マルタで飲料容器デポジット制度がスタート

下記のニュースによると、マルタで7月31日から飲料容器のデポジット制度が開始されたようだ。

循環型経済(サーキュラーエコノミー)実現の一環だ。

デポジット額もリファンド額も0.10ユーロで、容器を指定された場所に返却すると、バウチャーが発行される。

やはりサーキュラーエコノミーを実現するには、デポジット制度が必要なのだ。もしくは、使い捨て飲料容器をすべて禁止するか、のどちらかだろう。さすがに後者を選択する国は今のところなさそうだ。

<関連記事>

マルタ 2019年12月からデポジット制度開始か

<出所>

MONDAQ(2020.8.5)Malta: Circular Economy: Beverage Containers Recycling Regulations In Force;

http://www.mondaq.com/economic-analysis/972896/circular-economy-beverage-containers-recycling-regulations-in-force

 

LOOP、英国で開始 日本は来年に延期か

金属やガラスなどで作ったリユース容器に中身を入れ、容器にデポジットをつけて販売する「LOOP(ループ)」が、今週(水曜日)からイギリスで開始されたそうだ。

ガーディアン紙によると、「日本、オーストラリア、カナダ」は来年とのこと。

日本では都内で今秋から開始する、といわれていたが、どうも延期になったらしい。残念。

小売で唯一参加するイオンだけでも、今秋から前倒しで開始しないかと期待しているが・・どうだろうか。

<参考>

ガーディアン(2020.7.15)↓

https://www.theguardian.com/business/2020/jul/15/uk-launches-first-online-service-for-groceries-in-reusable-packing

<関連記事>

イオン、来年秋からリユース容器で販売開始。LOOPにも参画

 

 

カナダBC州、デポジット制度とEPR対象製品を拡大

1970年から強制デポジット制度を開始しているカナダ・ブリティッシュコロンビア州で、デポジット制度の対象品目を拡大した。

これまでは牛乳と乳飲料を除いたすべての飲料容器が対象だったが、2022年2月1日から、牛乳と乳製品も対象にする。

また、これまで容器を返却した人にデポジットを現金で返金していたが、2020年6月29日からは電子送金(銀行口座振り込み)も選べるようになる。

さらに、スチュワードシッププログラムの品目も増やし、生産者責任を強化するようだ。

<出所>

British Columbia expands EPR and bottle deposit systems

 

欧州の環境NGO、欧州委員会とEU諸国にデポジット制度を要求

欧州の環境NGOは、EUの使い捨てプラスチック指令(SUPD)で規制されているペットボトルの分別収集の実施に関し、懸念を表明している。

デポジット制度が、EUのペットボトルの回収目標である90%を達成するための最も効果的な方法であるにも関わらず、デポジット制度を検討しない国があるためだ。

懸念を表明する環境NGOは、世界的なBreak Free from Plastic(BFFP)運動のメンバーであるDeutsche Umwelthilfe(Environmental Action Germany、DUH)とRethink Plastic Alliance(RPa)。

このEU指令は加盟国に対し、デポジット制度などにより、遅くとも2029年までにペットボトルの90%を分別することを義務付けている。しかし、オーストリアとチェコ共和国では、デポジット制度以外の方法(ごみからペットボトルを分けるなど)で、この個別の収集目標を達成できると議論している。

NGOは、このEU指令についての誤った解釈が、本来の目的を損なう可能性があることを警告している。ペットボトルをデポジット制度で回収することが、使い捨てプラスチックによる汚染を防ぎ、循環経済への移行に大きく貢献できるためだ。

「ペットボトルは、ヨーロッパの川やビーチを汚染するトップアイテムの1つ。このため、ヨーロッパ全土にデポジット制度を導入することが特に重要です。ドイツでは、使い捨て飲料容器にデポジットをかすことで、ポイ捨て防止に大きな効果をもたらしました。これは、98.5%という非常に高い回収率に表れています。ペットボトルがカーブサイド回収によって集められている場合、回収率はかなり低くなります。さらに、ごみから取り出したペットボトルは汚れているため、ボトルからボトルへのリサイクルを危険にさらします。デポジット制度以外では、必要な品質を達成できません。」とのことだ。

きれいなペットボトルが回収された場合に限り、EU指令で設定された再生資源含有量目標を達成できる。指令では、2025年までに使い捨てペットボトルには25%以上の再生資源が含まれる必要があり、2030年までにはすべての使い捨てペットボトルに30%以上の再生資源が含まれる必要がある。

