イルカも海鳥も有害化学物質を蓄積

9月5日付けの学術誌「GeoHealth」に発表された論文によると、プラスチックや化粧品、ペンキなどの身近な製品に添加されているフタル酸エステルという種類の化学物質が、米フロリダ州サラソタ湾のハンドウイルカの体内からみつかったとのこと。

フタル酸エステルは、生殖への影響も懸念される化学物質で、野生のイルカから発見されたのは初めて。調べたイルカ17頭中、12頭から少なくとも1種類のフタル酸エステルが見つかった。

普段フタル酸エステルに接する機会の多い人間と同程度の量が見つかったイルカもいたという。要するに、それだけ海水がフタル酸エステルに汚染されていたということだろう。

また、東京農工大と北海道大学の研究グループが、2008年から2016年にかけて、新潟県粟島のオオミズナギドリや小笠原諸島のクロアシアホウドリなど、世界15地域37種150羽の海鳥を調べたところ、調査した個体の43%から、フタル酸エステルや臭素系難燃剤、紫外線吸収剤など有害物質が検出されたそうだ。飲み込んだプラスチックから有害物質が体内に移行し、蓄積したものと見られるという。

フタル酸エステルは、プラスチックを柔らかくする可塑剤として広く利用されている。「可塑剤工業会によると、2016年の可塑剤の出荷量は25万5000tでそのうちフタル酸エステル系が8割を占め」「コード、ホース、パッキンなどの部品に使われている他、パソコンやテレビなどの機器内の配線や電源ケーブルなど、あらゆる製品に含まれている」とのこと(日経エコロジー, 2018, p.28)。

フタル酸エステル類の4物質(DEHP、BBP、DBP、DIBP)は、2019年7月22日からEUの化学物質規制(RoHS指令)に加わる。企業は欧州域内に、このフタル酸エステル類が規制値を超えて含有した製品を輸出できるなくなる。これを機に、世界中で規制を進めてほしい。欧州ではねられた規制値越えの海外の製品が、日本のように規制の緩い国に、入ってくるのではないかと心配だ。

<出所:イルカについて>

ナショナルジオグラフィックNEWs(2018.9.12)「イルカに化学物質が蓄積、プラスチック添加剤 生殖への影響や発がん性も懸念されるフタル酸エステル、米国」↓

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/091100399/

<出所:海鳥について>

日本経済新聞(2018.10.1)「海鳥にプラごみの有害物質 体内蓄積、4割で確認 」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35943340R01C18A0CR0000/

<出所:フタル酸エステルについて>

日経エコロジー 2018年3月号

 

有機農業映画祭で「海-消えたプラスチックの謎」も上映

「第12回国際有機農業映画祭」が法政大学で開催されるそうだ。

上映作品は「海-消えたプラスチックの謎」、「狂った蜂2」「たねと私の旅」、「トマト帝国」、「大平農園401年目の四季」。

どれも見たいが、特にこの「海-消えたプラスチックの謎」↓が気になる。https://green-image.jp/films/mystery-of-the-missing-plastic/

以下、転載↓

国際有機農業映画祭は、12回を数え、今年は11月18日(日)に法政大学市ヶ谷キャンパスで開催されます。今年のテーマは「世の中、えらいことになるでぇ」。単に有機農業や食の安全問題のみにとどまらず、自然と人との関係の在り方やそれを支える価値観、社会のつくり方まで視野を広げ、”思想としての有機農業“を考える構成をめざしています。

日時:11月18日(日)10:00~19:45
場所:法政大学市ヶ谷キャンパス 富士見ゲート棟G201
交通:JR・地下鉄「飯田橋駅」「市ヶ谷駅」下車
地図はこちら http://www.yuki-eiga.com/access
上映作品:「海-消えたプラスチックの謎」、「狂った蜂2」(本邦初上映)
「たねと私の旅」(本邦初上映)、「トマト帝国」(本邦初上映)、
「大平農園401年目の四季」
若手有機農業者によるシンポジウムもあります。
参加費:一般 前売り2000円 / 当日2500円
25歳以下 前売り 500円 / 当日1000円(当日は身分証明書を提示)
中学生以下無料
前売り申込み期間は9月1日~10月31日

詳しくはこちら↓

http://www.yuki-eiga.com/

インドの州 6年後までに100%の自然農法をめざす

国連環境計画は、インドのアンドラプラデシュ州が6年後の2024年後までに耕作農地800万ha、600万戸の農家が「自然農法」へ転換する計画に着手したと発表した。

インド初の100%自然農法州を目指しているとのこと。脱農薬、脱化学肥料により土壌の生物多様性を豊かにし、生産性を向上させる。

インドは最近、プラスチック削減政策でも頑張っているが、農業分野でも頼もしい。

<出所>

環境展望台(2018.6.2)「【環境トピックス】インドの州、6年後までに自然農法に転換」↓

https://chikyumura.org/2018/07/post-19.html

日本の農薬使用量は世界1多い!?

