米ミネソタ州とニューヨーク州のPFAS禁止法に、屋外スポーツ用人工芝は含まれているのか?

ミネソタ州のPFAS禁止法(アマラ法)には、スポーツフィールド用の人工芝は含まれているのか?と、ふと疑問に思い、AIに聞いてみた。アメリカ各州のPFAS禁止法では、家庭や商業地で使われる屋内使用の人工芝は禁止の対象であっても、屋外のスポーツフィールドで使われる人工芝は禁止対象ではない場合があるからだ。

AIの答えは以下の通り。

はい、スポーツフィールド用の人工芝は、ミネソタ州のPFAS禁止法、通称「アマラの法」の対象となります。
アマラの法律では、ミネソタ州で意図的に添加されたPFAS(パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質)を含む製品の販売を禁止しています。この法律は段階的に施行され、やむを得ない用途と判断されない限り、意図的に添加されたPFASを含む製品の販売は2032年から完全に禁止される。
具体的には、スポーツフィールド用の人工芝にはPFAS化学物質が含まれており、この法律では必須用途とはみなされていない。ミネソタ州公害防止局は、この法律は「製品に含まれるPFAS」を対象としており、これにはスポーツフィールド用の人工芝も含まれると明言している。
一部の業界は、特定の製品に含まれるPFASの代替物質がないと主張して反発しているが、法律は代替物質が本当に入手できない場合の例外を認めている。しかし、人工芝フィールドには、擁護者たちが強調しているように、有機的に管理された天然芝フィールドという、より安全な代替手段がある。
つまり要約すると、PFASを含むスポーツ用人工芝は、実現可能な代替案がなく、やむを得ない使用であることが証明されない限り、アマラの法律により、2032年からミネソタ州での販売が禁止されるということである。

本当だろうか?出典は以下だが、出典を読んでも本当にサッカー場などで使われている人工芝も規制対象になっているのか、よくわからなかった。

https://www.pca.state.mn.us/air-water-land-climate/2025-pfas-prohibitions

ついでに、今度はニューヨーク州について聞いてみた。

AIの答えは以下の通り。

そう、スポーツフィールド用の人工芝は、2026年末に施行されるPFAS含有人工芝の販売禁止に含まれるのだ。
2023年1月にホーチュル知事が署名したこの法律は、有毒な 「永遠の化学物質 」の一種であるPFAS(パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質)を含む人工芝を含むカーペットの販売を禁止するものです。 これにより、ニューヨーク州では2026年末以降、PFASを含む人工芝スポーツフィールドの新規販売・設置が事実上禁止される。
この検索結果は、人工芝、特に子供たちがプレーするスポーツフィールドにPFASやその他の有害な化学物質が含まれていることへの懸念が高まっていることを浮き彫りにしている。 検査の結果、市場に出回っている人工芝製品の100%からPFASが検出された。 メーカー各社はPFASフリーの人工芝の開発に取り組んでいると主張しているが、専門家たちは、人工芝のような固形素材に含まれるPFASの試験方法が標準化されていないことを考慮し、このような主張には懐疑的である。
PFASは時間とともに体内に蓄積される可能性があり、さまざまな健康問題との関連が指摘されている。ライやワシントンハイツなどニューヨークのいくつかの自治体では、こうした懸念からすでに人工芝グラウンドの新設をめぐる論争に取り組んでいる。

