グリホサートと枯葉剤と自閉症

遅ればせながら、『日本が売られる』(堤未果著)を読んだ。

「民営化」や「基準緩和」などのような耳に心地よい呼び名で、日本の資産や安全がどんどん海外へ売られている、という内容。

とても考えさせられた。

もともとカジノにも水道民営化にもグリホサートにも反対だ。周囲にも反対の人が多い。

しかし、いつの間にか法律が変えられ、気付いたら話が進んでいる。これらの事柄が、なぜ突然進められてしまったのかがこの本に書かれていた。

怖ろしい話だ。

カジノは絶対に作らないでほしいが、グリホサートの危険性も明らか。

しかし、日本ではグリホサートが身の回りに溢れている。グリホサートを有効成分とするラウンドアップは、ドラッグストアでいくらでも売られているし、グリホサートのジェネリック品を使った製品も多い。

それをなんとかしてほしいと思っているうちに、日本は、小麦や野菜などのグリホサート残留基準値を大幅に緩和してしまった。

その背景もこの本で少し触れられていて驚いたが、一番ショックだったのは、グリホサートに耐性をもつ雑草については「2、4ーD」(枯葉剤の主成分)で枯らせばよいという結論になった、という部分だ。

日本では、この「2、4ーD」を使った除草剤も、その耐性遺伝子組換えトウモロコシも、既に承認されたという。

この除草剤には、ダイオキシンは含まれていないのだろうか?

また、この↓サイト情報によると、市販される多くの小麦製品からグリホサートが検出されている。

http://earlybirds.ddo.jp/bunseki/report/agr/glyphosate/wheat_flour_1st/index.html

アメリカやカナダの小麦粉は、小麦の収穫前にグリホサートを散布するプレハーベスト処理がなされているためだとのこと。

そういえば最近、日本で市販されているパンの多くからグリホサートが検出されたというニュースを聞いた。

もちろん、学校給食のパンからも検出されたという。

さらに、「グリホサートなど農薬と自閉症との関係についての調査も発表された」というから怖ろしい。

YAHOO!ニュース(2019.8.26)「グリホサート、安全神話の終焉 人体への健康被害明らかに」↓

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190826-00010001-kinyobi-soci

出生前および出生後1年目までにグリホサートなどの農薬に曝露した子どもが、曝露していない子どもに比べて、自閉症スペクトラム障害(ASD)になるリスクが高い、とのこと。

1歳未満の子どもに、市販のパンを食べさせるのはやめた方がよいということか(しかし、離乳食には食パンを使った献立がいっぱいある)。

日本の「安全安心」は、自分の利益しか考えない巨大企業と、そこから献金をもらう政治家のせいで、これからますます脅かされそうだ。

ベトナム ダイオキシンデーに「ドクちゃん」来日、日本のダイオキシン問題も終わっていない

かつて「ベトちゃん、ドクちゃん」で日本でも知られていたドクさんが、来日し、対談するそうだ。

ベトナム戦争時、ベトナムの兵士達の食料源であり、隠れ場所でもあった森を枯らすため、アメリカ軍によって枯葉剤が撒かれた。その枯葉剤にはダイオキシンが含まれていたため、散布地域には多くの奇形児が生まれた。

その一人が1981年に生まれた結合双生児のドクちゃんだった。兄のベトちゃんの体調悪化により、日本も支援して1988年に二人の分離手術が行われた。つながっていた下半身を分けたのである。

手術は成功したが、ベトちゃんは2007年に死亡。ドクちゃんはボランティア活動で知り合った人と2006年に結婚し、2008年に男女の双子を授かった。

双子の名前は、フーシ(富士)とアインダオ(桜)と名付けられた。

その後、ドクさんは時々来日している。現在、障がい者支援のボランティア組織を立ち上げ、ホーチミン市で活動をしているとのこと。

枯葉剤が撒かれた期間は1961年から1971年までの約10年間。今もベトナムでは、枯葉剤被害者が生まれ、苦しんでいるそうだ。

枯葉剤は、撒かれたベトナムの人ばかりでなく、撒いたアメリカ人兵士をはじめ、韓国、ニュージーランド、オーストラリア各国の兵士たちも浴び、白血病や皮膚癌などで、多くの死者をだしたと聞く。アメリカでは、退役軍人により訴訟もおこされた。

