リサイクル施設から大量のマイクロプラ。リサイクル施設が増えて大丈夫?

イギリス・スコットランドの研究で、リサイクル施設からおびただしい量のマイクロプラスチックがでていることが証明された。

複数回の洗浄が主な原因らしい。

洗浄は複数回行われるため、研究チームは工程の4カ所で排水のサンプルを採取したとのこと。

マイクロプラスチックがリサイクル施設から発生していることは、以前のドイツのマイクロプラスチック発生量の内訳を見てもわかっていたが、焼却施設からもでていたので、あまり気にしていなかった。しかし、こんなに排水からでていることはドイツでも想定外だったのではないか。

調査の対象となったリサイクル施設はまだ新しく、最新の設備を備えていた。50μm(マイクロメートル)以上の粒子を捕集するフィルターを導入していたという。

しかし、それでも排水1立方メートルあたり、最大750億個の粒子が含まれていたそうだ。

「フィルターがない場合、この施設単独で排出するマイクロプラスチックは年間最大650万ポンド(約3000トン)になるが、フィルターを通せば300万ポンド(約1360トン)まで減らせる計算になる」とのこと。

https://wired.jp/article/yet-another-problem-with-recycling-it-spews-microplastics/

つまりフィルターを設置しても、半分強程度しか減らせないということか。

しかも、サンプルを採取したうちの2カ所では、見つかったマイクロプラスチックの約95%が10μm未満、85%が5μm未満だったそうだから、捕捉できないレベルのもっと小さいナノプラスチックがどれほど大量に発生しているは想像に難くない。

日本では、昨年施工されたプラスチック新法で、削減よりもリサイクルが推奨されている。そのため、新しいリサイクル工場が各地で稼働を始めた。

もし、来年末までに決まるはずの国際プラスチック条約でも似たようなことになれば、世界中ナノ・マイクロプラスチックだらけになりそうで、ゾッとする。

もちろん、焼却はリサイクルよりも問題が多いので、焼却を推奨したくない。

国際条約では、プラスチック生産の大幅削減を決めてほしい。

リサイクルについての論文は↓

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2772416623000803

日本企業、バイオエタノールの量産計画進む。バイオマスを使い捨てプラの隠れ蓑にしないでほしい

バイオエタノールを使ってバイオマスプラスチックを作るため、日本企業はしのぎを削っているようだ。

日本経済新聞(2023.6.29)によると、旭化成はブラジル産のサトウキビの糖を発酵させてバイオエタノール量産を計画中。2027年にも商用化するそうだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC040RI0U3A400C2000000/

また、住友化学は積水化学工業と組み、2025年度をめどにエチレンなどの製造を実用化する計画とのこと。

三菱ケミカルグループは豊田通商を通じ外部調達し、プロピレンなどを製造。2025年度にも製造・販売する。

王子ホールディングスは木質資源からの製造を検討している。

各社バイオエタノールをプラスチック原料に活用する考えだ。

「リサイクルの難しいプラ関連製品は焼却処分されることが多く、廃棄までのバイオマスプラスチックの工程全体でCO2排出量を減らせる。製造コストは検証を進める」とのことだが、リサイクルの難しいプラスチック製品は、最初から作るべきではない。

医療品などのような必需品は別として、もし使い捨てプラスチック製品などを念頭に置いているならば、バイオマスプラスチックなど不要だ。バイオエタノールの量産が、使い捨てプラスチックの言い訳や隠れ蓑に使われてはたまらない。

仏、五輪でペットボトルやカップなどの使い捨てプラを使わない方針

ロイターによると、2024年にフランス・パリで開催されるオリンピック・パラリンピックでは、使い捨てプラスチックを禁止にするそうだ。

さすがフランスだ。東京五輪でもそうしてほしかったが、東京は「スポンサーの意向」などでできなかった。スポンサーとは主にコカ・コーラを指していたと思う。

パリ五輪では、コカ・コーラも協力し、ガラス瓶を使用するとのこと。

マラソンでも再利用可能なカップが提供される。

ロイター↓

https://jp.reuters.com/article/olympics-environment-idJPKBN2XI01W

フランスでは2025年までに使い捨てプラスチック包装の年間市場投入量を、2018年比で20%減らす目標を立てている。

そのため、既に青果のパッケージなども一部を除きほとんど禁止され、ティーバッグやファストフード店の子ども用おもちゃなども禁止された。2024年からはマイクロプラスチックを含む医療機器の販売が禁止となるそう(JETROビジネス短信)。

量り売りや容器持参の取組も進んでいる。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/05/413407e4a686561c.html

