カリフォルニア州では、PFAS含有人工芝を禁止する法案が委員会を通過した。あとは上院で可決され、知事がサインしたら、2025年から製造、流通、販売ができなくなる↓
アメリカでは他にも多くの州で、PFAS含有製品の禁止が法制化されそうだ↓
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カリフォルニア州では、PFAS含有人工芝を禁止する法案が委員会を通過した。あとは上院で可決され、知事がサインしたら、2025年から製造、流通、販売ができなくなる↓
アメリカでは他にも多くの州で、PFAS含有製品の禁止が法制化されそうだ↓
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世界各地のトイレットペーパーを調べたところ、すべてのトイレットペーパーからPFASが検出されたそうだ。
https://www.theguardian.com/environment/2023/mar/13/toxic-forever-chemicals-pfas-toilet-paper
フロリダ大学の研究者らは、北米、西ヨーロッパ、アフリカ、中米、南米の21の主要なトイレットペーパーブランドを集め、調べたところ見つかった。
紙パルプが機械に付着するのを防ぐため、製造プロセスでPFASを使用していることを示唆しているそうだ。
つまり、PFASは製造工程で潤滑剤として使用され、その一部がトイレットペーパーに残っているということらしい。
意図的に添加されたわけではないから、PFAS濃度は低いそうだが、トイレットペーパーは多くの国で毎日大量に使用される。下水処理施設から川に流される水や、下水汚泥も汚染されていないか心配になる。おそらく汚染は避けられない。
この研究では6種類のPFAS化合物を検出した。このうち、6:2 diPAPが最高レベルだった。
この化合物はまだしっかりと研究されていないそうだが、精巣機能障害に関連するといわれている。お尻を拭く度にPFASが肌や粘膜に触れるとしたら、恐ろしい。
バージンパルプのトイレットペーパーからだけではなく、再生紙も似たようなものだったという。
また、この研究は、6:2 diPAPが環境中で非常に有毒な化合物であるPFOAに変わる可能性があることを発見したそうだ。つまり、6:2 diPAPはPFOAの前駆体ということか。
多くの製紙メーカーは気付かずにPFASを使っているようだ。「これを使うと装置を早くスムーズに動かせるよ」と言われ、機械メーカーから機械とセットで買っているのかもしれない。
人工芝のようなプラスチック製品も同様だが、紙製品も大量生産するためには、機械にパルプがくっつきにくくなるPFASのような潤滑剤が必要だということだ。
それにしても、PFASは泡消火剤や繊維、プラスチック製品、化粧品、容器などに使われるものだと思っていたが、まさかトイレットペーパーからも検出されるとは。これがもし、英紙ガーディアンの記事でなければ信じないところだ。
プラスチックに病原菌やウイルスが付着し、遠方まで運ばれることがわかっている。
人畜共通の感染病を引き起こすトキソプラズマ原虫もその1つで、プラスチックの上で長く生き延び、陸から海に流出した後もプラスチックを舟にして遠くまで運ばれる。
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20220518/med/00m/070/003000d
結果として、海の生き物に感染するが、通常感染した生物がすぐに死ぬことはなかった。しかし、強毒性の株が表れ、カリフォルニアラッコを数週間で死に至らしたそうだ。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/060200277/?n_cid=nbpnng_mled_html&xadid=10005
この強毒性の株はこれまで野生の豚で一度感染が確認されたが、水生生物で確認されたのは初めてだというが、今後増殖し、他にも被害を広げそうだ。
もし、人間にも感染するとどうなるかだが、これまでのトキソプラズマならば妊婦以外は目立った症状はないが、危機意識が欠如し、交通事故に遭いやすくなることがわかっている。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/7449/
恐怖心が鈍くなるため、交通事故に遭う確率が2倍になるということだ。
また、これよると、免疫細胞を乗っ取ることで、統合失調症などの精神疾患にも関連している。
