亀岡市「プラスチックごみゼロ宣言」レジ袋使用禁止を条例化 日本初

京都府亀岡市と市議会が、13日「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」をしたとのこと。

2020年までに市内小売店でのレジ袋使用を禁止する条例を施行する方針。

神奈川県による「かながわプラごみゼロ宣言」や鎌倉市のそれは、努力目標で条例化はしていない。亀岡市が条例化すると、日本の自治体で始めてのレジ袋禁止条例となる。

レジ袋廃止のほか、市のイベントでのリユース食器の利用などで、2030年までに使い捨てプラスチックごみゼロのまちを目指すそうだ。

<出所>

毎日新聞(2018.12.14)「レジ袋禁止 亀岡市罰則検討 20年度までに条例施行 宣言賛否」

http://mainichi.jp/articles/20181214/ddn/041/040/029000c

毎日新聞(2018.12.13)「京都・亀岡市が「プラごみゼロ」宣言 自治体初、20年度までにレジ袋廃止」

https://mainichi.jp/articles/20181213/k00/00m/040/057000c?fm=mnm

プラスチック製レジ袋の使用禁止などを目指し、京都府亀岡市と市議会が13日、「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」をした。2020年度までに市内の小売店でのレジ袋の使用を禁止する条例を施行する方針。レジ袋を巡っては政府も小売店に有料化を義務づける方針を固めているが、市は廃止に向けてさらに踏み込む。現在、国内の自治体に同様の条例はないという。

宣言には、レジ袋を禁止してエコバッグ持参率100%を目指す取り組みのほか、家庭から出るプラスチックごみの回収率100%達成も明示。市のイベントでリユース(再利用)食器を使用するなどし、「30年までに使い捨てプラスチックごみゼロのまちを目指す」としている。今後協議する使用禁止条例では、罰則を設けることも検討している。

市内にはスーパーやコンビニエンスストア、個人商店など計約760軒(14年度)の小売店があり、市はフランチャイズの店なども含め、すべてでレジ袋を禁止する構え。まず19年度中に全店舗のレジ袋を一律に有料化する予定で、既に協力呼びかけを始めている。

桂川孝裕市長(55)は「(レジ袋禁止で)全国に一石を投じたい」とあいさつ。宣言について市に助言してきた原田禎夫・大阪商業大准教授(43)=公共経済学=は「海洋ごみは海外からの漂着のみならず、国内の内陸部からの流出も多い。宣言で亀岡市が先進都市となり、他地域にも広げるきっかけとなる」と意義を述べた。

亀岡市は京都市の西隣に位置するベッドタウンで人口は約8万9000人。市はプラスチックごみの海洋汚染が近年、社会問題になっていることを受け、12年に内陸部の自治体では初めて「海ごみサミット」を開催した。【国本ようこ】

国連が使い捨てプラ容器使用の完全廃止目指す、世界127ヵ国でがプラスチックを規制、トルコでもレジ袋有料化決定

国連総会の議長は、国連が近い将来、使い捨てのプラスチック容器の使用を完全に止める目論みであることを明らかにした。

既に国連内では、使い捨てプラスチック容器の使用完全廃止キャンペーンに取り組んでいるそうだ。

また、127の国連加盟国が、数年以内に使い捨てプラスチックに対し、廃止などの規制をかける。

先日トルコもレジ袋有料化を決定したようだ。トルコでは年間1人あたり440枚のレジ袋が使われている。いつから有料化を開始するか、期限はまだ決まっていないが、0.05$程度になる予定。

<出所>

Sputnik(2018.12.5)「国連 使い捨てプラスチック容器の使用の完全廃止を目指す」↓
https://jp.sputniknews.com/life/201812095682660/

Sputnik(2018.12.9)「127カ国で数年以内に使い捨てプラ廃止へ」↓

https://jp.sputniknews.com/life/201812095682660/

INDEPENDENT(2018.)Turkey to launch groundbreaking restrictions on plastic bags in fight against pollution;

https://www.independent.co.uk/news/world/europe/turkey-plastic-bags-ban-law-supermarkets-apk-pollution-waste-government-a8676221.html

 

 

 

プラスチック戦略のパブコメ、提出のため素案を読んでみた

環境省がプラスチック戦略のパブリックコメントを募集している。どういう意見を送るか考えるため、まず今回の戦略の目玉を整理した。

p.8からp.9にかけて記載されている以下の5つが目玉だと考えられるが、うち1番目が最も重要だろう。

1.消費者はじめ国民各界各層の理解と連携協働の促進により、代替品が環境に与 える影響を考慮しつつ、2030年までに、ワンウェイのプラスチック(容器 包装等)を累積で25%排出抑制するよう目指します。

