テスコ、ポケットティッシュの包装を紙に 年間約35トンのプラ包装を廃止

英国最大のスーパー・テスコは、自社ブランドのポケットティッシュの個包装とそれを包む外側のパッケージのプラスチック包装を廃止。紙に変更した。

これにより年間約35トンの軟質プラスチックごみを削減できるとしている。

「ポケットティッシュは箱ティッシュと違い、外出先で使用されることが多い。そのため、ごみになりやすい」として、この変更で毎年5500万個以上の軟質プラスチックが環境中に漏れ出したり、埋立地へ行ったりするのを防げるという。

テスコはWrapが主導するUK Plastics Pactの署名団体の1つで、2025年までに問題のあるプラスチックを排除し、プラスチック包装の100%を再利用可能かリサイクル可能、堆肥化可能なものにするなどの目標を掲げている。

Pactによると、2018年以降スーパーマーケットの棚から約7億3000万個のプラスチック製品が撤去され、硬質プラスチック包装が94%リサイクル可能になったそうだ。

<出所>

https://www.theguardian.com/business/2023/dec/27/tesco-switches-pocket-tissue-packaging-to-paper-to-cut-plastic-waste

緊縮財政の相模原市、福祉施設などを廃止し人工芝の豪華スポーツ公園を建設?

相模原市は7年間累計で最大800億円超の歳出超過に陥るとして、徹底した歳出の見直しを進めている。市の貯金にあたる財政調整基金の残高は、2019年度末で68億円とピーク時のほぼ半分に減ったそうだ。

そのため、20年の長期財政収支では21〜27年度に累計816億円の歳出超過と試算された(日本経済新聞.2023.12.19「老いる相模原市、緊縮財政で施設相次ぎ廃止」)。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC155EO0V11C23A2000000/

アイススケート場や南市民ホール、市体育館、福祉施設「南大野老人いこいの家」、城山障害者デイサービスセンターつくしの家などが廃止になるとのこと。

しかし、なんだか少し変だ。多くの市民はいまだに相模原市はリッチだと信じている。そんなに緊縮財政ならば、あの相模原スポーツ・レクリエーションパークの豪華さは一体何だ?

遊具が置かれた児童公園部分は、歩く度に「船酔い」しそうなほど弾力のあるカラーゴムチップ舗装になっている。弾力性を持たせるため、かなり厚めにゴムチップを敷いたようだが、そのせいか既に一部ひび割れしている。

なぜ土の地面ではなく、化学物質や重金属の塊のようなゴムチップ舗装にしたのか。値段も安いとは思えない。残念だ。

その隣には、まもなく(1月20日)オープン予定の野球場ができつつあるが、野球場全面に人工芝が敷かれている。土の部分は見えない。おそらく鹿沼公園野球場の代わりに作られたもののようだ。

鹿沼公園の軟式野球場は、土(内野)と天然芝(外野)でできているきれいで使いやすそうな球場だ。しかし、鹿沼公園野球場は「淵野辺駅南口周辺まちづくり」で図書館や公民館など6施設を集約する計画の余波で、いずれ廃止されると聞く。

人工芝のスポーツ施設は、宝くじなどの助成金等を使えば当面は安くできる。メンテナンス費用も天然芝より安く済むが、張り替え時に莫大な費用がかかるため、結果的に人工芝は天然芝に比べかなり高く付くのだ。

張り替えで不要になった人工芝の処理費用があまりに高額なため、京都市では「まだ使えるからタダであげるよ」と以前、寄付先を募集していた。

寄付先が見つかったかどうかは知らないが、こんなものをもらってしまうと大変なことになる。外見だけ立派な壊れる寸前のテレビをもらうのと同じで、すぐに廃棄するための処理費用が必要になる。しかも、見た目は「まだ使える」ように見えても、劣化しているためマイクロプラスチックが発生しやすい。地面に緑色のレジ袋を敷くようなものだ。

しかも、野球場やサッカー場のロングパイル人工芝の場合、何万トンものゴムチップを人工芝上にまくため、より甚大なマイクロプラスチック汚染を招く。先日、工事中の野球場を見に行った際、巨大なフルイのようなものを乗せた車でゴムチップを大量に蒔いているのをみたが、ゴムチップがまるでもうもうと黒煙のように見えた。

現在、同じ公園内の人工芝グラウンドで使われているゴムチップよりも細かそうなゴムチップだ。利用者はその上を走ったり、スライディングしたりする度に、細かいゴムチップを吸い込むハメになるのだろうと思うと、気の毒になる。

