レジ袋有料化が進むオーストラリアで、2018年8月1日、大手スーパー「コールズ」が有料化に強く反対する一部の顧客に屈し、プラスチック製レジ袋を無期限で無料配布することを発表した。
すると、ツイッターでコールズへの批判が相次いだという。
<出所>
liveddor NEWS(2018.8.1)「プラ製のレジ袋の提供を続ける豪のスーパー SNSで批判が殺到」↓
http://news.livedoor.com/article/detail/15096556/
旧「環境にやさしい暮らしを考える」のブログです。持続可能な暮らしに関連するニュースや、気になった環境情報を紹介します。専門は環境経済学です。
レジ袋有料化が進むオーストラリアで、2018年8月1日、大手スーパー「コールズ」が有料化に強く反対する一部の顧客に屈し、プラスチック製レジ袋を無期限で無料配布することを発表した。
すると、ツイッターでコールズへの批判が相次いだという。
<出所>
liveddor NEWS(2018.8.1)「プラ製のレジ袋の提供を続ける豪のスーパー SNSで批判が殺到」↓
http://news.livedoor.com/article/detail/15096556/
今年3月、国としてデポジット制度を採用することを決めた英国で、大手スーパーが国に先駆けてデポジット制度を開始している。
英国のスーパーMorrisonは、英国内の2店舗に自動回収機を設置し、ペットボトルを入れると店で利用できるクーポンか、あるいは慈善団体CLIC Sargentに1本につき10p寄付できる。
一日最大20本で、寄付ならば1本10p(16円程度か)の現金、クーポンの場合は一日最大100ポイントとのこと。
少なくとも日本のスーパーなどでよく見かける0.2円分のポイント(500本集めないと100円にならない!)しかつかないペットボトルの自動回収機より散乱防止効果がありそうだ。
Morrisonは最近、プラスチック使用を減らすため、買い物客が肉や魚を買う際に、みずから持参した容器を使うことを認め、さらにプラスチック製透明袋の代わりに茶色の紙袋を置いている。
<出所>
Climate Action(2018.7.18)Morrisons supermarket to trial plastic bottle return scheme;
Morrisons launches plastic bottles deposit return scheme trial
昨年8月、世界で最も厳しいといわれたレジ袋禁止法が施行されたケニアでは、「100%とはいえないが禁止法はうまくいっている」(国家環境管理庁副長官)とのこと。
以前は、食肉処理場で10頭に2〜3頭の割合で牛の胃袋からポリ袋が見つかっていたが、誤飲は減り、戸惑っていた市民も布製バッグなどを持ち始めた。
しかし、青空市場で野菜などを売る店は、持ち帰り用に繊維でできた袋などを置き、それを無料で渡しているが、ポリ袋より高価なため利益は半減。ポリ袋を使って売ろうとして逮捕される例もあったという。
ケニア製造業者協会(KAM)は、禁止令に反対し裁判をおこしたが敗訴。方針を転換し、次の禁止対象とされるペットボトルの自主回収など廃棄物管理に関与することで、業界の意見を聞いてもらおうとしている。
「プラごみによる汚染は人々の健康を脅かし、ケニア経済の多くを占める観光収入の減少を招いてきた」(政府顧問を務める環境専門家)。
ケニアの今後の課題は、ポリ袋以外のプラスチックも禁止することと、既に処分場(ごみの山)に集まっているこれまで使ったプラスチックごみを処理することであり、また、人々の家にたまっているプラスチックの回収・処理システムの構築である。
<出所>
毎日新聞(2018.7.30)「ポリ袋「ノー」 ケニアの挑戦(その1)「世界で最も厳しい」禁止法」↓
https://mainichi.jp/articles/20180730/ddm/001/040/192000c
毎日新聞(同)「ポリ袋「ノー」 ケニアの挑戦(その2止) ポリ袋使用、まさかの逮捕 厳罰立法、市民の怒り後押し」↓
https://mainichi.jp/articles/20180730/ddm/003/040/068000c
毎日新聞(2018.7.29)「世界で最も厳しいポリ袋禁止法 ケニア」(動画)↓