トキソプラズマ原虫はプラスチック登場前からいただろうが、プラスチックが蔓延したせいで生息域を伸ばし、強毒性になることを助けているようだ。
プラスチック汚染の影響は目に見えないところにまで広がっている。本当に怖い。
世界トップクラスの科学者グループが、英科学誌「ネイチャー」に論文を発表した。地球は既に安全の限界点を超えているそうだ。
気候、生物多様性、水、自然生態系、土地利用、肥料、エアロゾルの影響など8つの地球システムの限界点のうち、7つが限界点を突破したという。
「地球の表面の50〜60%はほぼ自然のままの生態系に覆われる必要があるが、既にそれ以下になった」とのこと。
日本国内を見ていても、神宮外苑は再開発の美名のもと木が伐られているし、全国各地で人工芝グラウンドも増えた。公園などはプラスチック遊具が置かれ、その下の地面はゴムチップ舗装か人工芝だ。家庭の庭さえも人工芝で覆う家が増えている。「ほぼ自然のままの生態系」が残っている土地など、いかに森林率の高い日本でも半分もあるだろうか。
ウクライナではダムまで壊された。人間は地球に寄生しながら、地球を滅ぼしている。
ネイチャーに掲載された論文の出典は日本経済新聞(2023.6.8)↓
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20230608&c=DM1&ng=DGKKZO7170779007062023FFJ000
「堆肥化可能」といわれる生分解性プラスチックの「ポリ乳酸」を使用したプラスチック製品が増えている。
例えば、伊藤園の「おーいお茶 緑茶」のティーパックもこれだ。
https://www.itoen.co.jp/news/article/14415/
宿泊施設で無償提供される歯ブラシやクシが、ポリ乳酸製のこともある。
ポリ乳酸を使った使い捨てプラスチックが着々と増えてきた理由は、使用感が一般的なプラスチックと同じなのに、よりマシだと思われているからだろう。
確かに植物性という点で温暖化対策の見地からは多少マシかもしれない。しかし、ティーバッグや食品容器がポリ乳酸の場合、お腹にマイクロプラスチックが入ることには変わらないし、マイクロプラスチックが下水に流れれば下水処理施設をくぐり抜け、海まで行くかもしれない。つまり、ポリ乳酸はプラスチック汚染問題の解決には決してならない。
それを証明したのが、最近発表された論文だ。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0284681
論文によると、アメリカの研究チームが、ポリ乳酸と一般的なプラスチック、天然および再生セルロース繊維を海水に浸け、分解実験をした。
その結果、ポリ乳酸は428日以上海洋環境で分解しないことがわかったそうだ。
対照的に、天然および再生セルロース繊維は、約35日以内に完全な生分解をしたとのこと。
ポリ乳酸のような産業用堆肥化施設でのみ分解するプラスチックを「生分解性プラスチック」と呼ぶことで、「破壊的な使い捨て行動を永続させるためのアリバイにすべきではない」と主張している。
ロイターによると、2024年にフランス・パリで開催されるオリンピック・パラリンピックでは、使い捨てプラスチックを禁止にするそうだ。
さすがフランスだ。東京五輪でもそうしてほしかったが、東京は「スポンサーの意向」などでできなかった。スポンサーとは主にコカ・コーラを指していたと思う。
パリ五輪では、コカ・コーラも協力し、ガラス瓶を使用するとのこと。
マラソンでも再利用可能なカップが提供される。
ロイター↓
https://jp.reuters.com/article/olympics-environment-idJPKBN2XI01W
フランスでは2025年までに使い捨てプラスチック包装の年間市場投入量を、2018年比で20%減らす目標を立てている。
そのため、既に青果のパッケージなども一部を除きほとんど禁止され、ティーバッグやファストフード店の子ども用おもちゃなども禁止された。2024年からはマイクロプラスチックを含む医療機器の販売が禁止となるそう(JETROビジネス短信)。
量り売りや容器持参の取組も進んでいる。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/05/413407e4a686561c.html
一方日本は、使い捨てプラスチックは一部減ったような気もしないでもないが、増えているプラスチック製品の方があまりに多すぎて、プラ新法の効果はいまだ見えない。海外の人から指摘される日本人の「プラスチック中毒」は、かなり深刻なようだ。