一方日本は、使い捨てプラスチックは一部減ったような気もしないでもないが、増えているプラスチック製品の方があまりに多すぎて、プラ新法の効果はいまだ見えない。海外の人から指摘される日本人の「プラスチック中毒」は、かなり深刻なようだ。

キューリング・ドクターペッパーもリユース容器を増やす

キューリング・ドクターペッパーは、リユース容器を増やす方針を発表した。2024年までにアメリカの主要都市で、繰り返し使えるリユース容器で販売し、回収した容器に新たな飲料を詰めるパイロット事業を開始するようだ。

コカ・コーラは2030年までに全飲料の25%以上を再利用できる容器で販売することを目指す。また、ペプシコは2030年までに20%を目指している。

ようやく飲料メーカーも脱プラに目覚めたように見えるが、そのリユース容器がプラスチック製の可能性もあるので、楽観できない。

<出典>

https://recyclingtoday.com/news/green-century-funds-pressures-keurig-dr-pepper-into-reuse-options/?utm_campaign=Recycling+Today+Newsletter&utm_source=04%2f18%2f2023+-+&utm_medium=email&utm_term=https%3a%2f%2fwww.recyclingtoday.com%2fNews%2fgreen-century-funds-pressures-keurig-dr-pepper-into-reuse-options&utm_content=463848&isid=3633CF&eType=EmailBlastContent&eId=03c65227-1e89-4174-bf74-f1659c14c0af

堆肥化可能な食品容器からPFASが揮発

PFAS(有機フッ素化合物)は、まだわからないことが多い。

半減期の長い危険な化学物質で、内分泌をかく乱する環境ホルモンであることは確かなようだ。

しかし、いろいろなものに入りすぎていて、PFASを使わないように1日をやり過ごすのは結構大変だ。

テレビなどで目にするPFASの写真は粉状、つまり固体だ。しかし、温度次第で水に溶けたり、揮発したりする種類のPFASもあるようだ。

最近発表されたカナダの研究によると、ファストフードで使用される堆肥化可能なパッケージを調べたところ、PFASが検出された。

しかも、2年間その容器を保存した後、また調べたら、総PFAS濃度が85%も低下したという。どうも揮発したらしい。

半減期の長いPFASは、気体となっても空中でその影響力(内分泌かく乱など)を駆使するのだろう。

となると、人工芝に含まれるPFASも、光にさらされ揮発して、大気中を漂っているのだろうか。子どもたちが人工芝の上で遊んでいる光景は、ほのぼのして見えるが、実は危険だということだ。

すべてのPFAS類を、早く禁止してほしい。

<出典>

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.estlett.2c00926

みんなでやろう「くるりポイ」、不要なトレイは店にお返し

クルリポイとは、不要なトレイなどのパッケージを店のごみ箱に捨て、家には持ち帰らない行為だ。

以前、テレビなどで「くるりポイ」が批判された。店の言い分ばかりが一方的に紹介され、くるりポイをする人は「非常識な人」と言わんばかりだった。

店側の言い分としては「家できれいに洗ってから回収ボックスに入れてもらえればリサイクルできるけれど、店のごみ箱に捨てられるとリサイクルできず、ごみになる」「汚れたままごみ箱に入れられてしまうと不衛生だ」などだ。

私自身トレイはやったことはないが、キーウィフルーツなどがパックされていると、パッケージはそのままサッカー台に置いてくる。本当は肉などのトレイでもやりたいけれど、人目が気になりできないでいる。

くるりポイは、不要な容器包装を家に持ち帰らないことで、店に「不要だ」と伝える無言の抵抗、店へのメッセージだ。店のごみ箱に捨てられたくなければ、容器包装のない販売方法を考えてほしい。

このくるりポイは、ドイツでは認められている行為だそうだ。

最近読んだ本『ごみ 世界で一番やっかいなもの リサイクルから環境問題まで』には、こんなことが書かれている。

「ドイツでは、お店で商品を買ったとき、その場で箱や中身の保護用に詰められた発泡スチロールなどは置いてくることができます。お店がそのごみを捨てるには処分費用を負担しないといけないので、販売する側も過剰な包装をしないように注意を払うようになります」