→参考資料p.54のフローを見ると、2013年の容器包装は426万トンである。25%減の基準年は不明だが、約100万トンの容器包装を減らすということだ。家族経営型の小規模店には手を付けず、スーパーやコンビニ、ドラッグストア、ホームセンター、クリーニング店等のレジ袋を有料化した場合、少なくとも10万トンは減るだろう。また、プラスチック製ストローやカップを廃止し、プラスチック製トレーや使い捨ての弁当容器なども紙製やできればリユースできるものに切り替えることによっても、使い捨てプラスチックは大幅に削減できる。既に、カップ麺のカップやペットボトルを生分解性プラやバイオマスベースに切り替えを進めると表明しているメーカーもある。これらのことを考え合わせると、それほどムリせずとも100万トン以上は削減できるのではないか。

→使い捨てプラスチックについて、韓国は2027年までにゼロに、台湾は2030年までに全面禁止、マレーシアも2030年までにゼロ、インドは2022年までにすべて排除、などとそれぞれ発表している。もちろん「使い捨てプラスチック」と表現するプラスチック製品は各国で異なるだろう。しかし、それらを勘案しても日本の25%減はまだ甘いといえる。この目標値で、来年日本で開催されるG20でリーダーシップを発揮できるようには思えない。

→バイオマスベースのプラスチックが即よいとばかりはいえないし、紙製だからといって安心できるわけではない。しかし、日本の技術力があれば、今のプラスチックに代わるものが生み出せるだろう。イノベーションに期待するためにも、もう一歩、意欲的な目標値が望ましい。

2.2025年までに、プラスチック製容器包装・製品のデザインを、容器包装・製品の機能を確保することとの両立を図りつつ、技術的に分別容易かつリユース 可能又はリサイクル可能なものとすることを目指します(それが難しい場合に も、熱回収可能性を確実に担保することを目指します)。

→熱回収を除いた真水(まみず)の目標値(回収率とリサイクル率)を設定すべき。これでは何をもって達成度をはかるのかわからない。

3.2030年までにプラスチック製容器包装の6割をリサイクル又はリユースし、 かつ、2035年までにすべての使用済プラスチックを熱回収も含め100%有効利用するよう、国民各界各層との連携協働により実現を目指します。

→熱回収を含めず2030年までに60%のプラスチック製容器包装をマテリアルリサイクル(材料リサイクル)、あるいはリユースするということだろうか。EUが2030年までに再資源化率100%を目指していること、そして多くのグローバル企業が2025年までに100%リユース、リサイクル、あるいは生分解可能にすることを表明していることを考えると、2030年までに6割という数字は低すぎるのではないか。

→また、2035年までの目標値が熱回収も含め100%というならば、熱回収抜きの目標値も決めておくべきだ。そうでなければ、ラクな熱回収に頼りきってしまう。熱回収では資源は循環しない。

4.適用可能性を勘案した上で、政府、地方自治体はじめ国民各界各層の理解と連携協働の促進により、2030年までに、プラスチックの再生利用を倍増するよう目指します。

→なぜ地方自治体などまで動員するのか?再生利用の倍増などは、生産者責任によって達成できるはずだ。達成できなかった時の保険として、「地方自治体や国民各階各層の理解と連携協働の促進」などという言葉をコテコテに盛ったように見える。

→ここはスッキリと「2030年までに、生産者責任により、プラスチックの再生利用の倍増を目指します」だろう。これを達成するためには、容器包装以外の製品プラスチック(バケツやハンガー、ストロー、衣装ケースなどのプラ製品)のリサイクル法か、あるいはプラスチックに特化したリサイクル法(容器包装や家電、自動車などに利用されるすべてのプラスチックを対象とする法律)を作る必要がある。

5.導入可能性を高めつつ、国民各界各層の理解と連携協働の促進により、2030 年までに、バイオマスプラスチックを最大限(約200万トン)導入するよう目 指します。

→バイオマスプラスチックの導入を推進するならば、バイオベースの生分解性プラスチックも推進するということか。そうであれば、現在のプラスチックリサイクルとは別に、生分解性プラスチック用のリサイクルルートの確立が必須だ。現在のプラスチックリサイクルルートに、もし生分解性プラスチックが混入すると、マテリアルリサイクル(材料リサイクル)が著しく阻害されるためである。