家具大手のイケアは先月、2020年までに店舗やレストランからのすべての使い捨てプラスチック製品を段階的に廃止する方針を発表した。
対象は、プラスチック製ストローや皿、カップ、冷凍用袋、プラスチックでラミネートされた紙コップや紙皿などで、代替製品に置き換えるとのこと。
とてもよいことだと思う。
しかしイケアには、無印良品などと同様、ビーズソファやビーズクッションなども売られている。これらはもちろん使い捨てではないが、あまり長持ちしない製品である。たとえ補充用ビーズが売られていたにせよ補充しながら長年使う人が多いとは思えない。
廃棄時にも気を使う。処分方法によっては、中身のマイクロビーズが飛び散らないかと気になって仕方がない。もし飛び散った場合、細かいから回収は不可能だろう。
世界のマイクロビーズ規制は、パーソナルケア製品が中心だが、このような製品にも規制をかけるべきではなかろうか。
環境をウリにするならば、このような製品の販売も自粛してほしい。
スウェーデンの家具チェーンはすでに石油系プラスチック製品を段階的に廃止することを約束している。2020年8月までにはすべてのプラスチック製品にリサイクル材を使用するとのことだが、この手の製品は率先して廃止すべきだ。
<イケアの使い捨てプラスチック製品廃止についての出所>
The Guardian(2018.6.7)Ikea commits to phase out single-use plastic products by 2020,
<関連記事>
スターバックス(2020年までに全世界で)やマクドナルド(英国とアイルランドのみ)など、ストローをプラスチック製から紙製に切り替えると発表するファーストフードチェーンが増加している。
アメリカン航空も、プラスチック製ストローの提供を中止すると発表した。欧州の航空会社も、国がプラスチック製ストローを禁止する方針を打ち出しているところは、早晩紙製に切り替えるかあるいは中止すると発表するだろうことは想像に難くない。
ストローが鼻に突き刺さったウミガメを押さえ、ペンチでストローを抜こうとしている動画が世界中に配信されてから、世界の流れが「たかがストロー」から「ストローは危険」という考えに大きく変わった気がする。
そんな中、日本の動きは相変わらず鈍いと思っていたところ、「プラ製ストローは日本では廃止されない?」という記事を見た。
ストローの国内トップメーカーの主張によると、コストと品質の問題らしいが、それに加えて処分方法をあげる。
欧米はごみを埋め立てるが、日本は焼却するため、埋立地からストローが流れ出すことはない、そのため日本でストローのリサイクル率を上げれば、CO2削減にもなるから問題ない、という主張だ。
しかし、今後日本がストローを焼却せずリサイクルするようになったとしても、脱プラスチックの流れは変わらないだろう。(*仮にリサイクルするようになったとしても、そのリサイクル費用を誰が負担するのか?生産者責任を適用するならば、プラスチック製ストローの価格は確実に上がりコストメリットはなくなる。)
どんなに啓発しても、ごみをポイ捨てする人はどこの国にもいる。また、自分ではきちんと処分したつもりでも、意図せず処分行程から漏れ散乱することはいくらでもあり得る。
それらが環境に悪影響を与えるならば、製品の素材を変更するか、使用を禁止するのは当然で、日本は変更しなくて大丈夫、などという根拠はどこにもない。
<参考>
産経ニュース(2018.7.13)「プラ製ストローは「日本では廃止されない」? 国内トップメーカーが主張する理由」↓
https://www.sankei.com/economy/news/180713/ecn1807130013-n1.html
ナショナルジオグラフィック(2015.8.20)「鼻にストローが刺さったウミガメを救助」↓
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/081900226/
海流や風の影響か、ドミニカ共和国に突如、大量のプラスチックごみが漂着し、軍や地元当局、市民らが連日清掃作業に追われているそうだ。
ここ数日で60トン回収したが、毎日新たなごみが流れ着くとのこと。
海水が見えないほどのこの大量のプラスチックごみは、一体どこから来たのだろう?
