プラスチックのリサイクル工場はマイクロプラスチックの汚染源

プラスチックを使ってしまった場合は、燃やすかリサイクルするしかない。燃やすよりリサイクルするの方がCO2発生量の見地からマシだろう。

とはいえ、リサイクル工場から大量のマイクロプラスチックが放出されていることが、昨年のイギリスの研究でも判明している。フィルター設置後も、放出量は改善されたとはいえ、それでも相当な量だ。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2772416623000803

処理量の6%も洗浄水と一緒に放出されている。水だけでなく、大気中に放出してしまう量も多いだろう。

国立環境研究所が、ベトナムのメカニカルリサイクルの工場で行ったマイクロプラスチックの調査結果も気になる。

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0269749122003281

そのため、この記事↓の主張は、残念だがもっともな部分が多い。

https://cigs.canon/article/20230927_7646.html#note1

しかし、ごみ焼却場からもマイクロプラスチックが発生していることは最近の研究で判明している。清掃工場内だけでなく、なぜか焼却灰を埋めた埋立地の浸出水からも検出されているのだ。

高温で焼却しているにも関わらず、なぜマイクロプラスチックが発生するのかわからない。焼却後、灰や煙が通るルートのどこかで、焼却灰や飛灰がプラスチックに触れるようだ。

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ペットボトルから大量のマイクロプラ、だけどプラスチックに付着した化学物質はそれより怖いかも

米科学アカデミーの紀要(PINAS)に、大量のマイクロプラスチックがペットボトルから検出されたとの研究結果が掲載された。

https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2300582121

メディアはマイクロプラスチックのみに注目しているが、本当の問題はそこに留まらない。プラスチックに付着あるいは添加されていた化学物質が何か、ということも問題なのだ。

PET樹脂には可塑剤は使われないから安全だ、とよく聞くが、そんなことは決してない。ペットボトルから、いろいろな化学物質が検出されている。

例えば昨年、熊大の研究で分析されたフタル酸エステル類は、胎児や子どもの発達、生殖能力などにも影響を与える環境ホルモンだ。

熊本大学の研究チームの研究「Polymer types and additive concentrations in single-use plastic products collected from Indonesia, Japan, Myanmar, and Thailand」(インドネシア、日本、ミャンマー、タイから集められた使い捨てプラスチック製品の樹脂の種類と添加剤濃度)↓

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0048969723026049

しかも、PINAS論文によると、ペットボトルの水で見つかったプラスチックはPETだけではなく、ナイロンやポリプロピレン、ポリスチレン、塩ビまでもが見つかっている。ナイロンは水をろ過する際に使われたのかもしれないが、ポリスチレンや塩ビはなぜだろうか?ちょっと怖い気になる樹脂だ。

しかし、最近はコマーシャルの影響か、日本でも「水は買うのが当たり前」になっていると聞く。プラスチックに入れられた水の方がよほどアブナイと思うのだが・・。

「安心」な環境に慣れすぎたせいで、危険かもしれないプラスチックに心が動くのだろうか?怖い物みたさ?それとも「プラスチック中毒」の人が増えているのかもしれない。

ファミマの環境対応:スプーンなど有料に。「ファミマのレシートにはビスフェノール類が入っていなかった」

ファミリーマートはスプーンやストローなどを今月29日から有料化する。

価格は4円から6円。まずは全国にある直営店およそ100店舗を対象に始め、全国およそ1万6000店に順次、広げるそう。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240119/k10014327161000.html

ファミリーマートの「脱プラ」対応は、セブンなどに比べ進んでいる。やはりカトラリーは有料にするか、EUやカナダなどのように原則禁止にすべきだ。

そういえば、先日参加したTウォッチの環境ホルモンセミナーで、感熱紙のビスフェノール類の話があった。

日本はビスフェノールAがそうそうにやめたが、代わりにビスフェノールSを使ったというのは有名な話だが、ビスフェノールSの毒性もビスフェノールAとそうは変わらない。

そのため、その講師が所属する団体ではあちこちの感熱紙レシートのビスフェノール類を調べたそう。

その結果、大手コンビニの中では、ファミリーマートのレシートにビスフェノールAもSも含まれていなかったという。ただそれが、調べたそのファミマの店舗だけのことなのか、ファミマ全体なのかはわからないとのこと。

スーパーは、調べた店すべてでビスフェノール入りレシートが使われていたが、自治体の施設の感熱紙レシートは、ビスフェノール類を使っていない自治体も多少あったらしい。

感熱紙を使っている限りビスフェノール類から逃れられないと思っていたため、それまで普通紙に印字されたレシート以外はこわごわ触れていた。しかし、ビスフェノール類フリーの感熱紙もあるというのは朗報だった。

