スターバックスがロンドンで使い捨てカップの有料化実験

スターバックスは、英国のコーヒーショップで初めて使い捨てカップを有料化する。

ロンドン市内の35店舗(シティとウェストエンド含む)で、使い捨てカップを5ペンスで提供する実験を3ヶ月間行うそうだ。

この実験は環境ボランティア団体Hubbubと一緒に行い、有料分のカップ代金はHubbubに寄付され、同団体は研究資金として使用する。

英国の使い捨てカップ(厚紙にポリエチレンライナーを付着させたカップ)は通常のシステムではリサイクルできないため、リサイクル率は0.25%とのことで、毎日50万個が散乱しているといわれている。

いくつかのコーヒーショップでは、自分のカップを持参すると割引きしてくれるが、利用者は1〜2%と低率である。しかし、レジ袋を有料化した最初の1年間で、83%以上のレジ袋が削減されたということは、消費者は割引きよりも有料化に対しより敏感に反応することを示している。

スターバックスでも20年間、タンブラー持参者への割引きを実施していたが、利用者は顧客の1.8%のみであることから、今回の有料化実験に踏み切ったようである。

ちなみに、日本のスターバックスでも、タンブラー割引きをしている。スタバのタンブラー以外のマイボトルでもOKで、持参してコーヒーを買うと20円の割引きになる。

 

<主な出典>

The Guardian(2018.2.26):  Starbucks trials 5p takeaway cup charge in attempt to cut waste;

https://www.theguardian.com/business/2018/feb/26/starbucks-5p-takeaway-cup-charge-london?utm_source=Sailthru&utm_medium=email&utm_campaign=Issue:%202018-02-26%20Waste%20Dive%20Newsletter%20%5Bissue:14205%5D&utm_term=Waste%20Dive

奄美大島に大型クルーズ船の寄港地必要?

日本に残された数少ない秘境の1つに、奄美大島を挙げる人は少なくないだろう。

国土交通省は、その奄美大島を大型クルーズ船の寄港地に選定し、開発しようとしている。

大型クルーズ船には乗客だけでも約5000人が乗る。その人々は奄美大島に一泊し、また次の停泊地へと去って行く。

港建設により、サンゴ礁などの貴重な資源はどうなるのだろうか?また、大勢の人たちが一気に押しかけることで、アマミノクロウサギやアマミトゲネズミ、ルリカケスなどの稀少な固有生物に影響はないのだろうか?

地元では誘致を進める意見もあるが、反対の声もあがり署名運動が展開されている。

署名(Change. org)↓

https://www.change.org/p/奄美大島-西古見集落の素晴らしい自然を残すため-約5000人を乗せた大型クルーズ船の寄港地誘致をやめてもらいたい

南海日日新聞(2018.2.10)「「規模」問題視、署名活動へ」↓

http://www.nankainn.com/local/「規模」問題視、署名活動へ-%E3%80%80クルーズ船寄港地

南海日日新聞(2018.2.23)「観光協会要望取り下げへ 大型クルーズ船誘致計画」

http://www.nankainn.com/gvmnt-admin/観光協会要望取り下げへ=大型クルーズ船誘致計

北大阪の10市町がレジ袋有料化協定を締結

2018年2月18日、北摂地区7市3町(豊中市、池田市、吹田市、高槻市、茨木市、箕面市、摂津市、島本町、豊能町、能勢町)は、北摂地区に店舗のある9事業者(114店舗)とレジ袋無料配布中止を定めた協定を締結した。

同年6月1日からレジ袋を有料化するとのこと。

協定したスーパーの中に、(株)ライフコーポレーション(スーパー  ライフ)が入っていたので驚いた。

同社はこれまでほとんどレジ袋大幅削減(有料化)に取り組まず、京都市以外の自治体との有料化協定は断固拒絶していた。ライフが反対したため、協定の足並みが揃わず、協定を見送る結果となった自治体もあるほどだ。しかし、京都市のレジ袋有料化だけは、京都市が条例化したことと、市内の全スーパーが一斉ということで、ライフも参加した。

そのライフが、北大阪で有料化に動いたということは、もしかすると東京都のレジ袋有料化にも参加するかもしれない。同社が参加しない限り、都のレジ袋有料化協定は失敗し、レジ袋でさえ規制できない日本の現状を、オリンピック観戦のため海外から訪れた人に呆れられるだろうと考えていたので、これは朗報だ。

それにしても、今回有料化する北大阪の市町は人口規模で約180万人。

久々にビッグな有料化協定である。

日本もようやく海洋プラスチックごみ汚染を防止しようという意識が高まってきたのかもしれない。

 