なぜ、鹿沼公園の野球場と同じ仕様にしなかったのか。天然芝と土のグラウンドの方が、10年スパンで見れば絶対的に安いはずなのに。目先の助成金額に目がくらんだのだろうか。

「安物買いの銭失い」にならないように、将来を見据えたお金の使い方をしてほしい。そもそも、地球環境を考えるべき時代に人工芝やゴムチップ舗装はそぐわない。

米イリノイ州、公共施設に水筒の給水ステーション設置を義務づけ

アメリカ・イリノイ州は、面積5000平方フィート以上など一定の条件を満たした公共施設に対し、水筒に給水する設備の設置を義務づけた。

この新しい法案は、今日(1月1日)から施行される。昨年3月31日に全会一致で上院を通過し、5月9日に下院で85対23で可決されたという。

https://www.wandtv.com/news/new-illinois-law-requires-water-bottle-filling-stations-in-future-public-buildings/article_e2d9c1c4-a4f5-11ee-ada1-0fc8d68c892a.html?eType=EmailBlastContent&eId=a71b80ac-eec8-45c0-b1ef-92cedd3ae888

ペットボトルの消費を抑え、水筒の利用を促進するための法律が、アメリカでさえも施行されている。日本の自治体でもこの手の条例ができないものかと思う。

相模原市は昨年、給水器がやっと1台市役所に設置された。県からのお達しで設置されたと聞くが、市長はどの分野の環境問題に関心をもっているのか、そもそも環境への関心があるのか、知りたいものだ。

中国が「竹による脱プラ」を発表

中国政府は国際団体と一緒に「竹素材による脱プラスチック」グローバル行動計画を発表したそうだ。

「プラスチックによる汚染やその生産に伴う汚染物質放出を削減するために代替品として竹製品の利用率を高める姿勢を打ち出した」とのこと。

https://news.biglobe.ne.jp/international/1210/rec_231210_0664080751.html

確かに日本でも、竹は昔からザルやスノコ、カゴなどに愛用されていた。

竹ザルやスノコは今では見かけることも減ったが、小さいスノコはまだおソバ屋さんのソバの下に敷かれている。買い物時に使われていた竹かごはレジ袋に置き換わり、最近よく使われるようになったエコバッグは、プラスチック製か綿などの布製だ。竹の出番はすっかり減った。

しかし、日本でも竹がまた復権し、例えば市販弁当が竹の経木に包まれて販売されたら、美味しそうだ。

カリフォルニア州の自治体、人工芝の禁止が可能に

カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は今年10月、州として人工芝を禁止することは拒否したが、州内の自治体が人工芝を禁止できるようにした。

そのため、サンマテオ郡のミルブレーやロサンゼルス郡のサンマリノなどのカリフォルニアの都市では、すでに人工芝を禁止するよう動き始めているそうだ。

近隣の庭に敷かれている人工芝や、人工芝に充填されているゴムチップから流出するPFASや鉛、ビスフェノールAなど有害物質を心配する住民らが、人工芝に反対している。

https://laist.com/brief/news/climate-environment/once-hailed-as-a-drought-fix-california-moves-to-restrict-synthetic-turf-over-health-concerns

https://calmatters.org/environment/2023/10/california-synthetic-turf-pfas/

<関連記事>

積水化学、「可燃ごみ→エタノール→プラスチック→可燃ごみ」の無限ループ?を開発中 26年以降実現

積水化学工業が開発中の事業に注目が集まっている。

「可燃性ごみを分別することなくガス化し、微生物の力でエタノールに変換する新技術(BRエタノール技術)により、可燃性ごみ→エタノール→プラスティック製品→可燃性ごみという、これまでになかった資源循環の実現が可能に」なるとのこと。

https://forbesjapan.com/articles/detail/67315

本当にこんなうまい話があるのだろうか。

可燃ごみをガス化し微生物の力でエタノールにするというが、微生物が嫌いなガスは発生しないのだろうか?また、このリサイクル工程でどの程度目減りするのだろう?