ベトナム戦争で使われた枯葉剤については、日本でも大量に保管されていたことなどが、かつて国会でも問題になった。

それについて、筆者はあまり詳しくないが、ダイオキシンによる被害は世界のどこよりも(あるいはベトナムと並んで)日本が早かったことは確かだ。1968年に起きたカネミ油症事件である。

カネミ油症も、油を直接食べていない被害者の孫の世代にまで影響が出ているが、救済はおろか、認定も進んでいない。

カネミ油症はPCBからの発生だが、ダイオキシンは、有機塩素化合物の製造工程や焼却炉からも副産物として発生する。日本の海や川底にも沈んでいる。

昨年、鎌倉に漂着したシロナガスクジラの赤ちゃんの筋肉や肝臓、脂肪層からもダイオキシンが検出された。

今まで流した分は仕方ないが、せめてこれから発生する量は減らしたい、とベトナムダイオキシンデーを前に考えている。そのためにも、「脱・焼却」を進めたい。

☆8月11日開催のベトナムダイオキシンデーのイベント詳細↓

http://www.koubunken.co.jp/news/n30619.html

中国でフロンガスの排出増加

オゾン層を破壊するフロンの一種、クロロフルオロカーボン(CFC)の放出量が、近年増加していた問題で、主な原因は中国だったことが、イギリスの科学者チームによりわかったとのこと。

ポリウレタン断熱材に、このCFC-11が使用されていたことが確認されたという。1トンのCFC-11は、二酸化炭素約5000トンに相当するとのことで、オゾン層を破壊するだけでなく、温暖化も促進してしまうらしい。

中国政府は既に取り締まりを開始しているそうだ。

<詳しくは↓>

BBC(2019.5.23)「オゾン層破壊物質の増加原因は中国 国際研究チーム」

https://www.bbc.com/japanese/48375540

無人地帯に 降り注ぐマイクロプラスチック

人のいない辺境の山奥にも、大量のマイクロプラスチックが降り注いでいるようだ。

「ネイチャー・ジオサイエンスに掲載された論文によると、2017年から2018年にかけての5か月間にわたる調査期間中、フランスとスペインにまたがるピレネー山脈の無人の高高度地域では毎日、1平方メートル当たり平均365個のプラスチック微粒子が地上に降下した」とのこと。

フランス・パリ市や中国の工業都市などに匹敵する量のマイクロプラスチックで、材質は「プラスチックの断片や繊維、シート状の薄い膜など」だそうだ。

「プラスチックの断片」ということは、車のタイヤや靴底の摩耗粉、あるいは柔軟剤などに入っている香料を包み込むマイクロカプセルの破片などか?「繊維」は衣類やカーテンの繊維くずだろう。どこの家からも大量に出ていそうだ。「シート状の薄い膜」は、レジ袋やプラひもなどが劣化した場合にも出るだろう。

候補がありすぎて、由来は見当も付かないが、いずれにせよ、人間がプラスチックを極力使わない生活に切り替えない限り、汚染はこれからも増える一方だ、ということだけは確か。

山岳地帯にこれほどの量が降っているということは、当然海にも降っているし、私たちの住んでいる地域にも降っているということか。

<出所>

AFP通信(2019.4.16)「辺境の山地にもマイクロプラスチック、大気中を浮遊」

https://www.afpbb.com/articles/-/3221028?page=2

韓国の川で奇形魚が急増、原因は合成香料か?

韓国の川で奇形魚が急増し、原因としてムスクケトンが疑われているようだ。
ムスクケトンはジャコウの香りをもつ合成ムスクの一種。

日本では既に禁止されているようだが、簡単に買えるようなので注意したい。

やはり合成香料は怖い。

日本の魚は大丈夫だろうか?

