インド・ゴア州でもプラ容器にデポジット制度導入か

これまでインドでは、マハラストラ州のみで200ミリリットル以上のペットボトルと牛乳容器(ミルクパウチ)にデポジット制度が採用されていた(200ミリリットル未満のペットボトルは禁止)。

ゴア州でも現在、デポジット制度を検討しているようだ。

ニレシュ・カブラル環境大臣は、月曜のゴア立法議会で、政府はデポジット制度を導入するため、生分解性の法案を修正すると表明した。

https://www.thegoan.net/goa-news/buying-goods-in-plastic-be-ready-to-pay-a-deposit/102156.html?eType=EmailBlastContent&eId=ff83d943-5896-43d5-aff1-470f252c4fb3

ペットボトルの水を購入する際は、Rs10またはRs5のデポジットを商品代金に上乗せして支払うが、ペットボトルを返却すると返金されるという。

マハラシュトラ州のペットボトルはせいぜいRs1からRs2だから、マハラシュトラ州よりもデポジット額を少し高めに設定するようだ。

アイルランドのデポジット制度、来年2月開始予定

アイルランドは、来年2月にデポジット制度を開始する予定だ。アイルランド銀行がこのスキームに関わるという。

500ミリリットルまでのペットボトルと缶のデポジット額は15セント、それを超える場合は25セント。返却には、自動回収機を利用することもできるし、レジも利用できるそうだ。

アイルランドでは、既に90%以上の生産者と2,500以上の店舗がデポジット制度に参加表明しているようだ。

<出所>

豪ビクトリア州、今年11月からデポジット制度開始

オーストラリアでは既にすべての州がデポジット制度を開始済みか、これから開始予定だ。

まだ開始していなかったビクトリア州では2021年10月27日、2030年までにすべての材料の80%を埋立地へ送るのをやめる(埋立地から転用する)という目標を達成するために、デポジット制度を設定する循環経済(廃棄物削減とリサイクル)法案を可決した。

いよいよ今年11月からデポジット制度を開始するそうだ。

デポジット/リファンド金額は10セント。

これによりビクトリア州は、飲料容器デポジット制度を実施するオーストラリアで最後の州になる。

<出所>

https://www.bottlebill.org/index.php/current-and-proposed-laws/australia/victoria?eType=EmailBlastContent&eId=178c3d61-fa1f-4ccf-99c3-72cf4944151a

デポジット制度が飲料容器に与える影響に関するレポート発表。日本のペットボトル回収率は本当?

CRIとReloopは今月、世界中の実際のデータをもとに、デポジット制度が導入または対象拡大後、または預金額の増加前後に、市場での一人当たりの容器入り飲料の売り上げがどう動いたかを分析したレポートを発表した。

名前などを登録したら無料でダウンロードできるようだ。

https://www.container-recycling.org/index.php/publications/drs-impact-on-sales?eType=EmailBlastContent&eId=178c3d61-fa1f-4ccf-99c3-72cf4944151a

まだレポートを読んでいないが、デポジット制度には消費量を減らす効果がなかったと書かれているようだ。

この説明文に

「デポジット制度の新設・拡充のみが飲料の売上に影響を与えるという決定的な証拠はなく、デポジット制度が売上減少につながるという飲料業界の懸念は根拠のないものであることが示唆された」とある。

残念な結果だが、これで飲料業界がデポジット制度に前向きになってくれれば有りがたい。

経済学的には、デポジット制度には消費量を減らす効果があるはずなので、私はあると信じているが、実際ここまで飲料需要が延びてしまうと(飲料購入が当たり前になってしまうと)、その効果は限定的なものだというのは理解できる。

また、「飲料の売上変動には多くの複雑で多面的な要因が寄与しており、売上の増減をデポジット制度のみに帰することはできない」とのことだが、これも当然だろう。

いずれにしても、デポジット制度により回収率が劇的に向上することはわかっているので、日本も早くデポジット制度にすべきだ。

デポジット制度にせず、「日本は既に高い回収率を達成している」などと90%以上の回収率があるとするデータなど、一体誰が信用するだろうか。

デポジット制度の導入国へ行くとよくわかるが、90%の回収率というのは、少なくともすぐに拾えるところには飲料容器がまったく落ちていない状態だ。もし落ちていたら、お金が落ちているのと同じだから、必ず誰かが拾う。

日本では、あちこちにペットボトルや空き缶が散乱し、可燃ごみの中にもペットボトルや空き缶が入っている。相模原市などは廃油をリサイクルに出すときは、ペットボトルに入れて出すことが奨励されている。

https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/shisei/1026875/faq/gomi/1002514.html

廃油を入れたペットボトルなど、絶対リサイクルには回らない。

相模原市以外でもペットボトルによる廃食油回収をしている自治体は多い。このような状況で、90%以上回収しているなどといわれても、一体誰が信じるのか?