→リサイクルルートは自治体に頼ることなく、生産者責任において作るのが望ましい。自治体にはどれが生分解性プラスチックか、そうでないかの区別ができないし、自治体抜きで進めるほうがスムーズだ。今一度、容器包装リサイクル法をはじめとする各種リサイクル法を見直すべきだ。

以上、思ったことを記載してみた。

これらに加えて、デポジット制度の導入ペットボトルのキャップをボトル本体と外れないようにデザイン変更することなどについての意見も加えたい。

日米が署名を拒否した海洋プラスチック憲章を上回るはずの環境省の素案だが、比較してみると、言葉尻を巧みに合わせてはいるものの、決して上回っていないことがわかる。海洋プラスチック憲章に数値があまり盛り込まれていない理由は、日本やアメリカが署名しやすくするためであったと考えられる。

海洋プラスチック憲章を上回る目標を設定し、来年日本で開催されるG20サミットでリーダーシップを発揮するというのならば、EUのプラスチック戦略(2030年までにすべてのプラ容器包装のリユースやリサイクルを可能とする、など)を上回る必要がある。

パブコメ締切は12月28日だ。

環境省「プラスチック資源循環戦略(案)に対する意見の募集(パブリックコメント)について」↓

https://www.env.go.jp/press/106186.html

https://www.env.go.jp/press/files/jp/110266.pdf

北米スターバックス、紙コップから紙コップへリサイクル

日本ではごく一部のサービスエリアや自動販売機などの紙コップはリサイクルされているが、トイレットペーパーにリサイクルされることが多い。

しかし、日本の大半の紙コップは、リサイクルルートには乗らず、他のごみと一緒に焼却されている。

北米のスターバックスでは、店内で使用された紙コップをまた紙コップにリサイクルし、スターバックスで使用する試みをスタートさせた。

既に2500万個の紙コップを新しい紙コップにリサイクルしたという。

紙コップに使用される繊維は、一般の紙よりも上質で、発生量さえ把握できていればリサイクルは難しくないとのこと。

紙コップは内側をポリエチレンでラミネートするため、本体部分が古紙でも安心だ。まして店内で回収された古紙ならば、安心して使用できる。

プラスチック製カップからリユースできる陶磁器製カップに切り替えるのが理想だろうが、使い捨ての紙コップを使わざるをえないケースも多い。

日本でもぜひ「コップ to コップ」の紙コップリサイクルの取組を進めて欲しい。

<スターバックスについての出所>

FAST COMPANY(2018.11.26)Starbucks recycled 25 million old paper coffee cups into new cups;

https://www.fastcompany.com/90270871/starbucks-recycled-25-million-old-paper-coffee-cups-into-new-cups

ニュージーランドでもデポジット制度の気運高まる

ヨーロッパでは今年5月、欧州委員会がプラスチックを減らすため、海岸に散乱の多い「10品目プラス漁具」を対象に、それぞれの製品に応じた規制をかけることを提案した。その法案が今年10月に欧州議会で可決された。

その10品目の1つが飲料容器で、デポジット制度などにより90%の回収率を達成すること、であった。

このため、まだデポジット制度を導入していない国々では、デポジット制度への期待が高まっている。

欧州のみならず、オーストラリアやニュージーランドでも以前からデポジット制度を求める声が大きい。

とりわけオーストラリアではここ数年、デポジット制度を開始する州が相次いでいるが、ニュージーランドでも、デポジット制度の気運が近年高まった。

ニュージーランドの多くの都市で、デポジット制度を模倣するイベントが、地元のゼロ・ウェイストを目指す団体により繰り広げられている。空のペットボトルや缶を持参してもらい、現金と交換するイベントだ。

デポジット制度を求める請願書の署名も全国的に集められ、来週議会に提出する予定とのこと。

ペットボトルなどで汚れた通りや海岸を見るのにウンザリした大勢の人々が、署名をしたそうだ。

デポジット制度は、「海岸や海洋生物を有毒なプラスチックから守るだけでなく、陸上でのリサイクルを促進し、資金調達や雇用創出の面で、コミュニティに広く利益をもたらす。」と、支持されている。

<ニュージーランドについての出所>

Hundreds across country claim cash for bottles;

http://www.voxy.co.nz/national/5/327037

 

