米環境保護局(EPA)が4月10日、新たなPFAS規制を発表した。
アメリカのすべての公共水道システムは、EPAが指定する6種類のPFASの検査を3年以内に行い、その濃度を新たな全米基準値まで5年以内に下げるよう求められるとのこと。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/24/041600213/
6種類とはどのPFASだろうか?とEPAのウェブサイトを調べたところ、以下のように書かれていた。
「PFOAとPFOSは個別の汚染物質として、そして PFHxS、PFNA、GenX Chemicals、およびPFBSはPFAS混合物として」
つまり、PFOA、PFOS、PFHxS、PFNA、GenX Chemicals、PFBSの6種類だ。
GenXについては聞いたことがなかったので調べたところ
「GenXは、世界各地の地表水、地下水、飲料水、雨水、および大気排出物より検出されている。米国環境保護庁(EPA)が2021年10月25日に公開した「ヘキサフルオロプロピレンオキシドダイマー酸およびそのアンモニウム塩に対する人の健康に関する毒性値」という表題の最終報告書では、経口曝露後の動物実験では、肝臓、腎臓、免疫系、発達、がんとの関連などの健康影響が示されている」という。
https://www.envix.co.jp/region/global/global-genx/
このほか、「PFOSとPFOAの基準値を1リットル当たり4ナノ(ナノは10億分の1)グラム」と定め「強制力のない目標値はゼロにした」ことも決まった。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN10EIA0Q4A410C2000000/
日本ではこの2種類(PFOSとPFOA)のPFAS以外の規制は特になく、この2種類の合算で50ナノグラムとするのが現在我が国の水の暫定基準値だ。これ以外のPFASを調べている自治体はごく少数。
アメリカの規制値は日本より大幅に厳しく、他の種類のPFASもターゲットにした。さらに「EPAはPFNA(ピーエフエヌエー)やPFHxS(ピーエフヘクスエス)など他の種類についても1リットル当たり10ナノグラムとするなど規制を設けた」とのこと(東京新聞2024.4.11)。
EPAはこの規制により「PFASにさらされる人が約1億人減り、数千人の死亡を防ぎ、数万人の重篤な病気が減る」としている。
日本では既にPFASのパブコメは終わったが、おそらくこの50ナノグラムは変わりそうにないし、他のPFASについては基準値を設けない可能性が高い。
つまり、日本は今後「PFASにさらされる人が約1億人増え、数千人の死亡を招き、数万人の重篤な病気が増える」ということか。
北海道大学の疫学調査でも、妊娠中の母体のPFASの濃度が高いと、「妊娠中の有機フッ素化合物のばく露が子どもの免疫応答機能を低下させているのではないか、と懸念されます」とのこと。
アメリカのこの新規制が日本の規制値に影響を与えてくれるとよいが、国民の命や健康よりマネーを重視するこの国のこれまでのやり方を見ると、あまり期待が持てないような気がする。