価値のないものだからこそ、ペットボトルや使い捨てカップなどはデポジット制にする必要がある

ある環境系の人が、「リユースびんなどのように価値のあるものをデポジット制で回収するのは良いが、ペットボトルや使い捨てカップのような価値のないものはデポジット制はムリ」などと発言するので耳を疑った。

真実とは真逆の発言だ。まったくデポジット制度を理解せず、批判のための批判のようだ。

価値のあるものならば、デポジット制度にしなくても落ちていれば誰かが拾うので、散乱ごみにはならない。そもそも、本当に価値があれば、誰もポイ捨てなどしない。

しかし、ペットボトルなどのような使い捨ての価値の低いものはポイ捨てされやすいし、落ちていても誰も拾わない。そういうものこそ、デポジット制度にすべきなのだ。デポジット目当てに誰かが拾ってくれるので、散乱ごみになりにくい。

一見環境系の団体の人が、「日本ではデポジット制度は向かない」などと言い切るのが、全く理解できない。

もしかしたら、飲料メーカーからお金をもらってるの?と疑ってしまう。

リサイクルの善し悪しなどはまた別の話だ。使い捨てプラスチックはそもそも禁止したらよいと思うが、すぐに禁止できないのならば、せめてデポジット制度で回収しなければ汚染は止まらない。

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「日本にデポジット制度は向かない」というウソ、そのワケは

世界の飲料容器は、デポジット制度による回収に移行している。「自主的」に容器を回収に出す人ばかりではないから、当然だろう。

日本人は、表向きだけ「自主的」であることを好む。それを国と事業者はうまく利用している。

多くのマスコミは、自ら学ぼうとせず、政府や事業者の発表を右から左へ流すだけだから、国や事業者寄りの情報ばかりを、流布している。そのため、環境団体の人までも「デポジット制度は日本には向かない」などとビックリするようなことをのたまう。

デポジット制度が嫌ならば、容器に入った飲食物など売るべきではない。にも関わらず、デポジット制度を批判する人はマト外れの批判を展開してくれる。

その批判の根拠は、2003年にドイツがデポジット制度を導入した際に、飲料メーカーなどが7000を超す訴訟を起こしたが、その際にメーカーが流した偽情報だったりする。その偽情報を元に、論文を書いた研究者もいたくらいだから、一般の人が信じていても不思議はない。

日本人は「海外はそうでも、日本は違う」という話が大好きだ。日本を特別視するあまりの発言で、それをデポジット制度批判につなげると、こうなるらしい。

「日本人はまじめで、決められたことはきちんと守るし、教育レベルも高い。だから、デポジット制度にしなくても、飲料容器は9割以上回収されている」などとなる。

本当に9割以上回収されているならば、少なくとも目に見える範囲にはペットボトルや空き缶など落ちているはずがない。9割以上の回収率というのはそういうレベルの話だ。

日本がデポジット制度に移行しないのは、製品価格に上乗せされるデポジットが需要を下げるため、販売量の減少を恐れるメーカーが嫌がるためだ。

2003年当時、あることないこと流布され、ドイツのデポジット制度が失敗した、などと日本で喧伝された。しかし今、ドイツのデポジット制度が失敗などと言ったら笑われるので、デポジット制度に反対する人は代わりに「日本にデポジット制度は向かない」と言っているようだ。

シンガポールのデポジット制度、2025年から開始

シンガポール国家環境庁(NEA)によると、2025年4月から10セントのデポジットを飲料に上乗せし、制度を開始するとのこと。上乗せされた飲料には容器にラベルが貼られる。ラベルのない飲料もまだ出回っていることから、4月から6月まで3ヶ月の移行期間がもうけられている。

すべての飲料関連企業と小売店は2025年7月1日までに、デポジット制度を完全に実施しなければならない。

シンガポールでは、ペットボトルと缶が飲料容器の70%を占めるという。

https://youthopia.sg/read/beverage-container-return-scheme-launching-in-april-2025-canned-bottled-drinks-to-cost-0-10-more/?eType=EmailBlastContent&eId=225d7e5f-0e54-495b-a27c-28f281ed69a4

これまでシンガポールのデポジット制度は、2023年開始とされていた。

https://www.nna.jp/news/2160348

遅れたようだが、中止にならずによかった!

