原発事故の教訓と健忘症

3.11大震災直後には、原発を止めなければならない、という意見をよく耳にした。しかし最近は、「どうせ言っても変わらない」というあきらめと忘れっぽさからか、稼働することへの反対意見は減っている。
私自身も同様で、「原発で儲かる人たちが権力を持っている以上、日本で原発を止めることはできない」とあきらめていた。

知人から転送されてきた毎日新聞(2018.5.2)の記事を遅ればせながら読んだ。

小泉元首相の談話「平成の軌跡 原発事故の教訓」と、政府事故調査委員長の「変わらぬ日本の健忘症」という記事だ。

小泉元首相は「総理の決断次第」で止めることは可能だという。

元首相は、首相だった当時「原発は安全だ」と聞いていた。しかし、3.11の事故をテレビでみて、はじめて「違うんじゃないか」と思ったという。そして本を読み、事故前から危険を指摘していた大勢の研究者や市民団体のあることを知ったのだそうだ。
そして2013年、フィンランドの核廃棄物最終処分場を見学し、10万年も保管する施設を造らないといけないならば「原発ゼロしかない」と確信した。

また、政府事故調査委員長の畑村洋太郎氏は、震災直後には多くの人々が「根本的に変わらなければいけない」と言っていたのに、7年たつと災害のことは語られなくなった、として、「誰かが考えてくれたことに従っていれば、きっとうまくいく」くらいしか考えられないと、世界から置いて行かれる、悪い方向からも事態を見る、という姿勢が大事だと指摘する。

日本の原発事故を見て、ドイツも台湾も脱原発を決めた。しかし、当事国の日本は、原発事故などまるでなかったかのように再稼働させている。原発の恐ろしさを日本人は本当に忘れてしまったのだろうか。

毎日新聞(2018.5.2)「平成の軌跡 原発事故の教訓」

https://mainichi.jp/articles/20180502/ddm/004/070/014000c

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