アラブ首長国連邦でも使い捨てプラ禁止に

産油国でも使い捨てプラスチックを禁止する。

アラブ首長国連邦は、2026年までに使い捨てプラスチック製品の国内での使用や流通を段階的に禁止するとのこと。

まず2024年1月1日から使い捨てレジ袋の使用が禁止される。製造も輸入も流通も原則禁止だ。

2026年1月1日からは、「カップ、ふた、ナイフ、フォーク、スプーン、皿、発泡スチロール製を含む食品容器など、使い捨てのプラスチック製品の使用が全面的に禁止」するとのこと。

<出所>

JETROビジネス短信(2024.2.10)

https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/02/f108123bd20d2dac.html

張り替えられた人工芝はどうなるの?欧州の人工芝の末路(補筆)

欧州には人工芝の墓場とも呼ぶべき人工芝専門の「リサイクル」施設があるらしい。

オランダ公共放送の動画を見て愕然とした。

オランダの自治体では、リサイクル費用として人工芝のピッチ1面につき1~2万ユーロを廃棄物業者に払っているそうだ。リサイクルされていると思われるが、実際はそうではないようだ。

オランダでは5月下旬のサッカーシーズンが終わると、毎年、張り替えが必要な200枚以上の人工芝マットが撤去される。

しかし、人工芝はプラスチックだけでなく、砂とゴムも付いていて、それらは重金属で汚染されているとのこと。

撤去された人工芝マットはどこへ行くのか、と番組制作者は車でそれらを積んだトラックを追いかけた。着いたところがTUFリサイクリングという人工芝専門の産廃施設。その施設の中には膨大な量の人工芝マットと砂、ゴムチップが積まれていた。特にロール状のマットの量がすごい。

その後、あちこち取材を重ね、情報公開請求もおこなって、下記のドキュメンタリー番組を作った。

オランダにはこの手の会社が2社あるが、2社とも違法な量のマットを保管しているそうだ。しかし、これらを知っても当局は「社会的に重要な仕事だから」と手を出さない。ヘタに手を出して、サッカー場の芝の張り替えができなくなったら困るのだろうか。

引き取った人工芝は、敷地内にロール状のまま積み上げているものも多いが、スリナムやキュラソー、ガーナなどへ「製品」としても送られている。それらは、ソーラーパネルなどの下に防草シート代わりに敷かれるようだ。

オランダ公共放送の番組↓

日本ではおそらく大半を燃やしているのではないかと思うが、どうなのだろうか?

仮に防草シートとして使われたとしても、もしくはロール状のまま放置されたとしても、芝の破片がマイクロプラスチックとして飛散するのは避けられない。燃やす方がマシか、とも思うが、そんな単純な話でないことは、この放送を見ても想像できる。

燃やすには切断が必要だから、切断するためには芝から砂やゴムチップを除去しなければならない。その際にどれほど多くの人工芝が破片(マイクロプラスチック)になるか・・と考えただけでゾッとする。それら破片が全て回収されるとは思えない。従業員の健康も気になる。

下の動画も人工芝がテーマだ。人工芝のフィールドからどれほど多くの芝が剥がれ落ち、マイクロプラスチックになるかも、この映像でよくわかる。グラウンド横の側溝や道ばたに溜まっている大量の人工芝が不気味だ。

欧州でさえ、人工芝をまともにリサイクルできないならば、どのように処理するのがよいのだろうか?日本の人工芝はどう処理されているのか?

