アサリ缶詰、PFAS基準超えで昨年アメリカでリコール

中国産の2社のアサリの缶詰が昨年、PFASが高濃度で検出されたため「自主的リコール」に踏み切っていた(下記資料, p.44)。

米国食品医薬品局(FDA)が缶詰から見つけたPFASは、既に禁止されたはずのPFOAだ。

「1 ヶ月あたりおよそ 10 oz 以上食べる消費者に健康上の懸念となる可能性がある」(同資料)という。

アメリカは日本よりも厳しいPFAS基準をもっているため、リコールにいたったのだろうが、これらの缶詰は日本では合法的に売られてしまうかもしれない。

そもそも、日本のアサリ缶は、国内で調べられているのだろうか?

PFASのような内分泌かく乱物質の毒性には閾値がない。今の時代、PFASを避けて生きるのはなかなか難しいけれど、少なくとも妊婦や幼児は今のところ、アサリの缶詰をあまりたくさん食べない方が無難かもしれない。

資料には「水産物に関する食事習慣を変える必要があるかどうか疑問に思う消費者には、あな たやお子さんたちが、水産物を含む、年齢にあった多様な健康的な食事をとることを再度推奨する。水産物は、子供には脳の発達や免疫機能向上、大人には心臓や骨の健康利益、特定のがんのリスク低下に役立つなど、健康的な食事の一環として多くの栄養的利益を提供する。中国産の缶詰アサリを定期的に食べたり子供に与えたりする人は、我々がより多くの情報を得るまで、全体的な摂取量を減らしたほうがよいかもしれない」と書かれている。

<出所>

マイクロプラの危険性:ヒトの腸に炎症

マイクロプラスチックの人体への毒性が、次々と明らかになってきている。

「人間の細胞から作り出したミニ臓器である腸オルガノイドを用いた実験により、マイクロプラスチックが腸に炎症作用をもたらすことがわかりました」とのこと↓

https://gigazine.net/news/20230806-microplastics-danger-intestine/

アメリカのタフツ大学の研究チームが、人間の腸の培養組織を使って実験した結果を発表した。

腸管モデルを複数のサイズのプラスチック粒子にさらしたところ、最も小さいプラスチック粒子は腸の内壁を覆う上皮細胞に取り込まれ、さらに「大きめの粒子が腸の免疫応答に関連するマイクロフォールド細胞(M細胞)に取り込まれて腸組織内に侵入」したとのこと。

元論文はこれ↓

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S154996342300031X?via%3Dihub

そういえば、2020年に東京大学の酒井教授が日本財団と一緒にこれとよく似た研究を発表していた。確か、小腸培養組織を使った実験で、最も小さいマイクロプラスチックは上皮細胞を通って血管に入り、大きめのプラスチックはリンパ管に入っていったとのことだった。

当時はまだ、炎症を起こすことまでは解明されなかったが、タフツ大学ではさらに研究を進め、炎症を起こすことを明らかにしたのだろう。

日本でこの手の研究が今どこまで進んでいるのだろうかとググったところ、自治医科大学でもこのような研究を行っていた。

https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20K21725/

結果を早く知りたいものだ。

魚大量死の原因はやっぱり「人間」?

世界各地で魚が大量死している。

原因は、大量取水や栄養過多、気候変動による水温上昇、水質汚染、そしてダムなどとのこと。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/071400366/?P=1

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/071400366/?P=2

栄養過多は人間が肥料やごみを川に入れてしまうことによるそうなので、これも人災か。

テキサス州の川では今年、魚が窒息により大量死した。在来魚のニシンなどがまず死に、その死骸や弱ったニシンを外来種のコイが食べていたそうだ。

人間による川の使い方や気候変動が、生物多様性を著しく損なっている。

他にも人間の被害者は多そうだ。

プラスチックごみにくっついて流れた陸上生物の病原菌が海洋哺乳類などを病気にしているし、海鳥も「プラスチック症」を発症している。

市場は失敗し続けているのに、誰も打つ手を知らないようだ。せめて、個人が少しずつでも出来ることは、「地産地消」「脱プラ」「ゼロ・ウェイスト」か・・・。

神宮外苑再開発の住民向け説明会、今夕から始まる

再開発エリアから380メートル以内の住民限定の説明会が今日の午後6時半から始まる。都民限定ならばまだわかるが、ごく狭いエリアに限定された説明会はほとんど嫌がらせに見える。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c0d407252b5021a715589937561ef0a59abc0dfc

