国際プラスチックごみ条約会議の再会、8月に決定

プラスチックごみ条約会議が8月5〜14日に再会されることになった。場所はスイスのジュネーブ。

INC-5.2という位置づけだ。昨年暮れに韓国で開かれたINC-5では、プラスチックの生産削減や有害化学物質の排除など、大事な点で紛糾したため、何も決まらなかった。

サウジアラビアやロシアなどが反対したためだが、日本や中国、米国の態度も曖昧だった。こういう大事な局面で、曖昧な態度しかとれない日本にも失望するが、今回米国はどう出るのだろうか。

もし、意欲的な内容で決まっても、真っ先に「批准しない」といいそうな大統領がいる。少なくとも4年間は、アメリカには何も期待できそうにない。プラスチックの生産削減すら決まらないようであれば、未来の地球はマイクロプラスチックと有害化学物質で覆われていそうだ。

マイクロプラスチック汚染と消費行動

メリーランド大学の最近の研究によると、大気汚染と消費行動は関連性があるそうだ。買い物による満足感で、空気の質の悪さによって引き起こされる不快感を払拭しようとするため、金遣いが荒くなるらしい。

https://today.umd.edu/study-consumer-spending-rises-with-air-pollution

ということはマイクロプラスチック汚染のひどい日は、無駄遣いが増える可能性が高い。消費者にとっては踏んだり蹴ったりの日だが、石油や天然ガスを「掘って掘って掘りまくれ」というトランプや、イーロン・マスクのような資本家にとっては、儲かる日なのだろうか。

国際プラ条約、合意できないまま閉幕

韓国・釜山で開かれていた国際プラスチック条約会議。

期待していたにも関わらず、合意できないまま閉幕した。日本の姿勢は終始消極的で、参加国の半数以上が賛成していたプラスチック生産を削減することにも賛成しなかった。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD301N40Q4A131C2000000/

これではまるで、日本が産油国などと足並みを揃えたように見える。とても恥ずかしい。

プラスチックは地球の三大危機に直結することが報告されている。気候変動、生物多様性喪失、汚染だ。地球環境あっての経済だということを、日本は理解していないのだろうか。

昨夜遅く(今朝早く?)グリーンピースが、声明を発表した↓


PFASとマイクロプラスチックの組み合わせで、毒性がパワーアップ:英研究

英バーミンガム大学の研究チームが新たな研究を発表した。マイクロプラスチックとPFASがミジンコに与える影響を調べたのだ。

その結果、マイクロプラスチック単独でもPFAS単独でもミジンコにとって有害だった(PFASの方が有害性が強かった)。

しかし、マイクロプラスチックとPFASを一緒にミジンコに曝露させると、単独のときよりも毒性が増した。しかも、複合効果は41%が「相乗的」とのこと。

つまり、ミジンコにとってマイクロプラの毒性が5,PFASの毒性が10だとすると、一緒に与えることでミジンコは15の毒性による影響を示すと考えられるが、それ以上の影響を示したということだ。

ミジンコは、成長が遅くなり、生殖への影響もでた。さらに、生存率も低下した。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0269749124018505?via%3Dihub

まさに「複合汚染」だ。

少し前に中国の研究で、湖にマイクロプラとPFASがセットで存在するという報告があったが、マイクロプラはPFASを引き寄せ、毒性をパワーアップさせているようだ。

この実験で使用したマイクロプラスチックはPET粒子、PFASはPFOSとPFOAだ。一般にPETの化学物質吸着能力は、ポリエチレンやポリプロピレンに比べ低いとされている。この実験では吸着させて与えたわけではなく、単に一緒に与えただけのようだが、もしかすると、PETの代わりにポリエチレンなどを使った方がより毒性がパワーアップしたかもしれない。

いずれにせよ、このままPFASとプラスチックをを使い続けると、ミジンコが激減し、ミジンコを餌にしていた生物も減り、生態系が大きなダメージを受けることは確かだ。

アイルランド「海岸のペットボトルとアルミ缶が大幅に減少」ペットボトルはキャップ付きのまま回収

今年2月にデポジット制度が導入されたアイルランドでは、「合計6億3500万個のペットボトルとアルミ缶がデポジットリターンスキームに返還」された。同国の環境・気候・通信省の新しいデータだ。

これは、顧客に返還された1億1000万ユーロの預金に相当するとのこと。8月の回収率は、その月に市場に出回った飲料の73%に相当する。

今年6月に発表された最新のアイルランドの調査結果によると、このスキームの導入により、路上に捨てられた飲料缶が30%、ペットボトルが20%減少したという。

今年2月から始まったアイルランドの飲料容器デポジット制度は、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶を対象とし、ガラスびんや乳製品は対象外だ。

ガラスびんは既に80%以上回収されているため、デポジット制度の対象外とされた。

ペットボトルと缶のデポジット額は以下の通り。

 ○飲料容器≥150mLおよび≤500mL:15¢ユーロ

 ○飲料容器>500mL:25¢ユーロ

EUではペットボトルのキャップは開栓後もボトルに残ったままでないと今年7月からは販売できない。返却時も、キャップが付いたまま返却するよう呼びかけられている。

ボトルに付いたキャップは、適正にリサイクルされるそうだ。

<出典>

https://www.citizensinformation.ie/en/environment/waste-and-recycling/deposit-return-scheme/

https://www.rte.ie/news/2024/1024/1477146-bottle-collection/

プラスチック国際条約、素案を議長が各国に提示

毎日新聞(2024.11.1)によると、政府間交渉委員会のルイス・バジャス議長が条文の素案の非公式文書を各国に提示した。

やはり生産規制は盛り込まれていない。

生産規制なしではプラスチック汚染など防げるはずないから、多少期待していたのだが。

グリーンピースのいうようにまだ結果はわからないとはいえ、これより良くなることはないだろうと思うと、とても残念だ。

しかし、生産者が製品の使用後にまで責任を負う「拡大生産者責任」だけはしっかり盛り込まれた。拡大生産者責任の考え方を導入し、プラ素材の使用量の削減と、再利用や修理をしやすい設計などを推奨するとのこと。