部長ブログ@箕面市↓

https://blog.goo.ne.jp/butyoublog/e/5b928e98f115314b92e8d8a1af9e1ec3

箕面市報道資料(2018.2.5)↓

https://www.city.minoh.lg.jp/seibi/documents/houdousiryou_rejibukuromuryohaifutyuusi.pdf

毎日新聞(2018.2.11)「レジ袋削減へ有料化 北摂10市町と9事業者協定 6月1日から実施」↓

https://mainichi.jp/articles/20180211/ddl/k27/010/261000c

斑鳩町 ゼロ・ウェイストの危機(その2)

2月22日の本ブログ「斑鳩町 ゼロ・ウェイストの危機(その1)」の続報。

ゼロ・ウェイストを目指す斑鳩町は、ごみの受け入れ先をめぐり、混迷を深めている。可燃ごみを一気にゼロにすることは難しく、その減量過程において、ごみの受け入れ先は必ず必要だ。

しかし、民間への委託は「自区内処理」の壁に阻まれた(本ブログ2018.2.22)。奈良県が進める近隣市町村との広域処理も天理市が難色を示している(奈良新聞2018.2.28)。仮に天理市がOKを出したとしても、この時点で広域処理に加わることは、ゼロ・ウェイストへの道を妨げかねない。

斑鳩町が今すべきことは、広域処理の相手探しではなく、リサイクル率をもっと高め、確かにゼロに近づいていると伊賀市が納得するくらい早急にごみを減らすしかないはずだ。

日本でもゼロ・ウェイストが不可能ではないことを斑鳩町に示してほしい。

<出所>

奈良新聞(2018.2.28)「天理市長 斑鳩参加に難色」

<関連記事>

斑鳩町 ゼロ・ウェイストの危機(その1)

斑鳩町 ゼロ・ウェイスト方針は健在

男の子に多い発達障害 ネオニコ系農薬の影響?

最近、ネオニコチノイド系農薬の講演会によく参加するようになった。

日本と韓国は、単位面積あたりの農薬使用率が世界でダントツに高く、自閉症や広汎性発達障害の有病率もダントツに高いという。

これは、ネオニコチノイド系農薬が関係している可能性があるそうだ。

昨日聞いた木村-黒田純子氏の講演によると、母マウスに経口投与で低用量のネオニコチノイド系アセタミプリドを胎児期から授乳期にかけて投与すると、雄の子マウスに不安行動、攻撃行動、性行動など異常行動が見られたとのことである。

子マウスの脳内からアセタミプリドが検出され、母胎から子マウスの脳に移行することも確認されたという。

ヒトでは自閉症、ADHDなどの発達障害は男子に多く、特定の行動に異常がみられるとのことで、ヒトの発達障害の一部はネオニコチノイド系農薬の影響である可能性があるそうだ。

また、中下裕子氏によると、有機リン系農薬と異なり、ネオニコチノイド系農薬は野菜や果物の中へ浸透しているため、洗っても落ちないし皮をむいても同じだとのこと。

EUはもちろんアメリカやカナダ、ブラジル、台湾など諸外国では既に使用が規制されている。韓国でも2014年に三種のネオニコチノイド系農薬の新規・変更登録を禁止した(中下裕子氏講演より)。

日本は規制どころか、基準が緩和されている。例えば、日本のイチゴのアセタミプリドの残留農薬基準値は、現在EUの600倍も高いとのこと。

農薬の在庫整理に日本の農業を利用しないでほしい。食べ物を金儲けの手段にすることは、自分の手で子どもや孫の首を絞めるようなものだ。

今すぐに規制を開始しなければ、アスベスト訴訟のように、農薬メーカーや農水省が被害者に訴えられる日がくることも考えられる。

海洋プラスチック汚染問題への取り組みでも、日本の動きはとりわけ鈍い。東京都は、レジ袋有料化すら難航している。

予防原則のない国に未来はないことを、政治家も事業者も省庁・自治体関係者も肝に銘じ、疑わしいと報告された化学物質や自然界への影響の大きい製品の使用はとりあえず中断し、調査する姿勢で臨んで欲しい。

なお、韓国のネオニコ系農薬規制については、下記サイトに詳細が記載されている。

有機農業ニュースクリップ(2014.3.15)「韓国:ネオニコ系の使用を一時停止へ EUにならう」↓

http://organic-newsclip.info/log/2014/14030616-2.html

 

<参考>

「増加する自閉症〜原因は遺伝ではなく、環境にある」↓

農薬大国・日本の現実 ネオニコチノイド系農薬で、発達障害が急増する!? ~岩上安身による西尾正道氏、黒田洋一郎氏インタビュー

フィルター フィーダーは絶滅の可能性?!