以前、ニューヨーク州のPFAS禁止法を調べた際には屋外のスポーツフィールド用人工芝は対象ではなかったはずだと思い、さらに聞いてみた。

質問「ニューヨーク州のPFAS禁止法には、サッカー場の人工芝も含まれていますか?」

答えは以下の通り。

そう、PFAS(パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質)を含む人工芝の販売を禁止するニューヨーク州の法律には、サッカー場に使用される人工芝も含まれているのだ。キャシー・ホーチュル知事が署名したこの法律は、2026年末からPFASを含むカーペットと人工芝の販売を禁止する。
主なポイント
ニューヨーク州は、人工芝のリサイクルが「グリーンウォッシングの誤り」になりうることを認識し、2026年末からPFASを含む人工芝の販売を禁止した。
この禁止令は、サッカー場やその他のスポーツフィールドに使用されるものを含む、すべての人工芝製品に適用される。
「永遠の化学物質」として知られるPFASは、環境や人体に残留し、ガンや先天性欠損症、発達障害などの長期的な健康リスクをもたらす。
ある予備調査では、人工芝グラウンドでプレーしたサッカー選手とコーチの皮膚に、天然芝と比較してPFASの濃度が上昇していることが判明した。
芝業界はPFASの濃度が低いと主張しているが、科学者たちは、安全性に関するエビデンスが不足していることや、吸入、摂取、皮膚接触といった潜在的な暴露経路を考慮し、予防的なアプローチを推奨している。
まとめると、ニューヨーク州ではPFASを含む人工芝製品の全面的な禁止が予定されているが、これにはサッカー場やその他のスポーツフィールドに使用される人工芝も含まれる。

AIが出典として明記した記事の1つは以下。国立健康研究センターの会長が、議員など関係者にあてた手紙(2023.10.18)だ。これを読んでも、AIの回答が正しいかは判断できなかったが、とてもよい内容だった。

手紙のポイントは以下の通り。

・アメリカ小児科学会は、ゴムチップの鉛のレベルは安全ではなく、鉛のほこりは子供の手や衣服につくので、安全ではないと警告。遊ぶときに口や肺に吸い込む。

・人工芝の営業マンは、それが水を節約すると言うかもしれないが、ディーツスタジアムのような人工フィールドのメンテナンス契約を見ると、危険なほど硬くなるのを防ぎ、その保証を維持するために定期的に水をやる必要があることがわかる。

・タイヤで作られたゴムチップには、肥満を増加させる可能性のある化学物質を含む。早期思春期に寄与し、ADHDなどを引き起こし、喘息を悪化させ、最終的に癌を引き起こす。プラスチック製人工芝自体にも、危険なレベルの鉛、PFAS、その他の有毒化学物質が含まれる。

・人工芝からのPFASは地下水や小川などに入り、そこから飲料水に入ることができる。

・トランプ政権下のEPAは、人工芝の化学物質のレベルが子供に有害であるという決定的な証拠はないと述べたが、彼らの研究は仮定にもとづいており、人工芝にさらされた子供たちの研究を実施またはレビューしていない。

・鉛は低レベルでも認知障害を引き起こす可能性がある。一部の子供たちは他の人よりも脆弱であり、それは予測が困難または不可能でさえある。鉛はリサイクルされたSBR製の合成ゴムから発見されている。

イェール大学の研究者による2018年の報告書は、6つの異なる人工芝会社のサンプルから92の化学物質を検出した。このうち20%は発がん性物質に分類され、40%は喘息やその他の呼吸障害を引き起こす可能性のあり、または皮膚や目を刺激する可能性のある刺激物だった。

・ゴムやプラスチックに含まれる内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)が、深刻な健康問題を引き起こすことを示す多くの研究がある。国立環境衛生科学研究所(NIHの一部)の科学者は、他のほとんどの化学物質とは異なり、ホルモンを乱す化学物質は非常に低いレベルで危険であり、私たちの環境の他の暴露と組み合わせると、暴露も危険である可能性があると結論。

・イェール大学およびカリフォルニア州環境衛生ハザード評価局(OEHHA)で行われた研究によると、ゴムチップ舗装や人工芝で使用される古タイヤから作られたゴムチップ(SBR)は環境ホルモン作用がある。EPDMのような合成ゴム製の遊び場の表面(ゴムチップ舗装)も、非常に類似した材料であるため、古タイヤ製ゴムチップと同じく多くの危険な化学物質が含まれている。

・人工芝はケガをしやすい。アーロン・ロジャースがアキレス腱を負傷し、シーズンの残りを休むと発表したとき、NFL選手協会は再び人工芝フィールドの禁止を要求した。

毎年約3トンのゴムチップが、各人工芝グラウンドからより環境中に移行する。約2〜5トンのゴムチップを、毎年各フィールドに補充する必要がある。

・人工芝から継続的にマイクロプラスチックが流出している。このマイクロプラスチックには、海洋生物や水生生物に有毒である可能性のあるPAH、難燃剤、紫外線吸収剤などの添加剤が含まれている可能性がある。マイクロプラスチックは、海洋、食物連鎖、飲料水に移動することが知られており、さらに環境中から他の毒素を吸着する。