26年以降の本格稼働を目指しているそうだ。

この技術だけではマイクロプラスチック問題は解決しないが、とても画期的なリサイクルだ。

EU、売れ残りの服や靴の廃棄を禁止 規制適用は大手2年後、中小6年後

欧州連合(EU)の立法機関である欧州議会と、加盟国の代表でつくる欧州理事会が、アパレル事業者に売れ残った服や靴などの衣料品廃棄を禁じる法案に大筋で合意した。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR05DFY0V01C23A2000000/?n_cid=NMAIL007_20231206_A

「今後、正式な承認手続きに入り、2年後から施行する。流行品を低価格で大量消費する「ファストファッション」による衣料品の廃棄拡大に歯止めをかける」とのこと。

環境を顧みず、低価格で衣料品を提供し、大量消費・大量廃棄を促すファストファッションを規制する画期的な法案で、商品の環境配慮設計を義務づける「エコデザイン規制」の改正案だ。

エコデザイン規制とは、繊維製品や家電などを対象に、製品の耐久性や修理可能性などの情報を消費者に提供する義務を販売業者に課すなどして、循環経済を実現するための規制だ。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/04/a08c5c6a05bd0c33.html

欧州委員会は昨年、繊維戦略を発表した際、ファストファッションを「時代遅れ」と批判している。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/04/a5dc1b749bd99990.html

なぜペットボトルからフタル酸エステルが検出されるのか。キャップやラベルからの移行かも(追記)

「ペットボトルには、可塑剤としてフタル酸エステルは使われていない」ということをよく聞かされる。

しかし、それならばなぜペットボトルに入れた水などからフタル酸エステル類が検出されるのだろうか?

それについて、先日行われた環境ホルモン講演会に参加し、講師に聞いてみた。講師曰く「フタル酸エステルは移りやすい性質を持っているので、保管時に他の製品(例えば、消しゴムなど)からフタル酸エステルが移ったのではないか」とおっしゃった。

しかし、ある程度は他の製品から移行したものであるにせよ、これまで多くの論文がペットボトルのフタル酸エステルについて指摘・研究している。それら論文の著者が皆オマヌケで、保管場所など気にせず、保管により汚染されたペットボトルばかりを調べていたとはちょっと考えられない。

ペットボトルに入れられていた水などからフタル酸エステル類を検出する研究は、1つや2つではないのだ。

気になって、10本ほどの関連論文を調べたが、ペットボトルにフタル酸エステルがなぜどのように使われているかはわからなかった。しかし、ペットボトルを高温・長期間で保存するほどフタル酸エステル類はペットボトルから中身へ移行することは確かなようだ。

これについては複数の論文で言及されている。例えば↓

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2854718/

また、空になったペットボトルを個人で再利用するのもよくない。再利用により、フタル酸エステル類の一種であるDEHPが「驚くべき早さで移行」するそうだ。

https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/32642892

1つ確かなことは、たとえフタル酸エステルが直接ボトル成形時に使われていなかったとしても、ペットボトルのキャップやラベル(インクや接着剤)に使われているため、そこから移行することだ。

この論文にもフタル酸エステルやビスフェノールAは、キャップやラベルから移行すると書かれている。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0304389422001984

一部機械翻訳↓

「カラフルなラベルが付いたPETボトルや、使用されるキャップ(Cincotta et al., 2018)など、ブランディング目的と市場性のための包装慣行は、これらの物質の移行源である可能性があります」。

また、英紙ガーディアン(2022.3.18)によると、「広く使用されている種類のリサイクルペットボトルは、新しく製造されたボトルよりも潜在的に有害な化学物質を中身にもたらす、と研究者は警告している」そうだ。「ペットボトルから飲み物に浸出する150の化学物質を発見し、そのうち18の化学物質は規制を超えるレベルで発見された」。

https://www.theguardian.com/environment/2022/mar/18/recycled-plastic-bottles-leach-more-chemicals-into-drinks-review-finds

ちなみに、ペットボトルの中身からよく検出されているビスフェノールAは、ペットボトルのキャップが汚染源であることは確かなようだ。先述の論文でも指摘されていたが、Bach et al. (2012)も、「PETボトル入り飲料水の容器のキャップがBPAの供給源である可能性」を指摘している。

災害時の備蓄用としてペットボトルを使うのは仕方ないかもしれないが、普段の飲用にはやはり浄水器を通した水道水を飲むのが良さそうだ。

ちなみに我が家の備蓄用の水は、紙パック入りだ。飲む時は少々面倒かもしれないが、それは1リットル以上のペットボトルでも同じこと。なんとかなるだろうと思う。もちろん、紙パックのポリエチレンラミネートを100%信用しているわけではない。しかし、ビン入りを保管した場合のリスク(地震で割れてしまう可能性など)を考えると、他によい選択肢が思い浮かばない。

逗子市、バスの乗り入れ場所に人工芝を敷設?!

