川のマイクロプラスチック 23%が人工芝、広島ではカキ養殖パイプ実態調査へ

「ピリカ」が今年5月から9月にかけて、関東や関西、米ニューヨークの河川や港湾計38カ所を調査した。

38カ所中37カ所からマイクロプラスチックが検出され、最大は大阪市内の大川(旧淀川)で1m3当たり19.8個。東京のお台場の水の広場公園で同17.6個。対するニューヨークでは最大1.29個で、日本のプラスチック汚染度が浮き上がったとのこと。

プラスチック片のうち、23%は人工芝だったそうだ。

ピリカでは浮遊状況を公開している。

ピリカ「マイクロプラスチック等浮遊状況データベース」↓

https://opendata.plastic.research.pirika.org

また、広島県は、カキ養殖パイプの散乱が多いことを受け、実態調査を今秋から開始する。

<参考>

環境金融研究機構(2018.10.15)「東京、大阪の河川・港湾部でのマイクロプラスチック汚染、民間調査で判明」↓

http://rief-jp.org/ct12/83689

毎日新聞(2018.10.12)

 

 

レジ袋有料化にまさかの「ポイント付与」加わる!?

海洋プラスチック汚染はいまや待ったなしの状態で、使い捨てプラスチックは早急に減らす必要がある。

中でもレジ袋は、生物への悪影響や代替品の存在、使用時間の短さなどから「なくてよいもの」の筆頭だ。そのため海外では、既にレジ袋を60カ国以上の国で規制し、フランスやケニアなど既に禁止している国も多い。

しかし日本では、レジ袋禁止は難しいだろうと思っていた。イギリスや中国と同様に「有料化」で進むだろうと。

しかし、一昨日発表された環境省の提案はなんとポイント付与でもOKにするようだ。

環境省が、レジ袋の有料化や辞退する客へのポイント付与といった「プライシング(価格付け)」を、スーパーやコンビニなどの小売店舗に義務付ける方針を固めたことが12日、分かった。容器包装リサイクル法などの関連法改正も視野に、19日に公表する「プラスチック資源循環戦略」の素案に盛り込む。

この期に及んでまだ「ポイント付与」とは・・・開いた口が塞がらない。

最低でも「有料化」だろうと思っていた。「ポイント付与」と有料化とでは効果に雲泥の差がある。

一体誰がジャマをしているのか。少し前までの報道には、環境省は小売店でレジ袋を有料化する方針としか書かれていなかった。しかし、にわかに「ポイント付与」が加わった。

セブン・イレブンが有料化を検討しているという『オルタナ』の報道により、これで有料化はスムーズにいくだろう、と思っていたが、その後の報道でセブン・イレブンがその件で口を閉ざしている様子が感じられた。そのため、セブン・イレブンは環境省から自らに有利な条件(例えば、5円はイヤだ イトーヨーカドーと同様2円にしたい、だからレジ袋辞退率の目標を設定せず単に「有料化」であればよいとせよ、など)を引き出すための交渉で迷っているフリをしているだけだろうと思っていた。

しかし、まさか「ポイント付与」などというほとんどレジ袋が減らないことまで条件に加えるとは思っていなかった。

セブン・イレブン以外の大手コンビニで、有料化を嫌がるところがあるとは思えないが・・・まさかローソンが嫌がっているのだろうか?

しかし、ローソンは既に新潟県佐渡市内の8店舗で有料化を実施している。有料化によるレジ袋辞退率の効き目を十分知っているはずだ。セブン・イレブンが「有料化」のリーダーシップを取ろうとしていることに、ケチを付けるためだけに、これほど重大なことを言い出すとは考えにくい。

一体、誰が「ポイント付与」などということを言い出したのかわからないが、それを真に受ける環境省は本当に情けない組織だ。この「ポイント付与」が、どれほどレジ袋削減に効果がなく、その上有料化協力店の足を引っ張る愚策だということを、環境省は知っているはず。環境省の背後で、経産省や経団連がにらみをきかせているのだろうか?

それとも、消費税10%を予定通り強行したい自民党が、レジ袋有料化を和らげるため「ポイント付与」などという馬鹿げた提案をプラスチック戦略会議の「素案」に加えるよう、原田環境相を説き伏せたのだろうか?

