「地球は既に限界」ネイチャー発表。「地球の表面の生態系はほぼ自然のまま半分は覆われる必要がある」

世界トップクラスの科学者グループが、英科学誌「ネイチャー」に論文を発表した。地球は既に安全の限界点を超えているそうだ。

気候、生物多様性、水、自然生態系、土地利用、肥料、エアロゾルの影響など8つの地球システムの限界点のうち、7つが限界点を突破したという。

「地球の表面の50〜60%はほぼ自然のままの生態系に覆われる必要があるが、既にそれ以下になった」とのこと。

日本国内を見ていても、神宮外苑は再開発の美名のもと木が伐られているし、全国各地で人工芝グラウンドも増えた。公園などはプラスチック遊具が置かれ、その下の地面はゴムチップ舗装か人工芝だ。家庭の庭さえも人工芝で覆う家が増えている。「ほぼ自然のままの生態系」が残っている土地など、いかに森林率の高い日本でも半分もあるだろうか。

ウクライナではダムまで壊された。人間は地球に寄生しながら、地球を滅ぼしている。

ネイチャーに掲載された論文の出典は日本経済新聞(2023.6.8)↓

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20230608&c=DM1&ng=DGKKZO7170779007062023FFJ000

チリ、海鳥が大量死 「海で何かか起きている」

AFPによると、チリ北部で、3500羽もの海鳥が死んでいるのが見つかった。

鳥インフルエンザが原因ではないかと調べられたが、ウィルスは検出されなかったという。

農業牧畜庁のマウツ氏は「海で何かが起きているようだ」とのこと。

https://www.afpbb.com/articles/-/3466766?act=all

海で何が起きているのだろう?

魚の大量死は世界各地で度々起きているが、鳥は鳥フル以外の原因ではあまり聞かない。この手の原因不明のことが今後も頻繁に起き、生物多様性が失われていくのだろうと思う。

クジラは森林なみの炭素吸収源:食べてる場合じゃない

クジラは「全大陸の森林生態系と同等の炭素を環境から除去していた」ことが明らかになった。

論文が、専門誌「トレンズ・イン・エコロジー&エボリューション」に15日、発表されたそうだ。

クジラが大量のオキアミを食べ、オキアミに由来する鉄分のある排泄物を出すことによって、植物プランクトンブルームが発生。それが大量の炭素を吸収してくれるのだそう。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/11/post-97409.php

https://www.cnn.co.jp/fringe/35197517.html

気候変動にも役立つ上、まさに生態系の要だ。

クジラといえば、小学校の給食で出たり、脂身部分は夕飯の味噌汁の具材にもなっていた。

子どもの頃によく飲んだ味噌汁は、角切りされた黒い皮付きの脂身とナスが一緒に入れられていて、我が家の夏の定番メニュー。父の大好物だった(私も好きだった)。

ピンク色のクジラのベーコンも懐かしい味だ(これは少し苦手だった)。そういえば、小学校で強制的に食べさせられた肝油もクジラ由来だったかもしれない。

これほどお世話になったクジラだけれど、20年程前にダイオキシン汚染が話題になった際、クジラにダイオキシンが蓄積していると聞いて、それ以来食べていない。

今でも時々食べたくなることはあるが、気候変動の見地からも、生物多様性の見地からも、クジラを食べてる場合ではないようだ。部位によっては今でも必要な部分はあると聞くが、それは死んで漂着したクジラで賄えばよい(今は原則そのまま埋め立て)。

やはり捕鯨はもうやめた方がよさそうだ。

マイクロプラ防止のため、人工芝をリユース、リサイクル。充填材は?

