香害 -化学物質過敏症-

香害という言葉を時々聞くようになった。

私は化学物質過敏症ではないが、以前から香水やタバコの匂いが苦手なため、最近、宅配便の配達員の衣類の香りが気になる。

柔軟剤の香りだろうが、不自然な甘い匂いで、これでもか!というほどキツイ。香水ならばやんわり注意もできる。が、柔軟剤や合成洗剤の匂いを注意するのは何となく気が引ける。

そのため、お礼もそこそこにあたふたとドアを閉めることになる。

いつから、香りがエチケットなどといわれるようになったのか?柔軟剤や制汗スプレーの匂いより汗臭いほうがまだマシだ。

永吉ら(2013)が新潟県上越市で行ったアンケート調査では、中学生の15.7%が化学物質過敏症の可能性があるという。年齢があがるほどその割合が増え、しかも前回の調査よりも増えている。

この結果は、今後ますます化学物質過敏症で苦しむ人の増える可能性を示している。何とか手を打てないものか。

家や学校で、柔軟剤や合成洗剤、消臭剤、芳香剤、シャンプー、防虫剤など、不必要な化学物質にさらされている子どもたちが気の毒でならない。

人工的な香りはエチケットというよりは、おそらく化学兵器に近い。

<参考>

永吉ら(2013)「児童・生徒(6〜15才)の化学物質過敏症様症状に関するアンケート再調査」

https://niconurs.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=21&item_no=1&page_id=13&block_id=21

 

 

除染土を農地へ再利用?!

東京電力福島第1原発事故により放射能で汚染された土を除染し、それを農地に再利用する方針を環境省は決めている。食用の作物ではなく、花などの園芸作物を植えるそうだ。

除染土は最終的には50センチ以上の別の土で覆うそうだが、その上で長時間働く人への影響はないのだろうか?

また、地下水が汚染されないかということも気になる。地下水が汚染されれば、食用作物が植えられている別の畑にも影響するかもしれないし、飲み水にも影響する可能性がある。

共同通信(2018.6.1)「除染土、農地造成に再利用」↓

https://this.kiji.is/375224835955557473

ドキュメンタリー「プラスチック・チャイナ」

ドキュメンタリー映画「プラスチック・チャイナ」を見た。
プラスチック工場で働く一家。その一家の11歳の長女が、プラスチックの選別を手伝いながら、毎日弟や妹の面倒を見ている。お金がないため、学校にも行かれない。
故郷へ帰りたくても、乗車券を買うお金が足りずに、帰省もできない。
雇用主である工場オーナーも働きづめだ。
プラスチック汚染の影響か、工場主の身体に数箇所の腫瘍ができているが、病院には行かない。
もし、病気だということがわかると、困るからだという。
川にはたくさんの魚が死んでいる。それも食料になっている。
この映画からわかることは、海外から届く資源ごみは決して中国を豊かにしなかったということ、そして病気と環境汚染をもたらしたということだ。

日経ビジネス(2018.5.18)によると、これまで中国頼みだった日本のシュレッダーダストは、中国が輸入規制をしたため行き場を失い、このままでは単純焼却か埋立しかない、という。

焼却や埋立でもよいから、国内処理すべきだろう。車や家電メーカーは、生産者責任として最後まで責任もって国内処理すべきだ。

日本は、中国に代わる国として、ベトナムやタイなどへの資源ごみ輸出を検討しているようだが、国内処理もできないような資源ごみは汚染を生み、汚染は貧困しか生まないことをこの映画は教えてくれる。

この映画はBSでも放送されたようだ。

BS世界のドキュメンタリー↓

http://www6.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/index.html?pid=180412

日経ビジネス(2018.5.18)「中国頼みだったスクラップ処理が危機に」↓

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16eco/042500006/051700009/?P=1

 

