マイクロプラスチック 大西洋の深海魚の70%に

アイルランド国立大学の研究チームが大西洋の深さ300〜600メートルにいる深海魚の体内に、マイクロプラスチックが蓄積していることを突き止めた。

研究チームは、2015年にカナダ沖合で、体長3センチほどのハダカイワシやヘビトカゲギスなど7種類計233匹の深海魚の消化管の中を調べたところ、73%にあたる171匹から平均2個程度のプラスチックが見つかった。

以前の調査では11%の検出率だったとのことで、かなり上昇している。

<出所>

日経新聞(2018.7.15)「深海魚の70%にプラ粒子 大西洋、人にも悪影響の恐れ」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33023200V10C18A7000000/

マイクロプラがサンゴ白化の原因に 小さいプラほど体内に留まる傾向

東京経済大学の研究チームによると、マイクロプラスチック(MP)はサンゴの白化現象を引き起こし、死滅させることもある。

シナキクメイシというサンゴの幼体21匹に、直径0.003ミリの粒状のMPを混ぜた餌を与え、MPを食べさせなかった幼体と比較した。水槽に褐虫藻(サンゴと共生関係にある)を放ったところ、MPを食べさせなかった幼体は、全て褐虫藻を入れた直後から共生がみられたが、体内にMPが蓄積された幼体は、共生できたのは1日後で5匹、2日後でも10匹にとどまった。

また、MPは食物連鎖を通してサンゴに蓄積されることも分かり、新たに取り込まなければ徐々に排出されるものの、小さいMPほど体内にとどまりやすかったとのことである。

<出所>

毎日新聞(2018.7.15)「プラスチック危機 微小粒子、サンゴ白化の引き金」↓

https://mainichi.jp/articles/20180716/k00/00m/040/081000c?fm=mnm

 

豪雨でプラスチック原料流出

岐阜県関市のプラスチック加工会社から、テープ状のポリエチレン樹脂が数百個(数十トン)流出したとのこと。

豪雨による川の氾濫が原因とのことなので、やむを得ないことではあるが、今後このテープ状のものが細片化した際の河川や海洋への影響が心配だ。

<出所>

日経新聞「プラスチック原料流出 豪雨で数十トンか、岐阜・関」2018.7.13↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32956080T10C18A7CN0000/

