共立女子大研究:縦型洗濯機の糸クズネット、3ミリ以上のマイクロファイバーは7割取れるが、もっと小さいファイバーは取れない

合成繊維の衣類は、着ている時もマイクロプラスチックファイバーを発生させるが、洗濯の際にも大量のファイバーを発生させる。

縦型洗濯機とドラム式洗濯機、どちらの方がより多くのマイクロプラスチックファイバーを発生させるか。これについては諸説あったが、共立女子大学の研究によると、縦型洗濯機の方が流出量は少ないようだ。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/senshoshi/64/3/64_197/_pdf

洗濯機に付いている糸クズネットは、大きなマイクロプラスチックファイバーは取れても、小さなものはほとんど取れない。特にドラム式洗濯機のファイバー流出量が多いということは以前、京大の研究チームも学会で発表していた。

今年発表された共立女子大学の研究でも、細かいことは異なるが、結論は同じだ。

「縦型洗濯機ではドラム式洗濯機に比べてより多くのファイバーが生地や衣料から発生していた. 縦型洗濯機付属の糸くずフィル ターは,長さが 3mm以上のファイバーの 7 割程度を回収できたが,長さが 3mm未満のファイバーは ほとんど回収できずに,排出されていた. また,ドラム式洗濯機による洗濯で発生するファイバーの量は縦型に比べて少なかったが,そのフィルターは空隙が大きなためにほとんどファイバーを回収できなかった」とのこと。

要するに、縦型洗濯機の場合、3㎜以上のファイバーならば糸クズネットで約7割回収できるが、それより小さいファイバーは回収できない。ドラム式洗濯機は、発生量こそ少ないがフィルターの隙間が大きいためファイバー捕捉に役立たない。そのため、結果的に洗濯排水と一緒に流れてしまうマイクロプラスチック量は、縦型洗濯機の方が少ないということだ。

マイクロプラスチックファイバー発生量はドラム式洗濯機の方が少ないということは、よくいえば衣類への負担が少ないということだが、悪くいえば汚れがあまり落ちないということかもしれない。

これまでの研究でも、液体石けんより粉石けんの方が、そして低温の洗濯水よりも高温洗濯水の方が、マイクロプラスチック発生量は多いことが知られている。しかし、汚れ落ちは粉石けんや高温洗濯水の方が良い。つまり、マイクロプラスチック発生量が多い方が、汚れ落ちは良い可能性がある。

汚れ落ちという点でも、またマイクロプラスチックの環境中への流出量という点でも、ドラム式より縦型洗濯機の方が良さそうだ。

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