日本ではなぜこれほどくるりポイが批判されなければならないのだろう?とずっと不思議に思っていた。

しかし、昨日開催されたグリーンピースなどが主催するセミナー「第14回市民環境フォーラム」で、井田哲治氏も「不要な容器包装を店に置いてこよう」と呼びかけていた。

クルリポイ、また流行ってほしい。

英マクドナルド、デポジット付きリユースカップを導入

イギリスのマクドナルドは、ハッピーセットのプラスチック製おもちゃを廃止するなど、これまでも脱プラに熱心だった。

今度はくり返し使えるカップを2021年から導入する。消費者はコーヒーなどをテイクアウトする際、デポジットを支払う。カップを返却するとデポジットが返金される。

カップはLOOPが開発したもので、回収・洗浄もLOOPのシステムを使う。

LOOPはロンドンで今年の7月から開始されているシステム。既にニューヨークやパリでも始まっている。

日本のLOOPは東京都内で今秋から開始されるはずだったが、遅れている。日本はLOOPの通販でさえいつ開始されるかわからないし、イオンも導入するといってはいるがいつになるかはわからない。

まして、日本のマクドナルドがLOOPを採用することはなさそうだが、イギリスでは着々と進んでいる。

<関連記事>

LOOP、英国で開始 日本は来年に延期か

<マクドナルドについての出典>

Mcdonalds(2020.9.9)

https://news.mcdonalds.com/mcdonalds-loop-reusable-cup

 

オーストリアがデポジット制度を導入、リユースできる容器を義務化

画期的なニュースが飛び込んできた。

オーストリア政府が2023年から飲料の4分の1を詰め替えボトルで販売することを義務化する計画を立てているそうだ。

2年後にはこの割当は40%にまで引き上げられ、2030年には55%に引き上げられる。つまり飲料容器の半分以上はリユース容器になるということだ。

おもにはガラスビンを念頭に考えられているとのこと。

現在、オーストリアは詰め替え可能なペットボトルだけがデポジット制度の対象だ。だが、計画では、使い捨て飲料容器もデポジット制度の対象にする。

政府のこれらの計画に対し、グリーンピースやグローバル2000、WWFなどの環境団体は歓迎しているが、オーストリア連邦経済会議所は、お金がかかることなどを理由に反対している。

経済界が反対するため、日本でもこの手のことはこれまでできなかったが、今後は日本もやらざるを得なくなるはずだ。

<オーストリアに関する出典>

EUWID(2020.9.7)

https://www.euwid-recycling.com/news/policy/single/Artikel/austria-plans-deposit-for-single-use-beverage-containers-brquota-for-refillable-bottles.html

言行不一致を指摘され、仏エビアンはミニPETボトル生産中止 日本では継続?

たまたま検索をかけていて、日本では220mLのミニペットボトル入りエビアンを伊藤園が売っていることに気が付いた。脱プラといいながら、日本ではペットボトルの小型化が進み、人気は衰えていないようだ。

フランスでは2019年6月、署名サイトchange.orgで、ある消費者がエビアンのブランドを展開するダノンの言行不一致を指摘し、小型の水ボトルの生産停止を訴える署名を開始した。

ダノンは「地球は1つ(ワンプラネット)」と環境重視の姿勢をアピールしながら、エビアンの200mLのミニボトルを売っていることの矛盾を糾弾されたのだ。

署名は15万5595筆も集まった。消費者の声に押されたエビアンは、2019年末までに小型ペットボトルの生産停止を発表した。

以前このニュースを知った時、日本でも小型のエビアンは販売中止されたのだろうと思っていた。しかし、日本とフランスは販売する会社が違う様で、今みたら220mLのペットボトル入りエビアンが伊藤園から今でも売られている。330mLや500mL入りも売られている。

わずか200や300mLの水を飲むために、ペットボトルを使い捨て、CO2を垂れ流すなど、信じられない気がするが、伊藤園は地球環境や評判など気にせず、売れればどんなサイズでも作るのだろうか。

<参考>

Evian renonce à sa bouteille en plastique « goutte d’eau »

Pour le retrait des minis bouteilles d’evian;

https://www.change.org/p/pour-le-retrait-des-minis-bouteilles-d-evian

 

アサヒ飲料G、豪にペットボトルリサイクル工場建設

アサヒ飲料グループは、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州に、現地の会社と合同でペットボトルのリサイクル工場を建設する。2021年12月までには稼働する予定。

完成すれば、年間約10億本相当のペットボトルをリサイクルできる。費用は4,500万豪ドル(3,200万米ドル)とのこと。

アサヒ飲料グループは、昨年AB InBevのCarlton&United Breweries(CUB)子会社を160億豪ドル(113億米ドル)で買収。

オーストラリアは、既にほとんどの州で飲料容器のデポジット制度を開始した。中国へ輸出できなくなった昨今、回収されたペットボトルは国内でリサイクルする必要がある。

この工場では、300人を超える現地の人を雇用することから、雇用の創出にも貢献するそうだ。

<参考>

Australian joint venture to build $32m PET recycling plant

Australian joint venture to build $32m PET recycling plant