海洋ごみ問題に関する意見書が次々採択

東京都三鷹市議会で、海洋プラスチックごみ問題についての意見書が採択されたと聞いて、これまでどのくらいの議会から国へ意見書が提出されたのかを調べてみた。

大阪市、福島県、北海道、岩手県、香川県・・・と続く。結構多く全部は調べきれそうにない。

大阪市会「海洋ごみの処理推進を求める意見書」平成29年2月24日可決↓

http://www.city.osaka.lg.jp/shikai/page/0000392127.html

福島県議会「海洋ごみの処理推進を求める意見書」平成29年3月17日↓

https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/207160.pdf

北海道議会「海洋ごみの処理等の推進を求める意見書」平成29年3月22日原案可決↓

http://www.gikai.pref.hokkaido.lg.jp/_/gian/iken29-1-2.pdf

岩手県議会「海洋ごみの処理推進を求める意見書」平成29年7月7日↓

http://www2.pref.iwate.jp/~hp0731/teireikai/h29/h29.6teireikai/hatugian09.pdf

香川県議会「海洋ごみの処理推進を求める意見書」平成30年3月2日↓

http://www.pref.kagawa.lg.jp/gikai/jyoho/ketsugi/3002_t04.htm

三鷹市議会「全ての命を守るためプラスチック海洋ごみの発生抑制・削減を求める意見書」平成30年6月29日↓

http://www.gikai.city.mitaka.tokyo.jp/activity/pdf/2018ikensyo11.pdf

プラスチックの誕生は人類に大きな文明をもたらし、私たちは生活をエンジョイしてきた。しかし、その影で海や環境に深刻な影響を及ぼし、生命への悪影響を与えていることに人類は気がついた。
国際環境NGOグリーンピースの調査によれば、その影響は次のとおりである。
「過去10年で製造されたプラスチックの量は、その前の100年間に製造された総量を超えています。プラスチックの大量生産による海の汚染は、気候変動や乱獲と並んで、海への最大の脅威の一つとなりました。 今では、海はあらゆる種類のプラスチックですっかり汚染されています。海に落ちたり捨てられたりした漁具、ビニール袋、ボトルキャップ、台所用品、吸い殻のフィルター、食品の包装材、ストロー、そして衣類に使われるマイクロファイバーや化粧品などに使われるマイクロビーズなどのプラスチックです。海の生き物にとってこうした大量のプラスチックごみが与える影響は悪化する一方です。
海のプラスチック汚染が生き物に与える影響には、内臓の閉塞や漁網などが絡みつくなどの体の損傷のほか、酸化ストレス、摂食行動の変化、エネルギー配分の減少などの影響があります。
プラスチックが自然に分解されるには100年から1,000年かかると考えられています。しかし海中では、微生物がプラスチックを分解することはありません。プラスチックは小さく砕かれるだけなのです。
イルカや鯨など48種類の鯨類で、海洋ごみの経口摂取が確認されています。摂取されたごみのうち46%がプラスチックでした。ウミガメや9割の海鳥がプラスチックを食べると考えられています。プラスチックは海に流れ着きます。海洋ごみの6割から8割がプラスチックであると考えられ、影響は極めて深刻です。毎年1,270万トンものプラスチックが海に流れ込んでいます。」と。
事態は深刻度を増しているが、アメリカ、インド、モロッコなどの国の幾つかの自治体では、完全にプラスチックを使用禁止、またはポリエチレンのような特殊な形でのプラスチックの使用を禁止することで、プラスチック汚染問題に制御をかけている。インドのカルナータカ州政府は、プラスチックの使用を完全に禁止した。サンフランシスコはプラスチックのレジ袋の使用を禁止した最初の都市となった(2007年)。さらに、2014年には、プラスチックボトルを市の施設内で使うことを禁止した。
2015年、G7エルマウ・サミットにおいて、プラスチックごみによる海洋汚染が取り上げられ、海洋ごみ対策はグローバルな課題として初めて世界中の人々が認識した。2016年G7伊勢志摩サミットにおいても、海洋ごみの発生抑制及び削減に向けた対策を立てることが確認されている。にもかかわらず、2018G7シャルルボワ・サミットにおいて深刻化する海のプラスチックごみを減らすための数値目標を盛り込んだ「海洋プラスチック憲章」に、日米両国政府は署名しなかった。
本市が収集するごみの総量は、2016年度4万7,694トン、内プラスチックごみは3,833トンである。容器包装リサイクル法を発生抑制(リデュース)、再利用(リユース)を重視した内容に早急に改正し、プラスチックボトルをガラス瓶に切りかえることを促進する必要がある。また、投棄されたプラスチックごみを回収する仕組みを早急に確立しなければならない。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、下記のことを強く要望する。

1 容器包装リサイクル法を発生抑制(リデュース)、再利用(リユース)を重視した内容に早急に改正し、プラスチックボトルを代替品に切りかえることを促進すること。
2 海洋ごみの主要な発生源となっている河川について、国管理河川以外の河川管理者の厳しい財政状況に鑑み、国による新たな財政措置を含む発生源対策を確立すること。
3 「地域グリーンニューディール基金」のような市町村が迅速かつ機動的に活用できる海洋ごみ対策を推進すること。
4 海洋プラスチックごみについて、国際社会と連携してグローバルな視点から発生抑制及び削減に全力を挙げること。
5 マイクロプラスチックを含む海洋ごみの量等の実態を把握するための調査をさらに促進し、国民の生命だけではなく、全ての生命の危機回避するための研究を進め、対策を実行すること。
上記、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
2018年6月29日

中川環境相 海洋プラスチックごみ対策を中央環境審議会に諮問

中川環境大臣が、7月13日、プラスチックごみの海洋汚染問題の対策を中央環境審議会に諮問した。

中央環境審議会では「プラスチック資源循環戦略小委員会」を設置し、プラスチックの資源循環を総合的に推進するための戦略の在り方について検討する。

具体的には、今年度内に、先般のG7で署名しなかった「海洋プラスチック憲章」の事項や数値目標などを検討し、日本でも可能な事項や目標値を設定するものと考えられる。その上で、それを来年のG20で披露するつもりだろう。

<出所>

環境省「中央環境審議会循環型社会部会議事次第・資料」↓

https://www.env.go.jp/council/03recycle/post_136.html

 

 

スタバ 世界中の店舗でプラスチック製ストロー廃止

ストローなど使い捨てプラスチック製品禁止の条例が施行されたばかりのシアトルに本社を置くスターバックス。このスタバが、9日、プラスチック製の使い捨てストローの使用をやめると発表した。

2020年末までに、世界で2万8000店以上あるすべての店舗で廃止するそうだ。同社が1年間に提供するプラ製ストローは10億本。廃止理由は、海洋プラスチックごみ汚染対策である。

まず北米の8000店舗で、一部の冷たい飲み物は、蓋に吸い口のついたカップで提供。「フラペチーノ」は、紙製か自然分解されるポリ乳酸性のストローに切り替えるとのことだ。

ポリ乳酸製の自然分解力は心許ないので、ストローは必要な人のみ紙製でお願いしたい。

おそらく北米や欧州、インド、台湾など環境対策の進む国でまず切り替え、日本などは最終段階だと思われる。早急に切替を進めて欲しいものだ。

<出所>

日経新聞(2018.7.10)「スタバ、プラ製ストロー全廃へ 年10億本削減」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3279840010072018000000/

Bloomberg(2018.7.9)「スターバックス、使い捨てプラスチックストローを20年末までに廃止」↓

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-07-09/PBLPVG6TTDS001

<関連記事>

シアトル プラ製ストロー、ナイフ、フォーク等の提供禁止

スターバックスがロンドンで使い捨てカップの有料化実験

 

 