・人工芝はヒートアイランドをもたらす。対照的に、有機的に管理された天然芝は、熱を放散し、空気を冷却し、近隣の建物を冷やすエネルギーを削減することで、エネルギーを節約する。天然芝と土壌は、地下水の水質を保護し、汚染化学物質や細菌を生分解し、地表水の流出を抑え、騒音を軽減し、まぶしさを軽減する。

・結論:販売前に必要な安全テストは、人工芝製品が定期的に遊ぶ子供たちにとって安全であることを証明することはない。多くの場合、使用される材料は公開されていないため、独立した研究の実施は困難。これらの製品のいずれも、天然芝ほど安全であることが証明されていない。

・全国の自治体職員は、人工芝販売員から人工芝が安全だと誤って伝えられている。しかし、これらの材料が有害であるという明確な科学的証拠がある。私たちの子供たちは、もっと良いものを手に入れる価値がある。

以上の通り、下記のサイトに人工芝の有害性が書かれていたので、一部転載した。

結局、ミネソタ州やニューヨーク州でサッカー場など屋外のグラウンドで使用される人工芝の敷設が、本当に禁止になるかどうかはわからなかったが、PFASを意図的に含んだ人工芝は使われなくなる可能性が高い。

しかし、意図的でないPFASが含まれている人工芝は、少なくともこの2州ではまだ規制対象外のようだ。人工芝はPFAS以外でも有害だから、PFAS禁止法とは別に「人工芝規制法」が必要だ。

<関連記事>

山梨、産廃の最終処分場からPFAS。全国の処分場からの検出が今後相次ぐ可能性

山梨県北杜市の産業廃棄物の最終処分場内からPFASが見つかった。

https://news.goo.ne.jp/article/abematimes/nation/abematimes-10129489.html

山梨県が5月に産業廃棄物の最終処分場である「明野処分場」の敷地内6カ所で採水調査した。その結果、PFOSとPFOAが検出されたという。

「処分場の廃棄物層を通過した雨水を集めた処理前の水には、この指針値は適用されませんが、今回、指針値の約6倍以上の320ナノグラム」とのこと。

処分場のPFASの川への影響を調べるため、県は6日、処分場に近い湯沢川の2地点で水質調査が行った。結果は、約1カ月後に出るようだ。

以前から、最終処分場の浸出水のPFAS汚染が研究による確認されていた。

たとえば、

https://www.jstage.jst.go.jp/article/mcwmr/32/1/32_33/_pdf

もちろん、一般廃棄物の最終処分場も例外ではない。

この千葉県環境研修センターの研究によると、一般廃棄物の最終処分場の浸出水から1リットルあたり1,000ナノグラムを越えるPFASが多数検出されている↓

クリックして12_shimizu.pdfにアクセス

今回判明した山梨県の処分場の数値は、一部のPFASしか測っていないせいか、想像していたよりもかなり低い。これまで処分場近くで測定していなかった自治体も、これからは測定する可能性がある。もっと高い数値のPFASが、今後各地の一般廃棄物などの処分場で検出されることが予想される。

米ロードアイランド州、人工芝などPFAS含有製品の禁止法が上院を通過 下院でまもなく投票

ecoRi news(2024.6.8)によると、アメリカのロードアイランド州で5月5日、消費者PFAS禁止法が可決された。6月中旬には下院で可決される可能性がある。

もし可決された場合、PFAS禁止法は2027年に発効し、製造プロセスの一部として意図的にPFASが添加され、かつ法律に記載されている製品にのみ適用されることになる。法律に記載されている製品は、カーペット、化粧品、調理器具、月経製品、テキスタイル、ファブリックトリートメント※、スキーワックス。さらに、2029年からは、人工芝と屋外用アパレルにも禁止が拡大される。また、来年から、泡消火剤にも制限が追加されるそうだ