もし、ファミリーマート全店でビスフェノール類フリーのレシートを使っているならば、もっとファミマ広報部は宣伝すべきだ。

今日から相模原市の人工芝軟式野球場がオープン

今日(2024.1.20)から相模原スポーツ・レクリエーションパーク内の軟式野球場がオープンする。

それに伴い、昨日は一般解放日だった。

https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kurashi/shisetsu/sports/baseball/1029781.html

見学したところ、内野にも外野にも人工芝が敷設され、黒ゴムチップが大量にすき込まれていた。

同じ施設内の人工芝グラウンドの芝に比べ、芝片はツンツンしてなく平面的で長め。周囲に飛び散っていた芝片を拾い、長さを測ったら6.5センチもあった!

黒ゴムチップは少し小ぶりで、サイズはさまざま。古タイヤか、それとも車のドアパッキンの端材だかをグラインダーにかけたような形をしていた。ヘッドスライディングをしたら、細かい破片を吸い込みそうだ。

魚もゴムチップを食べてしまうそうだから、被害は人間だけに留まらない。

こんなものを何トンも環境中にまき、環境を汚染して、地球生態系は本当に大丈夫なのだろうか?心配だ。

EUは昨年、人工芝のゴムチップを「意図的添加のマイクロプラスチック」であるとして、販売禁止を決めた。現在、猶予期間中だからまだ販売されていると思うが、おそらくもう製造は縮小されているだろう。日本も早急に手を打たないと、大変なことになるのではないか。

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アイルランド、2月1日からデポジット制度開始

アイルランドでは、予定通り2月1日から飲料容器のデポジット制度が開始される。対象となる飲料容器の種類は、プラスチックとアルミ、スチールの3種類だ。ガラスは除外された。

サイズは150mLから3リットルまで。150mL以上500mL以下のデポジット額(保証金額)は15セントユーロ、500mLを超える容器は25セントユーロになる。

デポジット付き容器にはロゴが印字されている。印字のない容器は、返金を受けることができない。牛乳などの容器はデポジット制度の対象外だ。

容器の返却場所は、販売店やスーパーなど。自動回収機に破損していない空き容器を入れると、レジで換金できるバウチャーが発行される仕組みだ。自動回収機でなく、店頭に持ち込んだ場合でも、容器が破損していないことを確認後返金されるという。

ガラス容器に関しては従来通りのルートで回収されるそうだ。

EU指令後、EU域内ではデポジット制度を導入する国が相次いでいる。

参考↓

米ニューハンプシャー州、生産者責任の下 デポジット制度法案進行中

アメリカ・ニューハンプシャー州では今年、デポジット制度の新たな法案が進められている。

下院法案1636は、プログラムを監督する生産者責任組織(PRO)を設立し、飲料生産者と流通業者を貢献メンバーとした。

制度を運営する費用は政府機関ではなく、生産者が負担するものとする。

法案の提案者の1人であるシェリー・ダジー・ローズ州下院議員は、「政府がシステムを設定して管理する従来のモデルは、とりわけ予算の制約上、ニューハンプシャー州では効果的ではない」と述べているそうだ。

https://www.sentinelsource.com/state_news/new-bottle-bill-shifts-responsibility-to-beverage-producers/article_e59a57d5-77c5-5163-89d8-0180aae5ac7e.html?eType=EmailBlastContent&eId=6cae144f-60cf-4ef9-a917-f14397808cc6

30年前に導入されたデポジット制度には生産者責任の考えが含まれていないものもあったが、これからのデポジット制度は当然、生産者責任の下で行われるべきだ。ニューハンプシャー州の法案に、生産者責任の考えが取り入れられたのは当然だろう。

川崎に首都圏最大級のプラスチックリサイクル工場を建設

J&T環境株式会社、東日本旅客鉄道株式会社および株式会社JR東日本環境アクセスの3社は、株式会社Jサーキュラーシステムを共同で設立。1月4日から川崎にリサイクル施設の建設を開始した。

首都圏最大級となる200t/日の使用済みプラスチック処理能力を有し、選別から再商品化まで一貫した事業を行う計画だという。

回収したプラスチックに応じ、マテリアルリサイクルでもケミカルリサイクルでも対応できるらしい。

今年(2024年)10月にケミカルリサイクル用原料製造施設(圧縮・固化)を先行稼働し、来年の4月には高度選別設備を稼働する。

https://www.jfe-eng.co.jp/news/2024/20240109.html

プラスチックはサーキュラーエコノミーにそぐわない素材だが、プラスチックを使っている限りはこの手の施設が必要だということは理解できる。それでもやはり、プラスチックのリサイクルを「サーキュラー(循環)システム」と呼ぶのは悪い冗談のように聞こえるのでやめてほしい。