いずれにせよ、レジ袋の海洋への悪影響はストローの比ではない。タイで瀕死の状態で見つかったクジラのお腹から、80枚ものプラ袋が出てきたこともまだ記憶に新しい。

このような低レベルの「戦略」がG20で発表されれば、世界からヒンシュクを買うことは間違いない。

(補筆2018.10.16)日経新聞(2018.10.16)によると、環境省は、コンビニにもレジ袋有料化を義務付け、レジ袋1枚当たり数円の支払いを想定しているとのこと。一体どちらが本当だろうか?コンビニやスーパーでは有料化し、もっと小さい個人商店はポイント付与ということだろうか?

日経新聞(2018.10.16)「コンビニでもレジ袋有料化 環境省、数円を想定」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36493620V11C18A0MM8000/?n_cid=NMAIL007

(補筆2019.12.26)

12月25日開催のレジ袋有料化検討小委員会で、環境省からレジ袋価格は1円以上にするという説明があった。

https://www.env.go.jp/recycle/council/03recycle/yoshi03-13.html

<引用文の出所>

JIJI.OM(2018.10.12)「有料化、ポイント付与を義務に=レジ袋削減へ取り組み強化-環境省」↓

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018101201218&g=eco

ハザードラボ(2018.6.5)「悲報!漂着したクジラの腹からビニール袋80枚8kg分!タイ」↓

https://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/5/25074.html

農水省 プラごみ削減有識者懇談会を開催

最近プラスチック問題の動きがめまぐるしく、フォローしきれていないが、今度は農水省がプラスチックごみ削減のための有識者懇談会を開催するとのこと。

有識者には大学院教授のほか、環境省や経産省の代表も参加。29日に初会合だそうだ。

懇談の内容は、食品容器包装のほか、レジ袋や飲料カップ・フタなど食品産業の関わるプラスチック全般が対象。

初会合は10月29日。来年3月までに3回開催し、食品産業の今後取り組むべき方向性をまとめるとのこと。

環境省の3回のプラごみ戦略会議もあと残り1回を開催した後、パブコメに入るようだ。市民団体を含め、各方面の動きが慌ただしい。

<出所>

時時通信(2018.10.11)「プラごみ削減へ有識者懇談会=食品の容器包装-農水省」↓

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018101101149&g=eco

毎日新聞(2018.10.11)「農水省 プラごみ削減へ有識者会議 対策とりまとめ」↓

https://mainichi.jp/articles/20181012/k00/00m/020/110000c?fm=mnm

 

豪クイーンズランド州 11月1日からデポジット制度開始

オーストラリア大陸の4分の1を占め、2番目に大きい州であるクイーンズランド州で、2018年11月1日から飲料容器のデポジット制度が開始される。

州内には飲料容器と引き換えに、デポジット(預り金)を払い戻すためのリファンドポイントが230以上準備された。

デポジットもリファンド(返金)も10セントで、150mLから3Lまでの飲料容器が対象。牛乳やワインは対象外だ。

デポジット制度により、散乱ごみの減少とリサイクル率の向上、さらに新たな雇用などにより、地域経済に利益をもたらすと見込まれている。

<出所>

Queensland Government, “About the container refund scheme”

https://www.qld.gov.au/environment/pollution/management/waste/container-refund-about

名古屋市 ティッシュ外袋を紙へ とても良いがしかし・・・

名古屋市は、これまで啓発用に配布していたポケットティッシュの外袋がプラスチック製であるとして、紙製に切り替える方針を発表した。

とてもよいことだと思う。さすが、ごみ減量に早くから取組み、レジ袋やトレイの削減にも力を入れていた自治体だけある、と尊敬する。外袋が紙製のポケットティッシュが当たり前になれば、街頭でポケットティッシュを受け取ることにも罪悪感がなくなる。

しかし、それによって増える費用を、公共施設内に設置している自動販売機の売り上げの一部で賄う(まかなう)というのはどうだろうか?、

ポケットティッシュの袋の素材を切り替える際の一番の問題はコストで、これまでの4倍ほど、年におよそ6500万円余分にかかるとみられています。

名古屋市では、市役所や区役所などに設置されているおよそ1000台の自動販売機の売り上げの一部が「環境保全基金」に寄付される仕組みを整え、捻出する考えです。

河村名古屋市長:
「生物が食べるということもあるし、名古屋の環境基金になって行けばそれはありがたいことだで、もしそういうことになればありがたいことですよ。賛成ですわ」

マイクロプラスチック削減に向けた名古屋市の取り組みは、来年度から始められます。

何かが違うのでは?