NGOによると、現在、ポルトガル、ラトビア、ルーマニアなどの国が、飲料容器にデポジット制度を導入しようとしている。

また、使い捨て飲料容器にデポジット制度を導入することで、消費者はリユース容器を選択しやすくなるというメリットがあるとのこと。返却場所が同じ場合、使い捨て容器よりもリユース容器の方を消費者は選びやすくなるためだ。

<出所>

RETHINK PLASTIC(2020.5.15)Single Use Plastics Directive: NGOs call on Commission and EU countries to resist attempts to undermine separate collection of plastic bottles;

https://rethinkplasticalliance.eu/news/resist-attempts-to-undermine-separate-collection-of-plastic-bottles/

タスマニア州も2022年までにデポジット制度を導入

オーストラリアで、デポジット制度の導入をまだ計画していないのはタスマニア州だけ、と思っていたが、タスマニア州でも計画していた。
ニュースを見落としていたが、昨年(2019年)環境大臣が、2022年までにデポジット制度を実施すると発表した。
これでオーストラリアは、全土で2023年頃までには制度が導入されそうだ。
タスマニア州では、15年前からデポジット制度の調査をしていたとのこと。これまでは産業界などの反対で導入できなかったが、ようやく環境団体や研究者、地方自治体等の長年のロビー活動が実り、実現の運びとなった。

日本はまだデポジット制度が議論の俎上にも上らない。
日本の環境政策の遅れは、既に周回遅れを通り越してしまった。

<参考>
Tasmanian Government(2019.6.6)Container Refund Scheme for Tasmania;
http://www.premier.tas.gov.au/releases/container_refund_scheme_for_tasmania

EXAMINER(2019.6.6)Tasmanian government commits to introducing container refund scheme;
https://www.examiner.com.au/story/6204168/tasmania-to-implement-container-refund-scheme-by-2022/

新型コロナの影響で、スコットランドのデポジット制度開始を延期

コロナウイルスが各地のデポジット制度に影響を及ぼしている。

来年4月から開始が予定されていたスコットランドでも、コロナ対応に追われ、2022年7月まで開始が延期されることになった。

スコットランドのデポジット制度は、イギリスの他の地域に先駆け、使い捨てのガラスびん、缶、プラスチックボトルにそれぞれ20pのデポジット(保証金)を付けて販売される予定。返却すると、デポジットは全額戻る。

カニンガム環境大臣によると、「気候変動問題の目標達成のための重要手段の1つは、資源を可能な限り使い続ける循環型経済を構築すること。デポジット制度はその一環だ」とのことである。

また、スコットランド政府は、「スコットランドのデポジット制度は、リサイクル率を高め、ごみを減らす効果的な方法であるだけではない。高品質の素材の供給源であり、リサイクルのインフラを開発し、雇用を創出する大きなチャンス」であると分析している。

また、スコットランドのデポジット制度は、毎年費やされる4600万ポンド(約60億円)の税金による清掃費の節約になる上、85,500台もの車を道路から追放するのと同等の二酸化炭素節約効果もあるそうだ。スコットランドの経済規模で60億円というのはかなり大きい。

日本の政府や環境団体も、早くこの認識を持ってくれると良いのだが・・・、日本の大手環境団体の多くは、デポジット制度についてまだ全く関心がないようだ。

<出所>

HOLYROOD(2020.3.17)Deposit return scheme delayed to 2022 to allow businesses time to deal with impact of coronavirus;

https://www.holyrood.com/news/view,deposit-return-scheme-delayed-to-2022-to-allow-businesses-time-to-deal-with_15236.htm

HOLYROOD(2019.7.10)Deposit Return Scheme will increase trade and create jobs, finds Scottish Government analysis;

https://www.holyrood.com/news/view,deposit-return-scheme-will-increase-trade-and-create-jobs-finds-scottish-go_10560.htm

 

 

リトアニア、デポジット制度導入で街がきれいに。住民も大満足

2016年に飲料容器のデポジット制度を導入したリトアニアで、導入2年後にはペットボトルのリサイクル率が74 %に達した。

システムはとてもシンプルで、デポジット(保証金)が上乗せされた飲料を購入した場合、消費後、店舗に設置された自動回収機に空き容器を投入するだけ。消費者には、現金か店で利用できるバウチャーが支払われる(0.1ユーロ/個)。

デポジット制度の対象容器は、缶・びん・ペットボトル。それらの回収率は91.9%に達した。

街が清潔できれいになったことから、消費者の満足度もきわめて高いとのこと。

<参考>

GOOD NEWS NETWORK(2020.3.7)In Just 2 Years, Lithuania Steals The Crown For Best European Recycler By Using an Innovative Return Program

