ネオニコ系農薬 化学的根拠をもとに農水省が見直しか

ミツバチに対する毒性や、人間の発達障害などとの関連を指摘されながら、あまりにも基準が緩められたネオニコ系農薬。農水省が、その基準を見直すかもしれない。

ネオニコ系農薬を水田などで大量に使うことの理由として、免罪符のようにいわれてきた斑点米に対する消費者クレームは、実はほとんど根拠がなかったことが明らかになった。

農水省は、今後ネオニコ系農薬の規制について、農薬の再評価を含め、化学的根拠をもとに見直していくと回答したとのこと。

欧州ではネオニコ系農薬3種が、2018年末までに使用禁止になる。日本は基準が緩和される一方だったが、これを機に日本の基準も見直されるかもしれない。

<出所>

グリーンピース(2018.6.28)「「ネオニコやめて」14630人の声、届けました。農水省「科学的根拠を元に見直す」」↓

http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/14630/blog/61663/?utm_campaign=Food%20For%20Life&utm_source=Mob%20e-mail&utm_medium=email&utm_term=280618FD_mobemail_blackriceupdate

 

日本 規制遅れ、健康への影響も懸念

近年、多くの環境対策が後手に回っている日本だが、中でもレジ袋の規制遅れが著しい。

世界では既に67カ国で、禁止や有料化などの措置が取られているという。

この数は既に導入済みの国で、導入することが決まっている国(例えばモンゴルなど)も合わせると、かなりの数に上る。

日本のレジ袋対策は、いまだに事業者の「環境意識」に任されているため、自治体が努力して有料化協定を結んでも、「顧客離れ」などを理由に協定から離脱するスーパーも少なくない。コンビニにいたっては、大手チェーンなどはこれまで協定の席にすらつこうとしなかった。

レジ袋の素材であるポリエチレンは、PET樹脂などに比べても化学物質を引きつける力が強く、しかもすぐに劣化し、ボロボロになる。マイクロプラスチックの大きな発生源の1つだ。

有害化学物質を吸着したマイクロプラスチックを食べた生物への影響や、魚介類をとおしてヒトの健康への悪影響も懸念される。

かつて、海洋ごみ問題の先駆者である北海道大学の小城先生が、海のプラスチックごみの害について、ジワジワシンドロームだとおっしゃっていた。影響がジワジワと浸透し、人間が海洋プラスチックの被害に気付いた時には既に手遅れになっているだろうとのことであった。

レジ袋は顧客サービスではなく、マイクロビーズと同様の有害物質だということに、日本政府も早く気付き、手を打つべきだろう。

<レジ袋規制国数についての出所>

東京新聞(2018.6.30夕刊)「使い捨てプラ 日本規制遅れ 世界60カ国以上で生産禁止や課金」↓

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201806/CK2018063002000276.html

 

日本 来年のG20でG7目標を上乗せか

2019年6月28日・29日に大阪で開催されるG20サミット首脳会議で、日本は先般拒否したG7の「海洋プラスチック憲章」の目標を上回る目標を発表するようだ。

以下、時事通信 官庁速報(2018年6月27日)より

「サミットで日本は、国内の企業や消費者の理解を得る必要があるとして、合意を見送った。しかし、目標自体は十分に達成できる可能性があることから、さらに上積みした目標を盛り込んだプラスチック資源循環戦略を19年6月までに取りまとめ、同月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議でアピールすることにした。

しかし、日本が署名しなかった海洋プラスチック憲章は、プラスチックのリサイクル率目標だけではない。日本が達成できそうな目標は「2030年までに、プラスチック用品を全て、再利用可能あるいはリサイクル可能、またはどうしても再利用やリサイクル不可能な場合は、熱源利用する」ということや「2030年までに、可能な製品について、プラスチック用品の再生素材利用率を50%以上にする」、あるいは投資を加速させることについてなどの項目である。

これらの項目については、言葉の解釈の仕方でいくらでも言い逃れ(達成)できる。例えば、日本が2030年までにペットボトルを50%再生材で作ることはそれほど難しくない。技術的には現在でも十分可能なはずだ。

投資額を多少増加させることについても難しくないはずだ。これまで日本が行ってきた投資は、抜本的にプラスチックごみを減らそうというものではない。例えばセブン・イレブン店頭にペットボトルの自動回収機を設置することに環境省は補助金を出したが、これなどはどうみても、使い捨てを助長する投資だ。ペットボトルの消費拡大にはつながるが、ポイ捨てを減らすことには働かないだろう。セブン・イレブンまでペットボトルを持参し、0.2円分のポイントを得ようとする人はもともとポイ捨てするような人ではなく、自治体回収やスーパーの回収ボックスにペットボトルを排出していた人たちだ。

これまでおこなってきたこのような投資先を見直した上で、金額を多少上乗せすることは、それ程難しくない。

問題は、「不必要な使い捨てプラスチック用品を著しく削減する」ことである。これを、日本は本当にするのだろうか?