原発事故の教訓と健忘症

3.11大震災直後には、原発を止めなければならない、という意見をよく耳にした。しかし最近は、「どうせ言っても変わらない」というあきらめと忘れっぽさからか、稼働することへの反対意見は減っている。
私自身も同様で、「原発で儲かる人たちが権力を持っている以上、日本で原発を止めることはできない」とあきらめていた。

知人から転送されてきた毎日新聞(2018.5.2)の記事を遅ればせながら読んだ。

小泉元首相の談話「平成の軌跡 原発事故の教訓」と、政府事故調査委員長の「変わらぬ日本の健忘症」という記事だ。

小泉元首相は「総理の決断次第」で止めることは可能だという。

元首相は、首相だった当時「原発は安全だ」と聞いていた。しかし、3.11の事故をテレビでみて、はじめて「違うんじゃないか」と思ったという。そして本を読み、事故前から危険を指摘していた大勢の研究者や市民団体のあることを知ったのだそうだ。
そして2013年、フィンランドの核廃棄物最終処分場を見学し、10万年も保管する施設を造らないといけないならば「原発ゼロしかない」と確信した。

また、政府事故調査委員長の畑村洋太郎氏は、震災直後には多くの人々が「根本的に変わらなければいけない」と言っていたのに、7年たつと災害のことは語られなくなった、として、「誰かが考えてくれたことに従っていれば、きっとうまくいく」くらいしか考えられないと、世界から置いて行かれる、悪い方向からも事態を見る、という姿勢が大事だと指摘する。

日本の原発事故を見て、ドイツも台湾も脱原発を決めた。しかし、当事国の日本は、原発事故などまるでなかったかのように再稼働させている。原発の恐ろしさを日本人は本当に忘れてしまったのだろうか。

毎日新聞(2018.5.2)「平成の軌跡 原発事故の教訓」

https://mainichi.jp/articles/20180502/ddm/004/070/014000c

抗菌薬でアレルギー発症率1.7倍!

今日の毎日新聞によると、抗菌薬を2歳までに服用した乳幼児は、ぜんそくやアトピー性皮膚炎など免疫異常によって起きるアレルギー疾患の発症リスクが、服用経験のない乳幼児に比べ、1.4〜1.72倍になるとの調査結果が、国立成育医療研究センターによりまとめられたそうだ。

風邪などに安易に抗菌薬を使うことにより、アトピー性皮膚炎などを発症することがあるとのこと。

そういえば以前から、東京医科歯科大名誉教授の藤田紘一郎氏は、腸にはさまざまな働きがあり、酵素やホルモンなども作っているとおっしゃっていた。
大人でも、腸内細菌を殺すことによって、うつ病や癌、アレルギー、肥満なども発症しやすくなるようだ。

抗菌薬は、家畜を早く太らせるため肉にも大量に使われていると聞く。抗菌グッズや抗菌石けん、医師から処方される抗菌薬などは注意すれば生活から遠ざけることができるが、肉を遠ざけるのは難しい。
たとえビジタリアンになったとしても、抗菌薬を食べさせられた家畜の糞が野菜に使われている限り、抗菌薬からは逃れられない。

社会全体で、安易な抗菌剤の使用をやめるしかない。

<参考>

毎日新聞(2018.5.2)「乳幼児は服用注意を アレルギー発症率1.7倍」↓
https://mainichi.jp/articles/20180502/k00/00m/040/187000c?fm=mnm

ニュースポストセブン(2017.6.29)「除菌・抗菌グッズの流行でアレルギーの子供が増えたか」↓
https://www.news-postseven.com/archives/20170629_572391.html

毎日新聞(2017.4.20)「やせられない・・・それは抗菌薬が原因かも」↓

https://mainichi.jp/premier/health/articles/20170331/med/00m/010/008000c

欧州のフタル酸エステル規制

EU(欧州連合)の「RoHS指令」が日本メーカーに大きな対応を迫っている。2019年7月から、フタル酸エステル類の4物質(DEHP、BBP、DBP、DIBP)が化学物質規制の対象として加わるためだ。

