世界の飲料容器は、デポジット制度による回収に移行している。「自主的」に容器を回収に出す人ばかりではないから、当然だろう。
日本人は、表向きだけ「自主的」であることを好む。それを国と事業者はうまく利用している。
多くのマスコミは、自ら学ぼうとせず、政府や事業者の発表を右から左へ流すだけだから、国や事業者寄りの情報ばかりを、流布している。そのため、環境団体の人までも「デポジット制度は日本には向かない」などとビックリするようなことをのたまう。
デポジット制度が嫌ならば、容器に入った飲食物など売るべきではない。にも関わらず、デポジット制度を批判する人はマト外れの批判を展開してくれる。
その批判の根拠は、2003年にドイツがデポジット制度を導入した際に、飲料メーカーなどが7000を超す訴訟を起こしたが、その際にメーカーが流した偽情報だったりする。その偽情報を元に、論文を書いた研究者もいたくらいだから、一般の人が信じていても不思議はない。
日本人は「海外はそうでも、日本は違う」という話が大好きだ。日本を特別視するあまりの発言で、それをデポジット制度批判につなげると、こうなるらしい。
「日本人はまじめで、決められたことはきちんと守るし、教育レベルも高い。だから、デポジット制度にしなくても、飲料容器は9割以上回収されている」などとなる。
本当に9割以上回収されているならば、少なくとも目に見える範囲にはペットボトルや空き缶など落ちているはずがない。9割以上の回収率というのはそういうレベルの話だ。
日本がデポジット制度に移行しないのは、製品価格に上乗せされるデポジットが需要を下げるため、販売量の減少を恐れるメーカーが嫌がるためだ。
2003年当時、あることないこと流布され、ドイツのデポジット制度が失敗した、などと日本で喧伝された。しかし今、ドイツのデポジット制度が失敗などと言ったら笑われるので、デポジット制度に反対する人は代わりに「日本にデポジット制度は向かない」と言っているようだ。