味の素、2030年までにプラごみゼロへ

先般インドネシア・バリ島で開催された国際会議で、290以上のグローバル企業や機関が、2025年までにプラスチック製包装材を100%再利用可能かリサイクル、あるいは生分解性に切り替えることを約束した。

しかし、日本の企業は1社も参加せず、世界に日本企業のプラスチック対策の遅れぶりを知らしめた。

とはいえ、日本企業もプラスチック対策について意識はしているようで、先日の日清食品の生分解性プラスチックへの切り替え表明に続き、味の素グループも、2030年までに紙製などに切り替えることを表明した。

日経新聞によると、味の素グループは「リサイクルにも力を入れて廃棄量削減を進める」とのこと。

容器包装リサイクル法(容リ法)の上にあぐらをかいていては「リサイクル」に「力を入れて」取り組むことはできない。

自主回収システムの導入や、あるいは容リ法改正への働きかけなど、今後企業が率先して回収にも取り組んでくれることを期待している。

<参考>

日本経済新聞(2018.11.29)「味の素、プラスチック廃棄ゼロへ 30年に」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38314770Z21C18A1000000/

海洋金融研究機構(2018.10.30)「プラスチック包装を、2025年までに100%再利用可能な素材に転換。290以上の企業・期間等が宣言。インドネシア・バリ島での国際会議で。日本からは1社も参加せず」↓

http://rief-jp.org/ct12/84150

<関連記事>

日清食品 生分解性プラに切り替え、どのタイプの生分解性プラかはまだ不明?

「コンビニ改心」でレジ袋有料化はほぼ完了、次のターゲットは?

昨日の日経新聞の記事「脱レジ袋、コンビニ「改心」」によると、13年前には有料化に猛反発したコンビニも、今回は姿勢を改め「反対する理由はない(日本フランチャイズチェーン協会専務理事)」と述べているとのこと。

これまで各地域のレジ袋有料化協定に誘われても断り続け、コンビニにマイバッグを持参する人などいない、有料化したらコンビニは潰れる、などといっていた態度は一変した。

商店街のパン屋や魚屋、八百屋など小規模店舗では今後どうするか?、レジ袋の価格は?などの課題は残るものの、食品用レジ袋は東京オリンピックまでに有料化することで、これでほぼ決定するだろう。

残りの課題は、食品用以外のレジ袋をどうするか、ということである。ドラッグストアなどは当然有料が義務化されるだろうが、調剤薬局など薬店はどうだろうか?(病院内で調剤されていた頃は、レジ袋を使用せず、白い紙製の小袋に幾種類もの薬を入れて手渡されていた。最近、調剤薬局ではそれをさらにレジ袋に入れて渡している。レジ袋はほしい人だけ有料で買えばよいのではないか。)

また衣類はどうすべきか?日本の衣料品店では、レジ袋を有料で提供している店をまだあまり見かけないが、H&Mではプラスチック製レジ袋を廃止し、紙袋に切り替え、その紙袋を有料にすることを決めた。日本の衣料品店にも同様の方針を決めてほしいところだがいかがだろう?

イオンやイトーヨーカドーにはぜひ衣料品部門でも有料化に取り組んで欲しい。またシマムラは以前から、レジ袋を持っていくと1円で買い取っている。しかし、1円のために、レジ袋をわざわざ持参する人は少ないから、これを機に有料化してほしいところだ。

やはり衣料品部門のレジ袋も、価格を含め、国が有料化を先導すべきだろう。

ストロー、レジ袋・・と続いた海洋プラスチック汚染対策。リスク緩和のための次のターゲットは何か??

おそらく、ペットボトルでは?そうであることを期待している。

<参考>

日本経済新聞(2018.11.28)「脱レジ袋、コンビニ「改心」」↓

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO38261780X21C18A1EA1000/

日本経済新聞(2018.11.29)「レジ袋有料義務化 九州小売から歓迎と注文 」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38300650Y8A121C1LX0000/

朝日新聞(2018.11.13)「H&Mジャパン、レジ袋を有料化へ 紙製に、脱プラ加速」↓

https://digital.asahi.com/articles/ASLCF41QXLCFULFA00V.html

 

容器包装リサイクル法が、熱回収が必要な理由の1つになっている!?