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スコットランドが「ゲームチェンジ」、今年8月16日からデポジット制度開始

スコットランドでは、イギリスの他の地域に先駆けて、2023年8月16日からデポジット制度を開始する。

コロナ感染禍により、1年遅れだ。

スコットランドのデポジット制の制度設計に関わったゼロ・ウェイスト・スコットランドのイアン・がランド最高経営責任者は

「ゼロ・ウェイスト・スコットランドはスコットランドのデポジット制の設計に助言したことを誇りに思います。これにより二酸化炭素が削減され、より良いリサイクルが進み、街路からのごみが最大3分の1が除去できるなど、いくつもの利点をもつゲームチェンジャーだ」

と述べている。

https://www.gov.scot/news/scotlands-deposit-return-scheme/

20ペンスのデポジットを払って飲料を購入し、その容器を用意された何万もの回収スポットに持参することで、デポジットは返却されるとのこと。

使い捨てのペットボトルや飲料缶などはなくすべきだとは思うが、それは現実的でない。デポジット制度はベストではないが、現状よりはるかにマシになる。日本にもデポジット制度が必要だと思うが、既得権益にしがみつく人たちの反対で、日本ではできそうにない。

「拡大生産者責任とデポジット制度の実現を目指す全国ネットワーク」が解散

「拡大生産者責任とデポジット制度の実現を目指す全国ネットワーク」(通称:デポネット)から10年ぶり?に封書が届いた。会を解散したという。運営委員会で決まったそうだ。

中心になって会を立ち上げた人が亡くなってからはほとんどそれらしい活動はなかったので、解散はむしろ遅すぎたくらいだろう。

解散できなかった理由は、会費の残金があったからとのこと。

「2014年以降は会費をいただいておりませんが、これまでにいただいた貴重な会費で2022年度までの東京都消費者月間事業実行委員会への参加が出来ました」とのこと。

「東京都消費者月間事業実行委員会」なるものを知らないが、環境展か何かに出展していたのだろうか?よくわからない。

それでもまだ少し残金があるそうなので、活動を引き継ぐ人に寄付してくれるそうだ。

立ち上がった時は、新聞でも大きく報道され、地方在住者も会員になることができ、当初はそれなりに活発に活動していたが、ここ10年以上の間の活動はよくわからない。

発足当時の団体名には「拡大生産者責任」は入っておらず、「デポジット制度」だけだった。それがある日突然この名前に変わったという知らせが届いた。変わった理由は不明だが、デポジット制度だけでも難しいのに、さらに拡大生産者責任まで入れてどうするつもりだろう?と思った記憶がある。

そもそも、デポジット制度は拡大生産者責任の1形式なのだから(日本のローカルデポジットを除く)、わざわざ拡大生産者責任などという言葉を入れてハードルを上げる必要はなかったはず。

現在、世界では多くの国がデポジット制度を導入しているか、導入準備中だ。日本が導入できないのは、飲料容器の処理に責任を持ちたくない事業者が反対するからで、事業者に忖度している環境省や経産省も動かないためだ。

デポジット制度が導入されると、販売時の飲料価格にデポジット(保証金)が上乗せされるため、販売量が落ちるから事業者に嫌われるということも指摘されている。

導入しない後付けの理由として、日本は既に90%以上回収しているからデポジット制度にする必要はない、ということも言われている。しかし、本当にこれだけ回収されているのだろうか?ごみとなったものの回収量など、正確にはだれもわからない。アンケートや貿易統計などを見て、推定に推定を重ね、こうだったらいいなぁ、これならおかしくないかも、という数値を出しているものと思われるが、これがデポジット制度になったら正しくわかるはずだ。