ソニー、キャノン、NEC、富士通など各社が対応に追われているという。規制値を超えている製品は、EU域内に輸出できなくなる。フタル酸エステル類が使われている製品は、パソコンやテレビなど機器内の配線や電源ケーブルなど数限りない。

しかし、技術的にもコスト的にも各社なんとかメドをつけつつあるようだ。問題は、末端のサプライヤーにまで目が届きにくく、勝手に材料や配合を変更してしまうことがあり、過去にもそれが原因で発火事故に繋がったとのこと。

目の届かない6〜7次サプライヤーがフタル酸エステルを使用しないことを担保できない限りは安心できないようだ。

フタル酸エステルは、かつて塩ビラップにも使用され「環境ホルモン」だと問題になった可塑剤である。現在、日本製のラップにはさすがにフタル酸エステルは含まれていないようだが、海外製のものからはいまだに検出されることがあるので安心できない。

しかし、EUがNO!ということでフタル酸エステルなど危険な化学物質を減らす技術が進歩するならば、EU規制は大歓迎だ。国内製品にも入れないでほしいが国内に規制がない限り、しばらくはEU向けのみの対策になってしまう可能性もある。

フタル酸エステル類はコードやホース、パッキンなどの部品にも使われている。これらは焼却されることも多いので、日本も早急な国内規制が必要だ。

<EU「RoHS指令」についての出所>

日本経済新聞(2018.4.13)「欧州発の化学物質規制、対応急務の電気・電子メーカー 新RoHS対策(上)(下)」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28875420S8A400C1000000/

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28885220S8A400C1000000/

 

 

ネオニコ系農薬を使わないため、大潟村が着色粒規定の廃止を求める意見書

ネオニコ系農薬を使わない米作りをめざす大潟村の生産者たちは、コメの検査規格の見直しを求めている。

斑点米カメムシ類防除のための過剰なネオニコ系農薬使用をやめるため、大潟村議会は、その元凶となっている「着色粒規定」の廃止を盛り込んだ意見書を国に提出するよう求める請願を採択した。

毒性のない斑点米をなくすためにネオニコ系農薬を過剰に使用させる政策を一般の国民は誰も望んでいない。海外の多くの国でネオニコ系農薬の使用を禁止・規制する中、日本だけが規制を緩和していると聞く。

国は誰に忖度して、このような国民の「安全・安心」を犠牲にする政策を続けているのだろうか?

 

<参考>

有機農業ニュースクリップ(2018.3.17)「大潟村議会 着色粒規定の廃止を求める意見書」↓

http://organic-newsclip.info/log/2018/18030902-1.html

奄美大島に大型クルーズ船の寄港地必要?

日本に残された数少ない秘境の1つに、奄美大島を挙げる人は少なくないだろう。

国土交通省は、その奄美大島を大型クルーズ船の寄港地に選定し、開発しようとしている。

大型クルーズ船には乗客だけでも約5000人が乗る。その人々は奄美大島に一泊し、また次の停泊地へと去って行く。

港建設により、サンゴ礁などの貴重な資源はどうなるのだろうか?また、大勢の人たちが一気に押しかけることで、アマミノクロウサギやアマミトゲネズミ、ルリカケスなどの稀少な固有生物に影響はないのだろうか?