国連や、G7の海洋プラスチック憲章が、日本のような国(回収率はそこそこ高いが、使い捨てプラスチック製品を多用している国)に本当に求めていることは、リサイクル率を上げることよりも、大幅に使い捨て製品を減らすことではなかろうか。

そうでなければ、今と変わらない「大量生産・大量消費・大量リサイクル」になってしまう。使ったものを100%回収することは、今の日本の回収システムでは不可能で、その結果が今の川ごみや海ごみの現状だ。

リサイクル率を上げることも大事だが、それよりもまず、使い捨てのプラスチック製品を大幅に削減できるような方策(例えば、使い捨てプラスチックコップや使い捨て食器の段階的禁止や課税、レジ袋の禁止、ペットボトルを規制できない場合はデポジット制度により100%の回収を目指す、など)を考えるべきである。

<関連記事>

「プラスチック資源循環戦略」策定へ

 

インド 使い捨てプラ禁止違反でマックやスタバに罰金

インド第2の州マハラシュトラ州(人口1億人以上)で、使い捨てプラスチックの使用を禁止する州法が施行され、マクドナルドやスターバックスなどの大手チェーンが相次いで罰金を命じられた。

州法は2018年3月に発表され、同年6月23日施行された。インドの29州のうち少なくとも25州で使い捨てプラスチック禁止が制定されている。厳格に執行されている州ばかりとは限らないが、マハラシュトラ州では即座に取り締まりに乗り出したという。

マクドナルドは、これまでのプラスチック製品を木製容器やコーンスターチ製のストロー、紙コップに切り替えたものの、デリバリー用の飲料容器のフタについては代替品を見つけられなかったと説明している。スターバックスはコメントしていない。

罰金は、初回5000ルピー(約8000円)、2回目以降は2万5000ルピー(約4万円)、悪質な場合は禁固刑もありうるとのこと。医薬品や牛乳などは例外。

<出所>

CNN(2018.6.26)「インドの州がプラスチック禁止、スタバやマックに罰金」↓

https://www.cnn.co.jp/business/35121438.html

関連記事

インド 2022年までに使い捨てプラスチックを全排除

モンゴルでレジ袋の禁止決定 2019年3月から

モンゴル政府がレジ袋禁止を決定した。2019年3月1日からレジ袋の販売・使用を禁止するとのこと。

祭典や行楽地などでのレジ袋やペットボトルのポイ捨てが問題となっていたこと、レジ袋の輸入量が増加の一途を辿り、2017年は過去最高で5年前の3倍にもなったことが、今回の禁止の背景にあるそうだ。

<出所>

JETRO(2018.6.26)「プラスチック製レジ袋、2019年3月から販売・使用が禁止に」↓

https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/06/822b029fd8aca0ee.html

グアムでレジ袋禁止決定 2021年1月から

グアムで6月5日、レジ袋禁止が法制化された。

開始は、2021年1月1日から。

パラオやフィジー、マーシャル諸島、ヤップ等も既に同様の禁止を決めているとのこと。

<出所>

THE GUAM DAILY POST(2018.6.18)Recycling advocates: Plastic bag ban marks progress;

https://www.postguam.com/news/local/recycling-advocates-plastic-bag-ban-marks-progress/article_a5cb2280-6eb6-11e8-9e80-77fbfd20e9bd.html

エコロジカル・フットプリントの考案者 来日・講演

エコロジカル・フットプリントといってもピンと来ない方でも、地球〇個分の暮らし、というとピンと来る人は多いと思う。

エコロジカル・フットプリントとは、人間の活動が環境に与える負荷を、面積として示した指標で、人間がどれほど自然環境に依存しているかがわかる。

たとえば、世界中の人がみな日本人と同じ暮らしをしたならば、地球は約3個必要だ。地球は1つしかないから、日本人は他国の慎ましい暮らしをしている人や子孫に資源を借りながら暮らしているということを意味する。