人工芝の破片や充填材(ゴムチップなど)がマイクロプラスチックになることは知られている。

そのためか最近、人工芝関連のニュースが多い。

京都市では、球技場の人工芝を再利用してもらうため、無償譲渡するそうで、今譲渡先を募っている。「本格的な競技には向かないが、休憩や軽い運動をするスペースには再利用できる」とのこと↓

https://mainichi.jp/articles/20221120/k00/00m/040/056000c

市は、「従来は古い人工芝は廃棄してきたが、近年問題となっているマイクロプラスチックの発生源と指摘されていることから無償譲渡を決めた」そうだ。しかし、譲渡して再利用してもらったとしても、譲渡先でマイクロプラスチックが発生するのは変わらない。

むしろ古い人工芝は千切れやすい。

もしこれが、今まで人工芝が敷かれていなかったところに「タダでもらったから」といって敷かれたら、たまったものではない。

単に、廃棄費用をケチったのではないか?と疑いたくなるが、まさか京都市がそんなセコいことをするとは思えないので、真意は不明だ。

他方、人工芝をリサイクルする方のニュースは、素直に喜べる。

スポーツクラブが、人工芝の破片を再資源化してスポーツ用品を作る事業を始めた↓

https://news.yahoo.co.jp/articles/cbcb377dd21866c55350a7ffa0430d23792c8aad

F・マリノススポーツクラブが人工芝でマーカーコーンを作ったとのこと。このクラブは、J1横浜F・マリノスが選手の育成、地域貢献活動などを行う部門を分社化して2020年11月に設立されたという。

写真を見ると、まるで芝刈りした後かのように千切れた人工芝をスタッフが持っている。ごみ袋にもたくさん入っているようだ。一回の整備で、これほど多くの千切れた人工芝を回収できるならば、リサイクルはよい選択肢だと思う。

それにしても、欧州では人工芝の充填材がマイクロプラスチックとして時々話題になっているが、日本ではなぜまだ充填材が問題になっていないのだろうか?話題になるのは、決まって人工芝の本体だ。

ゴムチップや、廃タイヤをリサイクルした人工芝の充填材は、マイクロプラスチックであると同時に身体にも悪そうだから、こちらの方ももっと問題になってよいと思う。

タイヤが摩耗して飛び散った道路のマイクロプラスチック(含まれていた酸化防止剤)が、銀鮭の大量死を招いていたという数年前のニュースを見る限り、人の健康にも悪いはずだ。

木質バイオマス発電、高効率の闇。三隅火力発電所2号機も混焼

世界的に木質バイオマス発電が大きな問題になっている。先日のNGOのセミナーによると、EUでも問題になっているとのこと。

バイオマス発電は、カーボンニュートラルというトリックで、日本ではまだ持ち上げられているが、いずれバームオイル発電と同じ道をたどりそうだ。

11月1日に営業運転を開始した三隅火力発電所2号機も石炭に木質バイオマスを10%混焼する(日経.2022.11.1)。

カーボンニュートラルの計算式のおかげで、石炭よりカロリーが低いはずの木質チップを混ぜるほど額面上は「高効率」発電が実現できる。

木質バイオマス発電が増えれば増えるほど、森林破壊も温暖化も生物多様性減少も進んでしまう。

<三隅火力発電所の参考>

日本経済新聞(2022.11.1)「中国電力、三隅火力発電所2号機の営業運転を開始」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC013E50R01C22A1000000/

マクドナルドがようやく脱プラ

マクドナルドのワンウェイ(使い捨て)プラ対応がようやく決まったようだ。

これまでは一部の店舗で木製などを試していただけだったが、ようやく全国2900店舗でストローを紙製に、スプーンやフォークなどを木製に順次変えると発表した。

ハンバーガーチェーンのモスフードも今月以降、持ち帰り用のスプーンとフォークを順次バイオマスプラスチックを配合したものに切り替えるとのこと。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221004/k10013847691000.html

脱プラもいいが、ハンバーガーチェーンには最善のアニマルウェルフェアを遵守してほしい。できれば商品の過半をビジタリアン用に「脱獣」で。

もちろん、ゲノム編集されたような肉もどきではなく、大豆ミートなど従来のもので十分だ。

できるだけ肉らしい味に近づけようと、ゲノム編集までされてしまうと、ビジタリアンフードまで胡散臭くなってしまうので。ゲノム編集コオロギのせいで、昆虫食を胡散臭い目で見る人がいる。その二の舞は避けたい。

