相模原市、道保川公園でPFAS浄化の実証試験 10月から

相模原市が、中央区上溝の道保川公園で、PFAS浄化の実証試験をするとのこと。奥村組の提案を受けての実施だそうだ。

具体的には、「10月から3カ月間程度、同公園のせせらぎの沢周辺に小さなプラント型の処理施設を設置し、水質中のPFASを活性炭とイオン交換樹脂を使って吸着させ」、その後、奥村組の研究施設で触媒を用い、分解する試験も併せて行うそうだ。

https://news.jp/i/1330512363826692495?c=899922300288598016

道保川公園のPFAS汚染がこれで少しはおさまればよいが、3ヶ月程度ではこの浄化方法が現実に可能かどうかを確認するだけだろう。

もし、この方法がうまくいけば、長期にわたり奥村組から浄化してもらうことになるのかもしれないが、その費用はぜひ3M社の負担にしてほしい。

そうでなければ、3M社は自社敷地内から染み出す地下水を早急に止めようとは思わないだろう。遮水壁や土壌入れ替えなどにより、至急汚染水の敷地外への流出を止めなければ、近隣地域のPFAS汚染は止まらず、いくら浄化してもイタチごっこになる。

それに、自然災害ではないものの回復に、税金を使われてはかなわない。PFAS汚染は公害だから、汚染者負担の原則が適用されるべきだ。

さいたま市浦和、DIC跡地から1リットルあたり1万ngの高濃度PFAS 原因はフッ素系インキの開発? 

高濃度のPFASが検出されたのは、日新火災海上保険のさいたま本社の敷地内。この場所は、1986年までは「財団法人大日本インキ理化学研究所」(途中で財団法人川村理化学研究所と改名)と大日本インキ化学工業(現DIC)だったそうだ。

DICによると、財団研究所で1968年から1986年まで、PFOS関連物質の開発研究が行われていたとのこと。同社と財団研究所による共同研究も行われていたという。

PFAS汚染が発覚したきっかけは、損保会社から約5キロ離れた川で150ng/LのPFOSとPFOAが検出されたことだ。不審に思ったさいたま市が、雨水管をさかのぼって水質調査を行ったところ、この土地が発覚した。

39年経ってもこの濃度だったということは、元はどれだけ高濃度にこの土地が汚染されていたのか。おそらく当時、PFASを垂れ流していたのだろう。

川の濃度は今年1月以降の水質調査で上がり続けており、最大2万6000ng/L(指針値の520倍)だそうだ。

DICは責任を取り、土壌の入れ替えや遮水壁費用などを出すべきだ。

それにしても、塗料にPFASが入っているのは知っていたが、インキにもPFASが使われているのだろうか?

<補筆>

調べたところ、フッ素系塗料があるようにフッ素系インキというのもあるそうだ。PTFE(いわゆるテフロン)などのフッ素樹脂が使われているらしい。

<出典>

https://toyokeizai.net/articles/-/896089

デュポンなど3社、ニュージャージー州に汚染除去費用として和解金3000億円 

化学大手デュポンとその関連会社3社が、米ニュージャージー州に最大約21億ドル(約3100億円)を支払うことで和解した。

同州のプラトキン司法長官は声明で「企業は何十年もの間、われわれの土地や水を故意に汚染してきた」とそうだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/522ee1e191979fcd2a16979daca3e95e66b4e182

和解金の内訳は、今後25年にわたって賠償金8億7500万ドルを支払う費用、およびPFASや他の化学物質による汚染浄化のため最大12億ドルの基金を創設する費用のようだ。

https://news.livedoor.com/article/detail/29318692/

3M社も長年にわたり、相模原市を汚染している。相模原市長は3M社を訴えないのだろうか?相模原市は、3M社をかばっているように見えるが、市長の意向だろうか。

相模原市、3M社敷地内のPFAS臨時調査結果を公表 3Mは今後の対応を公表

相模原市が3M(スリーエム)社の報告を受け、7月7日に行った南橋本の同社敷地内井戸での臨時調査結果を公表した。

「令和7年度有機フッ素化合物(PFOS等)臨時調査結果について(令和7年8月1日相模原市報道発表資料)」によると、敷地南東にある観測井戸は合計で5100ng/L(PFOSが4800、PFOAが300)。