自動販売機は電気も使うし、販売する飲料はペットボトルや缶だ。ペットボトルはもちろん全部が、缶も内面塗装部分が、散乱した場合にマイクロプラスチックになる。

公共施設内にはできるだけ給水器を設置し、市民に水筒持参を呼びかけるのがスジではなかろうか。

環境に良いとはいえないものの売上の一部を使って、環境に良いことをするのは悪いことだとはいわない。しかし、ティッシュの袋の切り替えと同時に、1000台もの自動販売機の設置が本当に必要なのか、見直しをすべきだろう(既に見直しているのかもしれませんが・・)。

さらにいえば、それほど大量のティッシュを配布する必要性も再検討すべき。啓発グッズとして配布しているものが、果たして本当に啓発に役立っているのか、事業消化の自己満足で終わってないか、今一度見直してはいかがだろう?

これまで使ってきたプラスチックをまるまる他のものに切り替える・・だけでも立派だとは思う。が、大量の配布ティッシュが本当に必要なのか、1000台の自動販売機が本当に必要なのか(給水器に置き換えられる場所はないのか)、それについても再検討してほしい。

<参考>

東海テレビ ニュースOne(2018.9.25)「マイクロプラスチック削減で全国初 名古屋市が配布する『ポケットティッシュ』袋素材見直しへ」↓

http://tokai-tv.com/tokainews/article_20180925_63532

北海のフルマカモメの9割から、海氷下の稚魚からもプラスチック片

プラスチックの生産拡大に伴い、海鳥への影響は深刻化し、40年程前から既にその兆候が海鳥に現れていたとのこと。

現在、北海では93%のフルマカモメがプラスチックを体内に取り込み、2010年から2014年にかけて調査した525羽のうち、58%は0.1グラム以上を飲み込んでいたという。

海鳥は、直接海面からプラスチックを取ることで体内に入れる場合もあれば、プラスチックを食べた魚をプラスチックごと捕食してしまう場合もあるそうだ。

また、北極海の海氷の下で採取したホッキョクダラの稚魚の体内からも微小なプラスチック片が見つかるとのこと。

<出所>

毎日新聞2018.9.24

 

歓迎!原田環境相 レジ袋有料化義務づけ検討へ

原田環境相の経歴を見て、何かやってくれるだろうとはまったく期待していなかった・・しかし、閣議後の会見で「プラスチックの無駄な使用を削減していくことが重要だ。具体的な進め方を検討していきたい」と意欲を示したとのこと。

セブン・イレブンの有料化検討報道に「有料化など簡単だ」と思ったのかもしれない。環境大臣が、レジ袋有料化の義務化にも意欲を示した。

ここまで報道されては環境省もあとには引けない。プラスチック戦略会議で「レジ袋有料化の義務化」を明記せざるを得ないだろう。

<参考>

朝日新聞(2018.10.5)「レジ袋有料化、義務づけ検討へ G20に向け具体策議論」↓

https://www.asahi.com/articles/ASLB53623LB5UBQU002.html

YOMIURI ONLINE(2018.10.5)「プラスチック製のレジ袋、有料化を義務付けへ」↓

https://www.yomiuri.co.jp/eco/20181004-OYT1T50136.html

セブンイレブンがレジ袋有料化を検討!ストローはバイオマス素材で

オルタナによると、セブンイレブン・ジャパンがレジ袋有料化を検討すると明らかにしたとのこと。

これまで最も強硬に有料化に反対し、かつ最もレジ袋使用量の多いセブンイレブンが、レジ袋有料化を検討するならば、他のコンビニも追随することは間違いない。

ついでに、セブンイレブンのコンビニコーヒーカップも、タンブラー持参者にはカップをもらわなくてもコーヒーを購入できるようにしてほしい・・

日経ESG(2018.8)によると、セブンイレブンは店内の商材や包装材を環境配慮型にするため、セブンカフェでは、カップに間伐材、ふたにリサイクルPET、ストローにバイオマス素材を使った材料を使い、シャンプーや洗剤の詰替用包材にはリサイクルPETを使う、とのこと。