『地球を脅かす化学物質』(木村-黒田純子著・海鳴社)によると、日本の単位面積当たりの農薬使用量は、ここ数年韓国と1位2位を争っているという。

スーパーで売られている国産農作物の安全性に疑問を抱きたくなる情報だが、自分で畑仕事をしない身としてはそれでも有り難く戴くしかない。

せめて、できるだけ加工品は避け、シンプルに野菜や魚、肉を戴くつもりだが、最近、私たちは農薬をダブルで食べているのではないかと不安になってきた。

農薬を使って作った作物と、畑から海に流れ出た農薬を吸着したプラスチックを食べた魚や貝を通してである。

化学物質を吸着したプラスチックを魚介類を通して人間が食べたとしても、今のところまだ健康への影響はないといわれている。しかし、より汚染が進むと被害がでる可能性がある。そのため、使い捨てプラスチックを減らそうということが世界中で言われ始めた。

プラスチック自体を減らすことに異論はないが、それだけでは不十分だろう。

化学物質も減らさなければ、あまり意味がない。海に流れ出るプラスチック流出量が減ったとしても、化学物質の量が増えては同じこどである。

有機リン系農薬やネオニコ系農薬などの使用量の基準がせめてEU並にならないものか。

このままでは、まるで日本が海外で禁止された農薬の在庫整理を引き受けているように見える。

プラスチックなどに使用する添加剤も、予防原則に立って見直して欲しい。

そうでなければ、仮に海に流れるプラスチック量が減ったとしても、人間への被害はやがて出るのではないだろうか。

農薬使用量は世界1位、プラスチック廃棄量は世界2位、それらを減らす対策特になし・・ではあまりにも情けない。

 

 

 

 

ラウンドアップでガン発症 モンサントに約320億円の支払いを命じる判決

学校の校庭整備の仕事でラウンドアップを使い続け、ガンを発症した原告が、モンサントに勝訴した。

アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコの陪審は、モンサントに損害賠償金2億8900万ドル(約320億円)の支払いを命じた。

モンサントは他に1000人以上の患者から同様の訴えを起こされているとのこと。

<出所>

CNN(2018.8.12)「「モンサントの除草剤でがん発症」、末期患者に賠償320億円 米裁判所」↓

https://www.cnn.co.jp/usa/35123905.html

有機農業ニュースクリップ(2018.8.11)「ラウンドアップでがんに モンサントへ3億ドルの賠償命令」↓

http://organic-newsclip.info/log/2018/18080959-1.html

豚肉からも耐性菌

国産豚肉の80%から耐性菌が見つかった。以前は鶏肉だけの検査だったそうだが、2015年からは鶏、豚、牛で検査しているとのこと。

鶏肉は国産からも輸入品からも100%耐性菌が検出され、豚肉は65%(国産80%、輸入55%)、牛肉は52%(国産42%、輸入59%)と、豚肉に関しては輸入品のほうが検出率が低い。

原因は、早く成長させるためと、狭いスペースで多くの家畜を飼うため(高い密度で育てるため)、抗生物質を使うのだそうだ。

安ければよいと、工業製品のように食肉を生産したツケが、耐性菌という形で回ってきているようだ。

<出所>

日刊ゲンダイ(2018.8.3)「国産豚肉の80%から耐性菌検出 養豚は抗生物質を大量投与」

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/234588/1

健康にも環境にも悪いパーム油 表示義務を

トランス脂肪酸を減らすため、パーム油を使う食品が増えているそうだ。

それでなくてもパーム油は、「植物油」表示でこれまでも食品に多く使用されていた。

チョコレート、マーガリン、マヨネーズ、カレールー、クッキー、ポテトチップス、アイスクリーム・・などなど、書き出したらキリがないほど使われている。パーム油を避けると、スーパーでは買うものがなくなるほどだ。

パーム油にはBHA(ブチルヒドロキシアニソール)という食品添加物(酸化防止剤)が使われており、ラットに対する発がん性が確認されている。

避けるためには食品表示が必要だが、日本では「パーム油」と書かなくてよいことになっている。代わりに「植物油脂」「植物油」などと書かれているが、それではわかりにくい。

マレーシアやインドネシアではパーム油を生産するアブラヤシプランテーションでの紛争が絶えない。例えばJATAN(熱帯林行動ネットワーク)によると、2016年6月、マレーシア・サラワク州ミリ市内で人権活動家がアブラヤシプランテーション企業関係者と目される人物たちに白昼の市街地で殺された。しかし、容疑者らは証拠不十分で無罪になったという。