プラスチックのリサイクル工場は、マイクロプラスチックの一大発生源だ。焼却よりマシだとはいえ、発生したマイクロプラスチックは環境中に流出し、海底や川底に溜まるだけでなく、風に乗って地球を「循環」するものもある。

液体ミルクは大丈夫?食品中にフタル酸エステルなどのプラスチック添加剤。オーガニック食品やベビーフードにも

アメリカの消費者専門誌が「コンシューマーレポート」によると、スーパーとファーストフードの食品を調べたところ、プラスチックの添加剤が多く認められた。

検査した85種類のうち84種類に、プラスチックに柔軟性を持たせるために添加する可塑剤「フタル酸エステル」が含まれていたそうだ。さらに、79%の食品からビスフェノールAなどのビスフェノール類も見つかった。

https://jp.reuters.com/life/P5BI5HV735JYJKAEZ6Y4ZJCGC4-2024-01-05/

基準値は超えていなかったと言うが、そもそもフタル酸エステルやビスフェノールのような環境ホルモンの有害性には閾値がないため、基準値より低いから安全だとは限らない。

ビスフェノールAは2009年の検査時よりも低かったが、フタル酸エステル類は1サンプルを除き、全ての食品から見つかった。特に乳製品や調理済み食品にフタル酸エステルが多かったという。

フタル酸エステルが最大だったのは、缶に入ったアニーのオーガニックチーズラビオリだった。

https://www.consumerreports.org/health/food-contaminants/the-plastic-chemicals-hiding-in-your-food-a7358224781/

プラスチック包装だけでなく、缶詰も避けた方が良さそうだが、包装材がなんであろうと調理済み食品は調理時に手袋や調理器具にプラスチックが使われているため、フタル酸エステルなどは避けようがない。

調理済み食品をやめ全てを手作りするのは難しいが、少なくとも子どものいる家庭は極力避ける必要がありそうだ。

最近流行の液体ミルクは安全なのだろうか。消費者庁は液体ミルク中のフタル酸エステル類を測っているのか?おそらく測っていないのではないかと、心配だ。

映画「イチケイのカラス」でPFASがテーマに

テレビで映画「イチケイのカラス」が放送された。なんとPFASがテーマだった。「ダイキン城下町」のような企業城下町で起きた公害。公害を隠蔽するため犯罪を主導したのは当然企業、と思いきや実は・・という設定だった。企業に配慮したのかも?

しかし、どうもPFASらしくない。映画の中では「PFOM」というおそらく架空の物質が毒性の高いPFASという設定だったようだが、もし、このような即効性のある毒ならばすぐに禁止されるから、被害はあまり広がらないような気がする。

実際のPFASは、影響がわかるまで数年(あるいは数十年)かかる。たとえPFASで健康被害が出たとしても、PFASが原因物質だと特定されることはまず期待できない。

たとえ、PFASで発症する病にかかり、PFAS血中濃度が著しく高くても証明は難しい。PFASのような物質はそこが不気味なのだ。

人工芝のような「高品質」のプラスチック製品の多くにPFASは含まれていると思うが、メーカーが「意図的に入れることはない」と言い張れば、自治体は検査もせずに人工芝敷設の旗を振る。

相模原市の人工芝野球場(相模原スポーツ・レクリエーションパーク内)はまもなくオープンする。

ハンガリー、飲料容器のデポジット制度開始 欧州で15ヶ国目

ハンガリーは今年の1月1日から飲料容器のデポジット制度を開始した。ヨーロッパでのデポジット制度採用国は、15ヶ国目だという。

https://www.packaginginsights.com/news/new-year-new-drs-hungary-begins-recycling-single-use-drink-containers-with-tomra-and-envipco-machinery.html?utm_source=Newsletter&utm_medium=email&utm_content=4+Jan+%7C+Hungary+launches+national+DRS+with+Tomra+and+Envipco+%7C+Dubai+outlaws+single-use+plastic+bags+%7C+Researchers+convert+cardboard+into+high-strength+cushioning+foam&utm_campaign=2024-01-04-+PI+Daily&eType=EmailBlastContent&eId=35a2351a-187c-42df-8c15-4ec08012158a

EUの「使い捨てプラスチック指令」によるものだ。

デポジット額はHUF50(米ドルで約0.14ドル)。対象は、0.1から3リットルまでの缶・ガラス・プラスチック製の全ての飲料容器(牛乳と乳製品を除く)だ。スーパーなどに自動回収機が設置された他、人の手によっても返却できる。