「フィルター・フィーダー」と呼ばれる水中でプランクトンをろ過して食べるシロナガスクジラやジンベイザメなどは、プランクトンの代わりに多くのマイクロプラスチックを摂取している。

Marine Megafauna Foundationの研究者であるEliza Germanovによると、それらフィルター・フィーダーはマイクロプラスチックを取り込むことで、栄養を吸収する代わりに有害な化学物質を取り込む結果として、子孫を残すことができずに個体数をさらに減らす可能性があるとのこと。

多くの大型海洋生物は既に乱獲や汚染などの問題にさらされている。

さらにマイクロプラスチックのストレスが加わることで、いくつかの種が絶滅する可能性があるという。

<出典 >

The Guardian(2018.2.5): Whale and shark species at increasin risk from microplastic pollution – study;

https://www.theguardian.com/environment/2018/feb/05/whale-and-shark-species-at-increasing-risk-from-microplastic-pollution-study?CMP=Share_AndroidApp_Gmail

台湾も使い捨てプラスチック製品を2030年までに全面禁止

以前からスーパーやコンビニでレジ袋を有料化していた台湾で、使い捨てのレジ袋やプラスチック製(以下、プラ製)のストロー、食器、コップなどを2030年までに全面禁止する方針とのこと。まず2025年には追加料金支払いを義務化するそうだ。

2030年までの行程は以下の通り。

プラ製ストローの提供は、2019年に大手レストランチェーンで、2020年には全飲食店で提供が禁止になる。テイクアウト用のストローは2025年に有料化し、2030年には全面禁止する。

テイクアウト用飲料容器(紙製、ポリスチレン製を含む)は、現在のマイカップ割引き(2台湾元:7.4円に相当)を2020年には5元に引上げ、2025年には10元まで引上げる。2030年にはプラ製容器のみ全面禁止。

使い捨て食器は、現在は公共機関や学校で禁止されているが、2020年には全ての店内飲食で禁止、2025年にはプラ製を有料化、2030年には全面禁止。

プラ製レジ袋は現在14業種で有料化(無料提供禁止)されているが、業種を順次拡大し、2030年には屋台なども含め全面禁止。

<出典>

YSコンサルティング 経済ニュース「プラスチック使い捨て食器・容器、30年に全面禁止」↓

https://www.ys-consulting.com.tw/news/75569.html

AFP「台湾、使い捨てプラスチック製品を2030年までに全面禁止」↓

http://www.afpbb.com/articles/-/3163727

 

プラひもから紙ひもへ プラスチックを減らそう

海外では「脱使い捨てプラスチック」の流れが進行中だ。レジ袋や発泡スチロール製容器もなくす方向で政策が進んでいる。

しかし、日本ではいまだ「プラスチックは必ず必要」なもので、その便利さは変えがたいようだ。7割以上の市民が不要だというレジ袋でさえも、なかなか廃止できない。一部自治体のスーパーでの有料化がやっとである。

おかげで、スーパーのレジ袋は減少したが、野放し状態のコンビニのレジ袋使用量は増加傾向だ。

こんな日本だから、古紙回収への紙ひも使用はなかなか徹底しない。理由の1つは、古紙回収業者が回収効率が落ちるため嫌がるせいだが、もう1つは市民の無理解だ。頭から「使いにくい」「切れやすい」などと決めてかかる傾向がある。

もちろん、紙ひも利用には多少の慣れとテクニックが必要だ。そこで紙ひもを使用する際の注意点を記載したい。

1 ひもの引き出し方向は、紙ひものラベルの矢印通りに。逆向きに引っ張り出すと、使いにくくて大変になる。
2 ひもは内側から引き出す。外側のフィルムが最後まで絶対に破れないように、レジ袋などに入れて使うのが、最後まで使うコツ。
3 雨天時の古紙回収は要注意。
昔は古紙回収は雨天を避けたものだが、中国へ輸出されるようになってからは古紙の品質が落ちてもよくなったようで、ぬれても構わず回収に回る。行政回収では雨天中止はしにくいこと、また、集団回収でも近年は行政回収と同じような回収方法になったこと、などもその理由であると考えられる。しかし、紙ひも回収を続けているところは全国にあるので、工夫次第!なのだ。「便利さ」には必ず裏があるし、自然素材はたいてい便利ではない。「古紙問屋はプラスチックが入らない方が儲かるから紙ひもを進めるけれど、回収業者はギリギリのところでやっているから、そんな手間をかけたらコスト割れ(雨天時に荷台にホロをかけることや、古紙を運ぶ際に片手を束の底部分に添えること、もできないので)」と、先日ある回収業者の方にいわれた。もちろんその通りなのだろうと思うが、その手の事はトレイや弁当容器などすべての使い捨て製品にいえることだ。要は、仕組みの中に「脱プラスチック」を取り入れると決め、そのように動けば解決する問題ではないか。
4 縛る際、力まかせ引っ張ると切れる。ゆっくりじわじわと締めるのがコツ。また、縛るのに、力がいる、という人もいるが、プラスチックひものように緩まないので、慣れるとかえって縛りやすいという人も多い。
要するに、紙ひも使用はまず慣れることが大切で、ごみを減らしたい、特にプラスチック使用を減らしたい、と考える人にはぜひ白色紙ひも※を使って見てほしい。
紙ひもはそのまま製紙工場へ行ってまた紙に戻るが、プラひも(プラスチックごみ全般)は2017年末をもって、中国も「もうごみは要らない」と輸入禁止にしている。
※白色紙ひもは、新聞古紙でも段ボールでも雑誌でも束ねれば、そのまま工場へ運んでリサイクルできるが、茶色(無漂白)の紙ひもは新聞古紙とは同じ工場でリサイクルできないため。