In Just 2 Years, Lithuania Steals The Crown For Best European Recycler By Using an Innovative Return Program

シンガポールもデポジット制採用を発表

3月4日、シンガポールの環境庁(NEA)は、2022年までに飲料容器をデポジット制度で回収することを発表した。

これは拡大生産者責任アプローチの第一段階になるとのこと。

指定された返却ポイントに容器を返却すると、デポジット(保証金)が払い戻される。

世界では、飲料容器を生産者責任によるデポジット制度で回収することが、もう当たり前になってきた。

一方、日本ではペットボトルでさえいまだに税金で回収されている。拡大生産者責任などなんのその。2022年4月から施行される法律も拡大生産者責任の視点はゼロだ。

これがいかに時代遅れで馬鹿げているか・・飲料メーカーは十分知っているはずなのに、容リ法や、その元となった廃棄物処理法の上であぐらをかき、何も変えようとしない。

環境団体もいまだに「サーマルリサイクル」批判に明け暮れているように見える。

<参考>

CNA(2020.3.4)New Deposit Refund Scheme to encourage recycling of beverage containers;

https://www.channelnewsasia.com/news/singapore/deposit-refund-scheme-to-encourage-recycling-budget-2020-12500234

コカ・コーラ、ごみ集積所や回収箱からごみ漏れ出しを確認

先般、日本コカ・コーラと日本財団が海洋ごみの流出経路を調べたところ、東京都と神奈川県を流れる境川流域のごみの約1割が、集積所などから漏れ出したごみだったとのこと。

また、自販機横の回収ボックスからの漏れもあることが確認された。

つまり、回収方法さえ改善すれば、簡単に回避できる海ごみがあるということだ。

日本はいつまでこのような無駄なことをしているつもりか、とつくづく思う。

海外でよく見かけるようなごみを入れるコンテナを各世帯に1個ずつ渡し、そこにごみを入れ、指定日に自宅前に置いておく方式に変更するならば、風やカラスが集積所を荒らし、ごみを散らかすこともない。

ごみの回収に今のようなパッカー車は使えなくなるが、今の方式は作業員が回転板にまかれる事故が散見するし、コンテナを機械的に持ち上げごみを投入する方式の方が、収集作業はラクだろう。

この方式が難しい地域は、ごみ集積所をしっかりしたものに整備するのがよい。できれば屋根付きが望ましい。

また、自販機横の回収ボックスは早急になくすべきだ。ごみはごみを呼び、回収ボックスはどうしたってごみの発生源になる。

デポジット方式での飲料容器回収ならば、回収ボックスなど不要だ。

せっかく大金かけて調査したならば、結果を有効に反映させた回収方法を日本コカ・コーラには考えてもらいたい。

<参考>

朝日新聞デジタル(2020.2.21)「「陸域から河川への廃棄物流出メカニズムの共同調査」調査結果を報告」↓

https://www.asahi.com/and_M/pressrelease/pre_10101122/

ついに豪ビクトリア州で、デポジット制度導入か

オーストラリアでデポジット制度導入あるいは導入予定のない州は、ビクトリア州とタスマニア州の2州のみだった。

しかし、ビクトリア州で、ついに制度導入を決定したようだ。今のところ、2023年のスタートを目指すらしい。

コカ・コーラ・アマティルも制度を支持している。コカ・コーラといえば、昔からデポジット制度を潰すため訴訟を起こしていた企業。それが2017年頃を境にデポジット制度支持に回っている。

但し、それは日本以外の話で、日本コカ・コーラはいまだにデポジットのデの字も言う様子がない。

日本では、容器包装リサイクル法という半端な拡大生産者責任で済んでいるため、寝た子を起こさないようにしているのだろう。

黙っていても税金で大量に回収してくれるから黙っていよう・・と。しかも、環境団体は給水器を設置するだけで満足しているように見える。水のペットボトルなど、ペットボトル飲料全体の2割に過ぎないにも関わらず・・。

世界はそれでは済まない。デポジット制度などで自ら回収費用を払う姿勢を見せなければ、ペットボトルなど市場から追い出されてしまう。日本を除く世界の飲料メーカーは、何とかしようと躍起になっている。

オーストラリアでは、西オーストラリア州が2020年6月2日から制度を開始する予定。

残りはタスマニア州のみだ。

<参考>

https://www.news.com.au/finance/money/victoria-to-get-container-deposit-scheme/news-story/4de8f84de405153eb2ae818da365eca6

https://www.foodanddrinkbusiness.com.au/news/amatil-supports-victorian-cds