日)開催の緊急市議会会議に提案するそうだ。

https://mainichi.jp/articles/20261014/ddl/k24/010/161000c

人工芝などを一度敷いてしまったら、そのあと天然芝に戻すのは至難の業だ。下地のアスファルトなどを剥がさなければならず、大規模工事が必要になる。

しかも人工芝は、マイクロプラスチックやナノプラスチックの汚染源だ。人工芝から飛び散るそれらプラ粒子は環境に有害なだけでなく、人間が吸い込む危険性もあるため、利用者や住民の健康にも悪い。

人工芝には内分泌かく乱作用のある物質(環境ホルモン)や発がん性のある物質(多環芳香族炭化水素など)も含まれているため、特に子どもなど、若い人ほど強い影響を受ける。

米ノートルダム大学のグラハム・ピースリー教授によると、人工芝にはPVDFというPFASまで含まれているらしい。

人工芝などないほうが良いに決まっている。

人工芝を敷きたがるのは、健康被害など自分にはもう関係ないと考えている高齢者に多い気がする。

欧米で敬遠され始めているものを、なぜ日本で増やそうとするのか。

明日の市議会で、人工芝設計費を除いた予算案の可決に期待したい。

人工芝で火災発生

人工芝は防炎加工されているから燃えない、穴が空くだけ、といわれていたが、鳥取県で火災が起きた。

https://www.nnn.co.jp/articles/-/808480

人工芝が燃えていた原因はまだ不明。タバコをポイ捨てされたのだろうか?

住宅地と書かれているから、量販店で売られている人工芝を自分で庭に敷いたのかもしれないが、プラスチック製品を屋外に置くのはやはり危険だ。

最近、自宅の庭やベランダに人工芝を自分で敷く人が増えているようで、排水口を塞ぐなどしてしまうことから、近隣トラブルも増えていると聞く。

例えばこんな例も。

「おうちに公園ができた!」と大喜びだった子どもたち…40代夫婦の“SNSで憧れたベランダDIY”が招いた悲劇↓

https://trilltrill.jp/articles/4810260

そもそも、健康を脅かす可能性のあるマイクロプラスチック発生源を、わざわざ自宅に取り入れる必要があるのだろうか?人工芝のマイクロプラスチックは大気中にも飛散する上、加工助剤としてPFASも使われている。

おまけに夏は、人工芝が60度以上の高温になるため、ヒートアイランド現象の原因にもなる。

見た目が良くなったと満足しているのは、おそらく敷いた本人だけ。近隣の人にとっては迷惑でしかない。

庭に人工芝を敷いている家の前を通る際は、息をひそめ、できるだけ素早く通過するようにしている人もいるほどだ。

人工芝に使われるPFASは「二重の脅威」

PFASの世界的権威で、人工芝のPFASも調べているノートルダム大学のグラハム・ピースリー教授の資料によると、人工芝に使われているPFASはPVDFとのこと。

マサチューセッツ州シャロンで開催された常設建築委員会の会議で、招かれていた専門家が

「…繊維の押出成形にはPFASが使用されています。それは事実です。確かに使用されています。PVDFと呼ばれる高分子化合物です」と発言した。

また、「プラスチック製の芝の葉に欠陥が生じないようにするために、溶融した炭化水素に意図的に添加される滑剤です」との発言もある。

要するに、このフッ素樹脂が使われる理由は、人工芝の芝葉を作る際、プラスチックが金型にくっ付かないよう加工助剤として添加するのだ。これがないと、あのような芝葉を高速で押し出し成形することは難しい。

フッ素ゴムも一緒に使われている可能性があるようだ。

Graham Peaslee, University of Notre Dame 2022.4.6

「PFAS in Artificial Turf」

https://www.newmoa.org/wp-content/uploads/2023/02/PFAS-in-Artificial-Turf.pdf

PVDFは、フライパンに使われているフッ素樹脂であるPTFEよりもさらに問題がありそうな樹脂で、これまでなされた研究を見ると、細胞毒性などもしっかり確認されている。

長年、フッ素樹脂は生物学的に不活性(安全)なPFASだといわれてきたが、近年その神話が崩れている。

そもそもPFASであり、かつプラスチックでもあるフッ素樹脂が、安全であるはずがない。

まさに「PFASマイクロプラスチック」は、「二重の脅威」だ。

https://www.nrdc.org/resources/double-trouble

ニューヨーク州、PFAS汚染で3Mなど5社を提訴

ニューヨーク州が、有害だと知りながら水汚染の原因を作ったとして、スリーエム(3M)など5社を提訴した。

https://www.asahi.com/articles/ASV796SM2V79UHBI02HM.html

提訴された化学企業は3Mのほか、デュポン、ケマーズ、コルテバ、EIDP。

ニューヨーク州司法長官は、これらの企業が「PFASが有害だと知りながら販売してきた」として、責任を問う。企業に州全域の浄化活動への資金を拠出させ、PFASのリスクを適切に知らせるための命令を、裁判所に出すよう求めているという。

