焼却施設でエネルギーの地産地消?!長野市

長野広域連合がごみの焼却施設を発電施設と位置付け「ながの環境エネルギーセンター」(2019年3月稼働予定)を作り、運転を開始している。

発電される年間約3200万kWh(キロワット時)の余剰電力を、日立造船が全て買い取り、長野市立の小中学校、高校、計80校に供給するそうだ。

広域でごみを処理し、売電するのはよいが、そのエネルギーを学校に回すとして「地産地消」や「環境」を前面に押し出すことには疑問を感じる。

焼却施設のエネルギーが直接80校へ行くわけではないだろう。あくまでも日立造船が買い取った電力を、他の発電所の電力と一緒にし、その一部が学校でも使われるから学校へ直接供給するのと同じこと、と考え、決めたはず。

ではなぜ学校で、と決めたのか。他の公共施設でも、焼却施設の近隣住宅地でもよかったはずだ。

子どもたちへの「環境教育」のつもりだとしたならば、逆効果ではないだろうか。子どもにごみ削減の必要性を教える方が、ごみで発電した電気を使う、と教えるよりもはるかによい。

これでは、「ごみを出しても電気になるから大丈夫」と子どもたちに教えるようなものではないか。たとえ、直接口に出してそういわなくとも、そのメッセージはどうしても伝わってしまうだろう。

廃棄物発電など、たとえ高効率発電でも高々20%程度。火力発電所にはとうてい及ばない。最近の報道では、60%を越す効率のよいLNG発電などもあると聞く。しかも、ごみは「再生可能エネルギー」ではない。

長野市にはゼロ・ウェイスト政策を目指してほしかった。残念だ。

<参考>

「ながの環境エネルギーセンター」↓

https://ecohitz-nagano.ekankyo21.com

スマートジャパン(2019.3.4)「ごみ焼却でエネルギー地産地消、余剰電力を長野市の学校に供給」↓

https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1903/04/news057.html

 

高まる海洋生物の絶滅リスク、温暖化に乱獲が拍車をかける

近頃、生物の絶滅についてのニュースが多い。例えば、温暖化が原因で絶滅した初めての哺乳類として、オーストラリアの「ブランブルケイ・メロミス」が最近話題になった。

サンゴ礁の島に住んでいた哺乳類で、1978年には数百匹が生息していたが、海面上昇で度々浸水したことから、植物が減り、生息域を失ったことが原因だという(東京新聞2019.5.4)。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019050402000153.html

島は約四ヘクタールで、標高三メートルほど。二十世紀末から海面上昇でたびたび浸水。植物が減り、生息域をほとんど失っていたといいます。
国連の科学者組織が六日、報告書を発表する予定です。報道によると、この報告書は「地球上には現在、約八百万種の生物が生息しているが、今後、五十万種から百万種が絶滅の危機にさらされる」「生物多様性の損失と地球温暖化は密接に関連」と指摘します。温暖化で滅びる生物が百万種類になるかもしれないというのです。

陸上生物よりも海洋生物は、絶滅リスクが高いという研究成果も発表された。

米ラトガース大学のチームが400種以上の変温動物を対象に、気温上昇の影響を海と陸で比較したところ、海洋生物のリスクが強く示されたとのこと。海水温が上昇すると、海洋生物は逃げ場がないそうだ。(ナショナルジオグラフィック2019.4.27)

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/042500255/

ピンスキー氏らは海の変温動物88種と陸の変温動物318種の「温度安全域」を計算し、どれくらいの温暖化に耐えられるか、限界はどこかを割り出した。その結果、最も安全域が狭いのは、赤道付近の海洋生物と中緯度に生息する陸生生物だとわかった。

現在の温度でも、多くの変温動物には暑すぎる。論文によれば、温暖化の結果、最も海水温が高い場所では、海洋生物の半数以上がかつての生息地から姿を消しているという。こうした局所絶滅の割合は陸生生物の2倍に達する。

さらに、世界第2位のコウテイペンギンの繁殖地で、ヒナが3年連続してほぼ全滅というニュースもあった(AFP2019.4.26)。

https://www.afpbb.com/articles/-/3222720

これらニュースの中でも、とりわけ気になるのが、日本近海の漁業資源が温暖化で激減し、それに乱獲が追い打ちをかけているというニュースだ(CNN2019.3.1)。

米ラトガース大学の研究チームが、世界の漁業と海面温度に関する統計をもとに、1930~2010年の温度変化による持続可能な漁獲量の変動を分析したところ、地球温暖化が世界の漁業資源に重大な影響を及ぼしていることが分かったという。

「特に減少が激しかったのはアジア近海地域で、東シナ海や日本近海の黒潮では、過去80年の間に漁業資源が15~35%減っていた」とのことである。

https://www.cnn.co.jp/world/35133541.html?fbclid=IwAR1QYjy1v-T_izTeA2R55bGrWMyFd9gjFPmLMUhrMF4JWYsjWqizZpG2B24

<補筆>

中日新聞(2019.5.7)「100万種、絶滅の危機 国連警告」

https://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2019050702000063.html

