EU(欧州連合)の「RoHS指令」が日本メーカーに大きな対応を迫っている。2019年7月から、フタル酸エステル類の4物質(DEHP、BBP、DBP、DIBP)が化学物質規制の対象として加わるためだ。
ソニー、キャノン、NEC、富士通など各社が対応に追われているという。規制値を超えている製品は、EU域内に輸出できなくなる。フタル酸エステル類が使われている製品は、パソコンやテレビなど機器内の配線や電源ケーブルなど数限りない。
しかし、技術的にもコスト的にも各社なんとかメドをつけつつあるようだ。問題は、末端のサプライヤーにまで目が届きにくく、勝手に材料や配合を変更してしまうことがあり、過去にもそれが原因で発火事故に繋がったとのこと。
目の届かない6〜7次サプライヤーがフタル酸エステルを使用しないことを担保できない限りは安心できないようだ。
フタル酸エステルは、かつて塩ビラップにも使用され「環境ホルモン」だと問題になった可塑剤である。現在、日本製のラップにはさすがにフタル酸エステルは含まれていないようだが、海外製のものからはいまだに検出されることがあるので安心できない。
しかし、EUがNO!ということでフタル酸エステルなど危険な化学物質を減らす技術が進歩するならば、EU規制は大歓迎だ。国内製品にも入れないでほしいが国内に規制がない限り、しばらくはEU向けのみの対策になってしまう可能性もある。
フタル酸エステル類はコードやホース、パッキンなどの部品にも使われている。これらは焼却されることも多いので、日本も早急な国内規制が必要だ。
<EU「RoHS指令」についての出所>
日本経済新聞(2018.4.13)「欧州発の化学物質規制、対応急務の電気・電子メーカー 新RoHS対策(上)(下)」↓
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28875420S8A400C1000000/
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28885220S8A400C1000000/