インド マハーラーシュトラ州のプラスチック禁止令

2018年から施行されたインド・マハーラーシュトラ州のプラスチック禁止令の詳細が公表されている。

対象は、ストローや食器類 (スプーン、フォーク、カップ、コップなど)、包装や保管に使われるラップ、食品用プラスチック包装など。

小型ペットボトル(500mL)、医薬品・ごみ・農産物用の包装、製造段階で材料を包むプラスチック、50ミクロン以上の食品用プラスチック袋、同じく50ミクロン以上のミルクパウチなどは対象外とのことである。

小売段階での使い捨てプラスチックは厳しく取り締まるが、衛生などに関わるプラスチックに関しては、とりあえず現状維持という合理的な政策だ。

インドでは安全な水がどこでも手に入るわけではないため、500mLのペットボトルは禁止対象外とされたようである。

*補筆 ジェトロによると、500mL未満のペットボトルは禁止とのこと(当初は500mL以下と記載されていたが、同州の変更に伴い500mL未満に修正された)。使用済みのペットボトルは買い戻しシステムにより、数ルピーの買い戻し金額を設定する。領事館とジェトロ、双方の情報を合わせて考えると、同州では500mL以下を禁止しようとしたが、反対が強く、禁止は500mL未満のペットボトルとされたようだ。

ジェトロ「MH州、プラスチック製品の使用禁止を発表」↓

https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/04/eff2ebd01c02ddcc.html

<出所>インド領事館「マハーラーシュトラ州におけるプラスチック禁止令の施行」↓

http://www.mumbai.in.emb-japan.go.jp/jp/ryoujikankeishotetsuzuki/notice/2018.6.22マハーラーシュトラ州におけるプラスチック禁止令の施行.pdf

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インド 使い捨てプラ禁止違反でマックやスタバに罰金

国連大学とペットボトル

先日、国連大学にて開催されたエコロジカル・フットプリントの考案者であるウィリアム・リース先生の講演会に参加した。

講演会開始前、司会者が「飲料につきましては、キャップのできるペットボトル飲料の水・お茶のみ会場内で飲むことができます。」とアナウンスしたので、驚いた。

え!ペットボトルの水とお茶だけ?水筒はダメなの?

聴衆は外国人も多く、外国人は水筒を持参している人が少なくなく、ペットボトル持参者はいなかった。日本人は水筒持参者もいたが、ペットボトル持参者も少なからずいる。

ペットボトルしか許されていないのならば、水筒をバッグにしまうべきかとも考えたが、講師やパネラーの席にはペットボトルではなく、コップに入った水が置かれている。

水筒持参者は全員司会者の注意を無視し、水筒を使い続けていた。

国連大学の中は、なぜペットボトルの水とお茶しか飲用してはいけないのか?国連環境計画(UNEP)は使い捨てをやめようと言っているのに、国連大学ではペットボトルを推奨しているのか?などと考えながら、リース先生のオーバーシュートの話を聞いた。

小型ペットボトルを多用している限り、オーバーシュートは避けられないだろうと思う。

タイやベトナムもプラごみ輸入規制に乗り出す

中国が廃プラや未選別古紙の輸入を禁止したことに伴い、輸入量が急増していたタイやベトナム。

タイは「廃プラや電子機器関連などの資源ごみを違法に輸入する業者が増加。焼却処分する際の悪臭や不法な埋め立てなどが社会問題となり、警察当局が輸入業者などへの取り締まりを強化している。港湾では大量の廃棄物や資源ごみを積んだコンテナが多数発見されている。現地メディアは「不法に輸入した業者は法的な措置を受け、積み荷は(輸出国に)送り返す」との政府関係者のコメントを伝え、政府が資源ごみの輸入を規制する方針」とのことである。

ベトナムも「政府は6月、資源ごみの輸入などを一時的に制限する措置を講じており、今後本格的に適用されるとの見方もある」とのこと。

当然だが、資源という名のごみは、どこの国でも要らない。自国処理が原則だ。

日本も、廃プラ輸出先を探すよりも、使い捨てプラスチックを規制する方向で進むべきだろう。

<出所>

日経新聞(2018.6.5)「世界のリサイクル網転機 アジアで資源ごみ輸入規制」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32634150V00C18A7MM0000/

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中国のごみ輸入規制は日本へのモーニングコール

東京都 G7の海洋プラスチック憲章を支持

東京都は、日本が署名を見送った「海洋プラスチック憲章」を支持することを明らかにした。

「小池百合子知事は6月30日、小笠原諸島の米国からの返還50周年式典で「G7の憲章を強く支持する」と語り、「産業界や非政府組織(NGO)などと連携し、使い捨てプラスチックの削減を推進する」と述べた」(日経新聞)。

レジ袋やペットボトルなど海洋を汚染しているプラスチックごみを減らすことに賛成したということである。

それならばまず、都で開催しているレジ袋の検討会で、レジ袋の無償配布を禁止する条例化に取り組んではいかがだろうか?

かけ声はもちろん大事だが、実効性のないキャンペーンではなく、国に影響を与えるほどの環境政策を都には示してほしい。

<都の憲章支持表明についての出所>

日経新聞(2018.7.4)「環境対策も都独自、プラごみ削減のG7憲章を支持」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32567790T00C18A7L83000/