「現在、事業者がPFOS等の管理と浄化に関する技術の導入を検討していることから、取組状況を注視してまいります」とのことだが、これまでの市の対応を見る限り「注視=やさしく見守る」という程度の意味だろう。

この数値は今までの同社敷地内の井戸よりも低いように見える。これまでも敷地内にある複数の井戸の調査をしているが、これまでとは別の井戸を調査したようだ。

一刻も早く、PFAS入り汚染水の放流をやめ、汚染土壌も入れ替えてほしい。

それにしても、なぜ日本の自治体は、市民よりも事業者を優遇するのか。イタリアやアメリカのように事業者に汚染の責任を取らせることは、日本ではできそうもない。

<3M社の今後の対応>

「スリーエム ジャパン イノベーション株式会社 相模原事業所内におけるPFASの検出とその対応について(7月2日更新分)」

https://news.3mcompany.jp/Sagamihara

<関連記事>

熊本市内で新たなPFAS汚染井戸が見つかる PFBSやPFBAは大丈夫?

以前からPFAS汚染が問題になっていた熊本市で、新たに17か所の井戸で国の暫定指針値を超えていたことがわかった。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20250722/5000025808.html

熊本市のように地下水を水源にしている市の地下水が汚染されてしまうと、本当に困る。

産廃処分場からのPFAS汚染だけでも問題だったのに、なんで半導体工場などまで誘致してしまうのか・・と残念に思うが、よそ者にはわからない事情があるのだろう。

熊本県は豊富な地下水のせいで、半導体工場から選ばれやすい環境にある。また公害が起きるのではないかと心配だ。

この記事にはPFOSとPFOAのことしか書かれていないが、半導体工場ではPFBSやPFBAといった半導体製造で使われるPFASが心配だ。

日本が国レベルで、PFBSやPFBAを規制する気は当面ないだろうから、せめて市あるいは県レベルで規制すべきではないか。できないことはないはず。

水はカネより大事だ。

PFAS汚染、イタリアで三菱商事側が有罪判決

イタリア・ベネト州中部のトリッシーノ市で、地下水などをPFASで汚染したとして、日本人3人を含む計11人に対し、拘禁刑2年8カ月から17年6カ月の有罪判決が言い渡されたとのこと。日本人3人とは、三菱商事の元関連会社で取締役などを務めていた人などだ。

三菱商事や有罪判決を受けた人たちに対し、損害賠償として計6300万ユーロ(約106億円)超の請求もされている。

三菱商事側は、当時はPFASの危険性が科学的に確立されていなかったなどとして無罪を主張したというが、そんな言い訳が通るのは公害企業に甘い日本くらいだろう。

三井ケマーズや3M(スリーエム)、ダイキンのようなPFAS汚染企業が、なぜ日本では訴えられないのかわからない。

<参考>

https://news.yahoo.co.jp/articles/330158e169a41d946d2a63004d30072b157282d8

長野・上田古戦場公園も神奈川・秦野市も人工芝化の要望書。なぜ全国次々と

欧米では人工芝に一定の歯止めがかかっているが、日本は逆行している。

今、世界はプラスチック汚染や地球温暖化に対処するため、必要性の低い(しかも有害性の高い)プラスチック製品は極力減らす方向で進んでいる。

人工芝はPFASなどの危険性がある上、ヒートアイランドや熱中症の危険もある。その上、マイクロプラスチックを盛大に発生させる。

農薬やPFASも同様だが、海外が規制し始めると日本はますますゆるめて受け入れる傾向がある。人工芝もまさにその様相を呈している。国内メーカーだけでなく、欧米のメーカーも日本に営業をかけているかのようだ。

昨年、長野県上田市の古戦場公園の多目的グラウンドを人工芝にするよう地元のサッカー協会が要望を出した

https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2024112800064

その後、地元自治会も要望書を出した。家の近くをプラスチックで覆うことに賛成するとは信じられないが、マイクロプラスチックなどの影響を知らないせいだろう。

おやおやと思って見ていたところ、神奈川県内でも秦野市に要望書が出されてしまった。

https://www.townnews.co.jp/0610/2025/05/29/786793.html

こちらは野球団体関係者とのこと。「人工芝ならば少しの雨でもできる」というのが要望書提出理由だ。

雨の日に人工芝の芝片やゴムチップにまみれながら、子ども達に野球をさせるつもりのようだ。

人工芝のパイル(芝)やゴムチップにどのような化学物質が入っているか、調べてみたのだろうか。

危険を顧みない行為だ。

<関連記事>

紙製容器にもPFAS 、プラスチックコーティングとどちらがマシか

PFASが含まれている紙を調べていたら、「電子レンジ用ポップコーン袋」とあった。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06230340105

どんな袋かと調べたら、フツーの紙袋にしか見えない。他に「持ち帰り用の板紙容器」とある。これはケーキやドーナツの箱などのことだろうか?