耳を疑うような話を聞いた。

神奈川県・逗子市はまもなく、公共施設の中庭の一角を人工芝にするそうだ。その一角とは、マイクロバスが乗り入れるようになったため、天然芝が剥がれてしまった場所だとのこと。

天然芝の中庭にバスが乗り入れ、そこで転回するようになったため、その部分の天然芝が剥げてしまった。そのため、剥げてしまった部分をコンクリートやアスファルトなどで舗装する・・ならばわかるが、なんとその部分を人工芝にするそうだ。

しかも、ロングパイル人工芝で、芝間にプラスチック製のチップを充填するとのこと。

しかし通常、ロングパイル人工芝の上は自転車の乗り入れさえ禁止されている。小学校の校庭でさえも、「人工芝がいたむため、ハイヒール・金属スパイク・ベビーカーの乗り入れは禁止です」と書かれている。

例えば、この小学校↓

まさか、バスの乗り入れ場所を人工芝にするとは・・。勇敢過ぎてあり得ないことのように思うが、本当に計画されているらしい。もし、実現したら見に行って、ロングパイル人工芝が車両でどのようにいたむかを、ぜひウォッチしたいものだ。

プラスチック製チップの充填材も、バスのタイヤにくっついてどれほど運ばれるか、それともすぐに粉々になるかも興味深い。

それにしても、このプラスチック製チップは、プラスチック業界が流出防止を企業に呼びかけているレジンペレットと形状は同じだ。それにも関わらず、流出防止どころか、最初から環境中にばら撒き、その上を車が走る・・マイクロプラスチックの散乱は目に見えている。業界団体は、そんな蛮行を許しておくのだろうか?

日本プラスチック連盟の樹脂ペレットの漏出対策↓

https://www.jpif.gr.jp/environment/ocean/resin-pellets/

もし、業界が黙認するとしたら、自主規制は役立たないことの証左だから、やはり日本にもペレット流出防止法が必要だ。

欧州委員会は今年10月、EUとして初めてペレットの意図しない放出による汚染防止を目的とした規制案を発表した。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/10/a3e896c1f1e7a720.html

日本のプラスチック業界は、この樹脂チップとレジンペレットは形状が同じでも用途が違うから「バラ撒いてよい」と考えているのだろうか?

EUでは、人工芝に充填する合成ゴムなどで作ったゴムチップを、「意図的添加のマイクロプラスチック」として、既に8年以内に禁止することを決めている。

共立女子大研究:縦型洗濯機の糸クズネット、3ミリ以上のマイクロファイバーは7割取れるが、もっと小さいファイバーは取れない

合成繊維の衣類は、着ている時もマイクロプラスチックファイバーを発生させるが、洗濯の際にも大量のファイバーを発生させる。

縦型洗濯機とドラム式洗濯機、どちらの方がより多くのマイクロプラスチックファイバーを発生させるか。これについては諸説あったが、共立女子大学の研究によると、縦型洗濯機の方が流出量は少ないようだ。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/senshoshi/64/3/64_197/_pdf

洗濯機に付いている糸クズネットは、大きなマイクロプラスチックファイバーは取れても、小さなものはほとんど取れない。特にドラム式洗濯機のファイバー流出量が多いということは以前、京大の研究チームも学会で発表していた。

今年発表された共立女子大学の研究でも、細かいことは異なるが、結論は同じだ。

「縦型洗濯機ではドラム式洗濯機に比べてより多くのファイバーが生地や衣料から発生していた. 縦型洗濯機付属の糸くずフィル ターは,長さが 3mm以上のファイバーの 7 割程度を回収できたが,長さが 3mm未満のファイバーは ほとんど回収できずに,排出されていた. また,ドラム式洗濯機による洗濯で発生するファイバーの量は縦型に比べて少なかったが,そのフィルターは空隙が大きなためにほとんどファイバーを回収できなかった」とのこと。

要するに、縦型洗濯機の場合、3㎜以上のファイバーならば糸クズネットで約7割回収できるが、それより小さいファイバーは回収できない。ドラム式洗濯機は、発生量こそ少ないがフィルターの隙間が大きいためファイバー捕捉に役立たない。そのため、結果的に洗濯排水と一緒に流れてしまうマイクロプラスチック量は、縦型洗濯機の方が少ないということだ。

マイクロプラスチックファイバー発生量はドラム式洗濯機の方が少ないということは、よくいえば衣類への負担が少ないということだが、悪くいえば汚れがあまり落ちないということかもしれない。

これまでの研究でも、液体石けんより粉石けんの方が、そして低温の洗濯水よりも高温洗濯水の方が、マイクロプラスチック発生量は多いことが知られている。しかし、汚れ落ちは粉石けんや高温洗濯水の方が良い。つまり、マイクロプラスチック発生量が多い方が、汚れ落ちは良い可能性がある。

汚れ落ちという点でも、またマイクロプラスチックの環境中への流出量という点でも、ドラム式より縦型洗濯機の方が良さそうだ。