これほど反対する人が多いにも関わらず、小池都知事は再開発に対する考えを覆す気はないようだ。

かつて環境大臣をやっていたこともあり、「環境の小池」などと呼ばれた時代もあった都知事だが、これほど環境に悪いことをやる都知事も珍しいのではなかろうか。多分、歴史に残る。

再開発に反対する人たちの作った「神宮外苑まちづくり 不都合な実像」も今日から公開された。

「この巨大プロジェクトをもっとリアルに実感できるように、米国の建築設計事務所“バーマンデザイン”(Berman Architecture.com)に、開発の前と後のCGモデルの作成を依頼」したとのこと。

映像で開発の「ビフォー」「アフター」が実感できる。

卵の中のマイクロプラスチックは案外多い。原因は?

昨年末に発表された卵にマイクロプラスチック研究の論文を見て驚いた。

「平均含有量は11.67±3.98粒子/卵」ということなので、卵1個当たり7個から16個くらいということのようだ。

結構多い。

しかも、球状が多かったそうなのでマイクロビーズのようだが、どうしてマイクロビーズが入るのだろう?

見つかったのは、50から100マイクロメートルのポリエチレンが多かった。

ニワトリのエサにわざと混ぜるようなサイズではない気がする。もし、偽の満腹感を与えるために混ぜるとしてら、もっと大きいサイズのプラスチックを混ぜそうだ。

卵黄の方が卵白よりもマイクロプラスチックの数が多く、調理後も大きな変化はなかったそうだ。

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0308814622017332?via%3Dihub

プラスチックに付着するトキソプラズマ、強毒性の株がラッコを殺す

プラスチックに病原菌やウイルスが付着し、遠方まで運ばれることがわかっている。

人畜共通の感染病を引き起こすトキソプラズマ原虫もその1つで、プラスチックの上で長く生き延び、陸から海に流出した後もプラスチックを舟にして遠くまで運ばれる。

https://mainichi.jp/premier/health/articles/20220518/med/00m/070/003000d

結果として、海の生き物に感染するが、通常感染した生物がすぐに死ぬことはなかった。しかし、強毒性の株が表れ、カリフォルニアラッコを数週間で死に至らしたそうだ。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/060200277/?n_cid=nbpnng_mled_html&xadid=10005

この強毒性の株はこれまで野生の豚で一度感染が確認されたが、水生生物で確認されたのは初めてだというが、今後増殖し、他にも被害を広げそうだ。

もし、人間にも感染するとどうなるかだが、これまでのトキソプラズマならば妊婦以外は目立った症状はないが、危機意識が欠如し、交通事故に遭いやすくなることがわかっている。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/7449/

恐怖心が鈍くなるため、交通事故に遭う確率が2倍になるということだ。

また、これよると、免疫細胞を乗っ取ることで、統合失調症などの精神疾患にも関連している。

トキソプラズマ原虫はプラスチック登場前からいただろうが、プラスチックが蔓延したせいで生息域を伸ばし、強毒性になることを助けているようだ。

プラスチック汚染の影響は目に見えないところにまで広がっている。本当に怖い。

「地球は既に限界」ネイチャー発表。「地球の表面の生態系はほぼ自然のまま半分は覆われる必要がある」

世界トップクラスの科学者グループが、英科学誌「ネイチャー」に論文を発表した。地球は既に安全の限界点を超えているそうだ。

気候、生物多様性、水、自然生態系、土地利用、肥料、エアロゾルの影響など8つの地球システムの限界点のうち、7つが限界点を突破したという。

「地球の表面の50〜60%はほぼ自然のままの生態系に覆われる必要があるが、既にそれ以下になった」とのこと。

日本国内を見ていても、神宮外苑は再開発の美名のもと木が伐られているし、全国各地で人工芝グラウンドも増えた。公園などはプラスチック遊具が置かれ、その下の地面はゴムチップ舗装か人工芝だ。家庭の庭さえも人工芝で覆う家が増えている。「ほぼ自然のままの生態系」が残っている土地など、いかに森林率の高い日本でも半分もあるだろうか。

ウクライナではダムまで壊された。人間は地球に寄生しながら、地球を滅ぼしている。

ネイチャーに掲載された論文の出典は日本経済新聞(2023.6.8)↓

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20230608&c=DM1&ng=DGKKZO7170779007062023FFJ000

チリ、海鳥が大量死 「海で何かか起きている」

AFPによると、チリ北部で、3500羽もの海鳥が死んでいるのが見つかった。

鳥インフルエンザが原因ではないかと調べられたが、ウィルスは検出されなかったという。

農業牧畜庁のマウツ氏は「海で何かが起きているようだ」とのこと。

https://www.afpbb.com/articles/-/3466766?act=all

海で何が起きているのだろう?