人工芝はマイクロプラスチックとして海洋を汚染するのは間違いない。以前のピリカの調査でも人工芝は一番多いマイクロプラスチックだった。

さらに、風による摩擦で目に見えないほど小さく微細化し、大気中に漂うマイクロプラスチックにもなるようだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/da75f00ab15498b4358395e394adb023b502046f

こんなに問題の多い製品は極力使わないに超したことはないが、日本では人工芝に張り替える公園が増えているようだ。

相模原市内でも数年前、横山公園の運動公園が人工芝に変わった。「季節を感じる運動公園。平成29年4月から人工芝グラウンドがオープン!」とある。

https://iko-yo.net/facilities/92932

人工芝グラウンドで季節が感じられる気はしない・・悪い冗談に聞こえる。

また、相模原駅近くにも2021年4月に「相模原スポーツ・レクリエーションパーク」がオープンした。フットボールもできる人工芝グラウンドがウリだ。

東京都でも、学校のグラウンドの芝生化を進めていて、天然芝ではなく、人工芝を採用している学校もあるようだ。

人工芝を利用するプレーヤーはケガをしやすいとか、熱中症になりやすい、など人工芝には多くの欠点がある。さらに、芝の破片はマイクロプラスチックとして海洋のみならず、大気も汚染する。

しかも、必ず数年で張り替えが必要だから、コスト的には天然芝より高くなると聞く。

欠点だらけだけれど、メンテナンスがラクなどのメリットもあるだろう。利用者にとって便利なことは間違いない。しかし、人工芝による環境汚染を考えると、人間は人工芝とは共存できないような気がしてくる。

それにしても、脱プラが必要な今、なぜ人工芝が増えているのだろうか?それほど必要とは思えないところにまで、最近は使われている。

これまでは人工芝の悪影響について、知識としては知っていたが、本当にはわかっていなかったことが、この動画2本を見てよくわかった。

スリランカも使い捨てプラ禁止、ゾウの死亡相次ぎ

使い捨てカトラリー(フォークやスプーン)など、使い捨てプラスチックを禁止する国が増えている。

スリランカでも今年6月から禁止されたそうだ。

理由はゾウやシカが野外のゴミ捨て場に捨てられたプラスチックを食べ、死亡する事例が相次いだためとのこと。

禁止されるのは、「プラスチック製のカトラリーとカクテルシェーカー、造花などの製造・販売が対象」とのこと。

既にカトラリーや食品パッケージ、おもちゃの輸入は、2021年から禁止されていたというが、国内でのプラスチック製品の製造・販売は規制されていなかった。

これからはカトラリーや造花が、スリランカ国内で使われることはなさそうだ。

<出所>

「スリランカ、使い捨てプラ使用・製造禁止へ ゾウ保護で」(2023.2.16)

https://news.yahoo.co.jp/articles/c0f60390a39c5101a46a9e796f175e2c331d522c

小杉食品の「ちょっとうれしいプレゼント」、納豆詰め合わせが届いた!

発泡ポリスチレン(発泡スチロール)入りの納豆がイヤで、以前から小杉食品の経木入り納豆を食べていた。

1年ほど前に、ふとマークが印刷されていることに気づいた。何のマークかと読んでみると、マークを集めて送るとプレゼントをくれるとのこと。

20枚送った場合は抽選になるそうだが、200枚ならばもれなくプレゼント、とのことなので、早速200枚集めて送ったところ、納豆の詰め合わせが届いた!

中身はほぼこの↓納豆ギフトセットと同じ内容。

https://www.miyakonattou.com

ただし、この写真にある「ドライ納豆あおさのり」は入っていない。代わりに「おちびさん」納豆が入っていた。それ以外はほぼ同じで、いろいろな種類の納豆が楽しめる。

普段買うのは経木入りの「都納豆」(北海道産大豆)だけれど、たまには他の味も食べたいので、またせっせと集めようと思う。

マークが付いた納豆は、都納豆とおちびさんシリーズの納豆だけのようだ。

「ちょっとうれしいプレゼント」↓

https://www.miyakonattou.com/ochibisan.php

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ニューヨーク市、使い捨てプラを制限

ニューヨーク市のエリック・アダムス市長は、「スキップ・ザ・スタッフ」法案に署名した。

この法案は、顧客の要求がない限りテイクアウトやデリバリーサービスの際、特定の使い捨て製品や容器を付けることを禁止するもの。

これにより、2024年7月1日以降、使い捨てのプラスチック製カトラリーや調味料の小袋、余分な食品容器などを顧客が要求しない限りサービスすることは禁じられるようだ。