<出所>
livedoor NEWS(2019.4.10)「韓国の漢江河口に奇形魚が急増 日本などで禁止された物質が影響か」
http://news.livedoor.com/article/detail/16295167/

猛暑のオーストラリア、魚が大量死

今年に入ってから、オーストラリアが猛暑で、ついに49.5度Cが記録されたとのこと。

オーストラリアで年越しで異例の猛暑が連続するのは、豪州大陸の上空を広範囲に覆う高気圧の影響と、太平洋上で発生するエルニーニョ現象により、熱帯海域の海面水温が高温化していることも重なっている。この複合影響で、南オーストラリア州やビクトリア州などを中心に異常高温が続いている。

また、48度cを記録したニューサウスウェールズ州の川では、魚の大量死が相次ぐ。
ついに、水面が魚の死骸で覆い尽くされ、白一色に染まる事態に。今後、数日か数週間にわたり、さらなる大量死の発生リスクがあるそうだ。
原因として、「連邦政府は深刻な干ばつであるとの見方を示す一方、専門家や地元住民らは川全体の水量低下と汚染が原因だと指摘している」とのこと。

<出所>
AFP(2019.1.29)「「数十万匹」規模の魚の大量死、死骸で水面が白一色に 豪」
http://www.afpbb.com/articles/-/3208667

(一社)環境金融研究機構(2019.1.24)「猛暑のオーストラリア、最高気温が50℃直前に。南オーストラリア州で49.5℃を記録。州政府は緊急発電所を設置以来、初稼動へ。川では酸欠で魚が大量死、カンガルーもダウン(RIEF)」
http://rief-jp.org/ct8/86492

ネオニコ系農薬の空中散布を続ける松本市

海外ではネオニコ系農薬の規制が強まっている。
しかし、日本は規制を強めるどころか、むしろ緩くした。
挙げ句に、松本市のように、空中散布する自治体まででる始末。
まるで、日本人が体をはって、ネオニコ系農薬の人体実験に協力しているかのよう。
農薬として使用されても怖いのに、頭の上からバラまかれてはたまらない。当然、空中散布に反対する松本市の住民たちが危険性を訴え、市に中止を申し入れた。
しかし、市長は聞く耳をもたなかったようで、昨年8月、ついに住民団体は、松本市長に公金支出差止等を求める裁判を起こした。
ということで、先日参加した化学物質学習会で、その訴状を拝見した。

松本市は全面的に争う姿勢とのこと。
市長は、チェルノブイリの原発事故で有名になった医師。甲状腺癌については専門家でも、化学物質のことはおそらく素人。
にも関わらず、専門家のように安全性を強弁し、ネオニコ系農薬をばらまいているようだ。
しかし空中散布では、松枯れを防止できないことは既にわかっているはず。
メリットよりも、子どもたちの健康被害のほうがはるかに大きいだろう。

観光するならば、松本よりも、トキのためにネオニコ系農薬を使わない米作りを推進している佐渡へ行く方が安全そうだ。

<参考>
IN YOU JOURNAL(2018.11.22)「あなたはどう思いますか?世界と逆行して次々進む日本のネオニコチノイド農薬規制緩和。」
https://macrobiotic-daisuki.jp/neo-nico-157377.html

「JA佐渡米はネオニコチノイド系農薬不使用で日本一安心安全美味しい理由」
https://itouyaryokan.com/blog/3658.html

映画『香害110番』

日本消費者連盟が、映画を通して化学物質の問題を問い、香害をなくす運動に役立てることを目的に、映画『香害110番』を制作している。学習会などで使える内容だそうだ。

寄付をウェブ上で募集するクラウドファンディングを立ち上げている。

募集金額は50万円です。主要な使い道は、全国に広がる被害の実態や被害者・医師など専門家の証言の取材・撮影する取材経費です。また、撮影した映像を編集し、ナレーションや音入れなどの製作費に使わせていただきます。

例えば、3000円寄付すると、「感謝の気持ちを込めたお礼のメール」、「政策したDVDを1枚進呈(2019年3月にお届け予定)」、さらに「映画のエンドロールにサポーターとしてお名前を掲載」とのこと。