正しい数値を知りたくないし、知らせたくないということも、事業者のデポジット制度反対理由の1つではないかと想像している。

折しも、中国の「プラスチックフリーチャイナ」が発表した論説に「世界的な飲料包装回収「デポジット制」がブームになっていますが、あなたは参加したいですか?」(2023.2.6)と書かれていたと聞いた。

世界では、「ブーム」といわれるほどびん・缶・ペットボトルを対象としたデポジット制を導入する国が増えているのに、日本ではこの有様。

この団体の残金がいくらあるのかは知らないが、デポジット制度の実現に向けて活動する若い人たちが残金を引き継ぎ、新たな会を立ち上げてくれればよいと強く願っている。

マサチューセッツ州、デポジット額を上げる法案提出

マサチューセッツ州で先週、デポジット額を5セントから10セントに上げる法案が提出された。

アメリカやカナダでは、まだ5セントで飲料容器のデポジット制度を運営している州がある。マサチューセッツ州もその1つ。

40年程前に開始された時は、5セントでも返却インセンティブとして機能したが、近年5セントでは機能しにくくなっている。

そのため、10セントに上げる州が増えているが、業界の反対が強い州はなかなか上げられない。

マサチューセッツ州の環境擁護者は、少なくとも20年前から制度の近代化を求めているという。

確かに5セントでは難しいと思うが、5セントでもデポジット制度が実施できているだけ日本よりマシだ。

日本では、スーパーやコンビニの前に置かれているペットボトル自動回収機をデポジット制度だと誤解している人が多い。あれは単なる店側の顧客サービスで、デポジット制度ではない。そのため、せいぜいが1本当たり0.25円だ。

<参考>

https://www.wamc.org/news/2023-01-26/bill-filed-in-massachusetts-legislature-to-increase-bottle-deposits-to-10-cents-expand-to-more-beverage-containers?eType=EmailBlastContent&eId=97661751-d58d-44a5-8322-dd7d1c8acbd1

英政府、デポジット制度の概要を発表 2025年から開始

イギリス(イングランド、ウェールズ、北アイルランド)で2025年10月1日から飲料容器のデポジット制度が開始される予定だ。

英国政府が、デポジット制度についての意見公募の政府回答を発表した。

回答者の83%が新しいシステムに賛成しているという。

デポジットの対象は、プラスチックと缶(スチール、アルミ)から作られた使い捨て飲料容器だ。2024年夏までにシステムを運用する機関を決める。

デポジット制度により、導入3年後には廃棄される飲料容器ごみが85%減になるのを目指す。

ガラスびんはイングランドと北アイルランドではデポジット制度 によって回収されず、ガラスのリサイクルに関連して生産者に目標を課す拡大生産者責任の対象となるとのこと。

しかし、ウェールズではガラスびんも対象になるようだ。

https://www.daera-ni.gov.uk/news/deposit-return-scheme-drinks-containers-progresses

以前の発表によると、スコットランドは今年8月16日から開始される。対象は、ペットボトルとアルミ缶、スチール缶、ガラスびんで、デポジット額は20ペンスだ。

<英国政府ウェブサイト>

https://www.gov.uk/government/news/deposit-return-scheme-for-drinks-containers-moves-a-step-closer

https://www.gov.uk/government/consultations/introduction-of-a-deposit-return-scheme-in-england-wales-and-northern-ireland

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スロバキアのデポジット制度が好調。開始からまもなく1年

スロバキアはデポジット制度を今年1月1日から開始した。1月から11月までの合いだに回収された容器は7億8700万以上になるという。販売された対象飲料(ペットボトル・缶)は10億本とのこと。