フィルムやデジタルカメラ機器、子ども用電子機器関連製品であり、集積回路、半導体チップなどは法律に含まれなかった。

下院での投票は6月11日(火)の予定だという。

※布地を柔らかくしたり、防水や撥水処理することなどを指すようだ。

出所

ecoRi news(2024.6.8)「House Passes Slimmed-Down PFAS Ban」

米マサチューセッツ州やカリフォルニア州で人工芝設置を禁止する自治体が増えている

アメリカではPFASのために人工芝を禁止する自治体が増えつつあるが、マサチューセッツ州のオークブラフでも禁止が決まったようだ。

理由は「化学物質が島の主要な帯水層を汚染する可能性がある」ため。

https://vineyardgazette.com/news/2024/04/23/oak-bluffs-board-health-bans-turf-fields

ボストン市を皮切りに、マサチューセッツ州では人工芝を禁止する自治体が増えているようだ。

同州のシャロンでも人工芝が禁止されているが、PFASだけでなく、マイクロプラスチックやゴムチップの有害性も禁止理由にあげられている。

https://ecode360.com/37379890

また、同州のコンコードは、ゴムチップに含まれる化学物質を理由にモラトリアムが2016年から継続しているようだ。同州ウェイランドもモラトリアム(一時停止)を決めている。

https://www.wgbh.org/news/local/2022-05-10/more-games-or-more-grass-fields-turf-wars-play-out-across-massachusetts

カリフォルニア州ではミルブレーで人工芝が禁止されている。個人住宅の庭に敷くのもNGらしい。

https://www.ci.millbrae.ca.us/276/Prohibition-of-Artificial-Turf

同州のサンマリノはモラトリアムを決めているそう。

https://abc7.com/fake-grass-artificial-turf-california-environmental-concerns/13942121/

カリフォルニア州が自治体の人工芝禁止を認めてから、禁止する自治体が増えている。

また、ニュージャージー州のケープ・メイ市でも公共施設と私有地の両方の人工芝が禁止になったようだ。

ワシントン州エドモンズは、ゴムチップを充填する人工芝の設置に30ヶ月のモラトリアムを課した。

メリーランド州では人工芝の処分を受け入れていないので、処分したい場合はバージニア州など近隣の州で処分する必要がある。

unsustainable「Artificial Turf: Impacts on Environment and Human Health」2024.2.28

そういえば、ニューヨーク州では2023年に人工芝のモラトリアム法案が提案されたが、その後どうなったのだろうか。

日本ではなかなか人工芝を禁止しないだろうから、早晩日本の庭や公園は人工芝だらけになりそうだ。

犬とヒトの精巣からマイクロプラ。塩ビやPETは生殖能力に影響か

以前から人間の精巣にマイクロプラスチックがあることは知られていたが、今年5月に発表された米ニューメキシコ大学の論文によると、生殖能力にも影響を及ぼしている可能性がある。

https://academic.oup.com/toxsci/advance-article-abstract/doi/10.1093/toxsci/kfae060/7673133?redirectedFrom=fulltext

これまではフタル酸エステルやビスフェノール類などの環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)作用のある化学物質が、少子化に大きく影響するといわれていたが、マイクロプラスチックも影響している可能性が高いようだ。

米ニューメキシコ州で死亡した23人の男性と、去勢手術を受けた47頭の犬の精巣で調べたところ、精巣1グラムあたりのマイクロプラスチックの平均濃度は、体組織1gあたり329.44マイクログラム。また、犬の精巣のマイクロプラスチックのそれは、1グラムあたり122.63マイクログラムだったとのこと。

12種類のマイクロプラスチックが見つかり、最多はPE(ポリエチレン)だ。

また、犬の精子の数とマイクロプラスチックの比較では、PEは相関関係は認められなかったが、PVC(塩ビ)とPET(ポリエチレンテレフタレート)は認められた。PVCとPETは精子の形成を妨げるようだ。PVCの濃度が高いと精子の数が少ない傾向があった。

精巣内に蓄積されたマイクロプラスチック、とりわけPVCとPETは、少子化に影響しているようだ。

精巣から検出されたマイクロプラスチックの発生源は多数考えられるが、一番可能性が高いのは、PVCは壁のビニールクロスやクッションフロア(塩ビ製床材)、PETはペットボトルだろうか?