詳しくは↓

https://motion-gallery.net/projects/kougai110

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香りブームに異議あり

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相次ぐ発火や水銀漏出事故、有害ごみの自治体回収は税金の無駄

自治体のごみ処理施設での有害ごみによる事故が多発しているという。

製品が複雑化し、消費者も処理方法がわからないものが多い。筆者もそうだが、分別方法がよくわからないごみは、つい「不燃ごみ」などに入れてしまう人は多いだろう。

そのため、全国的に見ても環境意識の高い東京都多摩地域のごみ処理施設でさえも、リチウムイオン電池による発火事故や、水銀式の血圧計や体温計による水銀漏出事故が相次いでいる。

全国の焼却炉で、水銀を含む製品を燃やすことなどは、おそらく日常茶飯事だろう。焼却炉から排出される水銀濃度の高い排ガスなども、そもそも水銀を検査している地域が少ないのだから、判明するケースは氷山の一角だ。

このような有害製品による事故を、税金を使って解決しようとしていては、税金などいくらあっても足りない。

自治体にも消費者にも、製品についての詳細な知識や情報は与えられていないのだから、全員が有害物質に対して適切に対応することなど困難だ。

筆者の住む自治体でも、乾電池(マンガン・アルカリ・オキシライド乾電池・コイン電池など)は自治体の回収へ、充電式電池は「リサイクル協力店」へ、ボタン電池は「回収協力店」へ、とのことだが、実際自分の捨てたい製品の中にどのタイプの電池が入っているのか、製品を開けてみてもわからないことが多い。コイン電池とボタン電池の違いもよくわからないし、リサイクル協力店と回収協力店の違いもわからない。販売店で回収していないケースも少なくない。

水銀含有製品にしても、果たしてどれが該当するのか?

結果として、自治体の回収にすべて出す人がいるせいで、火災や水銀漏出事故が起きたとしても、消費者の責任といえるだろうか。

なぜ日本は、有害物質の回収を、生産者責任で対応しようとしないのか。

電池を含むすべての有害物質は、販売時に回収方法を明示し、生産者が責任をもって回収すべきではないか。海外メーカーの製品は輸入事業者が責任をもつべきだろう。

今後、海外製品がますます出回るだろうことを考えると、今の日本の回収制度では有害物質がますます適正に処理されにくいのではないか。

自治体がいくら頑張って回収しても、日本の河川にはマイクロプラスチックが多い。有害物質も多いのでは?と心配になる。

廃掃法と各種リサイクル法は、既に時代遅れになっているのではないか。抜本的に見直す時期が来ているのではないかと考えている。

<事故についての出所>

日本経済新聞(2018.12.12)「リチウムイオン電池や水銀式血圧計、有害ごみ回収徹底  多摩の自治体、事故多発 武蔵野市はボックス設置拡大」↓

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181212&c=DM1&ng=DGKKZO3880622011122018L83000

 

 

観光地の環境対策を強化するフィリピン 地元経済と環境の両立は可能か?

観光地の環境対策の強化により、今年4月に閉鎖されたフィリピン・中部ボラカイ島。海につながる配水管などが撤去され、一部の宿泊施設が営業を再開した。白砂が戻り(おそらくごみの山も撤去され)、観光客の姿が徐々に回復しているという。

マリンスポーツや砂山を作ることは禁じられているが、飛行機が発着する隣の島とつなぐフェリーの運航は開始される(閉鎖中は島の住民しかフェリーに乗れなかったが、これからは観光客も乗れる)。

今後は、他の観光地にも環境関連の法令遵守を徹底させるという。

厳しい環境対策は地元経済には打撃かもしれないが、観光資源が台無しになっては元も子もない。経済と環境の両立を探りながらのフィリピンの対応にこれからも注目したい。

<参考>

日本経済新聞(2018.11.5)「フィリピン、観光地の環境対策強化 経済悪影響も辞さず」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3737502005112018FFJ000/

BBC NEWS JAPAN(2018.4.5)「フィリピン、人気の観光地ボラカイ島を一時閉鎖へ」↓

https://www.bbc.com/japanese/43650534