価値のないものだからこそ、ペットボトルや使い捨てカップなどはデポジット制にする必要がある

ある環境系の人が、「リユースびんなどのように価値のあるものをデポジット制で回収するのは良いが、ペットボトルや使い捨てカップのような価値のないものはデポジット制はムリ」などと発言するので耳を疑った。

真実とは真逆の発言だ。まったくデポジット制度を理解せず、批判のための批判のようだ。

価値のあるものならば、デポジット制度にしなくても落ちていれば誰かが拾うので、散乱ごみにはならない。そもそも、本当に価値があれば、誰もポイ捨てなどしない。

しかし、ペットボトルなどのような使い捨ての価値の低いものはポイ捨てされやすいし、落ちていても誰も拾わない。そういうものこそ、デポジット制度にすべきなのだ。デポジット目当てに誰かが拾ってくれるので、散乱ごみになりにくい。

一見環境系の団体の人が、「日本ではデポジット制度は向かない」などと言い切るのが、全く理解できない。

もしかしたら、飲料メーカーからお金をもらってるの?と疑ってしまう。

リサイクルの善し悪しなどはまた別の話だ。使い捨てプラスチックはそもそも禁止したらよいと思うが、すぐに禁止できないのならば、せめてデポジット制度で回収しなければ汚染は止まらない。

<関連記事>

「日本にデポジット制度は向かない」というウソ、そのワケは

世界の飲料容器は、デポジット制度による回収に移行している。「自主的」に容器を回収に出す人ばかりではないから、当然だろう。

日本人は、表向きだけ「自主的」であることを好む。それを国と事業者はうまく利用している。

多くのマスコミは、自ら学ぼうとせず、政府や事業者の発表を右から左へ流すだけだから、国や事業者寄りの情報ばかりを、流布している。そのため、環境団体の人までも「デポジット制度は日本には向かない」などとビックリするようなことをのたまう。

デポジット制度が嫌ならば、容器に入った飲食物など売るべきではない。にも関わらず、デポジット制度を批判する人はマト外れの批判を展開してくれる。

その批判の根拠は、2003年にドイツがデポジット制度を導入した際に、飲料メーカーなどが7000を超す訴訟を起こしたが、その際にメーカーが流した偽情報だったりする。その偽情報を元に、論文を書いた研究者もいたくらいだから、一般の人が信じていても不思議はない。

日本人は「海外はそうでも、日本は違う」という話が大好きだ。日本を特別視するあまりの発言で、それをデポジット制度批判につなげると、こうなるらしい。

「日本人はまじめで、決められたことはきちんと守るし、教育レベルも高い。だから、デポジット制度にしなくても、飲料容器は9割以上回収されている」などとなる。

本当に9割以上回収されているならば、少なくとも目に見える範囲にはペットボトルや空き缶など落ちているはずがない。9割以上の回収率というのはそういうレベルの話だ。

日本がデポジット制度に移行しないのは、製品価格に上乗せされるデポジットが需要を下げるため、販売量の減少を恐れるメーカーが嫌がるためだ。

2003年当時、あることないこと流布され、ドイツのデポジット制度が失敗した、などと日本で喧伝された。しかし今、ドイツのデポジット制度が失敗などと言ったら笑われるので、デポジット制度に反対する人は代わりに「日本にデポジット制度は向かない」と言っているようだ。

シンガポールのデポジット制度、2025年から開始

シンガポール国家環境庁(NEA)によると、2025年4月から10セントのデポジットを飲料に上乗せし、制度を開始するとのこと。上乗せされた飲料には容器にラベルが貼られる。ラベルのない飲料もまだ出回っていることから、4月から6月まで3ヶ月の移行期間がもうけられている。

すべての飲料関連企業と小売店は2025年7月1日までに、デポジット制度を完全に実施しなければならない。

シンガポールでは、ペットボトルと缶が飲料容器の70%を占めるという。

https://youthopia.sg/read/beverage-container-return-scheme-launching-in-april-2025-canned-bottled-drinks-to-cost-0-10-more/?eType=EmailBlastContent&eId=225d7e5f-0e54-495b-a27c-28f281ed69a4

これまでシンガポールのデポジット制度は、2023年開始とされていた。

https://www.nna.jp/news/2160348

遅れたようだが、中止にならずによかった!