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↑紙ひもは、必ず輪の内側の糸口を、ラベルに記載された矢印の方向へ引っ張るのがコツ。使用時にひもがよれるのは、引っ張る向きが間違っているため。また外側のフィルムは決して外さないこと。フィルムを外すと、束の形が崩れて最後まで使えない。

 

タンカー事故(その2) 海産物汚染の怖れ 漁業活動は継続

BBC NEWS JAPANによると、タンカー事故後、沈没した海域で、事故後も何日間にもわたり漁船の操業が続いていたとのこと。

東シナ海周辺の地域では、タンカーから流出した超軽質原油(コンデンセート)で海産物や海洋生物が汚染された可能性が指摘されていた。このため、現場から半径30海里の海域が立入禁止区域になっていたが、漁業活動は継続されていたようだ。

国連食糧農業機関は、流出事故の影響を受けた海産物が市場に出回っているかどうかについてのコメントは控えたとのことだが、見た目で汚染がわからなければ当然出回っているだろう。

一方、グリーンピースは奄美大島に漂着した油の状況を写真入りで報告している。油と一緒に海鳥の死骸やペットボトルも漂着している。

英国のサウサンプトン大と国立海洋学センターの研究グループによると、3月半ばには関東から東北沖まで拡大する怖れがあると予測されている(産経新聞2018.2.3)。

 

タンカー事故(その1)「3月には油が関東沖まで到達?!」

タンカー事故(その1) 3月には油が関東沖まで到達?!

BBC NEWS JAPAN(2018.2.23)「東シナ海のタンカー事故後も漁業活動 海産物汚染の怖れ」

http://www.bbc.com/japanese/43165466

グリーンピース「奄美大島に漂着した油を見てきました」↓

http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/blog/61155/?utm_campaign=Others&utm_source=Supporter%20Service%20e-mail&utm_medium=email&utm_term=24022018_Amami-blog

産経新聞(2018.2.3)「沈没タンカーの油、東北沖まで拡大の恐れ」↓

http://www.sankei.com/affairs/news/180203/afr1802030019-n1.html

タンカー事故(その1) 3月には油が関東沖まで到達?!

2018年1月6日に中国沖で発生したイラン企業所有の石油タンカー事故の影響が懸念される。

報道によると、タンカーは香港籍の貨物船と衝突し漂流した後、同月14日、奄美大島の西約300キロの日本の排他的経済水域内で大炎上し、沈没した。軽質原油10万トン超を積むタンカーの沈没は前例がなく、過去数十年間で「最悪」であるとする報道も散見する。

最近の日本の報道はオリンピック一色で、タンカー事故の続報は少なく現時点で油がどこまで拡散しているのか不明だが、1月10日時点で既に鹿児島県内10島と沖縄本島への漂着が確認されている。

グリーンピースによると、爆発と沈没は「重要な魚の産卵場で発生」した。また、別の保全団体の声明によると、この場所は多くの海洋哺乳類の移動経路にあたるという。

英国の国立海洋研究所は、3月には重油は関東沖に達するという拡散予測を公表している。

日本近海の魚介類をはじめとする海洋生態系はこれからどうなるのか。とても気になるが、影響に関する続報はまだない。(追記:続報は下記)

 

タンカー事故(その2)「海産物汚染の恐れ 漁業活動は継続」

タンカー事故(その2) 海産物汚染の怖れ 漁業活動は継続

毎日新聞(2018.2.10)↓

https://mainichi.jp/articles/20180210/ddm/041/040/132000c

朝日デジタル(2018.2.1)↓

https://digital.asahi.com/articles/ASL215G6SL21TLTB010.html

朝日デジタル(2018.2.11)

https://digital.asahi.com/articles/ASL2B5D0XL2BTLTB008.html

EXPRESS: Iran oil tanker causes worst spill in DECADES after ship carrying 1 MILLION barres sinks;

https://www.express.co.uk/news/world/905066/iran-oil-tanker-slick-spill-explosion-sinking-east-china-sea-sanchi-environmental-disaster