「堆肥化可能」といわれる生分解性プラスチックの「ポリ乳酸」を使用したプラスチック製品が増えている。
例えば、伊藤園の「おーいお茶 緑茶」のティーパックもこれだ。
https://www.itoen.co.jp/news/article/14415/
宿泊施設で無償提供される歯ブラシやクシが、ポリ乳酸製のこともある。
ポリ乳酸を使った使い捨てプラスチックが着々と増えてきた理由は、使用感が一般的なプラスチックと同じなのに、よりマシだと思われているからだろう。
確かに植物性という点で温暖化対策の見地からは多少マシかもしれない。しかし、ティーバッグや食品容器がポリ乳酸の場合、お腹にマイクロプラスチックが入ることには変わらないし、マイクロプラスチックが下水に流れれば下水処理施設をくぐり抜け、海まで行くかもしれない。つまり、ポリ乳酸はプラスチック汚染問題の解決には決してならない。
それを証明したのが、最近発表された論文だ。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0284681
論文によると、アメリカの研究チームが、ポリ乳酸と一般的なプラスチック、天然および再生セルロース繊維を海水に浸け、分解実験をした。
その結果、ポリ乳酸は428日以上海洋環境で分解しないことがわかったそうだ。
対照的に、天然および再生セルロース繊維は、約35日以内に完全な生分解をしたとのこと。
ポリ乳酸のような産業用堆肥化施設でのみ分解するプラスチックを「生分解性プラスチック」と呼ぶことで、「破壊的な使い捨て行動を永続させるためのアリバイにすべきではない」と主張している。