回収から1年未満で約80%の回収率ということだから、順調といえる。

目標は2025年までに90%の返却率を達成すること。現在3004カ所の回収場所があり、うち1184カ所が強制、1820カ所が任意の回収場所だ。

店舗面積が300平方メートル以上の店舗にのみ回収場所の設置が義務づけられているため、大規模店舗の回収は強制だ。つまり過半が300平方メートル未満の店舗でも、自ら回収場所になっているようだ。

今後回収率を上昇させるためには、この任意の小規模店舗が回収場所になるかどうかにかかっているということだ。

スロバキアのデポジット制度の対象容器は、使い捨てのプラスチック容器と金属容器で、サイズは0.1から3リットル。牛乳やスピリッツの容器は対象から外されている。

日本はデポジット制度でもないのに、ペットボトルでも既に90%近くのリサイクル率を達成している、などと思うのは早計だ。日本の回収率は、海外へリサイクル目的で輸出される分などを加味した単なる「参考値」で、デポジット制度による正確な回収率とは全く精度が違う。

「これほど落ちていて、これほど燃やされているのに、なぜ回収率が高いの?」という疑問を多くの人は感じているだろう。

実際、デポジット制度実施国には、すぐに拾えるところにはペットボトルや缶は落ちていない。それでも回収率は90%を切っている国も多い。「回収率90%」は、デポジット制度が順調に運営されている場合にのみ達成できる数字だ。

順調な運営には、回収拠点の密度とデポジット金額が最も重要な要素となる。

<出所>

https://www.tasr.sk/tasr-clanok/TASR:2022122000000191?eType=EmailBlastContent&eId=a9c8835f-422b-456f-b04e-560b1705dfc8

<参考記事>

金属カップに商機:繰り返し使えるテイクアウト用容器が当たり前の社会に

脱プラスチックを背景に、スチール製やアルミ製カップが脚光を浴びている。

ビールだけでなく、アイスコーヒーだって金属製カップの方が美味しく感じられる。

日経新聞(2022.12.16)によると

「JFEは鉄素材の魅力やリサイクル性の高さなどをPRすることなどを狙いとして、2021年10月に開催された屋外イベントを皮切りに複数のイベントでスチールカップを提供」「現在は屋外イベントでの提供を通じて、デザインなどの改良を進める「実証実験」のように位置付けている」とのこと。

また、東洋製缶GHDはスポーツ観戦会場や商業施設向けにアルミ製カップの販売を始めたそうだ。

スチール業界はその昔、スチール缶が普及し始めた頃、リサイクルに往生し、デポジット制度に猛反対した。一方、昔からリサイクルしやすかったアルミ缶業界のほうは、リサイクル率が上がる方が得なので、デポジット制度への反発は少なかった。

ペットボトル全盛の今になって、ようやくスチール缶業界もアルミ缶業界も、デポジット制度を潰さなければよかった、と内心後悔しているのではないかと思うが、飲料業界は全体としていまだにデポジット制度に反対だろう。

デポジット制度は拡大生産者責任の一環だから、日本では全く受け入れられないが、使い捨てプラカップの代わりに使う金属製カップならば、デポジット制度は受け入れられやすいのではないか。

利用者に若者が多いカフェならば、LINEの「友だち登録」利用でなんとかなっても、野外イベントでの金属カップ使用は、デポジット制度抜きでは成り立たないのではないかと思う。

<参考>

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC12B9E0S2A910C2000000/

スコットランド、来年8月からデポジット制度開始

いよいよ決定か。ずいぶん延びていたが、スコットランドの飲料容器デポジット制度が、いよいよ来年8月からスタートするようだ。

金額は、デポジットもリファンドも20pで、対象はペットボトル、缶、ガラス製の飲料容器。管理者はCircularity Scotland とのこと。

Circularity Scotland がグラスゴーで主催した会議に、スコットランド全土の飲料メーカーや小売業などの600人以上の代表者が、デポジット制度に備えるため結集したそうだ。

<出所>