<出所>

https://www.wastedive.com/news/new-york-city-skip-the-stuff-bill-plastic-foodware/640844/

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下水汚泥の肥料は、PFASなどの有害化学物質やマイクロプラの検査が必要

ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、肥料が高騰。そのため、下水汚泥から作った肥料に注目が集まっている。

農水省では昨年から「下水汚泥資源の肥料利用の拡大に向けた官民検討会」を開催。目標は

「2030年までに堆肥・下水汚泥資源の使用量を倍増し、肥料の使用量(リンベース)に占める国内資源の利用 割合を40%へ」とのことだ。

下水汚泥には肥料分がたっぷり含まれているが、化学物質や重金属、それにマイクロプラスチックも当然たっぷり含まれている。下水汚泥から既にPFASが検出されているし、調べれば他の化学物質もいろいろ検出されるはず。重金属については誰もが知る既成事実だ。

当然マイクロプラスチックも含まれているので、下水汚泥のリサイクルが進んでいる欧州では、畑がマイクロプラスチックの発生源になっているという報告がある。

大気中のマイクロプラスチックの発生源になるというのも困るが、野菜が水と一緒にマイクロプラスチックを可食部分まで吸い上げているという研究報告もある。

日本は下水汚泥の堆肥化や肥料化はあまり進んでいないので、安心していたが、これから進めるならば厳しい基準を設けてほしい。

汚泥中に含まれるリンだけを抽出し、肥料にするのはよいが、汚泥全体を適当に処理して使用するのはやめてほしい。

神戸市の汚泥肥料は、「下水処理場の配管に詰まる結晶化したリンを活用」したものとのこと(朝日新聞.2022.8.28)。結晶化したリンだけ取り出しているならばよいが、やはり検査してほしい。

<参考>

農林水産省ウェブサイト

https://www.maff.go.jp/j/shokusan/biomass/221018_1.html

朝日新聞(2022.8.28)「下水処理場でつくる神戸のリン、肥料高騰で商機?」

https://www.asahi.com/articles/ASQ8W6WMPQ8RPIHB026.html

ニューヨーク市も使い捨てプラを禁止?(補筆)

ニューヨーク市は、2030年までに埋立地へ埋めるごみをゼロにするという目標を持っている。

そのため、レストランや配達サービスで利用される使い捨てカトラリーや容器、調味料の小袋は、顧客の望んだときにのみ提供するようしようと、法案を検討しているとのこと。

https://www.ny1.com/nyc/all-boroughs/politics/2022/12/12/city-council-wants-to-reduce-plastic-utensils-in-new-yorkers–takeout

昨年暮れのニュースなので、その後ニューヨーク市の法案がどうなったかはわからないが、世界はカトラリーなど使い捨てプラ禁止で動いている。

欧州の多くの国で既に禁止され、韓国やインドはもちろん、南米でもいくつかの国が禁止した。

<補筆2023.2.6>

ニューヨーク市議会が使い捨てプラを制限する法案を可決、市長も署名したとのこと。これにより、顧客からの要求がないにもかかわらず自動的にカトラリーなどをサービスとして付けることは禁じられることになった。詳しくは↓

コカコーラのジュースもPFAS汚染、原因は?

水道水のPFAS(有機フッ素化合物)汚染が問題になっている。検査した多摩地域の住民の85%の人の血中濃度がアメリカの基準を超えていたという。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/228317

アメリカでは、コカコーラ社のジュースからも検出され、集団訴訟になっているそうだ。

原因は不明のようだが、もしかするとジュースの原料の汚染も疑われる。果汁100%ということならば、水で薄められているわけではないので、工場内の水が汚染源ではなさそうだ。

ということは、農地の地下水が汚染されていたか、灌漑農業だとしたら使用された水が汚染されていたか、はたまた農薬や肥料由来か・・。

もう1つ可能性として考えられるのは、ビニールハウスによる農地の汚染だ。

『よくわかるプラスチックの仕組みとはたらき』(桑嶋幹、他)によると、ビニールハウスにはPET系とフッ素系のフィルムが使用されており、PET系は紫外線を通さないけれど、フッ素系ならば通すので、ナスなどの栽培にも使えるとのこと(2022年、p.183)。

また、フッ素系フィルムは汚れもつきにくく、熱や寒さに強い上、材質の強度も十分。だが、フッ素系フィルムは焼却時に有害なフッ素ガスを発生させるため、廃棄処理の問題があるという。

もしかすると、農地がフィルム由来のフッ素樹脂で汚染されていて、それが農作物に入り込んだのではなかろうか?