とにかく驚いた。日本はこれまでとは打って変わり、プラスチックの国際条約に向けて高い野心をもつ連合国の仲間入りを果たしたのだ。
環境省と経産省の発表を見て、目を疑ったが、確かなようだ。
環境省↓
https://www.env.go.jp/press/press_01684.html
経産省↓
https://www.meti.go.jp/press/2023/05/20230526005/20230526005.html
一部に、「野心連合の野心を削ぐためではないか」という憶測もあるが、とりあえず素直に評価し、歓迎したい。
世界中で法的拘束力のある規制をしなければ、2040年までにプラスチック汚染をなくすことなどは不可能だ。
東京都は、使用済み紙おむつのリサイクル推進に向けた実証事業を公募した。その結果、4社(凸版印刷株式会社、白井グループ株式会社、住友重機械エンバイロメント株式会社、トータルケア・システム株式会社)共同による「家庭用紙おむつの効果的回収と完結型リサイクル事業」が採択された。
八王子市と町田市で、一般家庭から使用済み紙おむつを分別回収し、紙おむつに使用されているパルプとプラスチックを再生原料にリサイクルするシステムの事業性を検証したらしい。
また、紙おむつの効果的な収集方法や、AIシミュレーションによる効率的な収集運搬、リサイクル資源の有効活用などについて検証が行われたとのこと。
もし、多摩地域に紙おむつのリサイクル工場ができたら、相模原市で発生した紙おむつも引き受けてくれるかも?と思うと、何となくうれしい。
しかし、リサイクル工場からマイクロプラスチックが発生するのは避けられそうにない。
八王子市↓
https://www.city.hachioji.tokyo.jp/kurashi/gomi/001/001/p029927.html
国土交通省が進めていた、下水道に紙おむつを流す計画は中止になったという噂を聞いた。
調べたところ、p.34「今後の方針」にこう書かれている↓
「今後は、下水道への紙オムツ受入を検討する自治体や紙オムツ処理装置メーカー、紙オムツ 素材メーカー等、関係者間での情報共有を図りつつ、技術開発の動向やマイクロプラスチック に関する知見等について収集する。
ガイドラインの作成については、知見の蓄積状況や技術開発の動向等も踏まえて、課題の解 決に向けて十分な知見が蓄積されたと判断した時点で検討を再開することとする。」
要するに、さまざまな課題が解決されたら再開するということのようだ。
しかし、マイクロプラスチックのでない紙おむつというのは、プラスチックを使わない紙おむつが開発されない限り不可能なので、「再開の見込みがない=中止」と考えて良さそうだ。
それにしても、本当にお粗末なプロジェクトだった。
紙オムツなどを流したら、マイクロプラスチックがでることは最初から予想できたはず。しかも、下水道に流すなどと言い始めた頃にはもうユニチャームやトータルケアが九州でリサイクルを始めていた。
実証実験までやって、税金の無駄遣いも甚だしい。
<参考>
国土交通省ウェブサイト↓
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_000540.html
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人工芝から流出したマイクロプラスチックというと、自宅玄関マットなどに使われる小さな木べらのような形の芝片がよく紹介されている。
しかし、最近の人工芝は、家庭の庭用のものでさえも、もっと丈の長い本物の草のような形状だ。根元から千切れた場合、細いとはいえ、長さは数センチあるからマイクロプラスチックとは言い難い。まして、競技場などで使用されるロングパイル人工芝は5センチはあるから、千切れてもフィルターさえあれば捕捉出来るだろう、と思っていた。
ところが、本当の芝片は粉状のものだ。すり切れて、芝はだんだん短くなる。それに伴って、粉茶のようなものが場外に流出している。
関東学院大学の鎌田 素之先生の模擬講義(「水の世紀」に化学にできること)の36分目から人工芝の話だ。どう見ても苔か粉茶にしか見えない大量の芝片(芝粉?)の流出光景が紹介されている↓
https://univ.kanto-gakuin.ac.jp/academics/science-and-engineering/applied-chemistry.html
こんなマイクロプラスチックが人工芝を敷設したところから流出しているのかと思うとゾッとする。
人間はプラスチックで様々なものを作ったことで、どうしようもない間違いを侵してしまった気がしてならない。この芝粉からもPFASがでているのだろうか。