TBS NEWS(2018.7.21)「ドミニカ共和国に大量のプラスチックごみ漂着、軍などが清掃活動」↓
漂着ごみや散乱ごみの調査やとりまとめをしている非営利団体のJEANが、日本とアメリカが拒否した海洋プラスチック憲章への署名を呼びかけるため、署名キャンペーンを開始した。
「プラスチックごみによる海洋汚染は国際問題です。日本政府も国際社会の一員として一日も早く『海洋プラスチック憲章』に署名し、世界の動きに追いついてください」↓
一般社団法人JEAN↓
JEAN版プラスチック憲章全文仮和訳↓
使い終わったペットボトルの約半分はこれまで中国に輸出されていたが、中国の輸出規制のため、日本は国内リサイクル量を至急拡大させる必要がある。
これまではランクの落ちるペットボトルのベールは中国に買い負け、日本のリサイクル工場の処理容量は余っていた。しかし、今は容量不足だ。
この容量不足を補うために、各地で工場が増設されている。
例えば、西日本ペットボトルリサイクルは現在、年1万トンの再生PET樹脂を生産しているが、約12億円投資し、2019年1月から1万5000トンに引き上げるとのこと。
また、トレイ大手のエフピコは、既に関東エコペット工場に設備投資を行い事業拡大を進めていたが、さらに筑西工場(茨城県)の隣接地に食品容器の新工場を建設する(日経新聞2018.5.3)。
さらに、日本環境設計は、ペットボトルや古着から取り出した再生材で作る同社ブランドの衣料品を販売するとのことである(日経新聞2018.5.19)。
ペットボトルなど使い捨てプラスチックは減らすべきで、使わないほうが良いのは明らかだが、日本にこのようなリサイクルの受け皿ができることは、「燃やさない」「海外にごみを出さない」という2点において、有り難いことだと思う。
それにしても、国は来年のG20までに、使い捨てプラスチックをどの程度本気で規制するつもりだろうか。
<参考>
日経新聞(2018.5.3)「エフピコ、茨城に新工場 40億円投資、食品容器生産」↓
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO30095080S8A500C1LCC000/
日経新聞(2018.7.19)「廃プラ日本滞留、中国輸入停止で 再利用策急務に」↓
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33111530Y8A710C1TJ2000/?n_cid=NMAIL007
海外のプラスチック削減取組を見ていると、日本の対応の遅さが目立つ。
毎日新聞に「危機感ない日本政府」とあったが、まさにその通りで、危機感のかけらも感じられない。
そのせいか、NHKの料理番組を見ていても、相変わらずプラスチック製のジッパー付き袋やラップ、手袋などを大量に使い、まるでプラスチックなしでは挽肉もこねられない、料理もできない、冷凍も冷蔵もできない、電子レンジもかけられない、という錯覚に陥るほどだ。
G20までに策定するという「プラスチック資源循環戦略」では、まず熱回収や高炉利用のケミカルリサイクルをリサイクル率に含めることなく計算しても、他国に劣らないような目標値をぜひ設定して欲しいものである。戦略を練るのは、目標値を設定してからでよい。
<参考>
毎日新聞(2018.7.17)「プラスチックごみの海洋汚染 危機感ない日本政府」↓
国際連合広報センターが公開している動画で、ミズナギドリの解剖シーンがある。
ミズナギドリの食べたプラスチック量を人間に換算すると、ピザ12枚分に相当するとのこと。
このまま人間がプラスチックを使い続ける限り、プラスチックでお腹をいっぱいにして死ぬ水鳥やクジラは、これからもあとを絶たない。
国際連合広報センターが、ビデオ「プラスチックの海」を公開している↓