私たちの浪費的な暮らしがいかに持続可能でないかがわかる。

そのエコロジカル・フットプリントの考案者・共同開発者であるウィリアム・リース氏が国連大学で講演する。

場所:国連大学5F・エリザベス・ローズ国際会議場
主 催 :公益財団法⼈ 地球環境戦略研究機関(IGES)
国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)
協 力: 環境研究総合推進費・戦略的研究開発領域課題(S-16)
「アジア地域における持続可能な消費・生産パターン定着のための政策デザインと評価」
使用言語:日本語・英語(同時通訳付き)
定 員:約80名(先着順)
参加費:無料

詳しくはhttps://www.iges.or.jp/jp/scp/20180706.html

「日本のエコロジカル・フットプリント2017」↓

https://www.wwf.or.jp/activities/lib/lpr/20180825_lpr_2017jpn.pdf

香害 -化学物質過敏症-

香害という言葉を時々聞くようになった。

私は化学物質過敏症ではないが、以前から香水やタバコの匂いが苦手なため、最近、宅配便の配達員の衣類の香りが気になる。

柔軟剤の香りだろうが、不自然な甘い匂いで、これでもか!というほどキツイ。香水ならばやんわり注意もできる。が、柔軟剤や合成洗剤の匂いを注意するのは何となく気が引ける。

そのため、お礼もそこそこにあたふたとドアを閉めることになる。

いつから、香りがエチケットなどといわれるようになったのか?柔軟剤や制汗スプレーの匂いより汗臭いほうがまだマシだ。

永吉ら(2013)が新潟県上越市で行ったアンケート調査では、中学生の15.7%が化学物質過敏症の可能性があるという。年齢があがるほどその割合が増え、しかも前回の調査よりも増えている。

この結果は、今後ますます化学物質過敏症で苦しむ人の増える可能性を示している。何とか手を打てないものか。

家や学校で、柔軟剤や合成洗剤、消臭剤、芳香剤、シャンプー、防虫剤など、不必要な化学物質にさらされている子どもたちが気の毒でならない。

人工的な香りはエチケットというよりは、おそらく化学兵器に近い。

<参考>

永吉ら(2013)「児童・生徒(6〜15才)の化学物質過敏症様症状に関するアンケート再調査」

https://niconurs.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=21&item_no=1&page_id=13&block_id=21

 

 

日本のムール貝からもマイクロプラスチックを検出

先日(2018.6.14)、イギリスで検査したすべてのムール貝からマイクロプラスチックが検出されたとのニュースがあった。英ハル大学とブルネル大学ロンドンの共同研究チームが、学術雑誌「エンバイロメンタル・ポリューション」でそれについて発表したのだ。

2015年には、アメリカとインドネシアの研究チームが両国の市場に売られていた魚の4分の1から、貝の3分の1からマイクロプラスチックを検出している。

日本の二枚貝からもマイクロプラスチックが出るだろうね、と話し合っていたところ、やはり日本のムール貝からもマイクロプラスチックが検出されたそうだ。

東京農工大学の高田教授のグループが、2015年から2017年に東京都と川崎市の東京湾でムラサキイガイ(ムール貝)など、座間味島ではイソハマグリの体内を調べ、マイクロプラスチックを確認した。

NEWSWEEK(2018.6.14)「魚や貝を通じてプラスチックを食べている」という研究結果が明らかに↓

https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2018/06/post-10378.php

共同通信(2018.6.18)「貝に微小プラスチック粒子が蓄積」↓

https://jp.reuters.com/article/idJP2018061801001419

 

除染土を農地へ再利用?!

東京電力福島第1原発事故により放射能で汚染された土を除染し、それを農地に再利用する方針を環境省は決めている。食用の作物ではなく、花などの園芸作物を植えるそうだ。

除染土は最終的には50センチ以上の別の土で覆うそうだが、その上で長時間働く人への影響はないのだろうか?

また、地下水が汚染されないかということも気になる。地下水が汚染されれば、食用作物が植えられている別の畑にも影響するかもしれないし、飲み水にも影響する可能性がある。

共同通信(2018.6.1)「除染土、農地造成に再利用」↓

https://this.kiji.is/375224835955557473