米ニュージャージー州でデポジット制度を検討

アメリカでは現在、10の州で飲料容器のデポジット制度がおこなわれているが、ニュージャージー州が11番目の州になるかもしれない。

同州の州議会議員がデポジット法案を提出したようだ。

https://www.nj.com/mercer/2024/05/nj-may-want-to-give-you-a-refund-for-returning-bottles-and-cans.html?eType=EmailBlastContent&eId=fc74e2cf-24e5-40f8-8cd9-27bcf7fc8cfa

法案によると、対象容器の材質はプラスチック、ガラス、紙、段ボール、金属(またはそれらの材料の組み合わせ)などの材料で、これらから作られたボトルや缶、カートンポーチなど。

サイズは1ガロン以下だが、飲料カップには適用されない。

デポジット制度に従わない企業は、100ドルから1,000ドルの罰金を科せられる可能性があるそうだ。

しかし、アメリカでは毎年どこかの州でデポジット制度が提案され、飲料業界などにより潰されている。実現までの道のりは遠そうだ。

瀬戸内海4県から年間60トンのプラごみが回収できず海へ どんな意見交換をしたの?

瀬戸内海に面する岡山・広島・香川・愛媛の4つの県から出た海洋プラスチックごみのうち、回収できなかったごみが年間約60トンあったそうだ。

日本財団が4県と取り組んでいる海洋プラスチックごみ対策のプロジェクトで、2020年11月から2021年4月にかけて、4県にある河川の全長およそ1200キロでごみの調査を行った。

その結果、年間388トンのプラごみが海洋に流れ出していると試算された。

しかし、これまでに公的機関やプロジェクトなどが回収したプラごみは年間322トン。従って、約60トンのプラごみが回収できなかったと考えられるという。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/okayama/20240515/4020020278.html

大雑把とはいえ、約60トンという数字が把握できたのはよかったと思うが、このニュースに違和感を覚える。

日本財団のプロジェクトの一環で、県内の中・高校生およそ80人が岡山市に集まり、これについて話し合われたようだが、このNHKニュースを見る限り、その結論は「みんなでごみ拾いに取り組もう」ということだったようだ。

もちろん清掃活動は重要だ。しかし、高校生が話し合ったならば、ごみの出ない法整備、たとえば「散乱しやすい使い捨てプラスチックを禁止しよう」とか「飲料容器はデポジット制度で回収しよう」、あるいは「マイボトル・マイカップ・マイ弁当容器を利用できるよう店に働きかけよう」などのような根本的な内容にまで踏み込んでほしいものだ。

落ちていたプラごみにどのようなものが多いかは、把握できたのだろうか?

米企業、本体から落ちないPET製のペットボトルキャップを開発 キャップと本体を同じ材質に

米カリフォルニアのウェストサクラメントに本拠を置くOrigin Materials Inc.は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のテザードキャップを開発した。

まもなくEUでは、EUシングルユースプラスチック指令により、開栓時にキャップが本体からはずれてしまうタイプのペットボトルの販売を禁止する。

ペットボトルキャップの散乱は世界中に多いことから、この指令は欧州に留まらず、世界中に影響すると考えられる。

しかし、ペットボトルのキャップは通常ポリエチレンやポリプロピレン製だ。リサイクル時に比重などによりPETと分離できるとはいえ、そのまま出されることを懸念するリサイクル事業者の声もある。

キャップもPET製であるほうが、リサイクル事業者にとってはリサイクルしやすいし、ペットボトル利用者にとってもよいことだろう。日本のようにしつこく、キャップをはずしてから回収に出せと、まるでキャップの散乱を助長するかのような「指導」をする国は多くないと思われるが、それでも材質の異なるものを一緒に回収に出すのは気が引けるという人は多い。