相模原市も道保川で水質浄化実験をやっているようだが、浄化活動は税金でするのではなく、3Mに資金を求めるべきだ。また、3M社敷地内の汚染土壌の撤去あるいは浄化も早急に求めるべきだ。

米EPA、PFAS規制案を一部見直し。4物質の基準を撤廃か

米国環境保護庁(EPA)は今月、飲料水に含まれる有機フッ素化合物(PFAS)に関する最終規制について見直しを発表した(JETRO, 2026.5.29)。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/05/59713a1bad01c396.html

PFOAとPFOSに対しては、最大許容濃度をそれぞれ4ng/L(4ppt)とする基準値自体は維持するが、順守義務の開始時期を当初の2029年から2031年まで2年間延期するそうだ。

また、他の4物質(PFHxS、PFNA、HFPO-DA、およびこれら3つのPFASとPFBSのハザードインデックス混合物)については基準を撤廃するとのこと。

PFHxSやPFNAなどはストックホルム条約で規制が決まっている種類のPFASだ。基準を撤廃してどうするつもりだろう?

アメリカはストックホルム条約に批准してはいないが、こんなものを野放図にばら撒かれてはかなわない。

豪政府、PFAS汚染で3M社に2300億円請求

オーストラリア政府はPFASを含む泡消火剤による環境汚染を巡り、スリーエム(3M)を相手取り、20億豪ドル(約2300億円)以上の損害賠償を求める訴訟を豪連邦裁判所に提起したそうだ。

3M社は環境への影響を把握していたにもかかわらず、虚偽の説明をしたとしている。

オーストラリア政府が起こした民事訴訟としては過去最大規模の金額とのこと。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2026052800786&g=int

日本政府は、3Mやダイキン、三井・ケマーズなどを提訴しないのだろうか?

少なくも相模原市は、3Mに原状回復を求めるべきだ。

現在、市ではなく、市民が現状回復を求めオンライン署名をおこなっている。相模原市内の3M社敷地内において、泡消火剤の性能試験を繰り返し行ったため、土壌が汚染され、そのため地下水が汚染されてしまったためだ。

スリーエムジャパン社長宛の署名「3Mに相模原事業所PFAS汚染の原位置土壌浄化を求める」↓

https://c.org/zFgxSGvknk

また、市民団体による紙ベースの署名活動も行われている。

研究:衣類に使われているPFASや難燃剤は、皮膚から取り込まれる

最近読んだニュースに、「英国バーミンガム大学が人間皮膚モデルを使用した研究によると、マイクロプラスチックの中の化学物質の約8%は汗に濡れた皮膚を通じて体内に吸収されることができる」と書かれていた。

https://www.mk.co.kr/jp/world/12050225

元になった論文を探したところ、2024年に発表されたこの研究のようだ。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0160412024002216?via%3Dihub

汗をかくとポリエチレンやポリプロピレンのマイクロプラスチックから溶け出した難燃剤が、皮膚を通して体内に吸収されるとのこと。約8%というのは最大値だ。

しかし、この論文でわかるのはポリエチレンやポリプロピレンからの化学物質溶出であり、ポリエステルやナイロンなどの繊維製品からではない。だが、ポリプロピレンはマスクやオムツ、スポーツウェアなどにはよく使われている。

さらに探すと、こういう論文も見つかった。中国・南海大学の論文だ。

https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2025.180426

PFASやOPE(有機リンエステル)が、子ども用や家庭用の繊維製品に広く使われていて、一部の子ども用衣類はPFOSがEUの基準値(1 μg/m2)を超えていたそうだ。

OPEは難燃剤や可塑剤として使われる環境ホルモン(内分泌かく乱)作用が指摘されている化学物質だ。カーテンなどには難燃剤として使用されていたとしても、なぜ子ども用衣類に含まれていたかはこの論文を読んでもわからない。キャラクターなどのプリントに必要だったのだろうか。

洗濯によってOPEは除去されたが、繊維製品からのPFOAは、放出が促進されたとのこと。

洗濯するほどOPEは減少し、PFASは検出量が増える傾向にあったということは、洗濯は解決策にならないということだ。

しかも、調べた製品の87.9%からPFASが検出され、OPEはほぼ全サンプルから検出された。

皮膚曝露実験では、特に汗をかくと、汗は化学吸収を著しく増加させ、PFASでは最大3252倍、OPEでは835倍に増加した。つまり汗をかくことで、PFASやOPEは皮膚から吸収される可能性が高まるということか。

撥水加工衣類はPFAS・OPE濃度が通常より約3倍高く、機能性の高い衣類ほど、どちらも多い傾向があった。

衣類を選ぶ際は、できるだけシンプルで化学処理されていない綿100%などを選ぶのがよさそうだ。

明石市民のPFAS血中濃度、水源による差が2.5倍

明石川流域でPFASが高濃度で検出された問題で、京都大学の小泉昭夫名誉教授が26日、兵庫県明石市で報告会を開いた。

流域の水を水道水に使う市東部の住民のPFAS血中濃度が、使っていない市西部の住民より高く、統計的に有意な差が確認されたと報告したそうだ。

明石川の水を水道水に使う市東部の46人と、使っていない市西部の7人の血液検査結果から、7種類のPFASの血中濃度を比べたところ、市西部の住民は血液1ミリリットルあたり平均10.6ナノグラムだったが、市東部住民は25.3ナノグラムだったという。

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/asahi/nation/ASV4V3QGBV4VPIHB005M

差はなんと2.5倍!