泥炭地開発をめぐる環境破壊も、さらには森林火災も、アブラヤシプランテーションに起因するケースが多い。CO2削減のためにも、パーム油を避けたい。

パーム油を避けるために、ぜひ「パーム油」の表示を義務化してほしい。

<参考>

パーム油調達ガイド

パーム油、危険性の警鐘相次ぐ・・・動物実験で発がん性、日本で野放し、表示上は「植物油」

レーザープリンターからPM2.5などの微粒子発生

我が家ではレーザープリンターを使っているが、レーザープリンターはいろいろ問題があるようだ。

レーザープリンタから放出される微細粉塵(UFP = Ultra-fine particulate)は、レーザープリンタの定着プロセス(高熱でトナーを紙に焼き付けるプロセス)でトナーが高熱によって蒸発して、その直後に温度が下がって、凝結するために発生するそうだ。

「フライブルク大学の研究で、これらの粒子がヒト肺細胞を著しく損傷する可能性が示された。また、強い不快感や咳、涙目、疲労感、鼻血、喘息などのアレルギー反応が報告されている」とのこと。

調べたところ、日本でも研究されている。

例えば、並木他(2006)↓
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/21/1/21_1_59/_pdf/-char/ja
例えば、鍵(2014)↓
https://ci.nii.ac.jp/els/contents110009837242.pdf?id=ART0010348734

健康被害については諸説あるようだが、電力消費量の点でもレーザープリンターは分が悪い。エプソンによると、高速インクジェットはレーザープリンターに比べ、生産力は2倍なのに、消費電力は1/8とのこと。

ドイツではBye, bye Laserというキャンペーンもあるそうだ。

<参考>

EPSON「インクジェットで環境対策」↓

https://www.epson.jp/products/bizprinter/inkjet_eco/

「レーザープリンターから重金属を含む粒子が排出され健康被害の可能性 ドイツ」↓

http://www.qlifepro.com/news/20130301/ejected-particles-containing-heavy-metals-from-laser-printers-possible-health-damage-germany.html

「タバコと同じくらい有害–レーザープリンタに健康上のリスク」↓

https://japan.cnet.com/article/20353976/

 

 

 

ハワイ サンゴ礁に有害な日焼け止めを禁止

ハワイで、サンゴを保護するため、サンゴ礁に有害な成分の入った日焼け止めを禁止することが決まった。

昨日(2018.7.3)、5月に可決された法案に州知事が署名したとのこと。施行は2011年1月1日から。

販売禁止となるのは、紫外線吸収剤「オキシベンゾン」と「オクチノキサート」が含まれる日焼け止めで、日本でも販売量の多いタイプのものだ。

ちなみに、我が家で使っている大手メーカーの日焼け止めの成分を見たところ、両者とも含まれていない・・と思って安心したのも束の間。

オクチノキサートとはメトキシケイヒ酸エチルヘキシルのことだそうで、それならばしっかりと含まれていた。

サンゴ礁に悪いものは、ヒトの健康にも悪いかもしれない。これを機に、変更しようと思う。

<出所>

CNN(2018.7.4)「ハワイの日焼け止め規制法が成立、サンゴ礁に有害な成分を禁止」↓

https://www.cnn.co.jp/usa/35121917.html

IN YOU(2018.6.2)「ハワイで有害な日焼け止めの販売禁止という衝撃的ニュース。サンゴ礁を日焼け止めが破壊!?日本で売られている日焼け止めクリームはどうなの?」↓

ハワイで有害な日焼け止めの販売禁止という衝撃的ニュース。サンゴ礁を日焼け止めが破壊!?日本で売られている日焼け止めクリームはどうなの? 

 

 

香り成分が大気汚染の原因に 健康に影響か

科学系の米ニュースサイト『サイエンス・デイリー』*(2018.2.15)に報告された論文によると、石油系化学薬品を含む香水やシャンプー、整髪剤、ペンキ、殺虫剤などは揮発性有機化合物(VOC)を排出し、VOCは大気中の他の粒子と反応し、オゾンと微小粒子状物質(PM2.5)になる。

オゾンは喘息や肺損傷を引き起こし、PM2.5は心臓発作や脳卒中、肺ガンを引き起こす可能性があるとのこと。

車のVOC排出量は近年著しく減少したが、代わりに増加しているのがこれら家庭で使われる製品由来のVOCによる大気汚染。

最近、宅配便配達の方の衣類から漂う柔軟剤の強い香りに閉口していたが、過剰な香りはやはり身体に悪いようだ。

香害は大気汚染であり、化学物質過敏症増加の一因であることが、この論文で示されたと考えている。

*修正:学術誌SCIENCEと書いていたが、調べたところ「科学系の米ニュースサイト『サイエンス・デイリー』」の間違いのようなので修正した。

「よい香りが大気汚染を引き起こすという最新レポート [The New York Times]」↓

https://www.mylohas.net/2018/06/169085nyt_deodorant.html

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シャンプーや消臭剤は車の排ガス同様、身体に悪い?