プラスチック製容器包装には、材料リサイクルしにくいものが多い。

例えば、マヨネーズ容器などは複数の素材が層になっているため、せっかくきれいに洗って回収に出しても熱回収以外に他に利用法がない。

シャンプーなどの詰替用が「エコ商品」として売れている日本ではリサイクルしにくいこの手の軟質系プラスチックが多い。業界が熱回収の必要性を力説する気持ちはよくわかる。

今一度、容器包装リサイクル法の対象品目を見直し、容器包装というカテゴリーにこだわらず、材料リサイクルしやすいもののみを選んで回収したらいかがだろう?そうでなければ、いつまでも熱回収をも加えた「プラスチック有効利用率」が環境指標としてまかり通ってしまう。

毎日新聞の11月16日付け「なるほドリ」も、それを主張したくて選んだテーマではないか?

毎日新聞(2018.11.16)「弁当容器、再利用できる?複数素材使用 分別難しく」

https://mainichi.jp/articles/20181116/ddm/003/070/046000c

プラスチック戦略素案をめぐる攻防、パブコメ募集開始

プラスチック戦略素案が小委員会で承認された。以降、各方面の関係者の感想を見聞きした。中にはある勉強会の場で、「バカか!」と吐き捨てるようにおっしゃった業界団体の方もいた。

公式には10月29日、市民団体(15団体)により「減プラスチック社会提言書」が発表された。11月13日には経団連が「「プラスチック資源循環戦略」策定に関する意見」を発表した。

市民団体の提言書は、黙殺を恐れザッとでも目を通してもらうことを優先(しかもすぐに実現可能であり素案に考慮されることを重要視)したため薄く1枚のみ。経団連のそれは、多少長くても読まれるに違いないことを確信しているから、自信に満ちあふれた11頁にもわたる立派な意見書である。内容も経団連のそれは図表も挿入し、わかりやすい。しかも文の末尾では、宣戦布告することも忘れていない(下記)。

http://www.keidanren.or.jp/policy/2018/098_honbun.pdf

今般、政府が策定する「プラスチック資源循環戦略」は、施策の方向性を示す ものであり、戦略に基づく具体的な制度や施策は今後、審議会等で検討される。 経団連としてもこれらの議論に参画し、持続可能な社会の実現に貢献していく。

経団連は、中西会長が先般表明した「物言う経団連」を取り戻すべく、審議会の場で強硬に素案に反対するつもりのようだ。国際的には「小粒」になったといわれる日本企業だが、国内での経団連の力はまだまだ強力だ。しかし、これまで国が財界を荒波から守りすぎたため、企業の「小粒化」が進んだのではないか、との見方もある。

海外の企業は、プラスチックの大幅削減に邁進している。日本企業も個別には削減に取り組み始めているように見えるが、海外企業に比べ「遅れ」を実感している企業も多い。宣戦布告はそんな「焦り」の裏返しのようにも見える。

環境省の発表した素案の目玉は「使い捨てプラスチックの25%削減」である。ようやく目標とする数値が出て、安堵する思いもあるが、やはり海外の意欲的な目標値に比べ「低すぎる」との感が否めない。

来年日本で開催されるG20で、この数値目標で日本が本当にリーダーシップを取れるのか?笑われるだけでは?と心配になる。しかし、国はおそらくそのあたりはスルーし、プラスチックを熱回収することの意義と効果をアピールすることに専念するのだろう。

<補筆>素案に対するパブコメが開始された。

環境省「プラスチック資源循環戦略(案)に対する意見の募集(パブリックコメント)について」↓

http://www.env.go.jp/press/106186.html

<参考>

●環境省「プラスチック資源循環戦略(素案)」↓

http://www.env.go.jp/water/marirne_litter/conf/c02_14_shiryo03-1.pdf

●市民団体の提言書↓ *デポジット制度にも触れていない簡易なもの。一部誤植も?

環境大臣 原田 義昭 殿

呼びかけ:減プラスチック社会を実現するNGO ネットワーク

国際環境NGO グリーンピース・ジャパン
一般社団法人 JEAN
特定非営利活動法人 パートナーシップオフィス
容器包装の3Rを進める全国ネットワーク
全国川ごみネットワーク
さがみはら環境問題研究会
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWF ジャパン)
特定非営活動法人プラスチックフリージャパン
ダイオキシン環境ホルモン対策国民会議
NPO 法人 菜の花プロジェクトネットワーク
「ごみゼロプラン静岡」市民ネットワーク
奈良エコライフ研究会
エコハウスしずおか
特定非営利活動法人プロジェクト保津川
認定NPO法人環境市民
※ 2018 年10 月26 日時点までの賛同団体として