東部住民は平均血中濃度は、アメリカの基準に照らし合わせると、「高リスク」で、精密な健康検査が必要なレベルだ。

人工芝グラウンド、子どもたちの育成にとってありがたい?

足立区立高野小の跡地に、区内初の全面人工芝グラウンドの多目的スポーツ拠点「高野スポーツパーク」が26日、オープンしたそうだ。

https://www.yomiuri.co.jp/local/tokyo23/news/20260426-GYTNT00124/

脱プラが叫ばれ、PFASも懸念されるなか、なぜ人工芝グラウンドにしたのか?と思い、記事を読んでいたら、区サッカー協会の理事長のコメントがあった。

「試合や練習会場は、これまで荒川の河川敷が主で、人工芝グラウンドは長年の悲願だった。子どもたちの育成にとってありがたい」とのこと。

人工芝から発生するマイクロプラスチックやナノプラスチックは、明らかに健康に有害だ。健康に悪い施設が完成して、本当に有り難がっているのは子どもではなく、子どもをプロにしたがっている大人だけではなかろうか。

13億7000万円もかけて、健康にも地球環境にも悪いものを増やした足立区、本当に残念だ。

米コーネル大学の人工芝訴訟、争点はPFAS

人工芝を巡り、環境団体「ゼロ・ウェイスト・イサカ」がコーネル大学とニューヨーク市を訴えていると聞き、調べてみた。

MIT Technology Review(2026.4.27)“「一番ましな悪い選択肢」人工芝の安全性をめぐる 論争はまだ終わらない”によると、

「コーネル大学が新しいフィールドホッケー場に人工芝を敷設したのに対し、環境活動家たちが訴訟を起こし、科学者たちはPFASやマイクロプラスチックへの懸念を訴えた。しかし大学側の判断は変わらなかった。これと同じ対立が今、全米各地で繰り広げられている」

とのこと。

現地のニュースによると、争点は主にPFASで、大学側が調べた40種類のPFASはいわゆる低分子のPFASで、検出されなかったらしいが、環境団体が調べたのは総フッ素。これがPPMレベルで検出された。

欧米の研究では以前から、人工芝にはPFOSやPFOAなど低分子のPFASが低濃度で、そしてフッ素樹脂やフッ素ゴムなど高分子のPFASが高濃度に含まれていることが指摘されている。低分子のPFASが低濃度なのに、総フッ素濃度が極めて高いということは、高分子のPFASが入っていると考えられるためだ。

高分子PFASについて、推進側は気にも留めないが、住民側にとっては低分子でも高分子でもPFASはPFASだ。いくら高分子のPFASは、体に入っても素通りして排泄されるから安全だといわれていても、納得できるはずがない。実際に、肺や精液、尿などの中からフッ素樹脂であるPTFE(いわゆるテフロン)が結構見つかっているのだから。

しかも、高濃度の総フッ素は廃棄時も問題だ。燃やせば、フッ化水素ガスを発生させる。しかも、よくわからない類いのPFASも合成され、焼却炉から発生するに違いない。

なぜ、大学のスポーツチームのために、周辺住民が危険な目に遭うのか、納得できないに違いない。

プロスポーツ界では現在、選手の健康を守るため、脱人工芝化が進んでいる。人工芝はケガをしやすいためだ。大学もそろそろ脱人工芝を模索したら良いと思うが、コーネル大学でさえ周囲の反対を押し切って強行しているくらいだから、日本の大学が脱人工芝に踏み切る日はまだ遠そうだ。

訴訟は一審が大学・市側の勝訴で、環境団体が控訴した。

米国では確か、総フッ素濃度もPFAS規制に含めた州があったはずだ。ニューヨーク市の人工芝規制も総フッ素濃度での規制あればよかったのに、と残念だ。この調子では、低分子のPFAS製品は減っても、代わりにフッ素樹脂やフッ素ゴムがどんどん増えてしまう。

しかも、EPA法で定められた40種類のPFASを調べたとはいえ、あらかじめ調べるとわかっている40種類を入れずに、他のPFASを使えば「PFASフリー」を唱えるられる仕組みもおかしい。PFASは16000種類ほどあるというから、総フッ素濃度での基準も設けるべきだ。