加えて、価格面で難しいかもしれないけれど、できれば、国産の非遺伝子組み換え大豆などを使ったメニューも加えてほしい。そうすれば、罪悪感なしで食べに行ける。

違法漁業・不当労働で捕られた魚、日本は世界2位の購入国

先日のクローズアップ現代で、「食卓の向こうに“闇”がある 追跡!シーフード産業の実態が放送された。

https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/episode/te/1ZVRZGQV95/

違法漁業や人権侵害などの不当行為により捕られた魚の購入国だと、日本は保護団体から名指しされました。そういう魚を世界で2番目に多く買っているとのこと。

ミャンマー、ラオス、カンボジア、タイなどの貧困層から騙されて連れてこられた従業員は、奴隷のように船上で働かされ、過酷な労働に自殺者も出ているそうだ。

そのように捕られたマグロは、日本の清水港に水揚げされていることがわかっているが、他の魚は他のルートでも来ているのだろう。

救出された従業員が会社から補償を受けられるケースは少ないと、以前みた映画でもいっていたが、私たちが安い魚や寿司を食べられる背景には、まさに「不都合な真実」がある。

マイクロプラは、人獣共通感染症の原因となる寄生虫の「運び屋」

以前から、マイクロプラスチックが病原菌や化学物質のイカダ(運び屋)になっていることが指摘されていた。大腸菌や化学物質などがマイクロプラスチックに付着(化学物質の場合は吸着)し、移動しているということだった。

今年4月、米カリフォルニア大学の研究者らがScientific Reportsに発表した研究によると、人間や動物の健康に危険性のある陸の寄生虫が、海を浮遊するマイクロプラスチックに付着し、移動している可能性があるそうだ。

原虫は、ビーズよりも繊維状のものの方に付着しやすいとのこと。つまり、合成繊維の衣類から漏れ出すファイバーは寄生されやすいということだ。

動物プランクトンや魚介類が、原虫付きのマイクロプラスチックを誤植すると、食物連鎖で人間にも影響がありそうだ。

詳しくは↓

「健康に危険をもたらす寄生虫がマイクロプラスチックに付着して海を移動している可能性、カリフォルニア大学研究チーム報告」(日本語)

https://dime.jp/genre/1386669/

scientific reports(英語)

https://www.nature.com/articles/s41598-022-10485-5

神宮外苑:イコモス案ならば、伐採2本、移植も1/4に

892本の樹木を伐採する上、残すイチョウ並木も球状に近いため、悪影響が指摘される神宮外苑の再開発計画。

イコモスが都に提言した案では、再開発を行っても伐採は病害虫の激しい2本のみで済み、移植する樹木も42本で済むとのこと。

現在進められている計画では、秩父宮ラグビー場と神宮球場の敷地をわざわざ入れ替える計画だが、イコモス案では入れ替えず、現在地もしくは近くで再建する。テニス場も移設しない。

イコモス案ならば、伐採を計画している約1000本の木が守られ、その上さらに1000本以上の新たな植栽が可能になるそうだ。

秩父宮ラグビー場と神宮球場を入れ替える計画の真意はどこにあるのか、できるだけ工事を大がかりにして誰がトクをするのだろうか、都市部にわずかに残されている生物多様性の場を破壊する理由はあるのか、など疑問だらけだ。

こんな計画に都が賛成している理由を知りたい。

<参考>

東京新聞(2022.4.27)「樹木伐採892本→2本でOK「逆に1000本以上植えられる」 明治神宮外苑再開発、イコモスが都に提言」↓

https://www.tokyo-np.co.jp/article/174107

神田のイチョウ並木、伐採開始

千代田区の「神田警察通り」に並ぶイチョウ並木。その並木の伐採を区が開始した。

保存を求める住民の声を無視した伐採に、集まった住民たちが抗議している。

住民団体は、伐採の手続きが不適切だとして関連予算を執行しないよう求める住民監査請求をしたそうだが、監査結果を待たずに伐採が強行された。

沿道のイチョウ32本のうち30本を伐採、2本を移植するというが、大きな木の移植は難しく、枯れやすい。

安易な開発計画で、都市部の古い木はどんどん減っている。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/173884

https://www.tokyo-np.co.jp/article/173904

https://www.tokyo-np.co.jp/article/153695