はじめに
貴省において審議中の「プラスチック資源循環戦略」(以下、同戦略)について、以下のとおり提言します。
同戦略においては、①先のG7シャルルボワ・サミットで提示された「海洋プラスチック憲章」の内容を超えた取り組み(目標設定)、②使い捨てプラスチック使用量の大幅な削減、③プラスチック容器包装廃棄物の資源有効利用率に熱回収分を加算しないことを明記等すべきです。とくに③で指摘した事項は、現行の算定手法を改めないまま2019年のG20において同戦略を日本モデルとして世界に表明した場合、日本への不信感を招きかねない重要事項です。

提言1.2030年までに「減プラスチック社会」への構造転換を図ること

私たちは、同戦略はこれまでの「大量生産、大量消費、大量廃棄」の経済構造から、EUが提唱する「循環経済」型の社会構造に転換することを国として国内外に宣言するものである、と考えます。その将来的なあるべき姿として「減プラスチック社会」を提唱します。減プラスチック社会への構造転換は、SDGsの目標達成と連動して図られるものであり、新たな雇用や産業の育成・創設にもつながります。

(1) 使い捨てプラスチック使用量の削減
2025年までに、少なくともこれまで国外に輸出していた量に相当する150万トン(累積プラスチック排出抑制30%)の使い捨てプラスチックを削減する。そして2030年までに使い捨てプラスチック使用削減50%以上を目指す。

(2) レジ袋の削減
レジ袋の有料義務化後、使用量削減の一つの指標として「レジ袋辞退率」の採用。2020年を目処にレジ袋の有料義務化が図られたのち、2025年までにレジ袋辞退率を90%以上とする目標を設定する。レジ袋の辞退率を向上させる一連の取り組みを通じて、減プラスチック社会の姿を国民各層において共有し、プラスチック資源循環戦略の各目標の達成を図る。

提言2.法的規制(製造、販売、使用に係る措置)等を課すべき事項

(1)日本の川辺や海岸に多いプラスチック廃棄物(タバコのフィルター、食品容器包装、ペットボトル、レジ袋、プラスチックの使い捨て食器)と漁具及び農業系プラスチック廃棄物について消費削減、市場規制、製品デザイン要求等について規制すること

(2) 2020年までに、マイクロビーズの製造、含有製品の販売及び使用を禁止すること

(3) サーキュラーエコノミーに準じた循環型社会形成推進基本法の見直しをはじめとする、減プラスチック社会への構造転換を図るための法整備を行うこと

提言3.プラスチック容器包装廃棄物の熱回収について改善・推進すべき事項

プラスチック容器包装廃棄物の「資源有効利用率」は84%とされているが、これには熱回収57%が包含されています。パリ協定では今世紀後半の実質的な排出ゼロ、つまり化石燃料からの脱却を目指しており、我が国もこれを受けて、2050年までの温室効果ガス排出量80%削減を目指しています。この文脈によりG7海洋プラスチック憲章でも熱回収がCO2排出に繋がるためリサイクルとしては加算されていません。

(1)適切な指標による国民理解の向上のためにも、プラスチック資源循環戦略(素案)に記載ある「有効利用される割合は、我が国では一定の水準に達している」との認識を改め、資源有効利用率には熱回収分を含めないこと

(2)減プラスチック社会及び脱炭素社会の構築に向けた財源としての炭素税等を確保すること

●毎日新聞「NGO プラごみ「熱回収」に懸念 環境省に提言」↓

https://mainichi.jp/articles/20181030/k00/00m/040/120000c

 

 

 

 

豪 クイーンズランド州でデポジット制度スタート

オーストラリアのクイーンズランド州が、11月1日からデポジット制度をスタートさせた。

最初の週末に約150万個の缶やペットボトル、ビール瓶などが回収・リサイクルされたとのこと。

多くの人は容器を現金と交換することを希望し、銀行口座への入金を求める人も多かったとのこと。小売店のバウチャーとの交換を望む人は少なかったようだ。

オーストラリアでまだデポジット制度を導入していない州はあと3州のみである。

<関連記事>

豪クイーンズランド州 11月1日からデポジット制度開始

<出所>

brisbane times(2018.11.4)1.5 million containers collected in first weekend of Queensland recycling scheme;

https://www.brisbanetimes.com.au/national/queensland/1-5-million-containers-collected-in-first-weekend-of-queensland-recycling-scheme-20181104-p50dyc.html