<関連記事>

スコットランドが「ゲームチェンジ」、今年8月16日からデポジット制度開始

スコットランドでは、イギリスの他の地域に先駆けて、2023年8月16日からデポジット制度を開始する。

コロナ感染禍により、1年遅れだ。

スコットランドのデポジット制の制度設計に関わったゼロ・ウェイスト・スコットランドのイアン・がランド最高経営責任者は

「ゼロ・ウェイスト・スコットランドはスコットランドのデポジット制の設計に助言したことを誇りに思います。これにより二酸化炭素が削減され、より良いリサイクルが進み、街路からのごみが最大3分の1が除去できるなど、いくつもの利点をもつゲームチェンジャーだ」

と述べている。

https://www.gov.scot/news/scotlands-deposit-return-scheme/

20ペンスのデポジットを払って飲料を購入し、その容器を用意された何万もの回収スポットに持参することで、デポジットは返却されるとのこと。

使い捨てのペットボトルや飲料缶などはなくすべきだとは思うが、それは現実的でない。デポジット制度はベストではないが、現状よりはるかにマシになる。日本にもデポジット制度が必要だと思うが、既得権益にしがみつく人たちの反対で、日本ではできそうにない。

「拡大生産者責任とデポジット制度の実現を目指す全国ネットワーク」が解散

「拡大生産者責任とデポジット制度の実現を目指す全国ネットワーク」(通称:デポネット)から10年ぶり?に封書が届いた。会を解散したという。運営委員会で決まったそうだ。

中心になって会を立ち上げた人が亡くなってからはほとんどそれらしい活動はなかったので、解散はむしろ遅すぎたくらいだろう。

解散できなかった理由は、会費の残金があったからとのこと。

「2014年以降は会費をいただいておりませんが、これまでにいただいた貴重な会費で2022年度までの東京都消費者月間事業実行委員会への参加が出来ました」とのこと。

「東京都消費者月間事業実行委員会」なるものを知らないが、環境展か何かに出展していたのだろうか?よくわからない。

それでもまだ少し残金があるそうなので、活動を引き継ぐ人に寄付してくれるそうだ。

立ち上がった時は、新聞でも大きく報道され、地方在住者も会員になることができ、当初はそれなりに活発に活動していたが、ここ10年以上の間の活動はよくわからない。

発足当時の団体名には「拡大生産者責任」は入っておらず、「デポジット制度」だけだった。それがある日突然この名前に変わったという知らせが届いた。変わった理由は不明だが、デポジット制度だけでも難しいのに、さらに拡大生産者責任まで入れてどうするつもりだろう?と思った記憶がある。

そもそも、デポジット制度は拡大生産者責任の1形式なのだから(日本のローカルデポジットを除く)、わざわざ拡大生産者責任などという言葉を入れてハードルを上げる必要はなかったはず。

現在、世界では多くの国がデポジット制度を導入しているか、導入準備中だ。日本が導入できないのは、飲料容器の処理に責任を持ちたくない事業者が反対するからで、事業者に忖度している環境省や経産省も動かないためだ。

デポジット制度が導入されると、販売時の飲料価格にデポジット(保証金)が上乗せされるため、販売量が落ちるから事業者に嫌われるということも指摘されている。

導入しない後付けの理由として、日本は既に90%以上回収しているからデポジット制度にする必要はない、ということも言われている。しかし、本当にこれだけ回収されているのだろうか?ごみとなったものの回収量など、正確にはだれもわからない。アンケートや貿易統計などを見て、推定に推定を重ね、こうだったらいいなぁ、これならおかしくないかも、という数値を出しているものと思われるが、これがデポジット制度になったら正しくわかるはずだ。

正しい数値を知りたくないし、知らせたくないということも、事業者のデポジット制度反対理由の1つではないかと想像している。

折しも、中国の「プラスチックフリーチャイナ」が発表した論説に「世界的な飲料包装回収「デポジット制」がブームになっていますが、あなたは参加したいですか?」(2023.2.6)と書かれていたと聞いた。

世界では、「ブーム」といわれるほどびん・缶・ペットボトルを対象としたデポジット制を導入する国が増えているのに、日本ではこの有様。

この団体の残金がいくらあるのかは知らないが、デポジット制度の実現に向けて活動する若い人たちが残金を引き継ぎ、新たな会を立ち上げてくれればよいと強く願っている。

マサチューセッツ州、デポジット額を上げる法案提出

マサチューセッツ州で先週、デポジット額を5セントから10セントに上げる法案が提出された。

アメリカやカナダでは、まだ5セントで飲料容器のデポジット制度を運営している州がある。マサチューセッツ州もその1つ。

40年程前に開始された時は、5セントでも返却インセンティブとして機能したが、近年5セントでは機能しにくくなっている。

そのため、10セントに上げる州が増えているが、業界の反対が強い州はなかなか上げられない。

マサチューセッツ州の環境擁護者は、少なくとも20年前から制度の近代化を求めているという。

確かに5セントでは難しいと思うが、5セントでもデポジット制度が実施できているだけ日本よりマシだ。

日本では、スーパーやコンビニの前に置かれているペットボトル自動回収機をデポジット制度だと誤解している人が多い。あれは単なる店側の顧客サービスで、デポジット制度ではない。そのため、せいぜいが1本当たり0.25円だ。

<参考>

https://www.wamc.org/news/2023-01-26/bill-filed-in-massachusetts-legislature-to-increase-bottle-deposits-to-10-cents-expand-to-more-beverage-containers?eType=EmailBlastContent&eId=97661751-d58d-44a5-8322-dd7d1c8acbd1