地元では誘致を進める意見もあるが、反対の声もあがり署名運動が展開されている。

署名(Change. org)↓

https://www.change.org/p/奄美大島-西古見集落の素晴らしい自然を残すため-約5000人を乗せた大型クルーズ船の寄港地誘致をやめてもらいたい

南海日日新聞(2018.2.10)「「規模」問題視、署名活動へ」↓

http://www.nankainn.com/local/「規模」問題視、署名活動へ-%E3%80%80クルーズ船寄港地

南海日日新聞(2018.2.23)「観光協会要望取り下げへ 大型クルーズ船誘致計画」

http://www.nankainn.com/gvmnt-admin/観光協会要望取り下げへ=大型クルーズ船誘致計

タンカー事故(その2) 海産物汚染の怖れ 漁業活動は継続

BBC NEWS JAPANによると、タンカー事故後、沈没した海域で、事故後も何日間にもわたり漁船の操業が続いていたとのこと。

東シナ海周辺の地域では、タンカーから流出した超軽質原油(コンデンセート)で海産物や海洋生物が汚染された可能性が指摘されていた。このため、現場から半径30海里の海域が立入禁止区域になっていたが、漁業活動は継続されていたようだ。

国連食糧農業機関は、流出事故の影響を受けた海産物が市場に出回っているかどうかについてのコメントは控えたとのことだが、見た目で汚染がわからなければ当然出回っているだろう。

一方、グリーンピースは奄美大島に漂着した油の状況を写真入りで報告している。油と一緒に海鳥の死骸やペットボトルも漂着している。

英国のサウサンプトン大と国立海洋学センターの研究グループによると、3月半ばには関東から東北沖まで拡大する怖れがあると予測されている(産経新聞2018.2.3)。

 

タンカー事故(その1)「3月には油が関東沖まで到達?!」

タンカー事故(その1) 3月には油が関東沖まで到達?!

BBC NEWS JAPAN(2018.2.23)「東シナ海のタンカー事故後も漁業活動 海産物汚染の怖れ」

http://www.bbc.com/japanese/43165466

グリーンピース「奄美大島に漂着した油を見てきました」↓

http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/blog/61155/?utm_campaign=Others&utm_source=Supporter%20Service%20e-mail&utm_medium=email&utm_term=24022018_Amami-blog

産経新聞(2018.2.3)「沈没タンカーの油、東北沖まで拡大の恐れ」↓

http://www.sankei.com/affairs/news/180203/afr1802030019-n1.html

タンカー事故(その1) 3月には油が関東沖まで到達?!

2018年1月6日に中国沖で発生したイラン企業所有の石油タンカー事故の影響が懸念される。

報道によると、タンカーは香港籍の貨物船と衝突し漂流した後、同月14日、奄美大島の西約300キロの日本の排他的経済水域内で大炎上し、沈没した。軽質原油10万トン超を積むタンカーの沈没は前例がなく、過去数十年間で「最悪」であるとする報道も散見する。

最近の日本の報道はオリンピック一色で、タンカー事故の続報は少なく現時点で油がどこまで拡散しているのか不明だが、1月10日時点で既に鹿児島県内10島と沖縄本島への漂着が確認されている。

グリーンピースによると、爆発と沈没は「重要な魚の産卵場で発生」した。また、別の保全団体の声明によると、この場所は多くの海洋哺乳類の移動経路にあたるという。

英国の国立海洋研究所は、3月には重油は関東沖に達するという拡散予測を公表している。

日本近海の魚介類をはじめとする海洋生態系はこれからどうなるのか。とても気になるが、影響に関する続報はまだない。(追記:続報は下記)

 

タンカー事故(その2)「海産物汚染の恐れ 漁業活動は継続」

タンカー事故(その2) 海産物汚染の怖れ 漁業活動は継続

毎日新聞(2018.2.10)↓

https://mainichi.jp/articles/20180210/ddm/041/040/132000c

朝日デジタル(2018.2.1)↓

https://digital.asahi.com/articles/ASL215G6SL21TLTB010.html

朝日デジタル(2018.2.11)

https://digital.asahi.com/articles/ASL2B5D0XL2BTLTB008.html

EXPRESS: Iran oil tanker causes worst spill in DECADES after ship carrying 1 MILLION barres sinks;

https://www.express.co.uk/news/world/905066/iran-oil-tanker-slick-spill-explosion-sinking-east-china-sea-sanchi-environmental-disaster