日本もその点だけは少し変わるかもしれないと期待する。

日本の容器包装リサイクル法は拡大生産者責任が再商品化義務のみだし、プラスチック資源循環法ではその再商品化義務さえ、生産者に負わせていない。回収から再商品化まですべて税金でおこなわれる。環境省は否定するが、同法には拡大生産者責任はゼロだ。

素案については、毎日新聞にしか載っていないようだ。非公式文書のせいか、INCの公式文書が掲載されるウェブサイトにもまだ見当たらない。

https://mainichi.jp/articles/20241101/ddm/012/040/048000c

欧州、化粧品285品から禁止されているPFASや環状シロキサンを検出

ECHA(欧州化学物質庁)が、13ヶ国で販売されている化粧品約4500種を調べたところ、うち285製品から禁止されている物質が見つかった。

「ペルフルオロオクタン酸(PFOA)、長鎖ペルフルオロカルボン酸(PFCA)および関連物質、および環状シロキサンD4およびD5の存在」を調べたそうなので、見つかった物質はREACH規則で禁止されているPFASや環状シロキサンだ。

・ペルフルオロノニルジメチコン
・ペルフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン
・ペルフルオロノニルエチルカルボキシデシルPEG-10ジメチコン
・シクロペンタシロキサン(D5)、シクロメチコン(D4、D5、D6のブレンド)、シクロテトラシロキサン(D4)

https://echa.europa.eu/-/hazardous-chemicals-found-in-cosmetic-products

環状シロキサンはシリコンの化合物で、日本の化粧品にもよく使われている。

PFASは日本を含む世界各国の化粧品に含まれているため、前から注意が呼びかけられているが、これからはシロキサンにも注意が必要だ。

日本語の記事によると、アイライナーやリップライナー、コンディショナー、ヘアマスクなどの製品から有害物質が見つかったそうだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/0850658ef73eea92e7e85e500b91c52e393aaf92

PFASで睡眠障害に 血中濃度と睡眠時間に関連

7種類のPFASのうち、4種類のPFAS(PFDA、PFHxS、PFOA、PFOS)が睡眠と関連があるそうだ。

この研究は、生まれてから食品などを通してPFASに曝露したと考えられるケースで調べたそうだが、「出生前の胎児期の曝露に起因している可能性もある」とのこと。

600を超える遺伝子候補のうち、PFASによって活性化される7つの遺伝子候補が睡眠に影響を与えると推定されるそうだ。睡眠障害はアルツハイマー病などにも影響を与える。

https://diamond.jp/articles/-/352394

PFASは水中でプラスチックに吸着し、拡散しているという研究報告もあり、PFASの存在感が日々高まっている。

早く全面禁止してほしいものだ。

<関連記事>

米国内の基地は浄化が進むのに、日本の基地は進まない理由は?

米国防省が、米軍施設の浄化を強化すると発表した。PFAS汚染地である米軍施設の浄化が既に55カ所で進んでいるそうだ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/357333

しかし、日本国内では、在日米軍施設が汚染源と疑われる地域の汚染は放置されたままで、浄化どころか認めているかも怪しい。「米軍が浄化を強化する新指針は米国外は適用外な上、日米地位協定や日本の規制の緩さが「交渉の壁となっている」」とのこと。

日米地位協定は、日本だけですぐにどうこうできる問題ではないが、日本国内の規制を強化することはすぐにでもできるはずだ。

しかし、日本政府にPFAS規制を強化しようという気はまったく感じられない。そんな日本政府のあいまいな姿勢を見ているため、米軍施設を有する地方自治体も及び腰だ。

米軍施設に対してだけでなく、3M社のような企業に対しても自治体は及び腰に見える。

このまま各地で外資による半導体工場などが増加し、PFASを垂れ流しても、多くの自治体は黙っているのだろう。

外資系企業にとって、現在、日本は格好の餌食だろう。「円安」「おとなしい国民性」「几帳面にいわれた仕事はやる」「訴訟を好まない」など、外資が喜ぶ条件がすべて日本に揃っている。

吉備中央町が活性炭を放置したPFAS汚染企業に1億円超えの損害賠償請求 しかし活性炭使用企業はまだ不明

PFASで水源が汚染された岡山県吉備中央町は、財産区に使用済み活性炭を放置した地元企業「満栄工業株式会社」に1億円以上の損害賠償請求をしたようだ。

住民に返還した過去3年分の水道料金のほか、原因調査にかかった費用や住民に対して給水車を使った費用などから試算した。

https://www.ohk.co.jp/data/26-20240717-00000003/pages/#

しかし、ダムを使用できなくなったため損害額は1億円で済むはずはない。今後、PFOAを含んだ活性炭をこの会社に渡した企業にも賠償請求をすることになるだろう。

どこの会社だろうか?

クラレの名前が挙がっているが、クラレの社長は否定している。

今後、汚染企業を追求することになるだろうが、多地域ではどうするのだろうか。沖縄や東京・多摩地域のように米軍基地由来の場合はどこに請求できるのか?

自衛隊施設が汚染源の場合は、日本政府に請求できるのか?

摂津市はダイキンに、相模原市はスリーエムに、静岡市はデュポン系企業に賠償請求ができるのか?と考えると、相手が大きいほど請求しても勝ち目がないような気がしてくる。

PFAS問題で最後に嗤うのは、ペットボトルメーカーや浄水器のメーカーだとしたら、情けない話だ。