魚の大量死は世界各地で度々起きているが、鳥は鳥フル以外の原因ではあまり聞かない。この手の原因不明のことが今後も頻繁に起き、生物多様性が失われていくのだろうと思う。

クジラは森林なみの炭素吸収源:食べてる場合じゃない

クジラは「全大陸の森林生態系と同等の炭素を環境から除去していた」ことが明らかになった。

論文が、専門誌「トレンズ・イン・エコロジー&エボリューション」に15日、発表されたそうだ。

クジラが大量のオキアミを食べ、オキアミに由来する鉄分のある排泄物を出すことによって、植物プランクトンブルームが発生。それが大量の炭素を吸収してくれるのだそう。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/11/post-97409.php

https://www.cnn.co.jp/fringe/35197517.html

気候変動にも役立つ上、まさに生態系の要だ。

クジラといえば、小学校の給食で出たり、脂身部分は夕飯の味噌汁の具材にもなっていた。

子どもの頃によく飲んだ味噌汁は、角切りされた黒い皮付きの脂身とナスが一緒に入れられていて、我が家の夏の定番メニュー。父の大好物だった(私も好きだった)。

ピンク色のクジラのベーコンも懐かしい味だ(これは少し苦手だった)。そういえば、小学校で強制的に食べさせられた肝油もクジラ由来だったかもしれない。

これほどお世話になったクジラだけれど、20年程前にダイオキシン汚染が話題になった際、クジラにダイオキシンが蓄積していると聞いて、それ以来食べていない。

今でも時々食べたくなることはあるが、気候変動の見地からも、生物多様性の見地からも、クジラを食べてる場合ではないようだ。部位によっては今でも必要な部分はあると聞くが、それは死んで漂着したクジラで賄えばよい(今は原則そのまま埋め立て)。

やはり捕鯨はもうやめた方がよさそうだ。

マイクロプラ防止のため、人工芝をリユース、リサイクル。充填材は?

人工芝の破片や充填材(ゴムチップなど)がマイクロプラスチックになることは知られている。

そのためか最近、人工芝関連のニュースが多い。

京都市では、球技場の人工芝を再利用してもらうため、無償譲渡するそうで、今譲渡先を募っている。「本格的な競技には向かないが、休憩や軽い運動をするスペースには再利用できる」とのこと↓

https://mainichi.jp/articles/20221120/k00/00m/040/056000c

市は、「従来は古い人工芝は廃棄してきたが、近年問題となっているマイクロプラスチックの発生源と指摘されていることから無償譲渡を決めた」そうだ。しかし、譲渡して再利用してもらったとしても、譲渡先でマイクロプラスチックが発生するのは変わらない。

むしろ古い人工芝は千切れやすい。

もしこれが、今まで人工芝が敷かれていなかったところに「タダでもらったから」といって敷かれたら、たまったものではない。

単に、廃棄費用をケチったのではないか?と疑いたくなるが、まさか京都市がそんなセコいことをするとは思えないので、真意は不明だ。

他方、人工芝をリサイクルする方のニュースは、素直に喜べる。

スポーツクラブが、人工芝の破片を再資源化してスポーツ用品を作る事業を始めた↓

https://news.yahoo.co.jp/articles/cbcb377dd21866c55350a7ffa0430d23792c8aad

F・マリノススポーツクラブが人工芝でマーカーコーンを作ったとのこと。このクラブは、J1横浜F・マリノスが選手の育成、地域貢献活動などを行う部門を分社化して2020年11月に設立されたという。

写真を見ると、まるで芝刈りした後かのように千切れた人工芝をスタッフが持っている。ごみ袋にもたくさん入っているようだ。一回の整備で、これほど多くの千切れた人工芝を回収できるならば、リサイクルはよい選択肢だと思う。

それにしても、欧州では人工芝の充填材がマイクロプラスチックとして時々話題になっているが、日本ではなぜまだ充填材が問題になっていないのだろうか?話題になるのは、決まって人工芝の本体だ。

ゴムチップや、廃タイヤをリサイクルした人工芝の充填材は、マイクロプラスチックであると同時に身体にも悪そうだから、こちらの方ももっと問題になってよいと思う。

タイヤが摩耗して飛び散った道路のマイクロプラスチック(含まれていた酸化防止剤)が、銀鮭の大量死を招いていたという数年前のニュースを見る限り、人の健康にも悪いはずだ。