しかし、現在はタンブラー持参者でカップが不要な人にまでカップを使わせている。

セブンイレブンは全国に約2万店あり、セブンカフェでは年間10億杯を販売しているそうだ。

(後日補筆)

セブン&アイは2030年をメドに、グループでのプラスチック製レジ袋の使用量ゼロを目指すと発表。紙やバイオマス、生分解性といった素材に切り替える(日本経済新聞2019.5.8)。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44513320Y9A500C1HE6A00/

<参考>

alterna

セブン-イレブン、レジ袋有料化検討:コンビニで初

日経ESG(2018.8)「食材、容器、電力を持続可能に」

ウミガメ、プラスチック片1個誤飲しただけでも死亡の可能性

温暖化でウミガメの99%がメスになる可能性がある、というショッキングな研究結果(ナショナルジオグラフィック2018.1.10)が発表されたのに続き、ウミガメについてまた衝撃的な研究結果が発表された。

オーストラリアの連邦科学産業研究機構が、オーストラリア周辺の海岸に死んで打ち上げられたウミガメ約1000頭を分析した。その結果、体内にプラスチックが14片入ると死ぬ確率は5割になると推計されたという。

たとえ1片でも誤飲すると、死亡確率は22%であるとのこと。あるアオウミガメは、ポリ袋やキャンディーの包装など100片以上が体内から見つかったそうだ。

我々がウミガメを見られなくなる日は、そう遠くないのかもしれない。

<出所>

ナショナルジオグラフィック(2018.1.10)「温暖化でウミガメの99%がメスに、オーストラリア」↓

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/011000008/?P=2

JIJI.COM(2018.9.14)「プラごみ、ウミガメ「死の危険」=豪研究機関が初の数値化」↓

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018091400683&g=int

 

 

イルカも海鳥も有害化学物質を蓄積

9月5日付けの学術誌「GeoHealth」に発表された論文によると、プラスチックや化粧品、ペンキなどの身近な製品に添加されているフタル酸エステルという種類の化学物質が、米フロリダ州サラソタ湾のハンドウイルカの体内からみつかったとのこと。

フタル酸エステルは、生殖への影響も懸念される化学物質で、野生のイルカから発見されたのは初めて。調べたイルカ17頭中、12頭から少なくとも1種類のフタル酸エステルが見つかった。

普段フタル酸エステルに接する機会の多い人間と同程度の量が見つかったイルカもいたという。要するに、それだけ海水がフタル酸エステルに汚染されていたということだろう。

また、東京農工大と北海道大学の研究グループが、2008年から2016年にかけて、新潟県粟島のオオミズナギドリや小笠原諸島のクロアシアホウドリなど、世界15地域37種150羽の海鳥を調べたところ、調査した個体の43%から、フタル酸エステルや臭素系難燃剤、紫外線吸収剤など有害物質が検出されたそうだ。飲み込んだプラスチックから有害物質が体内に移行し、蓄積したものと見られるという。

フタル酸エステルは、プラスチックを柔らかくする可塑剤として広く利用されている。「可塑剤工業会によると、2016年の可塑剤の出荷量は25万5000tでそのうちフタル酸エステル系が8割を占め」「コード、ホース、パッキンなどの部品に使われている他、パソコンやテレビなどの機器内の配線や電源ケーブルなど、あらゆる製品に含まれている」とのこと(日経エコロジー, 2018, p.28)。

フタル酸エステル類の4物質(DEHP、BBP、DBP、DIBP)は、2019年7月22日からEUの化学物質規制(RoHS指令)に加わる。企業は欧州域内に、このフタル酸エステル類が規制値を超えて含有した製品を輸出できるなくなる。これを機に、世界中で規制を進めてほしい。欧州ではねられた規制値越えの海外の製品が、日本のように規制の緩い国に、入ってくるのではないかと心配だ。

<出所:イルカについて>

ナショナルジオグラフィックNEWs(2018.9.12)「イルカに化学物質が蓄積、プラスチック添加剤 生殖への影響や発がん性も懸念されるフタル酸エステル、米国」↓

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/091100399/

<出所:海鳥について>

日本経済新聞(2018.10.1)「海鳥にプラごみの有害物質 体内蓄積、4割で確認 」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35943340R01C18A0CR0000/

<出所:フタル酸エステルについて>

日経エコロジー 2018年3月号