以前はビニールハウスといえばPVCが一般的だった。PVCはフタル酸エステルが問題だったが、いつの間にかフッ素系フィルムに代わり、今度は別の問題が起きたのでは?と想像している。

便利な社会は、落とし穴だらけだ。

やっぱり怖いフタル酸エステル、子宮筋腫にも影響

フタル酸エステル類についての新しい研究報告が出ている。ナショジオでも詳細に紹介されていた。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/011700025/

フタル酸エステルは子宮筋腫を大きくしてしまうそうだ。フタル酸エステルの代謝物に子宮筋腫の細胞をさらすと、細胞の成長が促進され、より長く生き延びたとのこと。

子宮筋腫は大きくなると、子宮を摘出しなければならなくなることもあり、女性にとって軽視できない病気だ。

厚労省は室内大気の濃度指針値をもうけているそうだが、住宅引き渡しの際に住宅メーカーや不動産屋さんは測ってくれるだろうか?

https://www.pref.aichi.jp/eiseiken/4f/phthalates.html

フタル酸エステル類は、プラスチック製品や化粧品、建材などさまざまなものに使われているので、日本で暮らしていたら曝露は避けようがない。

資生堂は一応、製品には使わないといっているが・・。

https://our-products-policy.shiseido.com/jp/ingredients/phthalates

先日テレビ番組で、室内温度を保ちヒートショックを予防するため、シャワーカーテンを通常のカーテンの内側にかけるという案を披露していた。

しかし、多くのシャワーカーテンにはフタル酸エステル類が使われている。塩ビの壁紙やクッションフロアーから揮発するフタル酸エステルに加え、カーテンからまで揮発したら・・考えただけでゾッとする。

しかもシャワーカーテンには、防かび剤や撥水処理のための薬剤も使われている可能性がある。そんなものを長時間すごす部屋で使うとしたら、よほど製品を吟味しなければならない。

日本の規制は緩すぎるので、すべての製品に対しフタル酸エステル類の使用を禁止してほしい。せめてEU並の規制ができないものだろうか。

<研究論文>

https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2208886119

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英政府、デポジット制度の概要を発表 2025年から開始

イギリス(イングランド、ウェールズ、北アイルランド)で2025年10月1日から飲料容器のデポジット制度が開始される予定だ。

英国政府が、デポジット制度についての意見公募の政府回答を発表した。

回答者の83%が新しいシステムに賛成しているという。

デポジットの対象は、プラスチックと缶(スチール、アルミ)から作られた使い捨て飲料容器だ。2024年夏までにシステムを運用する機関を決める。

デポジット制度により、導入3年後には廃棄される飲料容器ごみが85%減になるのを目指す。

ガラスびんはイングランドと北アイルランドではデポジット制度 によって回収されず、ガラスのリサイクルに関連して生産者に目標を課す拡大生産者責任の対象となるとのこと。

しかし、ウェールズではガラスびんも対象になるようだ。

https://www.daera-ni.gov.uk/news/deposit-return-scheme-drinks-containers-progresses

以前の発表によると、スコットランドは今年8月16日から開始される。対象は、ペットボトルとアルミ缶、スチール缶、ガラスびんで、デポジット額は20ペンスだ。

<英国政府ウェブサイト>

https://www.gov.uk/government/news/deposit-return-scheme-for-drinks-containers-moves-a-step-closer

https://www.gov.uk/government/consultations/introduction-of-a-deposit-return-scheme-in-england-wales-and-northern-ireland

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