ファストフードの包装紙は警戒していたが、ケーキなどの箱は盲点だった。

アメリカの研究では「デザートとパンの包装紙には56%、サンドイッチとバーガー類の包み紙には38%、紙箱には20%のPFASが含まれていたことが明らかになっています」とのこと。

また、紙コップはポリエチレンがラミネートされているので、PFASは使われていないという。

https://www.eurofins.co.jp/pfas分析-pfospfoapfhxs等/pfas-media/世界のpfasニュース/pfasは紙コップにも使用されている-国内外の調査結果と企業の動向/

要するに、油分や水分の多いものを紙で包む際は、プラスチックかPFASのどちらかを使わないと染み出すということか。どちらがマシだろうか?とつい考えてしまうが、やはりマイ容器を持参して買う以外は安心できないようだ。

焦げ付き防止フライパンはやっぱり危険

2022年のコンシューマーレポートによると、「PFOAフリー」「毒性なし」と書かれたPTFEコーティング(フッ素樹脂加工)のフライパンからPFOAを含む多くのPFASが検出されている。

https://www.consumerreports.org/toxic-chemicals-substances/you-cant-always-trust-claims-on-non-toxic-cookware-a4849321487/

コンシューマーレポートが調べたフライパンは次の三種類。

Our Place Always Pan(セラミックコーティング)
Red Copper Pan(セラミックコーティング)
Swiss Diamond Pan(PTFEコーティング)

セラミックコーティングの2製品からはPFASは検出されなかったが、PTFEコーティングのフライパンからはPFOAを含む16種類のPFASが検出されたという。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/24/021600096/?P=2

しかも、結構な濃度だ。PFOAを含まない製品でさえ、製造方法により化合物が含まれている可能性があるとのこと。

PFASを摂取したくなければ、鉄やセラミックコーティングのフライパンが推奨されている。

仮にPFOAを含まずPTFEだけだったとしても、PTFEは内臓や尿から検出されているので、「分子量が大きいから体内に吸収されない」というのは間違いだ。尿から検出されるということは、血流に乗って全身を回ってから腎臓までたどり着いたということだ。

しかも、フライパンに使われているかどうかは知らないが最近は低分子量のPTFEというものもある。

https://www.mc-fluoro.co.jp/fluoropolymer/ptfe/

高分子であろうと低分子であろうと、体に入ったらどういう動きをするかわからない。PTFEもPFASの一種なのだから、やはり安心できない。使わないに越したことはない。

熊本、半導体工場がPFASを放流 川の濃度高まる 

昨年できたばかりの熊本の半導体工場が、PFASを垂れ流していたようだ。

台湾積体電路製造(TSMC)の工場の排水を下水処理場で処理し、放流した川の水の濃度が高かった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2f7649e2a1cd5559413fd39480099c88f4c727df

昨年末に本格稼働したばかりなのに、1月に川の水を調べたら、工場で使われているPFBSとPFBAの濃度が上がっていたとのこと。川に直接放流しているわけではなく、下水処理場を経て放流されているにも関わらず、もう検出されたということは、一体どれだけ高濃度のPFASを垂れ流しているのだろう?

しかも、この工場は日本が大枚はたいてお願いして来てもらった工場だ。この後、第2工場、第3工場と建設計画が続く。

日本にはまだまともなPFAS基準値はない。まして、PFBSとPFBAなどのようなPFASはどれだけ流しても法に触れることはない。しかし、これらのPFASは、いずれ有害だとして規制されることは間違いない。

なぜこのような工場を誘致したのか。理由はいろいろ書かれているが、納得できない。

日本政府も誘致するならば、PFBSやPFBAの基準値を厳しく設定するなど、最期まで責任を持ってほしい。

それにしてもこの工場、台湾国内にある工場でも垂れ流いるのだろうか。