国連の科学者組織が6日、世界で約100万種の動植物が絶滅の危機にひんし、人の活動に伴う生態系の喪失がかつてない速度で進んでいるとの評価報告書を発表した。

「絶滅の速度は、過去一千万年の平均と比べ数十~数百倍と推定され、評価対象の四分の一に当たる百万種が絶滅の危機にある。陸上の五十万種は生息地が脅かされ、両生類の40%以上と、サメと海洋哺乳類のそれぞれ30%程度が絶滅の恐れがある」とのこと。

さらに、「地球温暖化対策の「パリ協定」の目標を達成し、産業革命前と比べた気温上昇を二度に抑えても、サンゴ礁の面積は1%未満まで縮小すると予測。海洋プラスチック汚染は一九八〇年から十倍に増え、ウミガメや海鳥、海洋哺乳類など二百六十種以上に悪影響を及ぼしている」と分析された。

ニューヨーク州、公式にレジ袋禁止を決定、米国で3州目

先日、アンドリュー・クオモ州知事が、使い捨てレジ袋禁止の法律(アースデイに関する法律)に調印したことにより、ニューヨーク州では公式にレジ袋禁止が決定した。

施行は来年3月とのこと。

アメリカでは、事業者や法律などに阻まれ、なかなか国全域での法規制は進まないが、これでようやく禁止する州はカリフォルニア州とハワイ州に続き3州目。

ニューヨーク州では毎年230億枚のレジ袋を使用している。このうち半分は、埋立地や街中や水路に集まっていると推定されている。

この禁止により、レジ袋だけでなく、ニューヨークでレジ袋の製造に使用される推定1200万バレルの石油も使わないですむとのこと。

<出所>

Forbes(2019.4.23)New York Officially Bans Plastic Bags;

https://www.forbes.com/sites/trevornace/2019/04/23/new-york-officially-bans-plastic-bags/?utm_source=FACEBOOK&utm_medium=social&utm_term=Valerie%2F&fbclid=IwAR1jRcTxy_oToeyTPqXAmdH412zDbL-J9CQVzNGAEfxhgFCCTNaYN9r9xiM#1333b5a15b77

 

 

 

 

廃プラの輸出入禁止(バーゼル条約)について

日本は、ノルウェーとの共同提案で、バーゼル条約に汚れた廃プラを加えることを提案している。

飲み残しの入ったペットボトルや泥のついたビニールシートなどを輸出入禁止にするため、とのことだ。

それについての会議が29日に始まった。

汚れた廃プラを輸出入禁止にするのはよいことだと思う。問題は、それを国内でどう処理するのか、そもそもそれらを発生しないようにする術はないのか、ということではないだろうか。

現状を見ると、発生量はそのままで、発生後の処理法はせいぜいが「サーマルリサイクル」だ。

もっと抜本的な対策も考えて欲しいと思う。

そうでなければ、たとえ汚れた廃プラを輸出入禁止にできたとしても、G20で日本がアピールできるような「成果」にはなり得ないのではないか。

<参考>

日本経済新聞(2019.4.30)「汚れた廃プラの輸出規制協議 バーゼル条約会議が開幕」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44353440Q9A430C1000000/

「汚れた廃プラ、輸出入禁止に=バーゼル条約で提案-環境省」

https://www.nippon.com/ja/news/yjj2019022700342/

 

ペプシコ vs コカコーラ、ペプシコが自動炭酸飲料機で一歩リード?!

以前、米コカ・コーラが、回収100%を目指すとグローバルプランで表明したときは感心した。

しかし、日本コカ・コーラに回収意欲は、全く感じられなかった。少なくとも、その後発表されたビジョンを読む限りでは、自治体頼みの姿勢が透けて見えた・・

一方、ペプシコは昨年、脱プラスチックを表明しているソーダストリームを買収した。

ペプシコは、従来のペットボトル飲料が売れても、ペットボトルが売れずにソーダストリームの家庭用炭酸水メーカーが売れても、どちらでも儲かるようにしたのか?と思っていたところ、それだけではなかったようだ。

なんと、マイボトル用の炭酸飲料自販機(全自動炭酸飲料機)を開発したとのこと。

従来の給水器では、水のみだから、水以外を飲みたい人は、ペットボトルなどを購入する。

しかし、これならば、コーラやその他の炭酸飲料を飲みたい人でも満足できる。自分好みに甘さや炭酸濃度を調整できるならば、マイボトルを持つ人が格段に増えるかもしれない。

脱プラスチックに向けて、ペプシコの発想は素晴らしい。日本でも早く売り出して欲しいと思う。

日本コカ・コーラがこれを上回るには、自治体頼みの回収姿勢を改め、デポジット制度により販売したペットボトルを自ら100%回収するしかないのではないか。

<参考>

EXCITE ニュース(2019.4.26)「プラスチックごみ全廃をめざして!ペプシコが開発したマイボトル専用の全自動炭酸飲料機が話題に」

https://www.excite.co.jp/news/article/Techable_98654/