この度、オーランドで開かれたカンファレンスで発表されたキャップは、従来のキャップに比べ「優れた性能を提供し、製品の貯蔵寿命を延ばし、軽量化を可能」にするという。

しかも、100%PET製で、バージンPETであろうとリサイクルPETであろうとバイオマスPETであろうと、どんなPETからも製造できるとのこと。その上、キャップを開閉しても本体から落ちないタイプだ。

日本で販売されているペットボトルのうち、キャップが落ちないタイプのものはまだ少ない。しかし、国内でもペットボトルキャップの散乱は多い。PET製キャップがあるならば、キャップが落ちないタイプのペットボトルを売らない理由はもうないはずだ。

<出典>

https://www.recyclingtoday.com/news/origin-materials-introduces-tethered-pet-beverage-cap/?utm_campaign=Plastics+Recycling+Report&utm_source=05%2f09%2f2024+-+Unilever+updates+plastic+goals+%7c+Plastics+Industry+Association+announces+award+winners&utm_medium=email&utm_term=https%3a%2f%2fwww.recyclingtoday.com%2fNews%2forigin-materials-introduces-tethered-pet-beverage-cap&utm_content=547419&isid=3633CF&eType=EmailBlastContent&eId=7d931343-fc61-44ea-b0a3-12099d53ba7f

サッカーでPFOSが人工芝から選手の皮膚へ 人工芝によるPFAS曝露実験

アメリカでは調べたすべての人工芝からPFASが検出されている。人工芝のPFASは、サッカーをする選手たちに移るのだろうか?

その疑問を解決するため、非営利団体PEER(Public Employees for Environmental Responsibility:環境に責任をもつ公務員?)が小さな実験を行った。

南カリフォルニアの3人のサッカー選手と1人のサッカーコーチが、人工芝と天然芝の上でサッカーの試合をし、試合前後の皮膚を綿棒でこすり、PFOS(最も危険なPFASの1つ)を調べたのだ。

その結果、4人中3人でPFOS濃度が上昇した。うち1人は2倍以上になった。

一方、天然芝の上でプレーした場合では、4人中3人のPFOSレベルが低下した。

PFOSはパッケージから取り出した新しいサッカーボールにも付いていたという。

この研究ではPFOSしか調べなかったが、今後もっと対象を拡大して調べる必要がある。

PEERのカイラ・ベネット氏は「まだこんなものを使おうとしている人たちがいるなんて、あきれるばかり」と、プラスチック製の化石燃料製品を何エーカーも敷き詰めることを批判している。

フィラデルフィア・フィリーズに所属していた元野球選手の中には、チームメイトを死に至らしめた希少な脳腫瘍の背景に、人工芝の存在があるのではないかと疑っている者もいる。また、ナショナル・フットボール・リーグの選手組合は、すべての人工芝フィールドを芝生に置き換えるよう求めている(英紙ガーディアン2024.3.15)。

https://www.theguardian.com/environment/2024/mar/15/athletes-higher-pfas-levels-artificial-turf

実験結果↓

国際プラ条約会議閉幕。話まとまらず釜山の前に追加の話し合いか

第4回国際プラスチック条約会議(INC-4)が昨日、カナダ・オタワで閉幕した。

プラスチック汚染をなくすために最も効果が高いプラスチック生産制限は、やはり話がまとまらなかった。中東の産油国や中国が反対したためだ。

最後のプラスチック条約会議となるINC-5は、今年11月25日から韓国・釜山で開催されるが、それに先立ち8月末頃タイ・バンコクで追加協議になるという。

バージンプラスチックの生産制限を強く主張したフィリピンなどの提案に多くの国が賛同した。フィリピンはプラスチック汚染で最も苦しんでいる国の1つだ。

プラスチックで儲ける国と、プラスチック汚染に苦しむ国の間で、落としどころは見つかるのだろうか。

プラスチックで儲けようとする国や企業は、プラスチック汚染や気候変動で苦しむ国々のことはもちろん、自分の子や孫たちが苦しむことさえ気にしないようだ。

SDGsのゴール「誰1人取り残さない」はやはり難しいと、現地に参加していたNGOらの話を聞いてつくづく思う。